【桃尻娘】橋本治はこんなふうに世に知られてきた

【桃尻娘】橋本治はこんなふうに世に知られてきた

平成31年1月に亡くなられた作家の橋本治さん。長編小説や評論だけでなく、中世・近世の日本文学にも及ぶ多作な作家でしたが、彼が世に出てきたときはこんなふうなデビューでした。彼の業績のほんのさわりをご紹介。


橋本治の文章は軽妙、でも小難しい

作家です。非常に多作な作家さんです。
wikiに著作が出ていますが、
小説だけでなく戯曲、評論、エッセイなど
ここまで多岐にわたってこれだけの著作を持っている方は
そうはいないと思います。

橋本治を名前だけ知っている人はたくさんいると思いますが
橋本治を少しでも読んだことのある人は
「橋本治の言っていることは小難しい」
ということも知っているはず。
「難しい」のではなく「小難しい」のです。

「難しい」と「小難しい」の違いはなんだ?

学術的な専門用語とか、文体が直訳調とか、句読点が少なくて文章が長いとか
そんな「難しさ」は、橋本治の文章にはありません。
むしろ使っている言葉は平易でくだけていて
話し言葉で読者に語りかけるように書いているのですが
その内容がちょっとややこしい。

彼の考えている、とにかくいろいろな事象を
彼は言葉をつくして説明しようとしている、
我々にわかるやさしい言葉で、あらゆる角度から説明してくれるのですが
それがあまりに多くの角度から多くの言葉で語られるので
「いやもうおなかいっぱい」
な感じになってしまう、というのが
橋本治が「小難しい」と感じられる要因だと思うのです。

橋本治 世に出るきっかけはイラストレーター

そんな橋本治ですが、
世に知られるきっかけになったのは、ポスターのイラストからです。
東大紛争がピークを迎えた昭和43(1968)年、
東大駒場祭のポスターを
当時東大在学中の橋本治が描いたのがはじまりでした。

東大文学部国文科に進み、歌舞伎を専攻しながらイラストの仕事もしていたそう。
「週刊新潮」で梶山季之の『ぽるの日本史』の挿絵を描いたり。
あと、イラストは関係ないけど
「クイズ・グランプリ」で優勝してヨーロッパに行ったりしてたようです。
やっぱり頭いいんだな。

この前年に東大を卒業しています。
卒論は「四世鶴屋南北の劇世界」。
その後、北斎を専攻して研究生になりますが
このジャケットを作った頃にはイラストレーターが仕事になっていました。

昭和枯れすゝき レコードジャケット 1974年

Amazon | 昭和枯れすゝき [EPレコード 7inch] | さくらと一郎 | ミュージック | 音楽

芝居がやりたかった・・・でも書いたのは「桃尻娘」

1976年、橋本治はいきなり「ミュージカルがやりたい」と言い出し
『ぼくの四谷怪談』『義経伝説』という戯曲を書きだします(未発表)。
が、日本で戯曲は受けないと言われて
頭にきて(笑)書き始めた小説が
あの『桃尻娘』。

当時出版された版の書影ですね。
帯に、「野坂昭如氏絶賛」とありますが
橋本治はこの選評を聞かされて「ザマァミロ」と言って泣いたそうです(自筆経歴より)。
装丁もごく普通で
タイトルから多くの方が想像するであろうエロ系の本じゃないです(^^;)
ちゃんと「シティ感覚のユーモア”青春”小説」って書いてあるでしょ。

桃尻娘 / 橋本治 著 講談社 1978年

桃尻娘 / 橋本治 著 - がらくた本の店 ごんた堂

タイトルがキャッチ―すぎますよね。
wikiにも、「日本で初めて女性の性欲について書いた作品とされる。性に対して奔放なヒロイン」なんて書いてあるんですが、
いや、そこまで書いてないし!ていうか、なんでそこ、そこだけェ!って思っちゃうのよォ。

えーとつい桃尻語調で憤ってみましたが、
要するに女子高生の一人称語りで語られる饒舌な私生活の話です。

書いているのは、15歳女子のホンネ

女の子ってこういうもの、女子高生ってこういうもの
という「ワク」の中で表面上おさまっていながら
心の中では全然おさまらずマシンガントークのように一人称で喋りまくる主人公の玲奈ちゃん。
とにかくいろんなものにブチギレてる。
「性に対して奔放」な部分もなくはないけど
文庫本換算で52ページ中3ページくらいしかその描写はないんだな。
あとはちょいととろくさい友人とか
がっつりホモなクラスメートとか
いささか情けない無自覚な美少年とかとの会話をメインにしながら
自分の周囲の「普通」で「常識」な事象に対して
ガンガン文句言ってる、そういう小説です。

それを29歳の(女子高生から見れば)おっさんが書く

玲奈ちゃんの心の声は、「~なの」「~だわ」「~かしら」なんて言わない。
一人称「あたし」の玲奈ちゃんは、
目の前の「あんた」だけでなく、あんたの前にいる「あたし」も含め
けっこう冷徹な目でバッサバッサ言葉で切り返していく。

関連する投稿


レトロゲーム配信サービス「プロジェクトEGG」より『トラぶるCHASER 第1話』『3Dテニス』が配信スタート!!

レトロゲーム配信サービス「プロジェクトEGG」より『トラぶるCHASER 第1話』『3Dテニス』が配信スタート!!

レトロゲーム関連の復刻・配信ビジネスなどを行うD4エンタープライズが運営するレトロゲーム配信サービス「プロジェクトEGG」にて、新規コンテンツ『トラぶるCHASER 第1話 トラブルは空から未来から(PC-9801版)』『3Dテニス(MSX版)』の配信がスタートしました。


『オホーツクに消ゆ』と北海道紋別市がコラボ!ゲームに登場するシーンを使用したアクリルジオラマが「ふるさと納税返礼品」に!

『オホーツクに消ゆ』と北海道紋別市がコラボ!ゲームに登場するシーンを使用したアクリルジオラマが「ふるさと納税返礼品」に!

ジー・モードより、推理アドベンチャーゲーム『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ ~追憶の流氷・涙のニポポ人形~』の世界観を再現したオリジナルグッズが、北海道紋別市のふるさと納税返礼品として提供されます。


抜群のスタイルで💦世の脚光を浴びた『広田恵子』現在は?!

抜群のスタイルで💦世の脚光を浴びた『広田恵子』現在は?!

高校時代からモデル活動を始め1986年に「カネボウ・スイムウエアイメージモデル」として脚光を浴びた広田恵子さん。現在は家族で〇〇を組んで活動している・・・。


完璧・無量大数軍の一人「完肉」の称号を持つキン肉マン『ネメシス』が、SpiceSeedキン肉マンシリーズに登場!!

完璧・無量大数軍の一人「完肉」の称号を持つキン肉マン『ネメシス』が、SpiceSeedキン肉マンシリーズに登場!!

ハイクオリティフィギュアの製造・販売で好評を博している株式会社SpiceSeed フィギュア事業部より、キン肉マンシリーズのフィギュア『ネメシス』が発売されます。


懐かしの名作が勢揃い!特製クリアしおりが貰える書店フェア「藤子・F・不二雄 S(すこし)★F(ふしぎ)な世界」が開催!!

懐かしの名作が勢揃い!特製クリアしおりが貰える書店フェア「藤子・F・不二雄 S(すこし)★F(ふしぎ)な世界」が開催!!

藤子・F・不二雄による名作の数々を紹介する書店フェア「藤子・F・不二雄 S(すこし)★F(ふしぎ)な世界」が、8月7日(木)より全国のフェア参加書店にて順次開催されます。


最新の投稿


サンリオの原点が60年ぶりに復刻!やなせたかし初の市販詩集『詩集 愛する歌』が2026年4月に発売決定

サンリオの原点が60年ぶりに復刻!やなせたかし初の市販詩集『詩集 愛する歌』が2026年4月に発売決定

サンリオの出版事業第1号であり、「アンパンマン」の生みの親・やなせたかし氏の初市販詩集『詩集 愛する歌』の復刻が決定。1966年の初版本を忠実に再現し、2026年4月1日に発売されます。NHK連続テレビ小説「あんぱん」でも注目を集める本作は、やなせ氏とサンリオ創業者の絆から生まれた伝説の一冊です。


「ひふみん」の愛称で親しまれた将棋界のレジェンド・加藤一二三九段が死去 86歳

「ひふみん」の愛称で親しまれた将棋界のレジェンド・加藤一二三九段が死去 86歳

「ひふみん」の愛称で親しまれた将棋界のレジェンド・加藤一二三九段が1月22日、86歳で死去しました。「神武以来の天才」として14歳でプロ入りし、現役最長62年の記録を樹立。大山康晴十五世名人らとの激闘や藤井聡太竜王との対局など、将棋界に残した偉大な功績と、誰からも愛されたその生涯を振り返ります。


『北斗の拳』×『花の慶次』札幌で「漢の生き様」を体感!限定グッズ満載のPOP UP SHOPが開催

『北斗の拳』×『花の慶次』札幌で「漢の生き様」を体感!限定グッズ満載のPOP UP SHOPが開催

『北斗の拳』と『花の慶次 ―雲のかなたに―』の熱き世界観が融合した「漢の生き様 POP UP SHOP」が、2026年1月16日よりMARUZEN & ジュンク堂書店 札幌店にて開催。名場面を再現したアクリルジオラマやステッカーなど、ファン垂涎のグッズが勢揃い。購入特典には伝説の「でかいババア」も登場します。


徳永英明、40周年記念盤『COVERS』に玉置浩二、吉井和哉らが賛辞!豪華コメント到着

徳永英明、40周年記念盤『COVERS』に玉置浩二、吉井和哉らが賛辞!豪華コメント到着

1月21日に発売される徳永英明のデビュー40周年記念アルバム『COVERS』。そのリリースを前に、楽曲のオリジナルアーティストである根本要(スターダスト☆レビュー)、吉井和哉、玉置浩二、AIから祝福のコメントが到着した。名曲たちが徳永の歌声でどう生まれ変わるのか、アーティスト間のリスペクトが垣間見えるメッセージと共に紹介する。


不朽の名作『銀牙 -流れ星 銀-』の限定グッズが復刻!「カワセルくじ」でファン待望の再販スタート

不朽の名作『銀牙 -流れ星 銀-』の限定グッズが復刻!「カワセルくじ」でファン待望の再販スタート

高橋よしひろ氏による不朽の名作漫画『銀牙 -流れ星 銀-』のオンラインくじが、ファンの熱烈な要望に応え「カワセルくじ」にて復刻再販を開始しました。ビッグサイズのクッションや名シーンを再現したハンカチ、ユニークなパズル型キーホルダーなど、ここでしか手に入らない限定グッズが多数ラインナップされています。