オリエント3部作”の最終章
原案・監督のベルナルド・ベルトルッチが、『ラストエンペラー』『シェルタリング・スカイ』に続いて“オリエント3部作(東洋三部作)”の最終章を飾る作品として発表しました。

監督は2018年11月26日、癌のためローマ市内の自宅で亡くなられています。77歳でした。
主役、キャスト
シッダールタ王子/ブッダ役には、後に世界的に大ヒットし、人気を不動のものとした1994年『スピード』、1999年『マトリックス』などで有名なレバノン出生の多国籍俳優・ミュージシャンのキアヌ・リーブスが務めます。
この作品はメインストーリーに並行して、シッダールタ王子の半生記が描かれています。

物語の案内役、ジェシー・コンラッド役には、本作でデビューした9歳の子役アレックス・ウィーゼンダンガーが演じました。
ジェシーの父ディーン役
アメリカ・カリフォルニア州出身で、シンガーソングライター、俳優のクリス・アイザック(Chris Isaak、1956年6月26日)が演じています。
母リサ役
アメリカの女優、ブリジット・フォンダがが演じ、「ゴッドファーザー PART III」などに出演。祖父は名優ヘンリー・フォンダ。叔母がジェーン・フォンダ。父親がピーター・フォンダというフォンダ一家生まれ。
少年の旅と2500年前のシッダールタ王子の物語が交錯

米国シアトルに住む9歳のジェシー・コンラッドは、父ディーンと母リサと共に暮らす典型的な現代っ子です。
ある日、一家の前にラマ・ノルブほか4人のラマ僧が訪れました。
ノルブは、ブッダの魂を受け継ぐと言われた尊師ラマ・ドルジェが9年前に他界したこと、そしてジェシーこそ、その生まれ変わりであると告げました。
その夜、リサは息子にノルブから贈られた本を読んで聞かせました。
それは古代インドで“世界を救う者”として生を受けたシッダールタ王子の物語でした。
ノルブは、ジェシーがほかの候補者と共に試練を受け、儀式に臨むためにブータンに赴かねばならないと両親に説きます。

この世の真理を求め、いざインドへ

父に連れられてインドへ向かったジェシーは、ほかの2人、ラジュとギータと共に、ノルブからシッダールタ王子の物語を聞かされました。
王子はこの世の真理を求め、苦しみの果てに悟りを開き、ブッダとなったのです。
幾つもの苦しみを経て…
輪廻転生譚の世界!!
肉体はラジュに、言葉はギータに、魂はジェシーに、ドルジェの3人の子供に転生していました。
ノルブは子供たちの前にひざまずき、転生の儀式が済んで役割を終えた彼は、静かに息を引き取ります。
ですが子供たちはこれが彼との永遠の別れではないことを知っています。
いつか彼と再び出会うことを信じてそれぞれの土地に帰り、ノルブの遺灰を撒きました。

エンディングに流れる9分のドラマチックな大曲、坂本龍一が音楽担当

音楽は1987年、映画『ラストエンペラー』でゴールデングローブ賞を日本人で初めて受賞し、アカデミー賞作曲賞も受賞した、ベルトルッチ映画にはなくてはならない存在の「教授」「世界のサカモト」、坂本龍一が担当しました。
クライマックスシーンの音楽は「5回も書き直した」という逸話です。
オペラ調に歌われた般若経が使用されている同パートは、ベルトルッチ監督の無茶ぶりを経て完成に至ったようです。
「監督が最初に『龍一、僕はティッシュカンパニーを起業する。世界中の人が大泣きして、莫大な富を得るだろう。だから世界一泣ける曲を書け』」と言われたそうです。
坂本氏曰く「1、2曲目は『もっと悲しく。これじゃ儲からない』、3曲目は『悲しすぎる。希望がない』と言われて、さすがに僕も本気で怒ってしまって(笑)。
4曲目で却下されたものは、別のシーンで使用されていますよ」と笑いながら振り返っていました。