少しドラマの内容にも触れておこう。
忠相が町奉行として活躍した時期と将軍吉宗が《享保の改革》を行っていた時期はほぼ同じである。
忠相も様々な行政改革に取り組んでおり、その雰囲気は「暴れん坊将軍」などによく出ていると思うが、あちらに出てくる吉宗と忠相はやはり《江戸》を中心に活動している。
忠相が江戸以外の場所でも活躍していたことは先述の通りだが、ここでもうひとつの〝町奉行〟の顔に触れておこう。
重要なのは中盤の部分。忠相は農政のために地方に赴いているというところ。
町の警察官、警察署長がまったく別の地域の農業を助けに行く――という話と解釈すると妙かもしれない。
しかしこれまた先述の通り忠相の経歴を見れば納得のいくことで、彼は遠国奉行として行政、治安維持、裁判を担当していた(町奉行も近いものだが)ので、格としてはともかく忠相は吉宗内閣の大臣的存在だったことがうかがえる配置である。
ちなみにもうちょっと詳しい記述を持ってくると、
どうもこの話、北町奉行も絡んでいたらしい。ただでさえ激務(と言われている)町奉行にさらに仕事が割り振られてるから大変だが、まあふたりがかりなら……と思っていたところ、
とのこと。江戸幕府には「担当がひとり減ったから、増やそう」という発想は無かったのだろうか。複雑な気持ちになるエピソードである。
もっとも、裏を返せばこれらの功績は忠相によるものが大きい、ということでもある。
この間、関東地方御用掛として忠相がどの程度出向していたかはわからない。
しかしそういう忙しい時期に限って、江戸で厄介な事件が発生してしまう――というのが今回の見どころである。
まさかとは思うが、もしかしたら中山時春やそれに近い人物が登場したりするのかもしれない。
このあたりの時系列や背景を考慮に入れておくと、ドラマがよりいっそう楽しめたりもする。
いずれにせよ涼しい顔をして業務をこなしている忠相だが、史実でははちゃめちゃに多忙だったということを知っておくと、その落ち着きがとても得難いものに思えてくる。
