阿久悠作品集CD「誰もが勇気を忘れちゃいけない」発売!
「誰もが勇気を忘れちゃいけない」
40代にして言葉で読むとグッとくるフレーズ、これは「ウルトラマンレオ」主題歌の一節です。
ミドルエッジ世代の皆さんは、いまでもそらで歌えるアニソンがありますよね?
そもそも「アニソン」という言葉もなかった70~80年代。
私たちが幼いころ耳にした数々のアニソンには、勇ましくも優しいメッセージが込められていました。
今回ミドルエッジ編集部(ミド編)は、稀代の作詞家として名高い阿久悠さんの手によって紡がれた数々の”テレビまんが”テーマソングから50曲を収録した作品集CD「誰もが勇気を忘れちゃいけない~大事なことはすべて阿久悠が教えてくれた~」の発売にあたり、本作品を企画した秋廣泰生さんにお話しを伺いました。
※収録50曲については、下記の日本コロムビアオフィシャルサイトをご覧ください
誰もが勇気を忘れちゃいけない 〜大事なことはすべて阿久悠が教えてくれた〜 | 商品情報 | 日本コロムビアオフィシャルサイト

秋廣泰生さん
阿久悠が子どもたちのため作詞した曲を集めたライブがあったら

-2枚組CDにはそれぞれ25曲、1970年代や80年代を彩ったアニメや特撮などのテーマソングが詰まっています。
幼いころの記憶だったせいか、イントロが流れてくると「あっ」と番組名を思い出しつつ「この歌も阿久悠さんが作詞を手掛けていたんだ。」と、初めて知った楽曲が多々ありました。
私は今年51歳なのですが、やはり70~80年代に数々のアニメや特撮で阿久悠さんの作詞した歌を耳にしてきた世代です。
ウルトラマンタロウにレッドバロン、宇宙戦艦ヤマトにデビルマン。
このCDアルバムは聴く方々の世代によって心に残る曲は異なれど、仮に阿久悠さんが子どもたち向けに作詞した曲だけを集めたコンサートを開催するとしたらどのような構成になるだろうか?50曲を通して歌劇のような流れで聴いてもらえたらと考えて企画しました。
-まだ「アニソン」という言葉もなかった時代。日本コロムビア社では子ども向けアニメや特撮でのテーマソングを制作する部署を学芸部と呼んでいたそうです。
作品の放映期間を通じて、子どもたちがテーマソングに込められた意味に気づいていく。制作側の意図を表現しながら子どもたちに普遍的なメッセージを届けることが大切だったのでしょうね。
阿久さんは、制作意図を的確に汲んだ上での作詞はもちろんのこと、更に一歩踏み込んだ内容を歌詞の中に盛り込んでいる様に感じます。
これは僕の想像ですが、阿久さんはきっと、脚本家としても素敵な才能をお持ちだったからなんじゃないかと思っています。
だから、どのテーマソングにも子どもたちに届けたい普遍的なメッセージが盛り込まれているんじゃないでしょうか。
~大事なことはすべて阿久悠が教えてくれた~
マッハバロンの一節に「君は蹂躙されて黙っているか」という表現があります。
阿久さんは歌詞を聞いて「??」となる子どもたちの表情も思い浮かべながら、蹂躙という言葉を選んだのではないでしょうか。
気になって言葉の意味を調べたら、その子どもの頭の中の世界観も広がりますからね。
僕は50才を越えたいま、この歌詞を前にして、阿久さんは子どもに向かって豪速球で挑んでくるなぁと、感心します。
-毎週耳にする言葉、番組の展開。そんな中から普遍的に大切なモノをいつしか教えられていたのかもしれませんね。
今回の作品集は往時を思いながら耳にする大人の方々がいらっしゃる一方で、若い方が先入観なしに聴いて「新鮮で良かった」という感想も聞こえてきます。
親子で聴いていただいたり、「ながら聴き」で楽しんでもらうのだっていいと思うんです。特定の世代に合わせるのでなく、聴く人それぞれの感性で阿久悠さんの世界観を堪能してもらえたら。
50曲の並べ方は、歌劇のような流れの中にも「人生とは」を感じ取れるような構成を意識しました。一人一人が聴いていく中で考え、感じてもらえたら嬉しいです。
商業的ヒットジャンル「アニソン」への変遷のなかで
宇宙戦艦ヤマトの大ヒットが起爆剤になって、70年代終盤から80年代には、中学生以上も対象にしたアニメが一気に増えました。主題歌もガラリとアーティストが変わって一大メジャージャンルにまで昇華されていきます。TBSの『ザ・ベストテン』でアニメソングが上位を勝ち取るようになるなんて衝撃的でした。
そんな傾向の中で、アニメや特撮のヒーローが子どもたちに届ける意味合いも大きな変遷を辿ったように思います。阿久さんは恐らく、そんな時代の向き合い方に慎重だったのでは?と、個人的に感じています。この時期の名曲もありますが、作詞の数は少なくなっていきました。
しかしながら、そんな阿久悠さんが「突き抜けた!」と個人的に感じたのは『宇宙船サジタリウス』の「スターダストボーイズ」でした。。
-『宇宙船サジタリウス』!いまでも大好きなアニメです(笑
平凡だけど頑張る主人公たちの姿はエンディングの「夢光年」とともに心に残りました。
秋廣さんにとって軸となっている楽曲
そこから平成元年『ウルトラマンUSA』の主題歌「時の中を走り抜けて」テーマソングへ。
今回の50曲で、私なりに軸となる曲を挙げるとするならばこの「時の中を走り抜けて」と「ウルトラマンタロウ」だと思います。
-「ウルトラマンタロウ」!これまた、いまだにそらで歌えるアニソンです(笑
当時、地元だった鹿児島ではウルトラマンタロウの放送が東京より遅かったんです。だから番組放送前にすでにレコードは発売されていて「なんだこの曲は!?」と衝撃を受けたのをいまでも憶えています。
異色な楽曲も楽しんでもらいたい
-「時の中を走り抜けて」や「ウルトラマンタロウ」とはまた違った阿久悠さんの世界観を楽しめる楽曲としてはどれを挙げられますか?
50曲のラストに収録した「追い出しの歌」ですね。
1974年のアニメ映画『ミュージカルファンタジイ ジャックと豆の木』のエンディング曲で、この映画はミュージカル全編の歌詞を阿久さんが手掛けているんです。
全ての歌を集めて発売されたLPレコードに収録されていた1曲で、当時以来、復刻されていなかったんですが、阿久さんからの大きなメッセージが込められていると思うので、ぜひこのCDアルバムのトリにしたいと思いました。
トリにすればこの歌劇のようなCDアルバム全体の“収まり“にもよいかと考えたんです。
収録50曲中、12曲が初のCD化!
初CD収録12曲の中には、「星の王子さまプチ・プランス」など、名曲なのに、なかなか復刻の機会に恵まれなかった歌を盛り込みました。
また、阿久悠さん作詞の数あるテーマソングのなかでも、今回は出来るだけ多くの作曲家、歌手の作品を揃えています。ぜひ多様な感性で阿久悠さんを改めて感じていただけたらと思います。
イラストについて
このCDアルバムの顔であるジャケットで、何を打ち出していくかと考えたときに“勇気”を一番に思い浮かべました。
それは時代を超えて子どもたちに訴えることが出来る普遍的なモノだと思います。
そして、そんなイメージを伝えたい思いで、現在、web漫画『王様ランキング』を描かれている十日草輔さんのジャケットイラストが実現しました。まさに大成功だったと手応えを感じています!
幼少期に馴染み深い曲から意外(?)な曲まで、阿久悠さんの手によって紡がれた子どもたちに向けたテーマソング50選。
ミドルエッジ世代ならぜひ感じてほしい作品となっています。
また、このCD発売を記念したトークライヴが開催されます。CDを聴いて阿久悠さんの世界を改めて感じたら、ぜひこちらにも足を運んでみてはいかがでしょうか?
2019年1月17日(木)、CD発売を記念したトークライヴ開催!
日本コロムビアpresents
CD『誰もが勇気を忘れちゃいけない』発売記念 トークライヴ
「大事なことはすべて阿久悠が教えてくれた」
■日時:2019年1月17日(木)
■場所:ROCK CAFE LOFT is your room
■OPEN 18:30 / START 19:30
■前売(webにて予約)¥2,000/当日¥2,500(+要1オーダー)
阿久悠作品集CD『誰もが勇気を忘れちゃいけない』発売記念 トークライヴ決定!
作詞家・阿久悠が、アニメや特撮など、かつての子どもたちのために書いた歌50曲を収めた2枚組CD『誰もが勇気を忘れちゃいけない ~大事なことはすべて阿久悠が教えてくれた~』の発売を記念してトークライヴを開催!
CDの企画者で秋廣泰生と音楽ライター不破了三が、収録曲を中心に阿久悠作詞の楽曲をかけながら、作品を深読み分析! CD制作の秘話や作品への熱い思い、阿久悠や楽曲にまつわるエピソードを語りつくす!
ナビゲーター

秋廣泰生(ライター/映像演出家)

不破了三(音楽ライター)
ROCK CAFE LOFT is your room
<お問い合わせ>
ROCK CAFE LOFT:03-6233-9606