ジョージ・A・ロメロ
キング・オブ・ゾンビです。ゾンビ映画の王様なんです。ジョージ・A・ロメロ監督は。
と言っても、今や無数にあるゾンビ映画の生みの親というわけではありません。ジョージ・A・ロメロが撮影する前からゾンビが出てくる映画はありましたし、ゾンビ映画しか撮っていないというわけでもありません。
ジョージ・A・ロメロ
現在では様々なタイプのゾンビが存在しますが、ジョージ・A・ロメロは、それらの基本となるゾンビを完成させた監督なんです。つまり、ゾンビは人を襲う。
ゾンビとジョージ・A・ロメロ
今となっては意外な感じがしますが、そもそもゾンビとは人を襲ったりはしなかったんです。ゾンビは、人の言いなりに動く従順な生物(いや、死物ですかね)で、悪の手下、奴隷と言った感じで描かれていました。
最初のゾンビ映画は意外に古く、1932年の「恐怖城」と言われています。ここでのゾンビはおとなしいです。人を襲ったりしません。人肉など食べません。ゾンビが「生ける死体」として人を襲い出すのは、1968年のジョージ・A・ロメロの映画「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」からですね。
ナイト・オブ・ザ・リビングデッド
製作費、僅か114,000ドル。チープといえばチープですが、この少ない製作費で作られた映画は、後にニューヨーク近代美術館に所蔵され、アメリカ国立フィルム登録簿に永久保存登録されることになります。
それが、ゾンビ映画の記念碑的作品「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」で、1968年10月1日に公開されました。
ナイト・オブ・ザ・リビングデッド
ジョージ・A・ロメロが大学卒業後、友人と共に設立した映像製作会社「ラテント・イメージ」で、CMなどの製作や監督を行いつつ、週末などを利用して作り上げた映画が「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」です。
日本で公開はされていませんし、アメリカでも大ヒットというわけではありませんでしたが、熱心なファンが付き、「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」はカルト映画として知られるようになりました。
ところで、本作ではゾンビという言葉は使われていないんですよね。ここではリビング・デッドと呼ばれていて、ゾンビという呼称は1978年まで待たなければなりません。
ゾンビ
大ヒットしたわけではない。しかし「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」を観てジョージ・A・ロメロの才能に気付いた男がイタリアに居たんですね。それがイタリアンホラー界の巨匠、ダリオ・アルジェント監督です。
ダリオ・アルジェント
ダリオ・アルジェントと言えば、「サスペリア」や「フェノミナ」などで日本でも熱狂的なファンの多い監督ですが、やはり天才は天才を知るといったところでしょうか。
そのダリオ・アルジェントが共同出資を申し出て制作した映画が「Dawn of the Dead」で、アメリカ以外では題名を「ゾンビ」として公開されました。
ゾンビ
これでゾンビというものの存在を世界中に知らしめたといえる作品ですね。日本での公開は1979年3月10日でした。カラーと言うこともあり、これぞゾンビ。現在まで続くゾンビ映画の完成形ですね。
ゾンビ
ただまだ製作費がダリオ・アルジェントも出資したとはいえ、150万ドル。少ない!それでも、これは世界中で大ヒットしジョージ・A・ロメロは一躍有名になります。