『ハイスクール!奇面組』とは?

1980年から1987年、漫画雑誌「週間少年ジャンプ」で『ハイスクール!奇面組』(初期の『3年奇面組』からタイトル変更された)として連載されていました。
新沢基栄による作品です。
架空の学園である「一応高校」を舞台として、一堂零・冷越豪・出瀬潔・大間仁・物星大から成る五人組「奇面組」と、河川唯・宇留千絵などの個性的なキャラクターたちが活躍するドタバタギャグ・コメディ作品でした。
アニメにもなりました…
1985年10月12日から1987年9月26日まで、フジテレビ系列局(フジサンケイグループ)を含むFNS各局にてテレビアニメ化され、放送時間は毎週土曜19:30~20:00でした。
アニメ監督は金沢比呂司(スタジオぎゃろっぷ担当回は辻初樹)で、「ルパン三世(TV第1シリーズ)」や「ど根性ガエル」を手掛けています。
“可愛い(かわゆい)”ヒロインの女の子:河川 唯(かわ ゆい)

名前の通り、“可愛い(かわゆい)”ため、男子生徒には人気がありますが、本人は周囲の価値観や流行には全く関心を持たず、個性の無い人達に嫌気を感じていました。
故に彼女に言い寄った男子は必ずフラレるという恐ろしいジンクスを持っていました。
(例えば、一目惚れした唯を追ってわざわざ転校してきた“自称”万能少年で苦学生の真実 一郎、唯に何度もアタックするが「自信過剰でしつこい人は嫌い」と冷たい態度を取られた色男組の切出翔など)。
「周りに流されず、個性を尊重する」という自分と同じ信条の奇面組と出会って意気投合し、千絵と共に何かと奇面組の行動に絡むようになっていきます。
河川唯の意識し過ぎて一歩を踏み出せない恋愛事情
一堂零を「零さん」と呼んで慕っており、唯の意識の中では、零はいわゆる「騎士(ナイト)」として常に「りりしい人」となっています。
実は相思相愛の関係なのですが、当人たちはお互いの気持ちに気づいている自覚はありません。ただ、互いに意識し過ぎて一歩を踏み出せない描写はあります(特にアニメ版)。
また、最終回で唯は、零の想いを知って喜びました。
声優は『Gu-Guガンモ』の市ヶ谷あゆみ役で有名な高橋美紀

1985 - 1987年に放送されたアニメ『ハイスクール!奇面組』でヒロイン・河川唯を演じています。
収録中に演技としてではなく、自身の気持ちが完全に高橋美紀=河川唯になってしまい、主人公・一堂零に恋心を抱いたと言っています。
現在まで演じた役柄で最も愛着があり、機会があればまた演じたいと語っています。
零役の千葉繁をはじめ共演したレギュラー声優陣について、高橋は素敵な思い出を共有できた大先輩もしくは役者仲間として現在でも尊敬しているといいます。
1987年、結婚を機に、一旦声優業の第一線からは引退しました。
その後も散発的に声の仕事を続け、1993年にはぷろだくしょんバオバブより正式に声優として復帰しています。
1998年には、個人事務所スプラッシュドリームを設立し独立、フリーとなりました。
独立後はコンピュータゲームの仕事を中心に、作詞・作曲の活動も行っています。
(うるちぇ=うるさい)性格でヒロインの友人:宇留 千絵(うる ちえ)

名前の通り、うるちぇ(うるせえ=うるさい)性格です。河川唯の親友で何かと唯と一緒に奇面組に絡み、厳しい突っ込みを入れる事が数多くありました。
転校生だった唯を初めはブリッ子と嫌っていましたが、すぐに打ち解け、高校では唯とともにバレーボール部に入部し、活躍しました。
中学校時代は緩やかなウェーブのかかったセミロングの髪型でしたが、高校に進学してからはポニーテールに変更しました。テール部分の形から「タコ頭」とからかわれています(彼女の心象を表すようにポニーテールにタコの顔が描かれることがあります)。また、「タレ目」「貧乳」「寸胴」「ガニマタ」などと揶揄されることも数多くありました。
実家は花屋「フラワーショップうる」で、配達を手伝うこともあります。
ファッションデザイナー志望です。
豪快な性格・言動とは裏腹に、両親のことを「パパ・ママ」と呼んでいました。
宇留千絵の不器用すぎる恋愛模様
奇面組の冷越豪とは途中から「喧嘩するほど仲が良い」関係となり、互いに不器用ながら意識するようになり、後に結婚しました。
作中においても2人の不器用すぎる恋愛模様が所々に出てきており、アニメ版では(事故ではあるが)皆の前で豪に唇を奪われています。
その時は悲鳴をあげてビンタをかましたものの「ファーストキス」そのものについては文句はなかったようで、人知れず微笑を浮かべていました。
自分の恋愛に関しては意外にもかなり鈍い方ではないでしょうか。
声優は『名探偵コナン』の鈴木園子役でお馴染みの松井菜桜子

『ハイスクール!奇面組』の宇留千絵のほか、『名探偵コナン』の鈴木園子では普段の勝気なコメディ演技と推理時のシリアスな演技を巧みに使い分けて演じています。
また、ギャグ系アニメで発揮される魅力も持ち味です。
高校卒業後、ミュージカルを目指して宝田芸術学園1期生となりました。
その後、テレビタレントセンターに入所し、卒業時には、講師よりオーディションの話があり、その場でぷろだくしょんバオバブの社長にスカウトされました。
また、劇団がらくた工房付属養成所に在籍していたこともあります。
ぷろだくしょんバオバブに所属した後、フリー期間を経て、2013年1月より株式会社アップアンドアップスを設立し、その代表として就任しました。
主題歌は、当時人気絶頂の おニャン子クラブ『うしろゆびさされ組』
『うしろゆびさされ組』とは?
テーマソングのためのタイアップとして、当時の人気アイドルグループ「おニャン子クラブ」に所属していた高井麻巳子と岩井由紀子(ゆうゆ)の2人で結成された“うしろゆびさされ組”を抜擢しました。
メンバーに高井麻巳子と岩井由紀子が選ばれた背景には、作中に登場するヒロインの宇留千絵と河川唯に雰囲気が似ていることや2人がフジテレビからのタクシーでの帰宅方向が同じだからという理由が挙げられています。
1985年10月5日、『うしろゆびさされ組』をキャニオンレコードからリリースし、『ハイスクール!奇面組』の初代オープニングテーマに起用され、同作を代表する主題歌となりました(片面はエンディングテーマ)。
また、オリコンチャートでは同曲が最高5位にランクインしました。
なお、ジャケットに写っている2人が着ている赤セーラー服は、同作品の初期舞台である「一応中学校」の女子制服をベースにしたものです。
秋元康&後藤次利のゴールデンコンビ提供の曲(一部を除く)ということもあり、次々とヒットを飛ばしました。

うしろゆびさされ組が卒業式ジャック!?
「うしろゆびさされ組の卒業式ジャック」の卒業式シーン(アニメ版第63話後半)にて、うしろゆびさされ組自身が本人役でゲスト出演しました。
ユニットの解散、および高井のおニャン子クラブ卒業を発表した後、デビュー曲「うしろゆびさされ組」を豪たちによるバック演奏つき(パートについては初代OPに準ずる)という形で披露しました。
これは、開始当初から主題歌を担当していた同ユニットが解散するのに伴う設定であり、「うしろゆびさされ組が一応高の卒業式にサプライズ出演する」という内容でした。
なお、声による出演はトーク部分のみで、歌唱シーンはサントラ音源を使用していました。
このほかうしろゆびの2人は、JC第15巻にも表紙で登場しています。
「奇面組は永遠に不滅です!」
アニメ版の最高視聴率は24.3%。平均視聴率は全86回で19.2%でした。
1987年9月19日に総集編として「緊急指令!全員集合せよ!!」が放送された後、翌週9月26日に最終回として「一応高の人気もの ひょうきん奇面組解散」が放送されました。
最終回は完全なオリジナルエピソードとして制作され、最後の「奇面組は永遠に不滅です!」というメッセージとともに幕を閉じたのです。
作者の新沢はのちに「(読者からは)『3年奇面組』は“ギャグ”で『ハイスクール!奇面組』は“コメディ”という意見もあって、確かにそういう見方もできる。『3年奇面組』の頃はまだ漫画のノウハウも全然知らず、ノリとテンションのみでだけで頭に思い浮かんだキャラクター、ネタ、イメージを動かしていたんですよ」と語っています。
また、アニメ放送開始に伴い「反対派の意見もあるだろうが、自分なりによく考えた結果だ」とコメントし、「アニメ化は3度目のオファーでOKしたが、それ以前は諸事情により断った」とも語っています。
一方で「3年奇面組を描いていたころからアニメになって、キャラクターたちが動いていくのを見たいとずっと思っていました」とのコメントを寄せています。
強烈な個性と強烈なネーミングで80年代を席巻した『ハイスクール!奇面組』。
その後もアニメの続編が作られたり舞台になったりと、今でも色褪せない魅力で私達を楽しませてくれる作品であると思います。