『ガンプラり歩き旅』その81 ~21世紀に向けてバンダイが始めた“HGUC”! まずはマシュマーとラカンのザクⅢ~

『ガンプラり歩き旅』その81 ~21世紀に向けてバンダイが始めた“HGUC”! まずはマシュマーとラカンのザクⅢ~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、メカ単位での紹介をする大好評連載。 新展開では『機動戦士Zガンダム』(1985年)『機動戦士ガンダムZZ』(1986年)『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年)まで、旧キットから最新のHGUCまで、商品の発売順に、再現画像と共に網羅紹介していこうという趣向になっております!


.

最終決戦! イリアのリゲルグを率いて、マシュマーのザクⅢ改が快進撃を爆走する!

私、市川大河が、書評サイトシミルボンで連載している、 『機動戦士ガンダムを読む!』での、 再現画像で使用しているガンプラを、 古い物から最新の物まで片っ端から紹介していこうというテーマのこの記事。

今回紹介するのは、『ガンダムZZ』において、ノーマルをラカンが、そして改をマシュマーが乗り、鮮烈なイメージを遺した「3番目のザク」こと、ザクⅢのHGUC版のご紹介です!

ザクⅢ改 1/144 HGUC 003 1998年7月 1500円(機動戦士ガンダムZZ)

.

HGUC版ザクⅢ改のパッケージ。初期のHGUCの定番のデザイン

ザクⅢ 1/144 HGUC 014 2000年9月 1500円(機動戦士ガンダムZZ)

.

こちらは、2年遅れで発売された、金型流用のザクⅢのパッケージ。ノーマルのザクⅢの商品化が遅れたのは、旧キットが優れ過ぎていたせい?(本文参照)

さて、第二期ガンダムシリーズのモビルスーツで、この連載で最初に取り上げるHGUCは、『機動戦士ガンダムZZ』(1986年)で、ネオジオンの兵器として登場した、ザクⅢ改と、その金型を流用して一年後に発売されたザクⅢである(設定と商品の順序が入れ替わることは、ガンプラではよくあること(笑)

.

完成したHGUC ザクⅢ改

ザクⅢ改は、HGUCでは、商品シリーズ開始初年度に、ガンキャノン、ギャンに続いて第三弾として発売され、シリーズ展開が突然初作の『機動戦士ガンダム』(1979年)からいきなり『ガンダムZZ』へ飛んだことで、ガンプラファンを驚かせるとともに、今後のシリーズのふり幅の可能性の広さにどよめかせた。

実際、その後HGUCは、『機動戦士Zガンダム』(1985年)のキュベレイと百式、『ガンダム』のズゴックやガンタンクなど、シリーズ間を縦横無尽に駆け抜けて商品展開を繰り広げつつ、『ガンダム』DVD化や『Zガンダム』映画化時には、タイミングを合わせてそれらの作品のモビル・スーツを集中的に商品化するなど、柔軟な姿勢を見せた。

特に初動の、ギャン、キュベレイ、そしてこのザクⅢなどは、作品放映リアルタイム時期にもそれぞれ商品化されたが、旧キットはそれぞれに無念残念なポイントがあり、HGUCはそういった過去キットのリベンジプロジェクト的な側面を、当時は強く押し出していた。

.

「ハマーン様のために!」騎士道精神で戦場を突き進むマシュマーのザクⅢ改

特にこのザクⅢの場合、当時キット化されたのは量産型のザクⅢの方だけで、よりザクらしいグリーンのカラーリングと、演出とキャラが起っていたザクⅢ改の方は未発売に終わり、当時のモデラーはみんなして、なんとか通常のザクⅢの肩やスカートなどを弄って、ビーム・ライフルをスクラッチして、機体をグリーンに塗って、ザクⅢ改を再現していた共通の記憶があった。

.

ザクⅢ改の正面。末広がりの裾へのボリューム感の再現度は高い

そこを分かっていたバンダイだからこそ、HGUC初動では、ノーマルのザクⅢではなく、ザクⅢ改の方をチョイスすることで、「長い付き合いのガンプラモデラー」の琴線に触れるツボを、あえて突いてきた粋な選択とも言えた(もっとも、当然その後には、金型流用でノーマルのザクⅢもしっかり発売する辺りの抜け目のなさもバンダイ流(笑))。

.

サイドビュー。巨大なプロペラントタンクが印象的。バックビュー。かかとまで届くかと思うほどのロングリアスカートアーマーがザクⅢ改の特徴

まず先行して発売されたザクⅢ改は、作品ファンにもガンプラマニアにも印象深い、マシュマー・セロがクライマックスで搭乗したことで有名な機体。
一方、モノトーンカラーのザクⅢは、『ガンダムZZ』劇中ではラカン・ダカランがダブリンで使用する。

.

脚の可動範囲。実は可動範囲は旧キットのザクⅢの方が広い

劇中では、そんな二人が最終回近く、マシュマーはザクⅢ改で、ラカンはドーベンウルフで、互いに最後の直接対決を繰り広げる辺り、『ガンダムZZ』の敵、ネオジオンの混沌ぶりが伺える配置になっている。

.

ビーム・サーベルも、この頃はまだクリアパーツではない

さて、キット自体のスペックの話に入るが、HGUC黎明期ということもあってか、現代目線が厳しくなりすぎただけとは言い切れない「当時キットより劣っている面」が目立つのも、HGUC ザクⅢの特徴であったりもする。

まずは、旧キットにはあった肩の前後スウィング可動がなくなっている他、上方へも旧キットのほうが可動範囲が広いという点。また、肘や手首、腰回りも旧キットの方が可動範囲は広かった。

.

スカートのビームキャノンの再現は初

HGUCが、無条件で旧キットに勝っているところは、フロントスカートの可動とビームキャノンギミック、後はパーツによる色分けがかなりがんばっているところであろうか。

.

ビームキャノンを構えたザクⅢ改

しかし、このザクⅢ改におけるパーツ色分けでは、理解不可能な現象も起きている。

.

ノーマルとは形の違うザクⅢ改のビーム・ライフル

ザクⅢ改のランナーは、ライトグリーン2枚、ダークグリーン2枚、レッド1枚の他に、関節部や指先、バックパックなどを構成するミディアムブルーのランナー2枚、計、4色6枚で構成されているのだが。

.

こちらは後発になるノーマルのザクⅢ

確かに、指先や肘や膝の関節などは、ミディアムブルーで成型されていること、それ自体はさすがの色分けなのだが、本来のアニメ指定色では、濃いグレーで彩られていたはずのバックパックやライフル、バーニアノズルなどまでもがミディアムブルーで成型されているのだ。

.

主な相違点は、左肩アーマー、バックパック、リアスカートアーマー

しかも、不思議なことにそれら「本来グレーで塗られているべきパーツ」が全てミディアムブルーのFランナーに集められているのだ。

.

もちろん、フロントスカートのビームキャノンは健在

「本来、グレーだったはずのビーム・ライフルが、なぜかミディアムブルーで成型されている」と書くと、1stガンダムの各モビル・スーツのHGUCの逆パロディのようにも聞こえるが、ひょっとすると本来は、このFランナーは、最初はグレーで成型するつもりでパーツ配置が設計されたのではないだろうか?

.

銃剣付きのビーム・ライフルが、印象をガラリと変える

それが(まぁ確実に)コスト的な問題で、本来この商品一つで使える色数が4色で賄わなければならず、グレーとミディアムブルー、どちらかで2色を統一する必要性があって、結果、ミディアムブルーが選択され、残念ながらFランナーがミディアムブルーで一括成型されることになってしまったのではないか。

.

ダブリンを襲うラカンのザクⅢ!

穿ちすぎかもしれないが、むしろそう思うしかないほどに「これって本来グレーだろ」とツッコむしかないパーツ群が、Fランナーにまとめられている。

.

スカートのビームキャノンがエゥーゴを襲う!

……というか、むしろ指先や肘、膝関節なども、アニメの色指定を見ている限りでは、ミディアムブルーというわけでは決してなく、素直にグレーで統一した方が「普通にアニメ色指定に似ている」解決法があったような気がするのだが……。

.

ラカンのグレーのザクⅢと、マシュマーのグリーンのザクⅢ改の両雄並び立ち!

『ガンダムZZ』には、ザクⅢ同様にジムもジムⅢというのが登場するが、どちらもザク、ジムの後継機の決定打とはならず、マイナーな存在に甘んじてしまった。
その「結果」自体がある意味で、『ガンダムZZ』という作品そのものをも象徴しているのかもしれない。

市川大河公式サイト

関連する投稿


放送開始から40周年!『金曜ロードショー』の初代OP映像がまさかのプラキット化!!

放送開始から40周年!『金曜ロードショー』の初代OP映像がまさかのプラキット化!!

ホビー通販大手の「あみあみ」より、メーカー「スタジオシュウトウ」が展開する『金曜ロードショー プラキット』が現在予約受付中となっています。


「パックマン」45周年スペシャルモデル!Xboxなどに対応した「ワイヤレスコントローラー」が登場!!

「パックマン」45周年スペシャルモデル!Xboxなどに対応した「ワイヤレスコントローラー」が登場!!

アコ・ブランズ・ジャパンより、アメリカのゲーミングアクセサリーブランド「PowerA(TM)」(パワーエー)の「パックマン」45周年スペシャルモデルの新商品『ワイヤレスコントローラー for Xbox Series X|S - パックマンSE』が発売されます。


7年ぶりの再販!「機動戦士ガンダムZZ」より『エルピー・プル』のフィギュアがリニューアル版になって登場!!

7年ぶりの再販!「機動戦士ガンダムZZ」より『エルピー・プル』のフィギュアがリニューアル版になって登場!!

ホビー通販大手の「あみあみ」にて、メーカー「メガハウス」が展開する『エクセレントモデル RAHDXシリーズ G.A.NEO 機動戦士ガンダムZZ エルピー・プル Re. 完成品フィギュア』が現在予約受付中となっています。


50周年記念!『1/700スケールプラモデル 宇宙戦艦ヤマト[放送50周年 庵野秀明プロデュース版]』が発売決定!!

50周年記念!『1/700スケールプラモデル 宇宙戦艦ヤマト[放送50周年 庵野秀明プロデュース版]』が発売決定!!

バンダイナムコフィルムワークスより、『宇宙戦艦ヤマト』のTV放送50周年を記念し『1/700スケールプラモデル 宇宙戦艦ヤマト[放送50周年 庵野秀明プロデュース版]』が発売されます。


仮面ライダーのバイクアクションが楽しめる!新仕様のガシャポン®『@CTION RIDE 仮面ライダー』が登場!!

仮面ライダーのバイクアクションが楽しめる!新仕様のガシャポン®『@CTION RIDE 仮面ライダー』が登場!!

バンダイ ベンダー事業部より、仮面ライダーのコレクションフィギュア『@CTION RIDE(アクションライド)仮面ライダー』(1回500円・税10%込、全4種)が発売されます。


最新の投稿


世界が熱狂!葛飾商店街×『キャプテン翼』コラボ「シーズン2」開催!新エリア&限定メニューで街を駆け抜けろ!

世界が熱狂!葛飾商店街×『キャプテン翼』コラボ「シーズン2」開催!新エリア&限定メニューで街を駆け抜けろ!

葛飾区商店街連合会は、2025年10月10日より『キャプテン翼』とのコラボイベント「シーズン2」を亀有・金町・柴又エリアで開催。キャラクターをイメージした限定メニューやスタンプラリーを展開し、聖地巡礼と地域活性化を促進します。


キン肉マン愛が英語力に!超人たちの名言・名場面で学ぶ『キン肉マン超人英会話』発売

キン肉マン愛が英語力に!超人たちの名言・名場面で学ぶ『キン肉マン超人英会話』発売

人気アニメ『キン肉マン』の「完璧超人始祖編」の名言・名場面を題材にした英会話学習書『キン肉マン超人英会話』が、2025年11月29日(土)にKADOKAWAより発売されます。超人たちの熱い言葉を通じて、楽しみながら実用的な英語表現をインプットできます。TOEIC満点保持者やプロレスキャスターなど、豪華プロ集団が監修・翻訳を担当した、ファン必携の英語学習本です。


【カウントダウン】あと2日!古舘伊知郎&友近「昭和100年スーパーソングブックショウ」いよいよ開催迫る!豪華ゲスト集結の東京国際フォーラムは「昭和愛」で熱狂へ!

【カウントダウン】あと2日!古舘伊知郎&友近「昭和100年スーパーソングブックショウ」いよいよ開催迫る!豪華ゲスト集結の東京国際フォーラムは「昭和愛」で熱狂へ!

開催直前!TOKYO MX開局30周年記念「昭和100年スーパーソングブックショウ」が10月16日に迫る。古舘伊知郎と友近がMC、豪華ゲストと共に贈る一夜限りの昭和ベストヒットに期待高まる!


ギタリスト 鈴木茂「BAND WAGON」発売50周年記念ライブを東阪ビルボードで開催!

ギタリスト 鈴木茂「BAND WAGON」発売50周年記念ライブを東阪ビルボードで開催!

ギタリスト 鈴木茂が、『鈴木茂「BAND WAGON」発売50周年記念ライブ~Autumn Season~』を11月13日にビルボードライブ大阪、16日にビルボードライブ東京にて開催する。今回は、1975年にリリースされた1stソロアルバム「BAND WAGON」の発売50周年を記念したプレミアム公演となる。


【1965年生まれ】2025年還暦を迎える意外な海外アーティストたち!

【1965年生まれ】2025年還暦を迎える意外な海外アーティストたち!

2025年(令和7年)は、1965年(昭和40年)生まれの人が還暦を迎える年です。ついに、昭和40年代生まれが還暦を迎える時代になりました。今の60歳は若いとはと言っても、数字だけ見るともうすぐ高齢者。今回は、2025年に還暦を迎える7名の人気海外アーティストをご紹介します。