『ガンプラり歩き旅』その79 ~リアルガンプラ派も必読! SDガンダムプラモにしかない、お宝パーツを備えたSDサザビー!~

『ガンプラり歩き旅』その79 ~リアルガンプラ派も必読! SDガンダムプラモにしかない、お宝パーツを備えたSDサザビー!~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、メカ単位での紹介をする大好評連載。 新展開では『機動戦士Zガンダム』(1985年)『機動戦士ガンダムZZ』(1986年)『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年)まで、旧キットから最新のHGUCまで、商品の発売順に、再現画像と共に網羅紹介していこうという趣向になっております!


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ボール……? サザビーのきん〇ま?

はいはーい! みなさーん、ちゅうもぉーく!
「これ何?」「ただの赤いボール?」はい、そこ私語を慎むようにぃ!
これはですね、皆さんも『逆襲のシャア』の本編を観た人なら言われれば思い出すでしょうけど、物語クライマックス、大人げないシャアとアムロがモビル・スーツで殴り合った挙句、その殴り合いに負けたサザビーの頭部から転がり出てきた、コクピットの脱出ポッドなんですよー。
え?「そうは見えない」?「そうかもしれないけど、別の物かもしれない」?
いやいや、組立説明書にも、ちゃんと書いてあるんですよ。「脱出ポッド」って。

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ここまできっぱり言い切られたら「はぁ、脱出ポッドなんですね」しかリアクションできない

え?「それがどうした」?「なんでそんなものが付属してんだよ」?
まぁとりあえず、これをライフルに取り付けてみましょう。

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シャア総帥発射準備完了! 目標補足!

怖ぇええええ! さっきのとは全く違う意味で怖ぇええ!
なにこのサザビーぃいい! よりによってライフルで、手前ぇが所属するネオジオンの総帥、一番偉い人が入ってるポッドを撃ち出す気まんまんだよ! これでガンダムを殺る気だよ! むしろ、シャアそのものをぶつけてガンダムごとアムロを殺し、自分が天下を取りに行くとか、なんか「ロボットが自我を持って、自分たちを使役させていた人間を裏切り、罠にはめて抹殺して、世界をロボットの天下にする」っていう、古臭いSFのプロットみたいな図だよ!
このサザビーの目は、どっちへ向けて撃ち出しても総帥は死ぬし、運よくガンダムを撃墜できればシャア総帥とアムロを道連れで殺せて一挙両得とか考えてる目だよ! 上の猟奇的ロケットパンチもダメだけど、この人工知能覚醒人類皆殺し下克上SFみたいな構図も、幼い子どもに持たせる玩具の仕様じゃねぇだろう!
なに考えてんだ、バンダイ!

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先生! あきらかに、どう見ても弾丸とちゃうもんも混ざっておりますが!?

「弾丸の発射方法」って、二万歩譲ってファンネルやトマホークを発射してもよいけど、拳や脱出ポッドを弾丸扱いしたらあかんやろ!
っていうか、弾丸にされる(そして中からは絶対抵抗出来ない)ネオジオンの総帥って……。

『回答編』

さて皆さん。
今回手にした、SDガンダム Gジェネレーション版サザビーの紹介は終わりました。
謎は解けましたか?
まだ分かりませんか?
「そもそもSDガンダム世代じゃない」「再現画像のためにガンプラを揃えてる」筈の大河さんが、どうしてこの、劇中のサザビーとは似ても似つかぬ、しかもトンデモ兵器を揃えたSDサザビーを購入したのか。
その答えはまさに「脱出ポッド」だったのです。
上でも書いたように、『逆襲のシャア』クライマックス、νガンダムのパンチを顔面にくらいまくったサザビーは、殴られた勢いで、頭部に収納されていた脱出ポッドが、シャアを乗せたまま射出されます。

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『逆襲のシャア』劇中より。サザビー頭部から射出される脱出ポッド

それをすかさずνガンダムがキャッチ。抵抗どころか身動きできない状態でポッドに閉じ込められたままのシャアと、そのポッドを手にしたνガンダムが、地球へ落下しようとするアクシズに向かいます。

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『逆襲のシャア』劇中より。νガンダムが両手で抱えてこの大きさ。ジオングの頭の中だってもうチョイ小さい気が……

その時、νガンダムはサザビーの脱出ポッドを手にしたままで、ここも当然再現の上では重要なシーンになるのですが……。

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『逆襲のシャア』劇中より。うーん。いきなり脱出ポッドのサイズが、少し小さく変化してるような気が……

実はこのシーン、よくある「二次元の嘘」なのです。
よく観てください、2枚目の写真を。サザビーの脱出ポッドをνガンダムが両手で抱えています。サザビーの頭部はνガンダムと同等程度の大きさだったはずで、画像のポッドの大きさでは、あきらかに頭の中に入り切らないのです。
ここでバンダイ、ガンプラは、未来永劫解決することが不可能なジレンマのはざまで苦しみます。
アニメの設定に忠実に、頭部に収まる大きさでサザビーの脱出ポッドを作って、頭部着脱可能ギミック優先にすると、取り出した脱出ポッドがνガンダムの指でつまめる程度の大きさにしかなりません。
逆に、νガンダムが両手で抱える大きさで脱出ポッドを作ると、今度はそれを収納すべきサザビーの頭部が「小顔・脚長」のイマドキスタイリッシュを無視してしまい、むしろ、それこそSDかってぐらいに頭部だけが大きくなってしまいます。

なので、今現在発売されている1/100 MG版、及び1/144 RG版では、「脱出ポッドが頭部に収まっている」のではなく、「脱出ポッドを核にして、頭部の各装甲が張り付いている」構造にアレンジして素知らぬ顔を決め込んでいますが、MGやRGの構造だと劇中画像1枚目のようにはポッドは脱出できません。
さぁバンダイは困りました。大河さんも困りました。

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キット自体の出来は、児童層向けとしての良いバランスで構成されているSDサザビー

最終的にバンダイがHGUCで決め込んだ判断は「脱出ポッドの存在自体をガン無視」でした。
HGUC版サザビー頭部は、モノアイ可動ギミックに決め撃ちして、脱出ポッドは存在にすら触れられませんでした。
賢明な判断だったでしょう。例えオプションでも付属させていたら、頭部に収納できなければ文句を言われ、νガンダムに持たせたときに小さければ文句を言われ、どちらにせよ濃いマニアに吊るし上げられて散々な目にあったに違いありません。
要するに、アニメ制作当時の「二次元の嘘」が壁となって、サザビーをスケールキットで再現する時には、脱出ポッドの着脱ギミックは再現不可能なのです。
そして矛盾から逃げる道を選んだバンダイのおかげで、今現在「1/144 サザビーのアニメ設定どおりに収納される脱出ポッド」はどこにも商品が存在しないのです。

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HGUCのνガンダムとサザビーと、この脱出ポッドとの比較

そこで大河さんはこれを見つけるまでは、クライマックスの再現での脱出ポッドには、それっぽい球体素材を「見立て」で使うというのも選択肢でした。
幸いにも脱出ポッドは基本的には余計なディテールのない球体ですし、あとはパネルラインが彫られているだけですから、写真や画像の角度や加工で誤魔化せれば御の字です。
しかし。
あったのです。
正確には「1/144 サザビーの頭部に入る脱出ポッド」ではなく、あくまで「1/144 νガンダム」が「手に持って程よい大きさ」の「サザビーの脱出ポッド」のガンプラパーツが、ここにあったのです。

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試しに、HGUCサザビー頭部のカバーの中に乗せてみる。既にオーバースケール

確かにSDガンダムシリーズはノンスケールですし、そもそもスケールを問う性格の模型ではないです。しかし、もとからこっちの目的は「二次元の嘘」を再現する横車押しですし、なにより「その辺にあった球体素材」ではなく「正規ガンプラのパーツ」であるということはポイントが高いです。
写す角度さえ間違えなければ、ポッド表面のディテールも初めから正確に入っています。これぞまさに「1/144 サザビー脱出ポッド」と言えるのではないでしょうか?

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しかし、先ほどの劇中場面を再現させようと思うと、νガンダムが両手で抱えるというほどの大きさではないことも見て分かるとおり

ガンプラだけではなく、バンダイはたまに「こういう仕掛け」を広い商品枠で配置します。
一時期の「装着変身」の平成仮面ライダーとサイズが合うバイクが、正規バンダイの商品内にはなく、系列会社のバンプレストのプライズ商品で出てきたバイクがサイズがぴったりだったとか。現在ウルトラマンシリーズの可動フィギュアはフィギュアーツがメインですが、2013年まで売られていたウルトラ怪獣シリーズのソフビは、宇宙人相手だとウルトラACTがサイズが合いますが、怪獣相手だと今のフィギュアーツがちょうどサイズが合うとか。

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「たかが石ころ一つ、νガンダムで押し出してやる!」の名シーン再現も、この脱出ポッドがあればこそ

このGジェネ版サザビーの脱出ポッドも、企画した側はあくまでネタ的な、お遊び的な発想でパーツ化されたのかもしれませんが、「リアルタイプスケールガンプラ」が抱えて解消できない矛盾を、「SDガンプラ」が補完すると考えると、断絶感のあったリアル派とSD派の間に、見えない絆のようなものさえ感じられます。
広大なガンプラの歴史と商品点数です。
探せば他にも、リアルとSDを繋ぐアイテムが見つかるのかもしれません。

(追記・今回の記事本編は、RG サザビーの仕様が発表された8/8以前に執筆されました。なのでこの記事が掲載される時点では「1/144 サザビーの脱出ポッドはガンプラ化されていない」は上書き修正されるべきですが、仮に「サザビー本体はHGUC版で満足だから、脱出ポッドのためだけに5千円近くも出したくない」という方の参考になれば幸いです)

市川大河公式サイト

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