梅宮辰夫
さぁ、今回のお題は辰兄ぃだ。こいつぁディープな世界だぜェ。ということで、辰兄ぃこと梅宮辰夫です。
梅宮辰夫といえば、梅宮アンナのお父さん。出演作品では「仁義なき戦いシリーズ」が有名でしょうか。

梅宮辰夫
「仁義なき戦い」のイメージが強い辰兄ぃではありますが、ご本人自ら代表作と公言しているのは60年代後半から70年代前半までに16作作られた「不良番長シリーズ」です。
仁義なき戦いは1973年に第一作目が公開されているのですが、梅宮辰夫にとっては「不良番長シリーズ」はその前のシリーズとなります。
辰兄ぃが代表作というだけのことはあり、この「不良番長シリーズ」ハンパないですよ。
不良番長
シリーズ第一作「不良番長」が公開されたのは1968年です。内容的には当時大人気だった任侠映画とは違い、義理も人情もなくレイプ、詐欺、恐喝、売春業斡旋など自分の快楽だけを求めるという非常にたちの悪い男たちの物語です。
主人公である不良グループ「カポネ団」の番長を演じるのが梅宮辰夫です。

不良番長
不良番長。。。勉強不足のため分かりませんが、番長といえば不良ではないのでしょうか?もしかすると、当時は不良ではない、優良の番長がいたのかもしれません。
が、映画の中の辰兄ぃはそんなことにはお構いなしで不良も不良、もう最悪っす。しかし、またそこが魅力となっているんですね。
プレイボーイで、女を泣かす男という梅宮辰夫の実像に近いとされるイメージはこのシリーズで確立されたといっていいでしょう。
ところで、撮影現場では映画の内容さながらに女性に手を出す出演者ばかりだったため、辰兄ぃは「役者の数だけ女優を揃えてくれ」とプロデューサーに頼んだという逸話が残っています。いい時代だなぁ。
不良番長 猪の鹿お蝶
「不良番長」のヒットを受けて立て続けに続編が制作されることになります。2作目は「不良番長 猪の鹿お蝶」。前作の目玉主演者が大原麗子だったのに対し、今作はなんと菅原文太。さらに千葉真一。共に大物です。見ごたえあります。

不良番長 猪の鹿お蝶
菅原文太も千葉真一も着流し姿で登場しますが、辰兄ぃはナチスを彷彿させる暴走族な出で立ち。チグハグな感じ全開ですが、そこがこれまた不良番長の魅力です。
そもそも不良番長はアメリカの有名な暴走族ヘルズ・エンジェルスをモデルにしてるんですね。なので革ジャン。しかし日本では任侠映画全盛。なので着流し。そういったことなのです。
そして3作目は「不良番長 練鑑ブルース」です。

不良番長 練鑑ブルース
歌う辰兄ぃ
閑話休題。
梅宮辰夫は1962年の「母恋いやくざ」から1982年の「つよがり」まで18枚のシングル発売しています。意外に多いですね。番長シリーズの主題歌が多くを占めているのですが、まぁ、このシリーズ何と言ってもジャケットがステキすぎです。

番長ブルース
モノクロ・ジャケットってのがまたいいんですよね。気分ですねぇ。

番長数え唄
B面の「おれは番長」とか「野良犬」とか、こうしたアウトロー的なニュアンスがカッコイイとされていたのですね。今の若者世代には「番長」は死語でしょうし、「野良犬」と言われてカッコイイと感じる男性も母性をくすぐられる女性もいないように思います。
で、多少疑問に感じるのは、当時の男性はともかく女性は野良犬「ステキ」とかって思ってたんでしょうかね?いや、思ってないでしょう。母性、くすぐられていないでしょう。当時から男のひとりよがり。だからこそのの番長じゃい!でしょうね。

ダイナマイト・ロック
それにしても、ブルースにロックに数え唄と辰兄ぃのジャンルは幅広いです。しかも、どれもジャンルを飛び越えて演歌に聞こえるところが辰兄ぃの強烈すぎる個性の成せる業といえます。
中でもコーラスが「狂気」、いえ、それさえも飛び越えて「凶器」としか言いようのないのが「番長シャロック」です。

番長シャロック
この凄さは言葉では言い表せません。とくかく損はさせませんから映像を見てください!
音楽好きではなくとも「誰だ!この曲アレンジャーはっ!今すぐ出てこい!」と叫びたくなりますよね。振り付けがまた素晴らしいときては、これはやはりPVで鑑賞すべきですね。
ブルースもロックも数え唄も、全てを一瞬にして演歌に変えてしまう梅宮辰夫の強烈な個性を味わうことが出来るコンピレーション・アルバム「ダイナマイト・ロック」。これはもう買うしかないでしょう。

和モノコンピの世界 幻の名盤解放歌集~テイチク編 ダイナマイト・ロック
山城新伍
不良番長シリーズの方向性を大きく変えたのは4作目の「送り狼」から登場する山城新伍です。それまでのニヒルなダークヒーロー像にコメディの要素を加えてシリーズはヒットし続いていきます。
山城新伍いいです。コメディ的要素いいです。いいですが、それによって辰兄ぃのそれまでのダークヒーローぶりが薄まってしまうのは残念ではあります。
番長を名乗るなんて高校生までの事ではないかという気がしますが、シリーズの終盤では「四十になっても番長だ!」という名ゼリフが飛び出します。
梅宮辰夫が「不良番長」に出演したのは30歳の時でした。不良番長よ永遠なれ。