『ガンプラり歩き旅』その68 ~ゲルググなのにアムロ機! アムロ専用モビル・スーツなのにゲルググ系!~

『ガンプラり歩き旅』その68 ~ゲルググなのにアムロ機! アムロ専用モビル・スーツなのにゲルググ系!~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、メカ単位での紹介をする大好評連載。 新展開では『機動戦士Zガンダム』(1985年)『機動戦士ガンダムZZ』(1986年)『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年)まで、旧キットから最新のHGUCまで、商品の発売順に、再現画像と共に網羅紹介していこうという趣向になっております!


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ハヤトのカラバに参加して、ティターンズと戦う、アムロのディジェの雄姿!

私、市川大河が、書評サイトシミルボンで連載している、 『機動戦士ガンダムを読む!』での、 再現画像で使用しているガンプラを、 古い物から最新の物まで片っ端から紹介していこうというテーマのこの記事。

今回紹介するのは、旧『機動戦士ガンダム』の主役であるアムロが、満を持して『Zガンダム』に登場するに当たって、専用に使用されたモビル・スーツ、ディジェの1/144 旧キットを紹介します。

ディジェ 1/144 40 1986年2月 700円(機動戦士Zガンダム)

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1/144 ディジェのボックスアート

シミルボン連載での『機動戦士Zガンダム』再現で用いる旧キット3つ目は1/144 ディジェである。
1/144 ディジェは『Zガンダム』の1/144キットとしてはラストになるNo.40で発売された。

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完成された1/144 ディジェ

ガンダムファン、しかもガンプラマニアを40年近くもやってきていると、いくつかの深い謎に出くわすことがある。
それらのたいていは、当時の制作サイドの裏事情が分かったり、社会を見る目が広くなると、一般的な「大人の事情」が察せて、納得は出来なくても理解はできるようになるものなのだが、一部どうしても、理解できずに頭を悩ませる事象も残ってしまうのであるが、80年代の『ガンダム』シリーズのメカでいうのであれば、代表的な一例が「なぜバンダイは、過去から現在に至るまでに、ただの一度もドダイ改をキット化しないのか」というのがあったりする。

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サイドビュー

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バックビュー。百式同様、2枚の大きなバインダーが目立つ

『Zガンダム』は、前作をなぞるように、宇宙のサイド7コロニーから話がはじまりながらも、第11話『大気圏突入』からは舞台を地上に移して戦うのだが、前作と違って『Zガンダム』の地上戦では、地球上の味方組織カラバが有しているドダイ改を使って、カミーユのガンダムMK-Ⅱやシャアの百式等が活躍するシーンが定番になっているのだが、このドダイ改、雑誌付録やフィギュアのオマケで立体化されたことはあるが、肝心の1/144や1/100といった、ガンプラ正規規格でのキット化が一度もないので、『Zガンダム』中盤の、数々の地上戦の名シーンが再現しきれないという厄介な存在であったりもする。
同じ「モビル・スーツを乗せるだけのメカ」でいえば、初代ガンダムのドダイは今でも商品化の機会があるし、『機動戦士ガンダムUC』(2010年)や『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年)に登場したベース・ジャバー等は単独でキット化(1/144 1/100共に)されていたりもする。

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劇中では百式と同規格のビーム・ライフルを使用する

そしてドダイ改の未キット化よりも不思議なのは、今回紹介するディジェというモビル・スーツが、ガンダムのモビル・スーツらしい、ゲルググ系のデザイン(デザイナーは藤田一己氏)であるし、なによりも前作の主人公でもあり、ガンダムシリーズを代表するキャラでもあるアムロの、本作における愛機となるモビル・スーツであるにもかかわらず、なぜか近年に至るまで、HGUCシリーズがここまで、派生機やオリジナルやMSVにまで手を伸ばしているにも拘わらず、一度も1/144では再商品化されていないのだ。

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ゲルググの意匠を深く残す頭部。パーツ自体は可動軸が仕込まれているが、後頭部2本のパイプの干渉で実際には可動できない

確かにディジェ再評価の機運は近年高まりつつあって、2015年には、1/100のREシリーズで念願の初リファインキット化が行われ、翌2016年にはROBOT魂で完成品アクションフィギュア版のディジェが発売されて、それはそれで喜ばしいことではあるのだが……。
だが。
大河さんの再現画像の場合、なにはともあれ貧乏人の独居ワンルーム生活の中で、ガンプラやら怪獣ソフビやらDVD-BOXやら、倉庫の中のような生活をしている関係上、ガンプラは基本1/144サイズの物以上は撮影ブースで上手く取り扱えないというのがある。
その上で、なにゆえ2018年現在のHGUC展開が、背景に『ガンダムUC』人気とのコラボレートがあるとはいえ、金型流用が効くわけではないという意味ではディジェと同じぐらいにはスタンドアローンの、ドーベンウルフやバーザムなどを商品化しておきながら、肝心のディジェをまだ出さないという理不尽さが不思議でたまらないのだ。

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唯一連邦製らしい、ガンダムっぽいといえるディテールが、この胸の黄色いインテークとコクピットハッチの赤だろうか。それも彩色設定の恩恵だが

「『Zガンダム』のモビル・スーツをリファインデザイン込みで、1/144でキット化する」ビジネスラインは、劇場版上映後の今現在でも利益が望めるということは、現在進行形でバーザムやガルバルディβ、バイアラン等が立証済みである。
しかも、アムロ機という、これ以上ないバリューがあるのになぜ?とも思うわけだ。
金型が先にあるからとはいえ、限定品でHGUC Zガンダム アムロ機Verなどという代物をでっち上げて商品化するぐらいなら、劇中で実際にアムロが乗り込んでいたディジェを出してくれよと思ってしまうのは、大人げないだろうか?

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アムロのディジェ、シャアの百式、カミーユのZガンダムが揃う、シリーズ最大の悲劇の1シーン

もっとも。
ここからようやく今回のキットの紹介になるが、この1986年製の旧キット1/144 ディジェが、イマドキの最新鋭HGUCと比較した時には勝負にならないとはいえ、当時キットの中ではトップを争えるレベルで、造形、プロポーション、可動が優れていたというのは、だからHG化されない要因として悲しむべきか、それともHG化されてなくても絶望ではないと喜ぶべきか。
旧キット、1/144 ディジェとは、一言で言ってしまえばそういうキットなのである。

今回までで新装開店『ガンプラり歩き旅』は、カミーユのZガンダムを紹介するところから始まり、シャアの百式を紹介し、今回はアムロのディジェという流れになる。
新作主人公主役ガンダム、シャアのガンダム、アムロのモビル・スーツ。流れとしては悪くないが、これはミドルエッジに阿ったチョイスではなく、あくまでシミルボン『機動戦士ガンダムを読む!』再現画像を彩る上での、必然のチョイスであることを、ここで強調しておきたい。

さて。そんな流れで紹介する今回の1/144 旧キット・ディジェだが、出来はすこぶる良い物にしあがっている。

ランナーは、スカイブルー(というか、初音ミクの髪の毛の色のようなストーングリーン)のものと、濃紺色のものの2色で構成されていて、ポリキャップもA、Bというこの時期の標準装備。

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ランナー状態。2色3枚にポリキャップ、という基本的なフォーマット

プロポーションは、肩幅が少し広く、腰の括れが寸胴気味な印象を与えるかもしれないが、気にしなければどうということはない程度には仕上がっている。

可動範囲は、肩の開き具合が、上腕付け根のボール状パーツのおかげで水平近くまで開くかなと期待したのだが、ただ脇に向けて上げただけではあまり上がらず。
しかし、腕を前に伸ばした状態では内側に向けてはかなりスウィングさせることができ、ボディ前面では両手拳が交差するところまで互いが伸びて、これは優秀。

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