上でも書いたが、この時期のサンライズ(だけではないが)ロボットアニメの多くは、シリーズが1年ある場合、初期と中期以降で主役メカを交代させるビジネスを展開していた。
それが『Zガンダム』の場合は「ガンダムMK-ⅡからZガンダムへ」だったのだが、新作続編の『ガンダムZZ』では、その露払い前座役を、『Zガンダム』では主人公メカだったZガンダムが務め、真の主人公ガンダムのZZガンダムは早くも第11話『始動!ダブル・ゼータ』から登場するのであるが、それまでの間主人公ジュドーは、前作後半の激闘で半分壊れかけのZガンダムに乗り込んで活躍するのである。
前作と打って変わったコメディタッチの演出や作風を推し出すためと、Zガンダム自体がガタがきてボロボロなのを画で示すため、第2話などのジュドー初出撃では、Zガンダムは「肝心のコクピットハッチが閉まらない」状態で、敵ネオジオンの美形艦長・マシュマーのガルスJ(こちらも整備不良でハッチが閉まらない辺りがギャグ)と、チグハグな戦闘を行うという辺りが『ガンダムZZ』初動の印象的な演出なのである。
顔と手足は共通なので、これでZガンダムジュドー初陣Verの出来上がり
そこで「ハッチが開いたままのポンコツZガンダム」に、このキットのカスタムを使えばいいのではないかと考案。
なぜなら、90年代の初代HG Zガンダム以降のZガンダムキットは、全てなにかしらの手法でウェイブ・ライダーやウェイブ・シューターに変形させられるので、コクピットハッチを開ける加工をしても、その内部が何かしらのパーツが埋まっていて、狙い通りの加工がしづらいというのがまず挙げられる。
その上で、多少は拙い(筆者の)工作である方がポンコツ度合いがちょうど醸し出せるし、何より「アニメ設定への忠実度」でだけなら群を抜くこのキットにも、出番があるというのはシミルボン再現画像的にも意義がある。
ブライトの前で「ガンダムに乗り込む民間人少年」3人目だったジュドー
なので、差し替えで「『ガンダムZZ』初期ハッチオープン状態」パーツだけでも作って再現すれば……と考えて、腕を動かしてしまっていきなり後悔(笑)
このキット、胸のコクピットハッチがそのまま、腰や腹部や背部のバインダーと一体になる構造で、完成後の差し替えをポリキャップ接合部分で逆算すると、結局頭部と腕部と脚部以外は、ボディは背中のバインダーとスラスター含み、全部をもう一個作り足す羽目になった(笑)
ズタボロのアーガマから、今出撃する!
その上で、コクピットハッチだけを切り出し、内部を少しコクピットっぽくディテールを詰め込んで、その上で一番の肝として、『ガンダムZZ』の主人公であるジュドーを、同じ1/144のNゲージから、ストラクチュアとして売られているフィギュアを購入してきて、ジュドーの服の色に塗って、ハッチが開いたコクピット部分に固定して立たせてみる。
ジュドーに見立てたフィギュアはNゲージの物だが、Nゲージの方が先んじて、1/144国際標準スケールなので、サイズはちょうどよくコクピットに収まる
ジュドーのせいでせっかく作り込んだコクピットがほぼ見えなくなったが、それでも『ガンダムZZ』序盤のZガンダムらしさは出せたように思える。
キット本来の可動範囲の狭さも、ジュドーの慣れてない操縦の拙さの表現ということでカバーできる。
ライフルの長さ、大きさはこの時点ではベストであろう
その上で、この連載でキットのノーマル状態を紹介するために、四肢以外は丸ごともう一つキットを買って作り上げた。
……と、そこで再びスケベ心がムクムク顔をもたげる。
こちらの、ハッチが閉じた、ノーマル版Zガンダムも、この連載での紹介写真を撮ってしまえば用済みになってしまう。
それももったいないと思って考えたところ、ちょうど良いアイディアが浮かんだ。
Zガンダム、ラストシューティング固定モデルへクラッシュモデル固定化
Zガンダムは、『ガンダムZZ』では基本的に、男勝りの美少女、ルー・ルカが搭乗するのだが、シリーズクライマックス、最終回の一歩手前で、ネオジオンの巨大モビル・スーツ、クイン・マンサと、アクシズのモウサの中で死闘を演じる。
左腕、左足、頭部側面をダメージ状態にして、右足を膝立ちポーズで固定した
その果てで、Zガンダムは顔の左半分、左腕、左足の、左半身の殆どを失いながらも、最後の最後、右膝立ちでライフルを撃ち、クイン・マンサにとどめを刺すのだ。
このシーンの再現では、既存のZガンダムのキットを一つ消費することは大前提で、逆に関節可動は必要がなく、膝立ちの固定ポーズが取れれば、後はダメージモデルとして作ればいいだけ。
一番苦労したのは、実は右脚を如何にして膝立ちにするか。腰アーマーもサイドアーマーもこのキットでは脚部に直付けなので、一度切り離してポーズを付けてから再接着した
「ガンダムのラストシューティング」というと、誰もが最初のガンダムの、ジオングとの相打ちのあの仁王立ちポーズを思い浮かべるし、それをガンプラで再現してきたモデラーは無数にいるが、同じ「ガンダムのラストシューティング」でも、『ガンダムZZ』での、Zガンダムを固定モデルで作った人もあまりいないのではないかと思い、一度塗装などをしっかり施して完成させた素組のZガンダムを、左腕と左脚をモーターツールでカットし、頭部左側をハンダゴテで焼きつぶし、それらに艶消し黒を塗り、ポーズを決めてしっかりと作り上げた。
完成したZガンダムラストシューティングカット
一年半の長丁場を戦ってきたZガンダム最後の雄姿、作ってみるのも悪くないかもしれない。
さて、それらの前提となる塗装について。
塗装の方は、このシリーズの統一フォーマットが2色で、Zガンダムは青と白のランナーなため、ほぼ全塗装が大前提。
青はキャラクターブルー、白はGXクールホワイトで塗装し直し。
赤はキャラクターレッド、黄色はイエローで脚部のスラスター関係の黄色だけキャラクターイエロー、フレームなどはミディアムブルー。ライフルや背中のバインダー、サーベルの柄はファントムグレー
Zガンダムの目はデイトナグリーンで、一通り塗り上げた。
全ての「Zガンダムのガンプラ」歴史は、ここから始まった!
可動に関しては、MSVでの蓄積を台無しにするほどのデクノボーぶりだが、それもこれも新世代的デザインのディテールや構造概念を全て拾い集めたから。
いろいろな意味で、当時の「新時代のガンプラとは」が伺える佳作キットである。
市川大河公式サイト