90年代後半にテレビCMでよく耳にした、歌手・松たか子の初期楽曲

90年代後半にテレビCMでよく耳にした、歌手・松たか子の初期楽曲

1997年3月、『明日、春が来たら』で歌手としてのキャリアをスタートされた松たか子。作詞家・作曲家先生をつけて演技の傍らでCDデビューする旬な若手女優は今も昔も数えきれないほど存在しますが、彼女は時に自分で作詞・作曲もつとめる本格派シンガーでした。


明日、春が来たら‐1997年3月21日リリース

松たか子 明日、春が来たら B2ポスター

松たか子 明日、春が来たら B2ポスター

名門歌舞伎一族の出というバックボーンと清楚系の端正なルックスにより、かつて、テレビドラマに引っ張りだこだった松たか子。1996年の大晦日には、史上最年少となる19歳で紅白歌合戦の紅組司会に抜擢されるなど、絶頂期とも言える人気を誇っていました。

売れている若手女優にはとりあえず歌わせとけというのが、今も昔も変わらない芸能界の習わし。ということで松も歌手デビューすることとなり、その第一曲目が、紅白の司会者を務めた約3ヶ月後にリリースされた『明日、春が来たら』でした。

「あ~した、春がきたら~♪」

というタイトルをそのまま歌ったサビは、一度聴いたら忘れられない必殺のキラーフレーズ。NTT「わくわく新生活キャンペーン」のCMソングとして、当時、耳にタコができるほど聴いたものです。

1994年から現在に至るまで、24年の長期にわたり『山崎春のパン祭り』のイメージキャラクターを務めるほど「春」のイメージがピタリとハマっている松にとって、この『明日、春が来たら』は代名詞ともいえる代表曲であり春の定番曲としても知られ、今もなお、多くの人に歌い継がれています。

I STAND ALONE‐1997年5月21日リリース

『明日、春が来たら』同様、タイトルをサビのド頭で歌うシリーズの第2弾。まだ歌手デビューして数ヶ月程度なのに、セカンドシングルにして作詞を松本人がつとめていることから、いかに彼女が歌手業に積極的だったかわかるというものです。

オリコン週間ランキング最高順位は、前作の8位を上回る7位。5月後半発売の楽曲なのに、桜舞い散る中で桜の花びらをパクリと口に含む、イマイチ季節感のないテレビCMも印象的でした。

WIND SONG‐1997年6月21日リリース

オリコン週間ランキング最高順位は、30位程度。松竹配給のアニメ映画『ジャングル大帝』の主題歌という強力なタイアップが付いたにも関わらず、3rdシングルにして、ガクンと順位を下げてしまいます。

しかしこの曲、これまで培ってきた「松=春」のイメージからの脱却を図ったと思しき快作であり、大自然を舞台にした映画のイメージにもしっかりとマッチした、壮大なスケールを感じさせる名曲です。

真冬のメモリーズ‐1997年11月21日リリース

これまでのシングル3曲立て続けで、ドラマ『ロングバケーション』『ラブジェネレーション』のサウンドトラックを担当した音楽プロデューサー・日向大介に作曲を依頼していたところから、ドラマ『ビーチボーイズ』の音楽担当だった同じく音楽プロデューサーの武部聡志を作曲家として起用したのが、『真冬のメモリーズ』です。

世間じゃハッピーナイト♪
オンナ同士で ふたりはアンハッピーナイト♪

という歌詞が印象的な同曲は、クリスマス直前で男にフラれた女2人が「あいつら絶対後悔させてやろうね!」と互いの傷をなめ合いながら強がったりするものの、ふとした瞬間に昔を思い出してホロっと来てしまう負け組女子の歌。どうしようもなく辛気臭い歌詞と、松の清らかな歌声のアンバランス感がいい味出してます。

サクラ・フワリ‐1998年3月25日リリース

『明日、春が来たら』のリリースから1年が経ち、季節は再び春…。ということで、早くも原点回帰とばかりに春の歌をリリースします。同曲では、『I STAND ALONE』以来、3曲ぶりに松が作詞を担当。やはり世間が松に求めているのは春の楽曲なのか、この『サクラ・フワリ』のセールスは冬にリリースされた前作、初夏にリリースされた全前作よりも好調で、オリコン週間ランキングTOP10にも返り咲きました。

ごめんね。‐1998年5月27日

セイコーの腕時計「LUKIA」(ルキア)のCMタイアップが付いた同曲で、もっとも注目すべきは、松が胸元露わな真赤なドレスを着て歌うプロモーションビデオ。清純派のイメージを守るためか、ドラマでキスシーンはあれど、激しく肌を露出することのなかった彼女の珍しい艶姿に、世の男性諸氏は興奮を覚えたものです。

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