25時のシンデレラ

ふとしたきっかけから、アイドル歌手の仲間入りをした少女・真純(ますみ)。一躍、芸能界のシンデレラになった彼女の、魔法をとくのはだれ……?
表題作ほか、別れた彼氏から電話が来て、喫茶店で数十分前待つ女性の一シーンを描いた、
「曇りガラスのむこうはいつも晴れている」も収録。
25時のシンデレラの作品紹介
一年前友人とのビデオの撮りっこをした真純、それが広告代理店の社長をしている友人の父の依頼がやってきた。その内容は「CMに出ないか?」と――。評判は上々。それが段々、評判を評判を呼び、男性週刊誌など各雑誌からの電話、遂には芸能会社からスカウト!
迷う真純に友人の一言で芸能界に入ることを決心した真純は、人気上昇するにつれ周囲の変化に戸惑い……。
25時のシンデレラ 登場人物紹介
片岡 真純

ひょんなことから一年前に芸能界入りした高校生の女の子。“80年代のシンデレラ”というキャッチフレーズを背にアイドル歌手活動を始める。
ちょっと軽い気分で、「ただ自分に何ができるのか…ためしてみたかったの…」と、歌手業に臨むが、周囲の求める像と自分と乖離しつつある現実に戸惑う。
もともとは「おとなしい片岡さん」だったのこと。
岩永 克之(いわなが かつゆき)

ベストテンの一位歌手の咲坂雅彦(さきさかまさひこ)の知人。バンドを職業にしている。
短気。ちょっと俺様。
出会いがしらアイドルとして人気上昇を見せている真純に「おーい下手クソシンデレラァ」と呼びかけるほどの図太さを持ち合わせている。
ステージですっ転んで、泣きべそかいて親に“芸能界やめる”と言いかけた真純をすんでのところで止めるものの真純の弱音を「そんなら(芸能界を)やめちまえよ」と突き放す。
生島 美名子(いくしま みなこ)

真純と同じレコード会社の女の子。マネージャー曰く、とりあえずのライバル。
負けん気が強く少々のことではへたこれない。ステージですっ転んだ真純をフォローする優しさを見せる。また、人気上昇の真純への嫉妬心からかライブに誘うなどといった好戦的な口も。
実力派歌手。
安芸(あき)
真純のマネージャー。真純を人気にさせるためにあれこれと奔走している。
時にはキツイ一言も。
朝美
主人公の友人であり、真純を芸能界へ勧めた張本人。
真純のことを気にかけている。頼もしく心優しい女の子。
感想
とにかく!どこでもいるような“可愛くて素朴な”女の子の瑞々しい心情が細やかに描かれていて切真純が芸能界に入ったことで、周りの反応の急激な変化に、戸惑う様子に切なくなる。
もし自分だったら(ありえないけど)、きっと同じような心境になるだろうな、と。
そして俺様な年上男性との距離感が微妙につかずはなれずの関係なのが最近のイチャラブ恋愛漫画が多い昨今、これはこれで美味しい気がいたしました。はい。
歌は下手だし、本人にもプロとしての自覚もない。そんな真純が、芸能界の荒波に揉まれながら、周りの人に踊らされるだけの人形ではなく、自分の意志で歌いはじめるようと小さな決意をするまでの物語が泣かせます。"(/へ\*)"))
他のファン感想
最後に…
ピンクレディーや松田聖子などといった“歌いやすさ”をメインに置いたアイドル歌手が台頭を現すころの風潮が、「普通の女の子」から「人気アイドル」へ!という設定からうかがえます。
設定が一歩先いっているな、と思うのはこの頃(1980年代)のアイドルといえば、山口百恵など貧しさや家にお金を入れるために止む得なく……といった事情が多かったんではないでしょうか。
そんな中で、貧しいわけでもなく裕福というわけでなく、ごくごく普通の女の子が、芸能界といった設定は面白いですね。
今でも読んでもとても共感が出来て面白い作品だと思います!!!