幽白で最大の美しい敵はなんといっても……!!!
仙水 忍(せんすい しのぶ)
26歳。元霊界探偵(二代目霊界探偵)で、幽助の先輩に当たる。幼少の頃から霊力の高さゆえに妖怪に命を狙われ続けたことから「妖怪は悪で、自分は選ばれた正義の戦士」と思うようになったが、10年前に人間が妖怪を虐殺する光景を目撃し、その場にいた人間全てを殺害。それでもモヤモヤは晴れず、すっかり人間不信へと陥って失踪。
その間に苦悩は続いていたらしく、人格が7つに分けられてしまう。
暗黒武術会終了後、戸愚呂兄の念波をキャッチして、彼を拾い、左京の計画や幽助一行の情報を得ると、人間を守る側から滅ぼす側に180度立場を転向して、表舞台に再び姿を現すのだった。
姿を現した仙水が、
「心が腐っていくのがわかるんだ」と主人公・幽助に対し対話を求めるように、つぶやきます。
これはショッキングで、とても恐いセリフをもらしているのに、
「わかるかもしれない……」となって何度もこのページに立ち止まらずにいられなかった子どもの頃。
きっと、当時は小学か中学でしたので、狭いコミュニティで生きるのが難儀だった方でしたので、
生きることにもがいていて疲れてしまってふと…生きる目的を見失った仙水さんに重ねていたのかもしれません。
私が「戦争というのはいい国と悪い国が戦っているんじゃないんだ!?」という大きな衝撃も受けたのもこれ。いろんな意味で衝撃的でしたが、
初め読んだときは、死んじゃった主人公の幽助が生き返り、
バトってたのが無性に無性にうれしくて、
仙水の心情にはいまいち感情移入する暇がありませんでした。
が、年重ねてみると、彼の人に対する失望もよくわかるようになってしまいました。
まっすぐなピュアな心だったからこその、彼の潔癖が許せなかったのでしょう。
(人格が7つに分裂してしまったのも、その潔癖のゆえかもしれません。)
自分がまた弱くてみにくい人間のひとりであることを。
誰彼もそうした汚い感情は持って“当たり前”と肯定して優しく笑い飛ばしてくれる存在がいたらまた話は変わっていたかもしれません。
神谷 実(かみや みのる)
29歳。
医者。その職業通り、「医者(ドクター)」の能力者。
領域の半径は100メートル。
念で作った致死性のウイルスで領域内の人間を病気にさせる、脳内の興奮物質を操作し肉体の機能を高める、痛みを感じず脳内麻薬に気分がよくなる、素手で人間を切り裂く、体からもげた腕を自ら縫合するなどの能力を持つ。
こいつはほんとに救えねえ畜生ですが。
(医者でありながら人を殺戮しまくるキャラクター
※結果的に主人公・幽助らの手により未遂に終わります)
“オレは自分の死に方を決めかねて今まで生きてきた 病気に殺されるのも時間に殺されるのもまっぴらだ”から窺うと、病院でのワーカホリックが原因じゃないだろうか。優秀な腕のため仕事が集中して心の余裕を失ってしまって人への殺意、自己の揺らぎに苛んだのかもしれませんね。
ふとした心の余裕がない環境に身を置くと、わたしたちは平気で、
自己防衛のために人に敵意や殺意を覚えるようになりますから。
刃霧 要(はぎり かなめ)
17歳。「狙撃手(スナイパー)」の能力者。ニヒリスト。領域半径200メートル、あらゆる物に霊力を込め、弾丸として利用する。自らの気で作った的を敵の肉体につけ、弾丸を自動追尾させる「死紋十字斑」という能力を持つ。弾丸の種類は、気を通せるものなら何でもよく、木の葉や石、包丁、拳銃に込められた本物の弾丸やタンクローリーまで様々。
ちなみにファンの言葉によると。
激しく同意いたします。(*´ω`*)
事件後は元の生活に戻るが、高校卒業と同時に家出をして、5年ほど親へ仕送りをしていた。
とか、
劇中では語られていませんが、将来の夢は「弁護士か犯罪者」だったのこと。
これだけでもなかなか彼のイケメンぶりが表れてキュンなるのでした…。
樹(いつき)
妖怪。「影ノ手」を用いて次元を自由に行き来し、
次元に関わる下位の妖怪を使役できる「闇撫(やみなで)」の一族で魔界でも希少種族である。
霊界探偵時代の仙水に一度殺されかけるも、ふと見せた人間くささに仙水が殺気をそがれたため、殺されることなく、それ以降、仙水のパートナーとなる。
変貌を遂げゆく仙水の様相を静観し続け、魔界の穴の一件でも、終始彼の忠実な補佐を務める。
こちらは“人間が妖怪を虐殺する光景を目撃し、その場にいた人間全てを殺害した”後の仙水。
樹は黙って静観することに決めたのがこのシーンなのかもしれません。
二人はどんな関係なのか想像するとこれは少年誌のタブーに触れかねませんので
コメントはさし控えますが、樹はもう母のように黙ってなりゆきを見ているところ、
仙水のすべてに惹かれていたのかもしれません。
その上で、ただただ黙ってそばにいるしか彼を救えないと思ったのかもしれません。
それはもう一つの愛に近いですね。
ふしぎな関係性ですが、これはこれで美味しいな!と。( ・ㅂ・)و ̑̑←
略されていますが
「オレたちはもう飽きたんだお前らはまた別の敵をみつけ戦い続けるがいい」
作者である冨樫先生はこのとき疲れのピークがやってきたもようです。
このツイート画像を見てみますと、
大変たいへんたいへん過酷なスケジュールな作業内容でしたらしかったため、
作者の“疲労”によってどこか病んでいて闇を持って、
どこか歪んだキャラクターが次々に出てきたのも納得します。
これを踏まえて幽白を読み直すと、
まさに漫画というのは生きた人間が描き上げた命そのもので、
なんでも反映されてしまうんだなと思ってしまいました。
それだけダイレクトに伝わってしまう、崇高な作業なのだなと。
その意味では創作するということは、ちょっと恐ろしいような気がします。
冨樫さんはよく走り抜けてくださったなぁ……と!(´;ω;`)
まとめ
魔界の扉編(仙水編)では、ふつうの人間が抱えている黒い部分が前面にぽろっと出てしまったシーンがところどころ見られます。現に敵として乗り出したのは、妖怪でなく(※一部除く)能力を得た“いちひとりの人間”でした。
番外編
鴉
ただの変態ですが、なにげに一部の女性には人気。
美形だからでしょうか。
美しい魔闘家鈴木
仰々しい、自己紹介が済んだあとであっさり幻海に数コマもしない内にこてんぱにやられます。しかし、鈴木はいささか平凡な気が。その前の名前は、強い妖戦士田中だったもよう。
柘榴
こんなキャラもいましたっけなぁ笑
戸愚呂(兄)
ちなみに画像右。
戸愚呂チーム中堅(実際は副将)にして、戸愚呂弟の実兄。弟と同様に元人間で、50年前の暗黒武術会で弟や幻海と共に戦った。
普段は物静かで理知的な振る舞いを見せるが、実際は饒舌で卑劣かつ残酷な性格。弟とは異なり、私利私欲の為に妖怪に転生。
だからすごい非道でも憎めないキャラと化したもようですw
素で吹きましたw
何気に男性陣では人気(?)であったもようですね。
“蔵馬のローズ・ウィップで巻原の頭部を切断された後、自身の頭部を露わにし、幽助一行に経緯を説明した。最終的には、再生能力を逆手に取った蔵馬に邪念樹を埋め込まれ、永遠に蔵馬の幻影と戦う生き地獄へと落とされた。”
戸愚呂(弟)と真逆に腐っていくキャラクター。しかし、弟と共に妖怪に転生したところからみると、彼もかつてない力に惹かれ死なない肉体を求めざるを得なかったそんな背景があったのかもしれませんね。
終わりに…
大変魅力のあった敵キャラの顔ぶれ、いかがでしたでしょうか。
彼らがなぜ悪に走ったのか。
彼らにとって悪とは、正義だったのかもしれなかったのかもしれません。
いろいろさまざま葛藤を経て悪に走らざるを得なかったキャラもいましたね。
その人間臭いにおいに“抵抗”よりも、“共感”を覚えるようになった年頃になってしまった
ミドルエッジ世代は、
人生を一日を一日、だいじに生きて乗り越えてきたわたしたちの特権なのかもしれません。
でなければ、このように味わい深く味わえることなんてできないでしょうから。