60年代の岩下志麻
岩下志麻と言えば、今では「極道の妻たち」のイメージが定着しているように思いますが、それも含め女優らしい女優。最後の女優とでも言いたいほど画面に出てきただけで雰囲気を変えられる、とても存在感のある女優ですね。
1958年のテレビドラマ「バス通り裏」に出演したのが最初で、2年後の1960年の「乾いた湖」で映画デビューしています。

身長165cmといいますから、この世代の女性にとってはかなりの長身ですね。見栄えがするわけです。
1960年から1976年まで松竹に所属し、小津安二郎監督作品など日本を代表する名作に多数出演しています。1960年代、岩下志麻にとっては20代となりますが、この時期は、まぁ、如何にも美しいです。
60年代の岩下志麻は美しい。確かに美しい。しかし、色気とか女優としての凄みとかが出てくるのは70年代、80年代ということになります。
70年代の岩下志麻
70年代の岩下志麻は松本清張原作の映画「影の車」から始まります。
1970年といえば29歳ですね。徐々に女優として深みが出てくるわけですが、翌年の「内海の輪」では色っぽいシーンも果敢にこなしています。
30代ともなれば色気も十分!スクリーンに目が釘付けになります。しかし、さぁこれからという感じの1973年に岩下志麻は長女を出産し、このことで2年間ほどスランプになってしまいます。
が、女優、妻、母という3つの顔はプラスにも働き、その後は1975年の「桜の森の満開の下」や1977年の「はなれ瞽女おりん」など見ごたえのある作品に立て続けに主演しています。そして1978年に70年代の代表作といえる「鬼畜」に出演するのでした。
熱演です。悪女というか、鬼嫁をあの岩下志麻が演じるという意外性。美しいだけに怖い!この感じが後の「極道の妻たち」に繋がっていくんですね。
70年代に話題となった映画でもう1本。1978年の「雲霧仁左衛門」。これも話題となりヒットしました。
是非とも本編で濡れ場を楽しんでいただきたいです。
そういえば、70年代の岩下志麻は歌手としても活躍しています。シングルは全部で2枚出ており、デビューシングルは1973年の「罪のように愛して」。2枚目は1975年の「18才の彼」で、オリコンチャートで最高位85位とスマッシュヒットとなっています。

18歳の彼
意味深なタイトルですね。内容はタイトルどおり、18歳の少年にのめり込む、年上の女性の歌です。この曲のオリジナルは、フランスの歌手ダリダが歌ったもので、岩谷時子が日本語詞を付けています。
実はこの曲、発売当時は東京のゲイバーがひしめく新宿二丁目で中年のゲイに受けていたのだそうですよ。
アルバムは1972年の「美しい日本の私 -追悼・川端康成-」をはじめ、「炎のごとく」、「岩下志麻のナレーションで綴る 石原裕次郎・八代亜紀ナイトクラブムード」、「特別な他人」と4枚出していますが、ナレーションものが多く、代表作となると「炎のごとく」でしょうか。

炎のごとく
現在では残念ながらどれも入手困難となっています。
80年代の岩下志麻
80年代の岩下志麻となると、やはり「極道の妻たち」ということになるでしょうね。「極道の妻たち」は1作目の大ヒットを受けシリーズ化され、全部で10作制作されました。
2作目と3作目以外は全て岩下志麻が主役を務めています。
そういえば、「極道の妻たち」のイメージそのままにCMもつくられていました。
このCMもまたセリフが強烈でインパクト大。「極道の妻たち」は、この時期の岩下志麻のイメージを決定づけたという意味でも彼女の代表作のひとつですね。
しかし、それとは別にもう1本。80年代の岩下志麻を代表する作品があります。
1985年の公開当時に大きな話題となった「魔の刻」がそれです。

魔の刻(1985年)
「魔の刻」では、「鬼畜」とはまた違う魔性の女を演じています。何と言っても母親と息子の禁断の関係ですからね。
息子役は坂上忍。2人の濡れ場シーンは大いに話題となりました。下の動画は、濡れ場シーンの一部です。
この映画はじっくりと本編を味わって頂きたいです。女盛りとでもいいましょうか、岩下志麻が美しいです。いえ、もともと美しいのですが、魔性の女っぷりはさすがとしか言いようがありません。
この頃に岩下志麻は初めての写真集を出しています。

岩下志麻 デラックス映画ファン特別編集
1982年に発売された「岩下志麻 デラックス映画ファン特別編集」がそれです。過激なヌードはありませんが、セクシーショット満載です。それゆえに岩下志麻の美しさが際立って見えますよ。しかし残念ながら現在は入手困難です。
それともう1冊、約10年後の1992年に「岩下志麻写真集 時の彼方へ」という写真集がでています。

岩下志麻写真集 時の彼方へ
こちらも悪くないです。しかし、どちらかというと「岩下志麻 デラックス映画ファン特別編集」の方がグッとくる写真が多いかと思います。いえ、好みの問題でしょう。ファンであれば2冊とも当然抑えるべきアイテムであることは間違いありません。
魔性の女の役が最も似合う女優らしい女優、岩下志麻。その魅惑的な美しさは永遠です。