今回紹介する、アオシマアニメスケールザンボット3の大小2つのスケールキット、無塗装完成品
今回の番外編で紹介していくのは、シミルボンでもその流れで『無敵超人ザンボット3』の作品紹介をするので、その主人公ロボット・ザンボット3の様々な立体を、80年代当時のアオシマ製プラモデルから、最新商品のバンダイのスーパーミニプラ版まで、前後編で追いかけていきたいと思います!
アオシマ ザンボット3 1/460 アニメスケール 1981年1月 300円
いわゆる「300円スケール」のパッケージの当時品
今回から紹介していく『無敵超人ザンボット3』『無敵鋼人ダイターン3』(1978年)は、日本サンライズの富野由悠季監督作品としては、『機動戦士ガンダム』(1979年)『伝説巨神イデオン』(1980年)よりも前に当たる、1977年から1978年にかけて、2作品連続して制作放映されたロボットアニメである。
タイトルやロボットデザインに相似性はあるが、2作品の間には世界観・物語的にはなんの繋がりもなく、ひたすら戦争の悲惨さと家族愛を訴え続けた悲劇の『ザンボット3』と、洒落た大人のクールダンディのコメディ路線を描いた『ダイターン3』と、作風は全く違うので、ファンの評価も別れている。
かなりストレートに、戦国武将の鎧兜を取り入れたのが、ザンボット3のデザインの特徴。それは『無敵鋼人ダイターン3』にも受け継がれる
近年は『ザンボット3』の再評価の高さが目立つが、『ダイターン3』のダンディズム的な魅力の深さも侮りがたい面白さに溢れている。
さて、ミドルエッジ世代には、この両者はアニメ本放映よりも、アオシマのプラモデルと店頭で出会ったという人の方が多いのではないだろうか。
なぜなら、アオシマはそもそも両作品の版権は持っていたが、実際に模型化したのは、バンダイのガンプラがブームを起こし始めた1981年に入ってからであり、ガンプラに追いつけ追い越せと、アオシマの様々なシリーズで、これらのロボット達は商品化されたのである。
完成した1/460 アニメスケール ザンボット3
その中でも、このアニメスケール(小)の印象が一番深い人も多いのではないだろうか。
アオシマのアニメスケールシリーズは、まさに当時のバンダイのベストメカコレクションと同じで「自社が版権を持っているアニメのロボットを、スケール表記の300円統一サイズで商品化する」ところから始まって、バンダイのベストメカコレクションではガンダムが、アオシマのアニメスケールではイデオンが、完全にシリーズを独占した状態になっていくという現象の軌跡まで同じく。
アオシマのアニメスケールのイデオン、ザンボット3、ダイターン3は、近年になってもパッケージを2回変えて再販される人気を誇っている
今回紹介する1/460 ザンボット3は、1/920 ダイターン3に続く第2弾。続く第3弾が1/440 トライダーG7となって、そして第4弾が1/810 イデオンになる。
ダイターン3は、小サイズのアニメスケールと、おやこマシン、ミニ合体シリーズの他は、合体ロボットシリーズの「重機合体」(ダイタンクへ変形)と「戦闘合体」(ダイファイターに変形)と、それらを合わせた「合体ロボット ダイターン3」が発売。
またポケットパワーシリーズでも、「ダイファイター」「ダイタンク」「ダイターン3」と3種を発売したが(それら全てを合わせた「スペシャルデラックス」も発売)、大サイズのアニメスケールでは発売されなかった。
真っ白で分かりにくいが、顔つきは悪くない完成度
一方、ザンボット3はアニメスケール大小2種とミニ合体シリーズ、「無敵合体」(主役マシンがザンバード)と「超人合体」(主役マシンがザンボエース)と、それらを合わせた「合体ロボット ザンボット3」の合体ロボットシリーズは出たが、ポケットパワーシリーズでは発売されなかった。
アオシマの、当時のテレビアニメロボットプラモデルの枠で、アニメスケール大小、おやこマシン、ミニ合体、ポケットパワー、合体ロボットと、全種が揃っているのはイデオンだけであった。
横から見た完成品。サイドビューは悪くないのだが……
さて、実際のキットの解説に移れば、このキットは、アオシマがあからさまにバンダイのガンプラを意識したシリーズだけに、ミサイル発射や生首合体等の、アオシマのお家芸は全て封印されて、プロポーションの再現と可動の両立だけに特化した作りになっているはず、なのだが……。
まず不満を一つ挙げるとするならば、このシリーズには、主役ロボットの武器が何一つ付いてこないということがあるだろう。
バンダイのガンプラだって、別に手持武器をオミットしたわけではなく、ビーム・ライフルやザク・マシンガンやビーム・サーベルなどの武器が付属していたのだから、イデオン・ガンは無理としても、ザンボット3のザンボットグラップやダイターンザンバー等の武器オプションぐらいは、付属していても罰は当たらないと思うのだが、このシリーズでは、とことんストイックなまでにどのロボットも丸腰仕様である(笑)。
そして、肝心のプロポーションも、アオシマテイストの癖として、トップヘビーで上半身に対して下半身が貧弱過ぎるだけではなく、ザンボット3の場合、なぜか両腰に付くべきレゴンも、両膝外側に付くバスターもないので、ことさら下半身がか弱く見えてしまい、両肩のボリュームの過大さと合せると、まるで『宇宙戦艦ヤマト』のイメージモデルのような、パース(この場合、どうせなら「金田伊功パース」を目指して欲しかった)がついたような印象を与えてしまう。
バックビュー。バックパックなどは正確に立体化されているだけに、逆三角形過ぎるプロポーションが惜しすぎる
可動の方も、まだまだこの時期はガンプラでも、可動のためにデザインをアレンジするという発想がなかった時代。
その上で、ザンボット3のデザインを見て頂ければ理解してもらえると思うが、鎧の襟袴がボディの左右を、2パーツで広く覆っているため、仮に肩に普通に可動軸を仕込んでも、腕が外側に開くことは出来ても、前方へ向けて真っすぐ伸ばすことが絶対的に不可能なデザインになっている。
この辺りは、近年ではバンダイの超合金魂やスーパーミニプラ版等が「肩アーマーを分割する」割り切りとリファインで腕の前方可動を可能にしたが、それはそれで「粋じゃないよね」というオールドファンの声もあり、痛しかゆしである。
もちろん、おそらくアニメ設定を重視したノンギミックプラモ版初となるこのキットでも、肩が可動するのは左右への回転軸のみ。
後の可動は、肘は前方へ向けてのみ。拳は回転可能。股関節は一軸で開脚不可能。膝と足首はある程度は縦に曲がるという、初期のガンプラと似通った仕様で成り立っている。
上半身の可動範囲。写真で見ると、もう少し左腕の肘が曲がりそうに見えるがこれが精一杯
正直、ガンダムは装飾を排したデザインがアクションフィギュア化させる素材として活きたが、こちらは鎧のデザインがいろいろ邪魔をし過ぎているという印象。
下半身の可動範囲。この状態では自立できない
バンダイのガンプラを、形だけ真似たアオシマの稚拙さか。それとも、見るからに高い自由度を誇るガンダムと、ザンボットやダイターンといった鎧を着込んだ風体の、デザインの差か。おそらく微妙に両方なのだろうが、それでもこの時期、バンダイ一人勝ちの「アニメロボットアクションフィギュア仕様模型化商品」にいち早く追従したのは、今井や有井よりもアオシマであったことは動かない事実であった。
一生懸命頑張って、必殺技のムーンアタックっぽいポーズをとらせてみたのだが……。上腕がロールしないのでここまでが限界
なんにせよ、猿真似であっても柳の下の二匹目のドジョウであっても、当時のティーンズとしては、ガンプラのフォーマットで、他の富野アニメのロボットが出てくれるだけでうれしく、たとえそこでアオシマが「ティーンズ向けであれば、元の色がどういう配色でも、白一色で成型しなければ」と信心したかも定かではないが、真っ赤なイデオンもブルーイメージのダイターン3も、トリコロールのザンボット3も、潔いまでに白一色でキット化されたのも、今となっては中学生モデラーの、塗装チャレンジへのよいモチベーション上げに繋がったと言い切れる(今回紹介しているアニメスケールのイデオンが赤いのは、近年の雑誌の付録版の赤成型特別版イデオンを一部に用いているからである)。
同じアニメスケールのイデオンと並んで。
80年代初頭。
「ガンプラを初めとして」プラモデル屋や駄菓子屋の店頭を賑わせ始めた「300円のロボットプラモ」は、確実にアオシマの牽引力が、時代を動かす下地として機能していたといえる。
アオシマ ザンボット3 1/240 アニメスケール 1981年7月 1000円
明らかに幼児向けではなく、ハイティーンを意識したパッケージ
1/420 イデオンと並んで、アニメスケールシリーズではたった2つで終わった大サイズ商品。
ちょうどこの時期は、『機動戦士ガンダム』が、映画版2作目の公開を直前に控えていて、1/144ではシャア専用ゲルググやリック・ドムが、大サイズの1/100ではシャア専用ザクがキット化されたタイミングで、アオシマメインの『伝説巨神イデオン』のプラモも、300円箱サイズ統一シリーズがメインで、まだ1/600シリーズが始まる前のタイミング。
完成したザンボット3。ブルー中心だが、大サイズなので成型色は3色で構成されている
ある意味では、アオシマが、イデオンやザンボット3やダイターン3の、どれがメインストリームになるか、決め打ちにかからなければならなかったタイミングでもあって、「イデオン以外」の番組ロボットが脇ではなくセンターに立てる最後のタイミングであったともいえるこの時期。「よりハイブロウな内容の作品の主役ロボットを」という意図がアオシマサイドにあったのかは定かではないが、2つしかない大サイズのアニメスケールには、「もう一つ」はこのザンボット3が選ばれた。
完成したザンボット3のサイドビュー。今度は逆に、前後に薄すぎなような気が……
このキットの、いやこの時期のアオシマの、最大のエポックな点は、後々バンダイのガンプラでは、80年代中盤を過ぎる頃から取り入れられるようになる、関節可動支援用のマテリアル「ポリキャップ」が、早くも導入され始めていたことではないだろうか。
ポリキャップは、既に同社の「ポケットパワー」シリーズや「合体ロボット」シリーズで導入されていたが、それらにおけるポリキャップは、関節可動支援というよりは、合体パーツの抜き差し摩耗対策で組み込まれていた感が強く、やがてガンプラでは定番になる「関節の軸を適度に保持するための用法」としては、このアニメスケール大サイズのザンボット3がパイオニアだったのではないかと思える。
なぜか首に段差があるが、顔の造形自体はなかなか出来が良い
むしろ、同じアニメスケール大サイズのイデオンが、それでも合体変形に拘った分、ザンボット3の方が、純粋に関節可動モデルに突き進むことが出来たともいえる。
しかし、このアニメスケール大サイズザンボット3は、イデオンと共に秘められた仕様があった。
完成品のバックビュー。なぜこんなにバックパックの位置が低いのかというと……
アオシマという会社は、同じ金型を使って、何種類ものバリエーションを商品展開する術に長けていたことは、前回までのイデオンの「ポケットパワー」や「合体ロボット」でお分かりになっていただけると思うが。
この2つのアニメスケール大サイズは、その後、電飾ユニットと電池を別パーツで商品に組み込むことで「光るイデオン」「光るザンボット3」という商品として流通する使命があったからだ。
「光るザンボット3」用に、背中が開けられ、電池ボックスが入るスペースを確保するために、バックパックが取り外しやすく下の位置に付けられていたのだ
筆者はその「光るザンボット3」を手にしたことがないので憶測で語るが、多分、いきなり細かく黄色パーツで別パーツ化された、腰の両側の、ザンベースの黄色いドームなどがクリアパーツ化して、光る仕様に代わっていたのではないかと思われる。
設定画と、あえて同じ角度から写真を撮ってみると、意外とアニメ版に忠実に造形されていることが分かる。
1/460にはなかったレゴンもバスターも今回は付属している。
その上で、今回は小サイズにはなかった、「肩を前後に動かす関節」も、当然ポリキャップ仕込みで設置されている。
前後に動く肩の関節が仕込まれた完成形
しかし、この時期まだまだ「デザインの壁」は厚く、せっかく組み込まれたポリキャップの恩恵も虚しく、肩は結局「前後に軽く揺れるだけ」程度で終ってしまう。
これで精一杯、腕を前に向けて上げた状態の限界
肩は結局、水平方向には垂直近くまで上げられるが、肘の曲がりが悪いのも含めて、小サイズ版と似たり寄ったりというのが正直な印象か。
左腕を、水平ギリギリまで広げて上げた状態。肘も最大角まで曲げてある
股関節の開脚と、脚の踏み出し具合
股関節は若干ではあるが開くように関節が仕込まれていて、膝と足首は一軸可動するように出来ている。
両脚を、前後に一番大きく開いて見せた状態
やはり「光るザンボット3」へ流用するためか、ボディが四肢よりも一回り大きく、棒立ちだと少しそこの違和感が目立ってしまうのは否めない。
なるべく自然なポーズを……と頑張った結果、なんとも微妙で不自然なポーズに仕上がった写真