『ガンプラり歩き旅』その61 ~番外編 はばたけ! 宇宙の勇者ザンボット3!(前)~

『ガンプラり歩き旅』その61 ~番外編 はばたけ! 宇宙の勇者ザンボット3!(前)~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をしてきた『ガンプラり歩き旅』。 今回は前後編で、ガンプラブームと共にロボットプラモブームを牽引した、アオシマ製プラモデル群から、『ガンダム』の富野由悠季監督の名作『無敵超人ザンボット3』(1977年)の、当時から現代に至るプラモデルを紹介していきます!


今回紹介する、アオシマアニメスケールザンボット3の大小2つのスケールキット、無塗装完成品

私、市川大河が、書評サイトシミルボンで連載している、 『機動戦士ガンダムを読む!』での、再現画像で使用しているガンプラを、 古い物から最新の物まで片っ端から紹介していこうというテーマのこの記事。

今回の番外編で紹介していくのは、シミルボンでもその流れで『無敵超人ザンボット3』の作品紹介をするので、その主人公ロボット・ザンボット3の様々な立体を、80年代当時のアオシマ製プラモデルから、最新商品のバンダイのスーパーミニプラ版まで、前後編で追いかけていきたいと思います!


アオシマ ザンボット3 1/460 アニメスケール 1981年1月 300円

いわゆる「300円スケール」のパッケージの当時品

今回から紹介していく『無敵超人ザンボット3』『無敵鋼人ダイターン3』(1978年)は、日本サンライズの富野由悠季監督作品としては、『機動戦士ガンダム』(1979年)『伝説巨神イデオン』(1980年)よりも前に当たる、1977年から1978年にかけて、2作品連続して制作放映されたロボットアニメである。
タイトルやロボットデザインに相似性はあるが、2作品の間には世界観・物語的にはなんの繋がりもなく、ひたすら戦争の悲惨さと家族愛を訴え続けた悲劇の『ザンボット3』と、洒落た大人のクールダンディのコメディ路線を描いた『ダイターン3』と、作風は全く違うので、ファンの評価も別れている。

かなりストレートに、戦国武将の鎧兜を取り入れたのが、ザンボット3のデザインの特徴。それは『無敵鋼人ダイターン3』にも受け継がれる

近年は『ザンボット3』の再評価の高さが目立つが、『ダイターン3』のダンディズム的な魅力の深さも侮りがたい面白さに溢れている。

さて、ミドルエッジ世代には、この両者はアニメ本放映よりも、アオシマのプラモデルと店頭で出会ったという人の方が多いのではないだろうか。
なぜなら、アオシマはそもそも両作品の版権は持っていたが、実際に模型化したのは、バンダイのガンプラがブームを起こし始めた1981年に入ってからであり、ガンプラに追いつけ追い越せと、アオシマの様々なシリーズで、これらのロボット達は商品化されたのである。

完成した1/460 アニメスケール ザンボット3

その中でも、このアニメスケール(小)の印象が一番深い人も多いのではないだろうか。
アオシマのアニメスケールシリーズは、まさに当時のバンダイのベストメカコレクションと同じで「自社が版権を持っているアニメのロボットを、スケール表記の300円統一サイズで商品化する」ところから始まって、バンダイのベストメカコレクションではガンダムが、アオシマのアニメスケールではイデオンが、完全にシリーズを独占した状態になっていくという現象の軌跡まで同じく。

アオシマのアニメスケールのイデオン、ザンボット3、ダイターン3は、近年になってもパッケージを2回変えて再販される人気を誇っている

今回紹介する1/460 ザンボット3は、1/920 ダイターン3に続く第2弾。続く第3弾が1/440 トライダーG7となって、そして第4弾が1/810 イデオンになる。
ダイターン3は、小サイズのアニメスケールと、おやこマシン、ミニ合体シリーズの他は、合体ロボットシリーズの「重機合体」(ダイタンクへ変形)と「戦闘合体」(ダイファイターに変形)と、それらを合わせた「合体ロボット ダイターン3」が発売。
またポケットパワーシリーズでも、「ダイファイター」「ダイタンク」「ダイターン3」と3種を発売したが(それら全てを合わせた「スペシャルデラックス」も発売)、大サイズのアニメスケールでは発売されなかった。

真っ白で分かりにくいが、顔つきは悪くない完成度

一方、ザンボット3はアニメスケール大小2種とミニ合体シリーズ、「無敵合体」(主役マシンがザンバード)と「超人合体」(主役マシンがザンボエース)と、それらを合わせた「合体ロボット ザンボット3」の合体ロボットシリーズは出たが、ポケットパワーシリーズでは発売されなかった。
アオシマの、当時のテレビアニメロボットプラモデルの枠で、アニメスケール大小、おやこマシン、ミニ合体、ポケットパワー、合体ロボットと、全種が揃っているのはイデオンだけであった。

横から見た完成品。サイドビューは悪くないのだが……

さて、実際のキットの解説に移れば、このキットは、アオシマがあからさまにバンダイのガンプラを意識したシリーズだけに、ミサイル発射や生首合体等の、アオシマのお家芸は全て封印されて、プロポーションの再現と可動の両立だけに特化した作りになっているはず、なのだが……。
まず不満を一つ挙げるとするならば、このシリーズには、主役ロボットの武器が何一つ付いてこないということがあるだろう。
バンダイのガンプラだって、別に手持武器をオミットしたわけではなく、ビーム・ライフルやザク・マシンガンやビーム・サーベルなどの武器が付属していたのだから、イデオン・ガンは無理としても、ザンボット3のザンボットグラップやダイターンザンバー等の武器オプションぐらいは、付属していても罰は当たらないと思うのだが、このシリーズでは、とことんストイックなまでにどのロボットも丸腰仕様である(笑)。

そして、肝心のプロポーションも、アオシマテイストの癖として、トップヘビーで上半身に対して下半身が貧弱過ぎるだけではなく、ザンボット3の場合、なぜか両腰に付くべきレゴンも、両膝外側に付くバスターもないので、ことさら下半身がか弱く見えてしまい、両肩のボリュームの過大さと合せると、まるで『宇宙戦艦ヤマト』のイメージモデルのような、パース(この場合、どうせなら「金田伊功パース」を目指して欲しかった)がついたような印象を与えてしまう。

バックビュー。バックパックなどは正確に立体化されているだけに、逆三角形過ぎるプロポーションが惜しすぎる

可動の方も、まだまだこの時期はガンプラでも、可動のためにデザインをアレンジするという発想がなかった時代。
その上で、ザンボット3のデザインを見て頂ければ理解してもらえると思うが、鎧の襟袴がボディの左右を、2パーツで広く覆っているため、仮に肩に普通に可動軸を仕込んでも、腕が外側に開くことは出来ても、前方へ向けて真っすぐ伸ばすことが絶対的に不可能なデザインになっている。
この辺りは、近年ではバンダイの超合金魂やスーパーミニプラ版等が「肩アーマーを分割する」割り切りとリファインで腕の前方可動を可能にしたが、それはそれで「粋じゃないよね」というオールドファンの声もあり、痛しかゆしである。
もちろん、おそらくアニメ設定を重視したノンギミックプラモ版初となるこのキットでも、肩が可動するのは左右への回転軸のみ。
後の可動は、肘は前方へ向けてのみ。拳は回転可能。股関節は一軸で開脚不可能。膝と足首はある程度は縦に曲がるという、初期のガンプラと似通った仕様で成り立っている。

上半身の可動範囲。写真で見ると、もう少し左腕の肘が曲がりそうに見えるがこれが精一杯

正直、ガンダムは装飾を排したデザインがアクションフィギュア化させる素材として活きたが、こちらは鎧のデザインがいろいろ邪魔をし過ぎているという印象。

下半身の可動範囲。この状態では自立できない

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