『ガンプラり歩き旅』その60 ~イデオン編・8 番外編の番外編! 瞳こらせよ、産卵の時! 人よ命よ、生首を見る! スペシャルデラックスイデオン~

『ガンプラり歩き旅』その60 ~イデオン編・8 番外編の番外編! 瞳こらせよ、産卵の時! 人よ命よ、生首を見る! スペシャルデラックスイデオン~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をしてきた『ガンプラり歩き旅』。 今回は全8回で、ガンプラブームと共にロボットプラモブームを牽引した、『機動戦士ガンダム』(1979年)の日本サンライズ・富野由悠季監督の次作品『伝説巨神イデオン』(1980年)のアオシマ製プラモデル群から、現代に至るまでのイデオンフィギュアを、追いかけてみたいと思います!


謎の生首メカ! これもイデの成せる技なのか!?

私、市川大河が、書評サイトシミルボンで連載している、 『機動戦士ガンダムを読む!』での、再現画像で使用しているガンプラを、 古い物から最新の物まで片っ端から紹介していこうというテーマのこの記事。

今回の番外編で紹介していくのは、シミルボンでもその流れで『伝説巨神イデオン』の作品紹介をするので、その『イデオン』に登場した、主人公ロボットイデオンの様々な立体を中心に、敵役の重機動メカ等も含めてイデオンの立体物歴史を俯瞰してきた番外編も、ついに今回で最終回です!


ガンプラの名を冠した連載で、長々2か月も続いたイデオンプラモ紹介。
そこではアオシマというメーカーが、児童向けからティーンズ向けへとイデプラを進化させていく過程が伺えて、それはアオシマの技術革新とも重なり、ガンプラとはまた違う“物語”を、そこで味わうことが出来た……とか言ってる場合じゃない!

いやね。本当にね。「イデオンのアオシマプラモ」を語るなら、コレを紹介しなきゃ意味も価値もねぇだろうっていう、超ド級のトンデモイデオンプラモをまだ、紹介し忘れておりましたよ、市川大河一生の不覚!

今回紹介するアオシマのイデプラは、ある意味作品コンセプトもテーマも、全て粉砕するビッグバンみたいな破壊力がありながらも、ある意味でアオシマというメーカーにしかない「テレビ漫画のロボットのプラモデルとは、子どもの遊び心を創造する依り代としての玩具なのだ」という、そういう深遠な企業姿勢まで垣間見えちゃう、これを見たあなたが、アオシマとイデオンという存在に、幻滅するか、魅惑に取りつかれるか。キャラクタープラモデル界のリトマス試験紙みたいな、もうそういう屁理屈とかどうでもいい! とにかくすごいキットを今回は紹介だ!

イデオンスペシャルデラックス 1981年1月 1000円

パッケージは一見まともだ……が?

今回の“すごいキット”は、『イデオン』(打ち切り)放映終了も目前に迫った時期の商品。まず1980年11月に「ポケットパワー Xメカイデオン」と「ポケットパワー ソロシップイデオン」がそれぞれ500円で発売されたのだが、ここでもイデオンそのものは共通素体で、それらでの2種のオプションパーツを全て含んだトータル商品が、今回紹介する「イデオン スペシャルデラックス」となる。

まずは、このシリーズの冠「ポケットパワー」の解説からしなければならない。
ポケットパワーシリーズとは、アオシマのロボットプラモデルシリーズの、児童層向けのシリーズで、そこでは二つの特徴がある。

・一つは、同じロボットで3種のキットプラスアルファが展開されること。具体的には、一つ目はロボット単体で、あとの2つは、多くはアニメ設定準拠で、設定内でのそれぞれの変形メカに形を変えられる、付属のパーツがついて、それぞれが独立した商品になる。そして、素体としてのロボットと、2種の変形パーツ付きが全部セットになった豪華賞品(今回の場合は「スペシャルデラックス」)が発売される。この辺の構成は「合体ロボットシリーズ」と商品展開が近い。

・二つ目は、このシリーズのロボット達には、ベンダーカプセルとしてのギミックが付いているということ。70年代等に流行ったのだが、ベンダーカプセル筐体として、等身大のウルトラマンや仮面ライダーの立像があり、コインを入れるとひざ元辺りから、玩具入りのカプセルを射出してくれる販売機が当時実際にあった。ポケットパワーシリーズは、その機能を手のひらサイズの上で再現してしまおうというコンセプトがあるのか、シリーズ全てのロボットに、直系数㎝レベルのカプセル球体を、仕込む入口(たいてい頭部を展開して入れる)と、カプセルを押しだすレバーと、射出口が設けてあり、中から出てくる球体カプセルには、様々なシュールで謎なアイテムが入っている仕様であった(後述)。

この時期、アオシマのロボットプラモデルには『伝説巨神イデオン』オンリーの1/600 シリーズの他に、「アニメスケール」「合体ロボット」「ポケットパワー」「おやこマシン」等のラインナップを抱えており、それら全てのシリーズに皆勤賞なのはイデオンだけで、アオシマは児童層から思春期層まで広く視野に入れて商品を展開していた。

当時のアオシマロボットプラモの箱内チラシより

これを見ると、全てのシリーズでイデオンがラインナップされていて、当時のアオシマ的にもイデオンがイチオシだったということが見て取れる。
しかし、世の中何事も「魔が差す」という言葉があるように(笑)アオシマご自慢の「ポケットパワー」と「イデオン」の組み合わせだけは、絶対に「やってはいけない組み合わせ」であったのだ。

考えてみよう。
ポケットパワーシリーズにラインナップされたのは、アニメ版権ロボットの、ダイターン3、トライダーG7、そしてアオシマオリジナルのロボット、シャイアードやジェロード、グレートワゴンなどだ(註・この3つはどれも、下半身は同じ金型から作られている同一のロボット)。
その上で、ポケットパワーシリーズは、今上で書いたように「ロボット形態と、変形形態が他に2種類、その上で、計3種を全て揃えた『スペシャルデラックス』という商品展開」なのだ。イデオンは、3機に分離合体してその3機が3段変形はするが、イデオン自身は他のロボットとは違って、独自変形はしない仕様だ。

当時のアオシマポケットパワーシリーズの箱内チラシ

このチラシを見ると「オリジナルロボットの展開などの関係上、当時アオシマは小学館と深い関係にあった(後ろの書籍が全て小学館関係)」「シリーズ第1段はトライダーG7で、そこからアオシマオリジナルロボットが連なり、イデオンを経てダイターン3へと繋がる流れである」ことの、二つが見てとれる。
この場合、トライダーG7もダイターン3も、アニメ劇中で多段変形をおこなうロボットなので、それを模した商品が成立するのだが……。イデオンにはそんな設定はない。アオシマ、なぜこの枠でイデオンを商品化した(笑)

「そこ」については後半で語っていくのだが。
まずは、この記事を読んだ正統派ガンプラファンの皆さんが、このページをそっ閉じしないように、ゆっくり順序立ててこのキットを紹介していかねばなるまい。

「イデオンスペシャルデラックス」の箱の中

「イデオンスペシャルデラックス」は、同社の合体ロボットシリーズ同様、2種のキットの混合版で成立しているので、ランナーも、赤、白、黄色とそこそこ派手なビジュアルで成り立っている。

完成したイデオン

トンデモキットと聞いていたものだから、どれだけイデオンに見えないロボットになるのかと思いきや、意外としっかりイデオンに見える。股関節の処理が大胆過ぎるが、これは後に紹介する変形のためであり、逆をいえばこの股関節アレンジのおかげで、このキットは当時のイデプラの中でも、かなり足が前後に可動するように出来ている。
色分けも、この時代にしては優秀。

付属のシール

イデオンのゴーグルアイや、Bメカ機首のウィンドウの一部などは、シールで補えるのも点数は高い。

イデオン頭部

多少下膨れな顔つきのイデオンになったが、イデオンは目の部分がゴーグルなので、造形の違いがあまり大きな印象差を生まない。

イデオンの腕の袖

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