石坂浩二の金田一耕助シリーズ
石坂浩二の金田一耕助シリーズ
犬神家の一族(1976年〈昭和51年〉10月16日公開) 角川映画第1作
犬神家の一族(1976年〈昭和51年〉10月16日公開)
犬神家の一族の見所・あらすじ
金田一耕助:石坂浩二
犬神 佐兵衛(いぬがみ さへえ)の残した遺言状が「古館弁護士(小沢栄太郎)」によって読み上げられる。
絶世の美女 野々宮珠世(たまよ):島田陽子(現 島田楊子)
左から佐智(すけとも)、佐武(すけたけ)(地井武男)
三種の家宝『斧、琴、菊(よき、こと、きく)』
松子「スケキヨさん、(素顔)見せておやりなさい!」
怖いシーン1 怖い人はハイスピードで飛ばしましょう!
佐清(すけきよ)を偽者ではないかと疑っている珠世(たまよ)
怖いシーン2 怖い人はハイスピードで飛ばしましょう!
佐武(すけたけ)(地井武男)の死体が発見される。
「う、うわああああああああああ!ああああ!」
佐武はどこか別の場所で殺されて首を切断され、菊人形の首と挿げ替えられていた。
眠らせて珠世(たまよ)を犯そうとする佐智(すけとも)さん。
ちょっと怖いシーン3 怖い人はハイスピードで飛ばしましょう!
翌朝、佐智(すけとも)の屋敷の屋根の上で、佐智の死体が発見される。
佐智は琴糸で首を絞められていたが、付近に争った痕跡がないことから、別の場所で殺され、この場所に運ばれたと思われる。
佐智が琴糸で首を絞められたと聞いた竹子は、犯人は青沼菊乃・静馬の母子ではないかと言い出す。
激怒した3人の娘たちは、ある日菊乃が住む別宅に乗り込んで行き、菊乃を散々痛めつけて家宝を奪い返した。
竹子は、青沼母子がその時の復讐をしているのではないかという。
菊と琴糸は、「家宝を奪われた恨み」という意味ではないか、と。
3人に痛めつけられた青沼菊乃・静馬の母子
「 珠代(たまよ)は佐兵衛にとって、初めて心のそこから愛した女性・春代の血を引く、実の孫」神主が重たい口を開いて話してくれた佐兵衛の過去は、意外なものであった。
松子「珠代さん、決心はついたわね?佐竹さんと佐智さんがあんなことになってしまった今、あなたが結婚する相手はこの佐清しかいないのよ。さあ、最後のお返事を聞かせて頂戴」
珠代「お断りします」
松子「何ですって!?あなた自分が何を言ってるのかわかってるの?佐清との結婚を拒んだら、あなたは遺産に関するすべての権利を失ってしまうのよ?」
珠代「松子おばさま、この人は佐清さんではありません」
「佐清、お前が私の息子じゃないなんて、そんなバカな。珠代の言ったことは嘘だよね?」
「フフフ・・・珠代の言ったことは本当だよ。 あんたの大事な佐清さんは、とっくにどこかへ消えちまったよ!」 「お前は一体・・・」
「青沼静馬だよ。あんたとあんたの妹たちに痛めつけられ、責め苛まれた青沼菊乃の息子、静馬さ!お袋が死んだのは俺が9つの時だ。最後まであんたたちを呪っていた、この犬神一族をな。俺は自分に誓った、必ず復讐してやる、お袋の恨みを晴らしてやるってな!」
偽の佐清の正体は青沼静馬だった。本物の佐清(すけきよ)の母親をかばう気持ちを利用して、母親の復讐をすると同時に犬神家を乗っ取ろうとしていたのだ。
有名なシーン
翌日、湖で佐清の逆立ち死体が発見される。
耕助は、佐清の指紋をもう一度取れと署長に進言する。鑑定の結果、佐清の指紋は奉納手形とは一致しなかった。
耕助「すりかわったんですよ。あの仮面を巧みに利用して、本物と偽者がすりかわっていたんですよ」
「じゃあ今朝の逆立ち死体は何者なんだ」
耕助「静馬ということになりますね」
「そうか、わかった! すると犯人は佐清だ」
犯人バレ注意!見てない人は飛ばしましょう。
謎の復員兵の正体は?
「犯人とは別の人間が、殺人の後始末をしているというのが、この事件の特徴なんです」という難事件を見事に解決する金田一耕助。
息子の佐清(すけきよ)と自分が幸せになるために一族の後継者を手にかける松子。
復員兵の正体は、母親(松子)の犯行を全部自分で被ろうとする佐清(本物)だった。
真相を語りだす耕助
僕はこう想うんです。
しまったっ・・・・・、煙草だ・・・・・。
悪魔の手毬唄〈1977年〉
悪魔の手毬唄〈1977年〉
悪魔の手毬唄の見所・あらすじ
女将の青池リカ(岸恵子)
20年前にリカ(岸恵子)の旦那の源次郎は、顔の判別も不能な状態で殺された
一見単純な殺人事件だったんですが、どうにもわしには腑に落ちない点がありましてな。被害者と加害者が、実は逆じゃねえかと
村出身の人気歌手・別所千恵(仁科明子)
耕助が亀の湯に滞在して2週間ほど経った8月10日。用事で山向こうの総社の町に向かう途中の耕助は、放庵の5番目の妻、おりんと名のる老婆と峠道ですれ違う。
あの老婆は何者なのか?
8月13日、里帰りした千恵を囲んで仁礼家では、村の青年団による千恵の歓迎会が行われていた。だが、いくら待っても泰子が現れない。
怖いシーン4 怖い人はハイスピードで飛ばしましょう!
夜を徹した山狩りの末、翌朝、村はずれの滝つぼで、由良泰子(高橋洋子)の死体が発見される。
死因は首をひも状のもので絞められたことによる窒息死だが、口にはなぜか、漏斗を咥えさせられていた。
1:泰子の見立て殺人
泰子の通夜が行われた晩、今度は仁礼家の娘の文子(永野裕紀子)が行方不明となり、 文子の姿を探して屋敷の外に出た別所千恵(仁科明子)は、壁に映った老婆の影を見て叫び声を上げる。
千恵「キャー!」
そのしばらくあと、今度は青池里子(永島暎子)が暗がりの中に何かを目撃する(実は犯人を見てしまったのだ)。
怖いシーン5 怖い人はハイスピードで飛ばしましょう!
翌朝、昨夜通夜の席から忽然と姿を消した文子が、仁礼家のぶどう酒工場で発見される。
葡萄酒の樽に漬けられるという猟奇的なシーン
2:文子の見立て殺人
春江は、恩田の写真は持っていなかったが、身体的特徴ははっきりと覚えていた。 恩田の足の指がとても変わっており、左右ともに中指が異常に長かったと言う。
やはり、20年前に殺されたのは源次郎ではなく恩田だったのだ。
翌朝、村はずれの峠道で里子の死体が発見される。 傍らには錠前と鍵が落ちていた。
3:里子の見立て殺人
ネタバレ注意! まだ見ていない人は読み飛ばしましょう。
なんと恩田と源次郎は同一人物だったのだ。
放庵から事実を聞かされたりカは、恩田の鬼首村での住処である放庵の離れに乗り込んでいった。
すると、源次郎はリカに詫びるどころか、身重のリカと歌名雄を亀の湯に残して、春江とともに満州へ行くつもりだと言い放った。
怒ったリカは我を忘れ、その場にあった薪で源次郎の頭を殴りつけて殺してしまった。
それを見ていた放庵は、すべてを秘密にする代わりに、リカの体と生活の面倒を要求した。
それから20年、新たな問題が持ち上がった。
昨夜殺したのが千恵ではなく、里子だったことを知り、悲しみに打ちひしがれるリカ。
リカ「私は歌名雄になんて言って謝ったらいいのか。 何も知らないあの子は、泰子さんと里子の恨みを晴らすんだといって、山狩りに行ってるんです」
リカは人食い沼に身投げをして自殺していた。
恋人を殺された歌名雄は犯人の顔を見ようとする。真犯人の顔を見て驚愕する歌名雄。「嘘やー!!母さん、母さん!」
獄門島(1977年〈昭和52年〉8月27日公開)
獄門島 (1977年の映画)
獄門島の見所・あらすじ
「しかし、あの傷痍軍人の復員さんは親切な人じゃ。わざわざ獄門島まで来て、鬼頭の分家の一君が帰ってくることを早苗さんに知らせてくれたんじゃから。本鬼頭では復員さんを御馳走してお礼まで持たせたそうじゃ」
左から 幸庵(医者)、和尚、村長
勝野:司葉子
昭和21年9月、金田一は「千万太の遺書」を届けに獄門島の了然和尚を訪ねます。本家筋の千万太が戦争で死に、「分家筋の一(ひとし)が生き残った」ことになり、了然和尚は複雑な心境でした。
耕助は、戦争にも鋳潰されずに戻ってきた「千光寺の釣鐘」が積まれた船に乗り、島に向かう。しかしこの訪問こそが、前代未聞の凄惨な「俳諧連続殺人事件」の幕開けであった!…
1:寺の鐘の返還
2:本家筋の千万太の死
3:分家筋のひとしの生還
3つの条件が同時に揃った。
怖いシーン6 怖い人はハイスピードで飛ばしましょう!
鬼頭花子(一ノ瀬康子): 寺の庭では花子が足を帯で縛られ梅の古木から逆さまにぶら下げられて死んでいた。
鶯の身をさかさまに初音かな (宝井其角)
金田一は和尚が念仏を唱える中「きちがいじゃが仕方がない」とつぶやくのを耳にし、和尚は発狂した千万太の父を犯人と思っているようだが、それなら「きちがいだから」であるべきはずで、なぜ「きちがいじゃが」なのかといぶかる。
怖いシーン7 怖い人はハイスピードで飛ばしましょう!
テコの原理で棒を使って釣鐘を持ち上げる
鬼頭雪枝(中村七枝子):3姉妹の次女の雪枝が首を絞められて釣鐘の中に押し込まれていたのであった。
むざんやな冑(かぶと)の下のきりぎりす(松尾芭蕉)
解釈:3姉妹の母のお小夜は「道成寺」が得意な旅役者、釣鐘のシーンが象徴的「道成寺の鐘入りがお得意」
怖いシーン8 怖い人はハイスピードで飛ばしましょう!
通夜をしている本鬼頭家では、祈祷所で3姉妹の長女の月代が白拍子姿となり母から伝授されたという祈祷を行っていた。
鬼頭月代(浅野ゆう子):家の者が確かめに行くと首を絞められて殺されており、そこには萩の花が蒔かれていた。
一つ家に遊女も寝たり萩と月 (松尾芭蕉)
解釈
・月代がこもった祈祷所を先代が「一つ家」と呼んでいた
・白拍子=遊女という解釈
ネタバレ注意! まだ見てない人は読み飛ばしてください。
「五・七・五・・・俳句だ!!」
屏風の俳句が全てだったんですと了然に言う金田一。
三つの条件がそろいすぎたと言う了然。
「千万太の死と一の生還の知らせが同じ日にあった。そして同じ日に釣鐘が戻ってきた」
「和尚さんは釣鐘の前で、芭蕉の兜の句を呟かれた。あの句のためにどうしても釣鐘が必要だった」
「わしは嘉右衛門さんの執念が生きているのをまざまざと感じた。三つのうち、どれか一つでも欠けていたら三人娘は殺されずに済んだじゃろう」
雪枝と月代を殺したのも了然かと言う等々力に
それは違うと言う金田一。
「ただ、和尚さんは別の男を殺す必要があった。海賊です。和尚さんは海賊に花子さんを吊るしているところを見られてしまったんです」
あの男は筋書きにない闖入者だったと呟く了然。
では雪枝と月代は誰が殺したと呟く等々力。
雪枝と月代の死因は絞殺だと言う金田一。「和尚さんはリューマチだ。片手だけで絞めるのは不可能だ。そして勝野さんにはアリバイがありません」
嘉右衛門の臨終に立ち会い、そこで千万太が死に、一が帰ってきたら、一を本鬼頭の跡取りにして、三人娘を俳句仕立てに殺してくれと頼まれたことを思い出す了然。
勝野が雪枝と月代を殺したのかと呟く等々力に
わしは勝野を巻き込みたくなかったと言う了然。
そこに現れる荒木。「和尚。村役場に一の戦死の報告が入った」
「なに」
「あの傷痍軍人はひどい復員詐欺じゃったよ」
わしは何の為に地獄に堕ちることまで覚悟してやったのかと嘆く了然。
「金田一さん、本鬼頭に行ってくれ。早苗と一は嘉右衛門と勝野の間にできた子じゃ」
「そうだったんですか」
復員詐欺:最初のシーンで金田一が話しかけた傷痍軍人は その後のシーンで実は片足を不自由になったフリをした男、つまり詐欺師である事を示している。
勝野にこれを探してるんでしょうと手拭いを見せる早苗。
嘉右衛門が了然に頼んでいるのを聞いてしまったと早苗に言う勝野。
「じゃあ、戦地の千万太さんに知らせたのもお母さんだったんですか」
「千万太さんが帰ってくると恐ろしいことが起きずにすむ。そう思って便りしたんや。でも千万太さんは帰らず、和尚さんが嘉右衛門さんとの約束を果たそうと花子さんを殺した。私は和尚さんの身代わりになりたかった」
「私はお母さんが和尚さんを誰より頼りにしてることを知っていた。そして和尚さんもお母さんに優しかった」
「だから私は雪枝さんと月代さんを殺したの」
「言わないで」
本鬼頭に着いた金田一
「了然さんは花子殺しを自供しましたよ」と勝野と早苗に告げる金田一。
「金田一さん。和尚さんは私のことを」
「ええ。全てご存じのようでした」
「そうですか」と泣く勝野。
「一さんが復員するまでに何事も終わらせたかったんです」
早苗に「勝野さんはあなたのお母さんなんですね。和尚さんから聞きました」
「ええ。親子なのに親子と言えない苦しみ。でも私は二年間だけでしたけど、お母さんはずっと」
了然に「鬼頭家にいたければ秘密にしろ」と言われたと話す勝野。
勝野が子供の頃を回想するシーン
「わしらは目に見えん大きな力に動かされてきた」と勝野に言う了然。
「嘉右衛門さんかもしれん。そうでないかもしれん」
「早苗と親子の名乗ができて、こんな嬉しいことはありません」
天狗鼻から身を投げる了然と勝野。