『ガンプラり歩き旅』その58 ~イデオン編・6 現代に蘇った1/600 伝説の巨神2つ! 瞳こらせよ、復活の時!~

『ガンプラり歩き旅』その58 ~イデオン編・6 現代に蘇った1/600 伝説の巨神2つ! 瞳こらせよ、復活の時!~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をしてきた『ガンプラり歩き旅』。 今回は全8回で、ガンプラブームと共にロボットプラモブームを牽引した、『機動戦士ガンダム』(1979年)の日本サンライズ・富野由悠季監督の次作品『伝説巨神イデオン』(1980年)のアオシマ製プラモデル群から、現代に至るまでのイデオンフィギュアを、追いかけてみたいと思います!


21世紀の1/600 イデオン、2つ見参!

私、市川大河が、書評サイトシミルボンで連載している、 『機動戦士ガンダムを読む!』での、再現画像で使用しているガンプラを、 古い物から最新の物まで片っ端から紹介していこうというテーマのこの記事。

今回の番外編で紹介していくのは、シミルボンでもその流れで『伝説巨神イデオン』の作品紹介をするので、その『イデオン』に登場した、主人公ロボットイデオンの様々な立体を中心に、敵役の重機動メカ等も含めてイデオンの立体物歴史を俯瞰していきたいと思います。
前回までの、80年代イデプラ全盛期のアオシマから、ガラッと四半世紀の時を経て、現代に新たに生まれ落ちた「1/600 イデオン」を、今回は2つ紹介します。

やまと EXTRA Story Image Mechanics! 伝説巨神イデオン 2005年3月発売 6090円

やまとESI版イデオンのパッケージ。ブリスターの幅が前後に深いので、箱のボリュームはかなりのもの

まず紹介するのは、フィギュアメーカーのやまとが、2005年に「EXTRA Story Image Mechanics!」という完成品ロボットアクションフィギュアシリーズからリリースしたイデオン。

早逝した天才佐藤"ロボ師"拓氏造形による究極造形のイデオン!

同シリーズからは『冥王計画 ゼオライマー』(1988年)のゼオライマーなども発売していたことからも分かるように多彩な商品枠で、このイデオンの原型制作は、ロボットフィギュア原型界に、その人ありと呼ばれた故・佐藤"ロボ師"拓氏。
残念ながら佐藤氏は早逝されてしまったが、氏の芸術的な作品は商品として今もこうして我々が手にできるというのは僥倖だなぁと、富野台詞で感慨深く思ってみたり。

ESI版イデオンのリアビュー

実際の現代版1/600 イデオンフィギュアの出来の方は、写真を見てもらえば分かるとおりに、アニメ版としては完璧な出来栄えと言える、さすが佐藤氏。

ESI版イデオンのサイドビュー

フィギュアの素材がPVCだったり、変形も合体も出来ない上に、オプションは両手の平手のみと、仕様としては寂しくも感じるが、その仕様が逆に、このフィギュアのコンセプトを浮き彫りにさせている。

ブリスターに入った状態。オプションパーツは平手のみ

つまり、変形や合体というギミックに揺らぐことなく、このフィギュアは、全身の関節を駆使して、如何に「あのアニメ版『イデオン』でイデオンが様々な名シーンで構えてたポーズを再現できるか」。そこだけをストイックに追求したフィギュアなのだ。

故・佐藤"ロボ師"拓氏造形による、独自のアレンジが趣深いイデオンの顔

時代的には、ロボットフィギュアはこの時期、一方でバンダイの「超合金魂」シリーズが、「ロボットの、アニメ中の全てのギミックとオプションと可動」を網羅しようという豪華商品で邁進し、その一方で海洋堂のリボルテックシリーズが、サイズは小ぶりながら、全身のポージングアクションに絞り込んで商品化を展開していた中。

やまとと佐藤氏は、イデオンの商品化に当たり、超合金魂でも、リボルテックでもない「かつてのアオシマ版と同じスケールで挑むイデオンのでかさ」と「アニメ作画版への忠実さ」と「劇中のアクションの再現」の三要素に絞り込んで、見事に一体のフィギュアに魂を注ぎ込んだのだ。

ESI版イデオンの上半身の自然なポーズ。全関節が計算されつくして配置されている

さらに時代を進めば、翌年、2007年にはバンダイから、超合金魂でもイデオンは発売されたが、その変形ギミックと完成度の兼ね合いは、完全変形とも完全再現とも言い切れず、重厚さとギミックの多さだけは大迫力で伝わってきたものの、究極とは言い難い「あれもこれも」な半端な出来に終始してしまっただけに、今でもこの、やまとESI版イデオンの価値は色あせてはいない。

合体ギミックを排除したため、上半身も、胸、腹部、腰で、三段階で自在に可動できる

ESI版イデオンは、多少顔つき(ゴーグルの形)にアレンジは見られるが、少しでも手を抜くと、ただの四角い箱の積み重ねにしかならないイデオンのデザインを、見事に二次元から抽出した立体構造で構成し、あまつさえ微妙な湖川友謙ラインをも再現している。イマドキの完成品フィギュアだからすごいのではない、佐藤氏原型だからすごいのだ!

イデオンパンチ! 全身に仮想筋肉と骨格があるのでポージングが自然になっている

すごいというのはもう一つ。
このフィギュアには、合体や変形をしなくてよい分、様々なところに可動軸が設けられていて、それはイデオ・ノバであれば合体時に畳替えし的展開変形をする、Bメカの肩脇ブロックの内側にもフレキシブルジョイントが設けられているのだが。
ここが変形しなくて良いぶん、可動軸を仕込めばかなり自由度が高い動きを可能にするので、腕を振り回す演出の見栄えがよくなるだけではなく、イデオンファンが夢見た「無限ミサイル一斉発射ポーズ」の完璧に近いポーズをとらせることも可能!

合体変形機構がないので、肩ブロックも前方に向けて角度が付けられ、引き出し関節がなくても腕を前方に深く曲げられる

スーパーミニプラ版の項でも改めて書くが、イデオンファンにとって「無限ミサイル一斉発射ポーズが再現できるイデオンフィギュア」は、長年の夢(と、アオシマの夢見た奇跡)でもあったので、このフィギュアの登場は鮮烈なインパクトをもたらした。

ESI版の可動範囲を駆使して再現した、無限ミサイル一斉発射ポーズ

また、近年のフィギュアの世界でありがちな逸話になるが。
上でも書いたがこのフィギュア、オプションと呼べるものは両手の平手以外ついていない。そう、誰もが欲しがる、イデオンフィギュアには付属していて当たり前のはずの、肝心のイデオン・ガンが付属していないのだ。
無限ミサイル一斉発射ポーズが実現されておきながら、イデオン・ガンが付属していないというのは、著しく画竜点睛を欠く印象を与えるが、実はそこには裏技があった。

ESI版イデオンを使った、第一話の名ポーズ

最初にも書いたが、このフィギュアのスケールは1/600。その昔、アオシマが合体版とプロポーションタイプの、2種のイデオンを出したイデプラと同じスケールなのだ。
そしてその上で、当時アオシマは、グリップ握り拳付きのイデオン・ガン(商品名「波導ガン」)を単体で発売していた……。
そこで佐藤氏(もしくは発売元のやまと)は、わざと、アオシマ製「波動ガン」付属の拳の接続ピンの太さと、このフィギュアの手首の接続部分の太さを一致させることで、四半世紀ぶりに、アンティークトイ化していたアオシマの「波導ガン」を、最新の究極イデオンフィギュアに持たせることが出来るギミックを、予め商品に仕込んでおいたのだ!

ESI版イデオンに、四半世紀の年を経たアオシマ製イデオン・ガンを握らせることができる

確かに、この大きさでイデオン・ガンが付属させれば、商品価格はさらに跳ね上がるだろう。その上で、80年代当時のアオシマのイデオン・ガンは、今の目で見ても遜色がない仕上がりをみせていた。だとしたら、ユーザーは、このイデオンにイデオン・ガンを握らせたければ、中古価格でもそうは高くなかった(フィギュア発売当時)アオシマの「波動ガン」を買ってきて作り、握らせればいい。

再現画像より。ソロ・シップ甲板からイデオン・ガンを撃つイデオン!

こういった裏技や遊び心は、近年でもメーカーやブランドの垣根を越えて存在しており、同じキャラクター、同じ作品のメカ同士が、全く関係ない商品同士で組み合わせられたり、オプションパーツが使いまわせたりする例は少なくない。
なので今回は筆者も、当たり前の前提でこのフィギュアに、アオシマの「波導ガン」を握らせることにした。

クライマックスの印象的な、壮絶なイデオンVSアディゴ群!

各関節の可動領域。ポージングした時のラインの繋がり方。可動ギミックの仕込み方。そもそもの立体物としての二次元の産物の再現性。
それらを踏まえるとこのESI版イデオンは、合体、変形こそ出来ないが、解釈の方向性次第では「イデオンのアクションフィギュアの頂点」の座を、2018年現在でも失っていない金字塔商品ではないかと、筆者は思っている。

バンダイキャンディトイ 1/600 スーパーミニプラ イデオン 発動篇 2016年10月発売 4800円

イデオンのメカデザイナー、樋口雄一氏によるボックスアートの渋みが輝くバンダイ版!

さて、とうとう今回の番外編企画の目玉でもあり、現在容易に入手できるイデオンアイテムの中では、組み立てやすさ、再現度、可動、色分け、どれも最高峰のバランスで構築された、イデオンプラモの紹介に入ろうと思う。

恒例の角度の立ち姿。まさにバンダイマスターグレード版イデオン!

そもそも、バンダイという企業は一枚岩ではなく、事業部単位でしのぎを削り合ってメーカー全体が稼働している。
主にガンプラなどを扱うホビー事業部が花形事業部だが、通好みというアイテムは、結構キャンディトイ事業部が、食玩扱いで出していたりもする。
食玩とは、読んで字のごとく、そもそもは昭和の大昔のグリコキャラメルのように、キャンディやキャラメル、ガムなどがメインで、付属してくるオマケはオマケなりの出来とボリュームだった。

さすがバンダイの最新技術投入グレード。ポーズアクションはMGガンプラ並みにしっかり決まる

しかし近年、ガムがアリバイ程度の一個入りで、メインはどう見てもプラモデルやフィギュアで、しかも大型で高額の商品が目立ってきている。
「玩具」「模型」と「食玩」を分け隔てるのは、法律的には流通ルートの問題が大きく、社会通念的には互いの商品の流通ルートがかぶらないため、キャンディトイ事業部は、ホビー事業部が部署気風として商品化しないようなアイテムやキャラを、ガンプラとは違った製造法や構造概念で商品化するようになってきている。

バンダイ版イデオンの頭部UP。額のイデゲージとゴーグルはクリアパーツ

この「スーパーミニプラ」という商品も、一応アリバイ的にはガムも入っているし、ブラインド方式の売り方をしているので、商品概念としては昭和のビックリマンチョコやBIGワンガムと同じという言い訳は成り立つが、『勇者王ガオガイガー』(1997年)や『戦闘メカ ザブングル』(1983年)等、ホビー事業部のリメイク路線から外れた、好事家のツボを直撃する、驚きの商品化とボリューム、クオリティで、今のホビー業界でも目が離せないブランドに育っている。

ここからは、3機3種の各形態。変形合体プロセスは次回詳細に解説するが、まずはこれはソル・アンバー

思えば『ガオガイガー』も今回紹介する『イデオン』も、放映時期の版権は、タカラやトミー、アオシマ等がメインスポンサーとして所有していて、バンダイのその時々のメイン商品とはライバル関係にあったアイテムばかりである。

Aメカの攻撃形態、イデオ・デルタ

この辺りの「今は全部商品化権がバンダイに集まるのだな」は、超合金魂やフィギュアーツなどにも言えることだが、この一極集中状況には賛否両論があるだろう。

Aメカの合体形態。両腕を繋ぐバーがグレー彩色なのは、イデオン・ガンと共に成型色の限界からきていると思われる

今回紹介するスーパーミニプラ版イデオンは、一言で言えば「マスターグレード イデオン」とでもいうべき位置づけの商品。

Bメカ車両形態のソル・バニア。青や緑の複雑なカラーリングはシール補完

一応食玩扱いなので、数箱に別れて商品が売られているが、実際には「通常版」が3個セット、「発動篇」が4個セットで売られていて、その違いはこの後書き記すが、どちらもセットでユーザーが選べて、ダブりやかぶりが出ないように配慮されている。

「通常版」は、3個なのでもちろん、それぞれにソル・アンバー、ソル・バニア、ソル・コンバーとなるキットが一つずつ入っていて、3個合わせれば、イデオンになるという仕様は当然と言えば当然。

Bメカ攻撃形態のイデオ・ノバ。ボディ後部は丸ごと差し替えであることで評価が別れそうな仕様

これが4個の「発動篇」になると、3つ目までは同じキットなのだが、4つ目の箱にはイデオン・ガンと、イデオンの平手パーツと、それぞれのソルメカを、イデオ・デルタ、イデオ・ノバ、イデオ・バスタに変形させるパーツが付属してくる。

Bメカ合体形態。Aメカとの合体の違いも次回解説

法則性は若干違うが、この商品構成4個でイデオン・ガンまで全て揃うというアイディアは、懐かしのアオシマ1/600 イデオン合体版のばら売りを思い出させてくれて、マニアにはたまらなかったりもするのだ。

Cメカ車両形態、ソル・コンバー。デザインモチーフは「幼稚園バス」

実際の完成度はというと。
まず先に言及しておかなければならないのは、如何に「バンダイのプラモデル」としては同じでも、設計や製造工程を担当している事業部が違うので、ガンプラのHGUCやMGの規格とは全く違う概念が、パッケージを開けると待っているということ。

Cメカ飛行攻撃形態、イデオ・バスタ。3メカの中では一番劇的な変化を見せるが、これもほとんどが差し替えで再現している

例を挙げると。
食玩だからなのか、コスト的な問題なのか、このスーパーミニプラシリーズは、フルアクションや変形を再現しながらも、ポリキャップもABSも使用せずに、プラ素材オンリーでキットが構成されている。

Cメカの合体形態

もっとも、KPSはプラモデル用接着剤に触れた部分は(特に赤い素材は)変色するので、素直にスナップフィットに徹するか、接着剤をもし使うならばかなり細心の注意が求められる。

合体した状態。プロポーションは顔小さめ、ボディ幅狭め、脚長めのイマドキ風アレンジ

しかし、実際に制作してみて分かるのは、ランナーにパーツを繋ぐゲートがかなり太いということと、おそらくKPSだからなのだろう、プラ素材がかなり弾性があり、柔らかい材質で成型されているということ。
また、このスーパーミニプラシリーズは、ランナー単位のパーツの配置などが、ホビー事業部のガンプラとは全く癖が違っている(これが設計技術の問題なのか、材質の問題なのかは分からない)。

イマドキ風のプロポーションを確認すると、肩幅と顔の大きさは、アオシマの1/810 イデオンとほぼ同じだということがこの写真からも分かる(手前がアオシマの1/810 イデオン)

組立自体の難易度は高くなく、標準的なガンプラのMGよりも若干容易な程度。
それでいて、ゴーグルは(アオシマ1/240 アニメスケール以来の)クリアパーツで、それは3つのイデゲージにも使われている。
色分けは、本体はほぼ完璧。

3つあるイデゲージは全てクリアパーツだが、Bメカのイデゲージだけは、ゲージと囲うグレーのプレートの切れ込みの円の直系が合っていない辺り少し残念か

しかし、色分けに関してはやや残る「完璧ではない部分」が遺恨を遺す仕様となっている。
最初は、イデオン状態での、襟首の白と、脛外側の紺色の二重線ラインが足りてないことが妙に気になり、どうしようか、でもまぁイデオン状態ならやまとのアクションフィギュアを使うからなぁと葛藤していたのだが。
このスーパーミニプラ版メインの、『伝説巨神イデオン』ビジュアル再現のメインの役目である3機のメカに分離させてみたところ、イデオ・ノバの武装の色の足りなさまでは仕方ないと思えても、やはりイデオンの襟に当たる白の欠落をはじめ、どうもBメカの顔がしまらないなーと思ったら、肝心のフロントのシャッターのグレーと、ヘッドライト周りの黒とブルーが欠落していると判明。
うーん。ここだけ部分塗装するか?と悩んでいたところ、Cメカを見ていろいろガッカリが噴出した。

再現画像より。ソロ・シップから出撃するイデオン3機メカ!

このCメカ。イデオンの脚の状態としての色分けは、トリッキーなパーツ構成でほぼ完璧なのだが、脛の外側の二重ラインの紺色の欠落だけではなく、ソル・コンバー、イデオ・バスタ時のカラーリングがめちゃくちゃすぎるのだ。
アニメの設定では、まずCメカ状態での機首は、スリッパ部の紺色より一段明るいブルーでベースが塗られ、機首で紺色は、コックピットウィンドウの周囲の枠組みだけなのだが、このキットではCメカの機首は両形態ともにスリッパと同じ紺色一色である。
ここまではまぁ、アニメの設定どおりの色を完璧に求めるのも、さすがに贅沢を言い過ぎだろう。他のパーツと同じく、シールで補えばいい。
しかし、紺色をブルーに補うシールが付属していないばかりか、アニメでは薄いスカイブルーのはずのコクピットウィンドウ用の付属シールが、なんと明るいグリーンなのである。
もちろんBメカ同様、ヘッドライトを補うシールはなし(Cメカのヘッドライトはイエロー)。
後述する「イデオン・ガンのグレー」もそうだが、一番怖いのは、元アニメを知らない世代が、この成型色とシール仕様を無検証で受け入れてしまって、今後の立体物におけるイデオンのカラーリングが、これを基準に設定されてしまうことだろう。
その辺りの危惧は払拭できないが、解説はひとまず次に可動のチェックに移ろう。

可動は、画像を見ていただけていれば充分お判りになると思うが、「無限ミサイル一斉発射ポーズ」をはじめ、イデオンで再現したい名場面はおおかた完璧にこなしてしまう運動性と可動性を誇っている。

バンダイが高らかに「再現可能!」と謡ったはずの、無限ミサイル一斉発射ポーズの精一杯

ただ、「無限ミサイル一斉発射ポーズ」は、そもそもあのシーンでのイデオン自体、アニメでの「二次元の嘘」の塊なので、アレをまんま立体物で再現しきることには限界があり、やまとのESI版も、このスーパーミニプラ版も、どうにか「そう見える気になれる」ところまでは辿り着いているかというレベル。

アニメ『伝説巨神イデオン』より、伝説になったアニメ版無限ミサイル一斉発射ポーズ

そういう意味では80年代のアオシマのイデオンプロポーションタイプは時代が悪かったとしか。

「無限ミサイル一斉発射ポーズが再現できる」と謡った歴代1/600 イデオンと元画像の比較。

画像は、右上がアオシマプロポーションタイプ、左下がこのバンダイスーパーミニプラ版、右下がやまとESI版。それぞれ実はあまり大差なく再現に至っていない。

なので、二次元の嘘を追い求める再現画像では、このバンダイ版イデオンを使って、上半身と両腕を別個に撮影して合成したものを用意した

基本的には、現代のイデオンキットとしてはほぼ満点なのだが、せっかくなので気になった点や、当時のアオシマのイデオンにも至らなかった点をいくつか。

まず、これは次回のイデプラ番外編最終回でも述べるが、イデオン独自の3機3種3段変形合体が、各形態はほぼパーフェクトに再現できているのだけれども、姿形を変えていくプロセスが、ほぼ9割「差し替え・刺し替え」であって、殆ど「変形」はしないということ。

付属のイデオン・ガン。詳しい評価は本文に譲るが、一番「うーん」と思ってしまったのは、成型色数の限界からくるグレーカラーだということ

そして次は、イデオン・ガンの付属はありがたいのだけれども、アニメ本編や、アオシマのイデオンでは再現していた「イデオン・ガンとイデオンを繋ぐエネルギーチューブ」が、完全にオミットされていて、だから当然イデオンの腹部の、チューブが繋がる、コネクタが露出するシャッターの展開も、差し替えですらなく、無視されているということ。
この二つに関しては、時代も技術も80年代ではガンプラ以下だったアオシマのイデオンが、果敢に挑戦していた部分だっただけに、今回の省略は少し寂しい気がする。

イデオン・ガンを構えたバンダイ版イデオン

プロポーション的には、アオシマ版はもとより、やまとのESI版と比較しても、小顔で肩幅が狭く、足が長い「イマドキのガンプラ風アレンジ」なので、好みは別れるかもしれない。

付属のイデオン・ガンを構えたバンダイ版(左)と、アオシマのイデオン・ガンを構えさせたやまと版(右)

確かにアオシマのイデオンはどのキットもトップヘビーだったが、写真をご覧になればお分かりのように、このスーパーミニプラ版は、アオシマ版最小の1/810 アニメスケール版と、顔の大きさや肩幅が同じなのだ(もっともこれは、この番外編でも述べた「当時から、1/810の上半身に、1/600の下半身を接続すればプロポーションは良くなる」というアオシマの癖とのギャップゆえかもしれないが)。

というわけで、やまとのESI版と、バンダイのスーパーミニプラ版。
現代に再生された、二つの「イデオンフィギュア」(超合金魂版は、あれはいろいろここで流れに乗せるのとはまた違うと思う。ガンプラ紹介でROBOT魂を持ち出さないのと一緒で)を並べて見ると、イデオンがどれだけ愛されてきたのか。どれほど当時の鮮烈な映像衝撃が打ち消せないファンが多いのかが分かるようで興味深い。

オマケに、同様のガッカリが、Cメカのビジュアルの大半を占めるウィング部分にも起きていて、ここはさすがにシールは付属しているのではあるが、アニメ設定だと3色の青で塗り分けられているウィングが、このミニプラ版では紺色ベースのパーツに対し、アニメではウィングには用いられていない“鮮やかなスカイブルー”でシールが形成されている。
ここまで配色の組み合わせ自体が違うと、シールで誤魔化すことすら、むしろアニメのCメカから遠ざかってしまう。

なので、やまと版との統一性も考えて、このバンダイ版も3種メカ単位で、まずは細部を追加塗装することにした。
まずは、Aメカの両腕を繋ぐフレームは、メタリックグレーで成型されていたのでクールホワイトで塗装。
Bメカは、機首のグリーンや紺はシールに頼るが、首周りのシャッター部分をニュートラルグレーで塗装。小さく2本突き出ている突起物もボディに準じたキャラクターレッドで塗装しておく。
Cメカのコクピットウィンドウは、スカイブルーとホワイトの混色。
Cメカは、実はソル・コンバー形態時にも、フロントに赤いラインが走っているので、そこはキャラクターレッドで塗装。
ソル・コンバーのヘッドライト周辺は、艶消し黒とイエローで塗装。イデオ・バスタ機首の赤はシールを用いた。
ソル・コンバーのフロントのシャッター部分は、Bメカと同じくニュートラルグレーで塗り分ける。
Cメカ機首全体の青は、ガンダムカラーのMSライトブルーを選択。
イデオ・バスタのウィングは、ここまで出てきた、ブルーFS15044とMSライトブルーの組合わせに、エアスペリオリティブルーを足して再現した。
A、B、C、共通してタイヤやキャタピラは、艶消し黒やニュートラルグレー、ガンダムカラーのMSファントムグレー等で塗り分けておく。

再現画像より。イデオン全編のクライマックス!

イデオン状態での、他の追加塗装箇所は以下のとおり。

・握り手、平手の2種類の手首を、ブルーFS15044で塗装
・首周りの襟を、クールホワイトで塗装
・肩部後ろのソルバニアヘッドライト部分を、艶消し黒とスカイブルーで塗装
・脛両外側の二重ラインを、ブルーFS15044で塗装

その上で、イデオン・ガンが濃いグレーであるという仕様について、いろいろ考えさせられた。
キットでは、各メカのフレームやタイヤやキャタピラなどと一緒くたに、濃いグレーで成型されているイデオン・ガン。
確かにこのグレー成型のままの方が、落ち着いた感じもするし、よりリアルなのだろう。
今回の記事でも、紹介写真はほぼ全て、成型色のままのイデオン・ガンで紹介している。
しかし、シミルボンでの再現画像では、アオシマ製イデオン・ガンを握ったやまと版と共演する予定なので、カットごとにイデオン・ガンの色が変わってしまうことは都合が悪い。
加えて、今回のグレー成型色仕様は、リアリティ重視の側面もあるかもしれないが、バンダイがガンプラでもよくやる、コスト削減のための、グレーパーツのアリバイ化かもしれないのだ(G3ガンダム等でやった「あの手法」である)。
加えて、筆者は特に最初の『機動戦士ガンダム』再現では、モビルスーツが持つ武装に関しては、今どきのガンプラの設定ではなく、徹底してアニメカラー準拠に拘ってきた。
であれば、ここではイデオン・ガンにもその法則を当てはめるべきだろう。
そう考えた筆者は、ここでの紹介画像を撮影した後、再現用に撮影を開始するタイミングで、イデオン・ガンをキャラクターブルーで塗り、アニメ設定に近い、アオシマ成型色と似せて塗装しておいた。
イデオン・ガンのスコープ等は、ガイアカラーのエメラルドグリーンで塗装している。

今回紹介した現代版イデオン2機。同じ1/600スケール表記だが、バンダイ版(左)とやまと版(右)では、全頭高もボリュームもかなり違っていて、並べて比較するといろいろ面白い

次回は『ガンプラり歩き旅』イデオン番外編の締めくくりとして、アオシマ1/600合体版と、スーパーミニプラ版との「合体・変形・各形態」の徹底比較を行いつつ、「歴代1/600 イデオン 総登場」をやってみたいと思う。

市川大河公式サイト

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