『ガンプラり歩き旅』その57 ~イデオン編・5 アオシマが意地でも1/600で揃えたバッフ・クランメカ選り抜き紹介編!~

『ガンプラり歩き旅』その57 ~イデオン編・5 アオシマが意地でも1/600で揃えたバッフ・クランメカ選り抜き紹介編!~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をしてきた『ガンプラり歩き旅』。 今回は全8回で、ガンプラブームと共にロボットプラモブームを牽引した、『機動戦士ガンダム』(1979年)の日本サンライズ・富野由悠季監督の次作品『伝説巨神イデオン』(1980年)のアオシマ製プラモデル群から、現代に至るまでのイデオンフィギュアを、追いかけてみたいと思います!


1/600シリーズで最後に選んだのは、映画版オリジナルメカのザンザ・ルブ。
今回、再現画像を作るに当たっては、イデプラをどの程度揃えるかで悩んだが、全てのメカが個々に見せ場があるテレビ版ではなく、劇場版の、それも『発動篇』だけから抽出すると、そこで登場するバッフ・クランの重機動メカは、今回の4種類が殆どであることが分かった。

完成したザンザ・ルブ。相似形のガンガ・ルブと比較しても一回り大きく、想像よりでかい。迫力も満点

このザンザ・ルブは、富野監督が『ガンダム』の主役ロボで登場させたかった(そして、主役ロボとしては後の『重戦機エルガイム』(1984年)で達成される)「全身純白のロボット」としてデザインされており、それが予め決まっていたことを示すかのように、全身が曲線と曲面で「骨」からデザインされていることが、手足の構造からみてとれる。

関節可動箇所自体は多いが、保持力の問題と関節の位置の問題から、ポージングは限られている

また、『イデオン』劇中で「白」は、バッフ・クランにとって「徹底抗戦の意思表示のカラー」でもあり、ガンガ・ルブをモチーフとしながら、優雅で幽鬼的な見事なデザインに仕上がった。

真横から見たザンザ・ルブ。やはりガンガ・ルブの基本構造を基にしながらも、禍々しいラインへと変更されている

アオシマとしても、このメカは映画版『イデオン』のメイン商品たりえるわけで、造形的にも、ほぼ同時期のバンダイの『聖戦士ダンバイン』(1983年)のオーラバトラープラモよりも、曲面のデザインの、立体への落とし込み方などはこちらの方が勝っている。

ザンザ・ルブの頭部(?) 水玉模様部分はガンガ・ルブ同様にクリアパーツで作られている。意外とパーツ同士の組み合わせ方は複雑

もっとも、当時『イデオン』ブーム自体が、商品展開的にはピークを過ぎており、発売予定で発表されていた1/600 ゴンド・バウや、アニメスケールシリーズのガンド・ロワ等が未発売に終わったばかりか、このザンザ・ルブでも、オーメ部分をクリアパーツで作っているため、ひょっとしたらアオシマ的には、勢いさえ衰えてなければ「光るザンザ・ルブ」を別個に売りたかったのかもしれない。

再現画像より。イデオンに対して大型のザンザ・ルブが3機編隊で襲い来る!

もっともこのザンザ・ルブキット。
複雑な曲面で構成される腕や脚を、上手いパーツ分割で構成したところまではよかったのだが、説明書どおりに組み立てても、実際のパーツ同士が説明書のようにかみ合わなかったり、接着剤を塗れるパーツ同士の接合面がズレすぎていたり、そしてまたもや、両腕の付け根のポリキャップが、人間でいう肩の筒状のパーツの中に納まらなかったりで、それなりの見栄えで作ろうと思うと、かなりの苦労と手間と技術が求められる代物に仕上がっている。

ザンザ・ルブのリアビュー。巨大な2つのスラスターノズルが印象的だが、やはり微妙な曲線と曲面で構成されている

また後ろ足の胴体との接続の球体関節内部のポリキャップ装着にしろ、その保持と強度が接着だけでは弱いと判断したのか、球体ポリキャップをプラパーツで挟み込んだあとネジ止めをするようになっているのだが。

これがまた、ポリキャップのサイズと、それを包み込む球体部分のプラパーツとのサイズが微妙に合っていなくて、いくらネジを絞めてもパーツの合わせ目が露出して、接着剤とネジ止めを全力で締め上げてプラパーツで覆い隠したとしても、今度は肝心のポリキャップが、締め付けられ過ぎて可動しなくなる。

この「ポリキャップ標準搭載は良いが、ポリキャップのサイズや形状と、それをはめ込むプラパーツの収納部分のサイズが合っていない」は、イデオンプロポーションタイプなどでもみられた原因であり、多分原型段階ではうまくいっていたのだろうが、生産するに当たっての、パーツの素材の違いからミスが生まれてしまったのだと思える。
そう考えると、やはりバンダイの、アオシマよりも遅れつつもしっかり精度を増してから商品にポリキャップを実装した、着実な進歩はさすがである。

まるでガンダムの主客転倒のように、イデオンに襲い掛かる「白い悪魔」!

筆者としては、「再現画像で映画版をイメージさせるためには必須」「基本白一色のメカなので塗装が楽そう」「中古価格が安い」等の理由で手に入れて作ってみたが、パッと見るよりも細かい塗装部分は多く、組立も困難を極めたという意味では、本当に苦労させられたキットである。

塗装は、成型色の白はそのままに、MSファントムグレーとニュートラルグレーを各部に配置して、劇中どおりに再現してある。

アオシマ アニメスケールシリーズ

1/50 ジョング 1982年1月 300円

二人乗りの小型機動メカであることと、集団戦闘をメインにすることと、イデオンとの大きさの対比という要素が全部込められた秀逸なボックスアート

イデプラのメインストリームが1/600シリーズへ移動した後、アニメスケールのイデプラは、そのまま継続して「むしろ1/600では無理があるメカのキット化」へと路線変更した。

例を挙げれば、一方で巨大すぎるバイラル・ジンや、一人乗りの小型メカ、ガタッカ等の商品化である。
その意味では、この1/50 ジョングも、ガタッカと同じ枠で商品化に至ったとも言える。

完成したガタッカ。メカはともかくパイロットの人数と造形が……

ジョングは、『イデオン』最後半で、アディゴの「巨人に対するアリの群れ」をさらにエスカレートさせたかのような、小型の二人乗り三本足メカであり、その目的はイデオンの破壊ではなく、イデオンやソロ・シップに対して白兵戦を仕掛け、数の力でメカではなく、操縦者や乗組員を襲うという目的の兵器であり、このふり幅の広さは、まさにセンス・オブ・ワンダーではあったが、アオシマは最後まで『イデオン』メカの個々のギャップに振り回され続けたとも言える。

両足の可動は範囲も保持力も良好なので、様々なポーズで飾れる

キットの方は、成型色の黄色が安っぽい印象を与えるが、三本の脚の関節が全て可動するため、群れを描く演出でも個々の違いを推し出しやすいのでありがたい。

しかし、このキットの最大の問題は、本来は二人乗りであるはずのジョングに、パイロットの一人しかフィギュアが付いておらず、攻撃において重要なガンナー不在のパーツ構成であると同時に、そこで付属してくるパイロットの造形が、いくら1/50とはいえ、スケールモデル系の1/35メーカーのフィギュアモデルと比べて、あまりにも造形が稚拙で、古いキャラクタープラモのいい加減な人間パーツそのままであったことだろう。

しかしこのパイロット。もう少しなんとかできなかったものだろうか、アオシマさん……

パーツの合いが悪いことは、この際当時のアオシマクオリティの標準なので今更文句は言わないが、このパイロットの不出来さだけは、もっと暇さえあれば、タミヤやハセガワ辺りの適度な1/48スケールモデルの、パイロットかドライバーをカスタムして乗せればよかったのかもしれないが、今回はスケジュールの都合でこれで妥協である。

しかも、後部ガンナー座席は空っぽ(笑)

ポリキャップが使用されていない分、逆に関節可動などのパーツの合いはザンザ・ルブ等よりも良い仕上がりなのが皮肉だが、あくまでイデオンをメインに画像を作り、ジョングはその画像サイズに合わせて小さくすれば、パイロットの稚拙さも合わせ目も目立たないだろうと判断した。

それでも、姿勢やポーズの自由度は高いので、あえて今回は、先ほどのボックスアートの再現に挑戦してみた

塗装は、ジョング本体の追加カラーはミディアムブルーだけ。パイロットはクールホワイトとデイトナグリーンとニュートラルグレーで塗装した。

アオシマ 1/2600シリーズ

1/2600 グラム・ザン 1982年7月 300円

イデオンの敵戦艦からは、このグラム・ザンだけをチョイス。パッケージアートもSF映画ポスター調でカッコいい

イデプラがアニメスケール初動の1981年3月に、主人公サイドの戦艦、ソロ・シップが1/2600スケールで発売されたために、イデオン世界の戦艦は、重機動メカほどサイズの落差が激しくないということもあって、そのまま劇中に登場する戦艦群を、このスケール統一で商品化する、1/2600シリーズというカテゴリが出来上がった。

完成したグラム・ザン。戦艦キットの出来にハズレがないのはガンプラ同様

商品ラインナップは、ソロ・シップの後は、ガタマン・ザンと、今回紹介するグラム・ザン。そしてドロワ・ザン、サディス・ザン、ガロワ・ザンと続いて、発売が告知されていたブラム・ザンやガドモワ・ザン、地球軍の戦艦ムサッシなどが未発売のまま終わってしまった。

グラム・ザンもザンザ・ルブ同様、白一色に見えるが以外と塗装箇所は多い

この時期には既にアオシマのロボットアニメの商品化の主軸も、『無敵ロボ トライダーG7』(1980年)『最強ロボ ダイオージャ』(1981年)を経て、『魔境伝説 アクロバンチ』(1982年)へと移っており、そこではやはり合体ロボットシリーズなど、本来のアオシマ路線へと戻っていく流れがあるのだが、このグラム・ザンは、イデオンプロポーションタイプと共に、アオシマのアニメメカリアル路線の最期を飾る時期のキットである。

その割には、アニメ設定画と比較すると、メインボディの前部インテーク側や、後部バーニア側等で、いろいろと間違いや解釈ミスが数多く、これは塗装をする時に大変悩まされた。

アニメ設定とは微妙にパーツ構成や構造が異なるリアビュー

アニメ設定画とキットが違うだけではなく、塗装説明画とキットもまた違うのだから、どうすればいいのか本気で判断できなくなる。

5種あった1/2600スケール戦艦シリーズの中で、どうしてグラム・ザンを選んだかというと、書いてしまうと元も子もないが、ヤフオクで一番安く手に入ったからで、一応画として、バッフ・クラン側の戦艦も一つぐらい欲しいと思った以上の理由もなく、なので身も蓋もないがこのキットを選択した。

このグラム・ザンとジグ・マックを組み合わせた、バッフ・クラン出撃の再現画像

シミルボンの再現画像では、肝心のソロ・シップはアオシマのプラモデルではなく、近年バンダイ系列のメガハウスから発売された、完成品フィギュア「コスモフリートコレクション グランメカニクス 02」のソロ・シップを使用している。

グラム・ザンの塗装の方だが、キットの白をベースに、シャアザクの赤茶色とインディブルー、後はオーメの部分を艶消し黒とシャアピンクで塗装して完成させた。

今回用意したバッフ・クランのメカ群。ジョングとグラム・ザン以外は同じ1/600スケールなので、メカとしての大きさの違いが分かりやすい

改めて、今回のイデオンのバッフ・クラン側のメカを一堂に並べて見返す。
グラム・ザンとジョングはスケールが違うので比較にならないが、ガンガ・ルブとザンザ・ルブが、基本構造とシルエットが似ているのに、全体的なボリュームが倍ほど違うことに改めて気づかされた。組み立てていてでかいはずだ(笑)
また、繰り返すが『ガンダム』世界では、ビグ・ザムがこの写真中央のアディゴと近いサイズなので、ザンザ・ルブがどれだけ巨大な機動メカなのかが理解していただけるであろう。

必要最小限にて、『イデオン』全編とはいかないまでも、ある程度の名場面を網羅するための脇役敵メカ6種。
その活躍にご期待ください!



(取材協力 青島文化教材社)

市川大河公式サイト

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