ダイヤルQ2(通称キューツー)とは
私たちの世代の方は、よーくご存じのダイヤルQ2。電話番号が0990から始まり、電話をすると、「この情報は、1分間に〇〇円の情報量が課金されます」というような音声が流れてくる。
成人向けサービスで一世風靡しましたので、苦ーい想い出のある方も多いのではないでしょうか(笑)。私は、よく占いを聴いてはまってしまった一人。人生に迷い中のころ(笑)。
1989年7月にサービス開始になったダイヤルQ2。ピーク時の1991年頃には全国で8500番組が提供されていたそうです。インターネットの普及で徐々に利用者も少なくなり、2014年2月28日でサービス終了。今では、災害時の募金活動で使われたりしていますね。
サービスを利用するにはプッシュ式の電話機が必要でした
当時は、まだスマートフォンなどない時代でしたので、「受話器のついた電話機」が主流でした。
そして電話を繋ぐ回線は、アナログ回線。アナログ回線には、ダイヤル回線とプッシュ回線というのがあります。
数字のところに指をいれてダイヤルする黒電話は、ダイヤル回線のみで繋がれています。
一方、数字のついたボタンを押してダイヤルする電話機は、ダイヤル回線とプッシュ回線のどちらかで繋がれていました。ボタンがついているからプッシュ回線の電話機とは限らないということですね。
確認する方法は、電話機についているボタン「*」(米印)を押して「ピッ」という音がしたらプッシュ回線。「ジージー」とか「カタカタ」という音であればダイヤル回線という見分け方でした。
ダイヤルQ2を利用したい場合は、プッシュ回線の電話機が必要でした。

黒電話
黒電話 - Wikipedia

そもそもダイヤルQ2サービスの本来の目的は?
ダイヤルQ2は、情報を提供したい会社(人)と情報と情報を電話から入手したい人とを結ぶのが目的で、情報料は通話料に課金してNTTが回収を代行しましょう。と言うサービス(個人的解釈)。
情報提供者側も料金回収ができないということもない。情報を聴きたい人は費用の支払いを別途済ませてからという手続きもなく通話料に課金されてくるので割と気軽にかけられる。この仕組みを利用して、当時ベンチャーがたくさん台頭してきました。
成人向けサービス(「ツーショットダイヤル」とよばれていた)で世の中に広まりましたが、本来は、有益な情報(ニュースやテレホン相談など)での利用をNTT側は想定していたのですよね。
仕組みは「テレフォンサービス」と同じ
ダイヤルQ2の仕組みはテレフォンサービスと一緒なのですよね。
イメージしやすいところで言えば、荷物の再配達の伝票を見ると、指定の電話番号がかかれていて、電話をすると、「こちらは、〇〇宅配サービスです」と音声が流れてきて、「集荷をご希望の方は1を」「再配達をご希望の方は2を」など案内が流れてきますね。このような仕組みと同じです。
では、どのようなものだったのか。ここで、かかせないのが、「自動音声応答装置」。
下記のようなコンピュータ。呼び方は、音声応答装置、音声応答システム、音声自動応答装置などと言ったりします。
人を常に配置しておかなくてもコンピュータに予め録音しておけば、24時間の対応ができるので効率的です。
今では、運転免許テレホンサービス(24時間)もあり、企業のサポート窓口などでも、担当者に繋ぐ前に、このシステムを使用しているところも多いですね。
私たち世代は、テレフォンサービスといえば、、「リカちゃん電話」ですが(笑)

音声応答装置
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テレフォンサービスと同じなのに、「ダイヤルQ2」と言うのは?
テレフォンサービスと仕組みが同じなのに、なぜダイヤルQ2と言うのか。
電話番号には、サービスの種類によって番号の付け方が違うようです。
今はどんどん減っていますが、家電といわれる固定電話は、「0×××」という市街局番から始まりますね。
この固定電話意外に、特殊なサービスを提供する場合は、わかりやすいように、電話会社共通の番号として「0××0」から始まる番号を付与することになっています。
例えば、「0120」で始まる番号。これは、「フリーダイヤル」※といいますね。通話料を相手側が支払うというサービスです。
では、ダイヤルQ2は?
ダイヤルQ2は、「0990」から始まる番号になっています。「情報料代理徴収サービス」といって、通話料とは別になんらかの情報を情報提供会社が決めた金額を電話会社が代行して徴収し、通話料と一緒に請求がくるというサービスです。この番号には、「9」が二つあることから「ダイヤルキューツー」と呼ぶのかと当時は思っていましたが、、Quest、Question、QualityなどのQをもとにつけられたともされているようですね。
結論からすると、仕組みはテレフォンサービスと一緒でも、提供するサービスの内容によって、電話番号が、固定電話の番号なのか、特殊なサービスの電話番号なのか決まっているということですね。「ダイヤルQ2」が特別なシステムということではないということです。
※「フリーダイヤル」は、NTTコミュニケーションズの登録商標です。
サービス開始のための番組(音声やFAX)の制作はどのように
サービスを提供するハードウェアが決まり、ダイヤルQ2用の電話番号も取得と並行に、サービスの番組も考えていきます。音声での提供とFAXでの提供ができます。
音声制作は、サービスの内容を考えてシナリオ作りです。
コンピュータに音声はどのようにしていれるのか。
実は、私は、当時、この音声を制作するベンチャーで働いていました。
当時は、音声入力は、二パターンありました。
入力する言葉を考えて、人の声(声優の方など)をまず録音します。録音した音声を編集して、
遠隔で、電話回線を使ってコンピュータにいれていく方法。
もうひとつは、直接、電話機から決められた電話番号に電話をして録音をしていく方法。これは編集なしの一発勝負です。
声優の方でも、コンピュータにのる声とのらない声があるのですよね。周波数の関係があるようでした。
私も人がいないときは、代わりに録音していましたよ。一発勝負ですので、失敗したら削除→再度録音を繰り返していました(笑)

直接電話機から録音する様子。
電話の検索結果 | かわいいフリー素材集 いらすとや
FAXサービスの場合は、パソコンで原稿制作をします。当時は、Mackintosh(マッキントッシュ)しかありませんでしたので、Macで制作します。写真の画像を綺麗にだすという技術がなかったため、とても苦労していました。原稿が出来上がったら、手元のFAX機から電話回線を通じて、サービス用のコンピュータにプッシュボタンで操作しながら送ります。
これで、FAXサービスが開始できるというわけです。

FAX機から原稿を送信
FAXの検索結果 | かわいいフリー素材集 いらすとや
懐かしい当時の音声サービスとFAXサービス
番組は、ダイヤルQ2でのサービスもあり、固定電話でのサービスもありました。
成人向けサービスだけではなく、有益な情報番組も多数ありました。
メーカー側では、お客様向けの販売促進のために音声サービスやFAXサービスを、スポーツでは、Jリーグ、F1、大相撲、など結果速報を流したり、選手の声が聴けるようになっていたり、など、ピーク時の1991年には全国で8500もの番組が提供されていたようです。
ダイヤルQ2でF1の速報
当時、スポーツ新聞で、F1の結果速報をしていたのをご存じでしょうか?
3月から始まり、開催日に合わせて、新聞社から情報がくるのをひたすら待っていました。
ほとんどが海外での開催ですので、夜中だったり大変でした。
F1の情報を見るたびに思い出すのは、「アイルトン・セナ」のことです。
新聞社からの情報を待っていながらテレビも同時に見ていましたので事故もリアルタイムに見てしまいました。その日の速報は中止にしたかどうかは覚えていませんが、かなりショッキングな出来事でした。
Jリーグ、大相撲など、スポーツでは、結果速報を提供
1992年の日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)発足後、1993年3月の開幕の時は、試合結果の速報を音声で流していました。なかなかチームの名前が滑らかに言えず苦労した記憶があります。発足当時は10クラブしかなかったのですね。今は、多すぎて流すとなると速報にならないくらい時間がかかりそうですね(笑)
Jリーグ関連では、いろいろな会社もテレフォンサービスを開始していたように思います。
大相撲も結果を速報で流していました。力士の名前が読めずひらがなを振りながら覚えていました。


ゲームメーカーのテレフォンサービス
ゲームメーカーでは、お客様のために音声サービスやFAXサービスをしていたところも多かったかと思います。
「セガ・JOYJOYテレフォン」というのがあったのをご存じでしょうか?
当時のテレフォンサービスではかなりアクセス数も多かったのですが。
セガの担当の方がシナリオを考えてスタジオで音声収録をしていました。
FAXサービスでは、ゲームのキャラクターのことや新商品発売のことなど。セガサターン発売のときは、ソニーのプレイステーションも発売でしたので、金額をいくらにするかなどで、何回も原稿を作り直した記憶があります。
お客様向けのサービスとして、とても良かったと思います。

セガサターン
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ダイヤルQ2のサービス終了であらためて思うこと
インターネットの普及により利用者も減少の中、2014年に正式にサービス提供を終了しましたが、こうやって振り返ってみますと、今は、インターネットでなんでもすぐに調べられるけど、ホームページのどこを見てよいかわからないときもあるし、閲覧しているうちに、どこに戻って良いのかわからなくなることもあります。ダイヤルQ2や固定電話のテレフォンサービスのように、どの情報は、何番をプッシュと明確に案内されれば、即知りたい情報にたどりついたような気がします。その方が時間の無駄がなかったように思うのは私だけでしようか・・。当時を振り返りながらそのように思いました。皆さんは、いかがでしょうか?