アオシマが児童向けプラモ中心だった時代のメインシリーズ「合体ロボット」のイデオンから3種。イデオン自体は3種共通仕様
今回の番外編で紹介していくのは、シミルボンでもその流れで『伝説巨神イデオン』の作品紹介をするので、その『イデオン』に登場した、主人公ロボットイデオンの様々な立体を中心に、敵役の重機動メカ等も含めてイデオンの立体物歴史を俯瞰していきたいと思います。
今回は、まずはアオシマが『イデオン』放映終了直前に、児童・幼児層向けに発売した、オリジナル合体玩具風イデオンプラモデル(以下「イデプラ」)をご紹介。 ここでは3つのキットを紹介しますが、実際の商品ではイデオン自体はどれも同じ金型を使っていて、1つ目と2つ目が同時にリリースされて、その2つの商品を統合した3つ目が、一年後にリリースされたという商品です。
アオシマ 合体ロボット 合体巨神イデオン 1981年1月 700円 ノンスケール
3機のマシンが合体するプレイバリューを前面に推し出したボックスアート!
アオシマ 合体ロボット 機動合体イデオン 1981年1月 700円 ノンスケール
こちらは、イデオンの全身に追加された武装をフルに活用した状態の箱絵
アオシマ 合体ロボット イデオン 1982年1月 1000円 ノンスケール
「合体巨神」「機動合体」全てのパーツが入ったフルセットのボックスアート
Amazon | 1/600アオシマ 伝説巨神イデオン A・B・Cメカ+波動ガン | おもちゃ | おもちゃ
アオシマが、1981年のガンプラブーム初動期に、それまでの児童層路線プラモから、アニメ設定準拠プラモへの過渡期として、ガンプラ(の1/100)を仮想敵にして送り出したカテゴリが、この「合体ロボット」シリーズである。
「合体ロボット」シリーズは『イデオン』だけにとどまらず、既に放映が終了していた『無敵超人ザンボット3』(1977年)『無敵鋼人ダイターン3』(1978年)等の、アオシマが版権を持つ過去富野監督作品からも商品がリリースされている。
当時のアオシマの販促チラシより。オリジナルのアトランジャー、マッハバロンの金型改造のドライガーなどもラインナップされている
アオシマはそれまでにも「ミニ合体ロボット」「おやこ合体」シリーズを主軸としてロボットプラモデルの商品化を進めてきたが、ミニ合体ロボットシリーズが、あくまでアオシマ独自のデザインセンスで、テレビ設定を無視した4分割による4機合体のギミックプラモデルであったのに対して、合体ロボットシリーズは、変化球的要素はありながらも、テレビ作品内設定を取り込んだ商品であることがまず挙げられる。
その上で、イデオン、ザンボット、ダイターン、それぞれ3種とも、基本となるロボット形態の同一金型で、ギミックの異なる2つの商品を売るビジネスプランが建てられたのだ。
平成に復刻された、3種のアオシマ合体ロボットシリーズ
実際には、ザンボットでは、ザンブル、ザンベースは共通で、そこで胸部と頭部を構成するメカが、ザンボット完成形態重視のザンバードである「無敵合体」と、簡易的にザンバードにも変形できるザンボエースが代わりに用意されている「超人合体」という2商品に別れていた。
これがダイターンになると、ダイターンはロボット形態の他に、戦闘機形態のダイファイターと、戦車形態のダイタンクとの、3形態に変形するメカなのだが、やはり同じダイターンの同一金型パーツに対して、ダイファイターへの変形パーツを付属させた「戦闘合体」と、ダイタンクへの変形パーツを付属させた「重機合体」との、2つの商品が展開したのだ。
共に、一年後には2種パーツを統合させた「合体ロボット」冠でザンボット3、ダイターン3のフルセット版がそれぞれ発売しなおされるのであるが、その法則性(アニメのギミックを2分割して、AセットとBセットの2種を同じロボット金型で別売りして、一年後にA、Bを統括した「合体ロボット」版を売る)を、まんまイデオンでやったのが、今回紹介する3種類のイデプラなのである。
共通素体となる、完成形のイデオン
つまりこういうことである。
共通のイデオンのロボット構成パーツに対して「合体ロボット 合体巨神イデオン」では、腕、上半身、下半身を、それぞれソル・アンバー、ソル・バニア、ソル・コンバーに見立てられる、簡易変形風(「風」なところがポイント)パーツが付属する。
「合体巨神イデオン」での、車両形態3種の合体メカ状態
それに対して「合体ロボット 機動合体イデオン」では、(企画段階でデザインされていた)イデオンの両肩に仕込まれた内蔵兵器や、イデオン・ガンのような武装パーツが付いてくる。
全身武装型のパーツが追加された「機動合体」版の完成形
そして、それら簡易変形風パーツと、各武装パーツの両方が同梱されたのが、3つ目の「合体ロボット イデオン」である、といったコンセプトなのだ。
「合体巨神」「機動合体」双方のパーツが揃った「合体ロボット」版完成形
このコンセプトはアオシマのサンライズロボットプラモデルシリーズではその後も継承されて、『イデオン』終了後の、名古屋テレビ・サンライズ枠の『最強ロボ ダイオージャ』(1981年)で発売された「合体ロボット」版ダイオージャでは、こちらでも2種の「合体」版がまず発売されたが、実は合体要素はどちらも皆無で、本来であれば合体するはずの3機のロボットのミニサイズキットが付属された「最強合体」と、劇中でダイオージャが使用した、多彩な武器パーツが付いた「王者合体」がそれぞれ販売され、同じように後発の「合体ロボット ダイオージャ」で、その両方の付属品がすべて入った仕様で発売されるパターンが踏襲された。
しかし、『イデオン』と同年に作品放映と商品展開が同時進行だった『無敵ロボ トライダーG7』では、『イデオン』と同じくポケットパワーやミニ合体シリーズは展開しても、この2種合体ロボットシリーズの商品展開はされなかった。
それでは、「合体ロボット」版イデオンキットの方を3つそれぞれに解説していこう。
まずは、3種のキット共通となる、イデオンの素体そのものについて。
このイデオンは、まだガンプラのスケール概念の影響を受けてなかったタイミングでの商品化であったので、ノンスケール扱いではあるが、実際のキットの頭頂部までの高さは22㎝。イデオンの身長105mで計算すると、スケールはおよそ1/478になる。次回以降に紹介する、アニメスケール1/420 イデオンと、統一1/600スケールイデオンの、ちょうど中間サイズといったところか。
合体遊びが前提の仕様なので、全身の関節を駆使してポージングしても、これぐらいしか関節は稼働しない
パーツの成型色は、赤、紺、白と、意外とアニメの塗り分けに近く、当時のガンプラよりも未塗装完成後の再現度はアニメに近い。
しかも、キットには、脚部や胸部、腹部の白ラインや、ゴーグルの青、膝頭と脛外側の紺を補完するシールも付属しているので、肩脇ブロックの赤と、全身のグレー部分、イデゲージのグリーンを抜かせば、ほとんどアニメに近い塗り分けが素組で完成する。
キットに付属してくるシール。胸の白ラインなどは今の模型製作においても、そのままマスキングシールとして使えそう
同じイデオンキットを3つも作るのもおよそ面倒な上に、見ている方も退屈だと思うので、「機動合体」をシールだけ補完(ゴーグルのシールだけは経年劣化で使えず)で、「合体巨神」を、あえて3種メカを1/600と比較するために未塗装も含めてシールも使わず、「合体ロボット」版をシールとフル塗装で、それぞれ組み立てて仕上げてみた(使用パーツは入れ替えてある)。
イデオン本体のパーツで、二つのバージョンの差し替えは肩ブロックのみ
色分けの面で、両肩脇ブロックだけがアニメの赤とは異なる白で成型されていて目立つのは、「合体巨神」と「機動合体」で、そこが2つのキットではそれぞれ別々のギミックを持つブロック(「機動合体」では「イデオンミサイル砲(キットの箱の解説ではグレネードミサイルが出し入れ可能で発射できるギミック)」が付いていくるので、ボディの赤ランナーではなく、商品個別の白ランナーに配置されているため。
左のグレネード付が「機動合体」版。右のデザイン準拠肩が「合体巨神」版。「合体ロボット」版には双方のパーツが付属する
完成した「合体巨神」版イデオン。肩脇ブロックを抜かせば、パーツ段階での色分けも、時代と子ども向けであることを考えるとなかなか優秀である
このシリーズの「イデオンとしての出来」は、イマドキの視点で判断すると辛いものがあるが、当時のレベルとしては決して酷評される出来ではないということが言い切れる。
「合体巨神」箱横の作例と解説。解説はともかく、塗装見本が素敵にアニメと違って派手すぎる(笑)
さて、「合体巨神」での3種車両メカへの分離変形は、車輪やコクピットブロックなどのパーツの追加が玩具的過ぎるとはいえ、ストレスなく劇中イメージにかなり近い(ソル・バニアの両肩脇ブロックを除く)変形がおこなえることは評価すべきである。
3機の車両形態のコクピットパーツも、後の1/600に近い高レベルでディテールが作り込まれており、両肩ブロック非変形のソル・バニアでも、コクピットパーツだけを前方にせり出させる構造にすることで、シルエット的にはアニメ版に近づけられている。
まずは 、ソル・アンバー
また、イデオン形態当初から腕や足の後方に仕込まれていた可動タイヤなどは、それぞれの車両形態がコロ走行できるようにとの、あきらかに児童向けのギミックなのだが、アニメデザインにある車輪以外は、あまり目立たないようには配慮はされている。
あえて目立たせてある車輪としては、ソル・バニアの車輪が両肩脇ブロックの下部に付いていたり、さらに分割されたバックパックに付いていたりと、この辺りはなかなかにアニメに忠実。
メカ形態用パーツを外したところ。前後の青パーツがソル・アンバーのディテールになると同時に、両腕を繋ぐストッパーになってる当たりが、発想の巧さ
一方で分割変形に関しては、ソル・バニアの両肩脇ブロック以外は、ソル・アンバー変形時の前腕の180度折りたたみや、ソル・コンバー変形時の両脚のスライドギミックなど、丁寧にアニメ設定準拠の変形が再現されている。
続いてソル・バニア
特に、ソル・コンバーの足首パーツなど、前部半分が90度折りたためる仕様のイデオンキットは、他にも珍しくないが、このキットでは足首全体が可動こそしないものの、脛パーツと別になっている構造なのは(両側から挟んだ脛を止めるストッパー用パーツなのだとしても)なかなか優秀だと言える(もっとも、足裏は完全に空洞で、そこは脱力させられるが)。
ソル・バニアでは「機動合体」と「合体巨神」で両肩脇ブロックを差し替えるため、合体で肝心の後部への展開ギミックが再現できないが、その分追加パーツでコクピットを先方へ伸ばすことで、シルエットを変形後に近づけてある辺りはさすが!
優秀ついでに言及するならば、足首サイドの四角いインテークも、しっかり別パーツだったりするところもポイントが高い。
ソル・コンバー
まとめとして「合体巨神」に関して言えることは、ソル・バニアの変形に惜しさは残るものの、値段と当時の技術レベルからくるコストや、対象となる児童の組み立てやすさなどを考慮すれば仕方ないのも理解は出来る。それを踏まえてもなお、なかなか侮れないクオリティには仕上がっているというべきだろう。
ソル・コンバーへの変形はかなり本格的。肘までの脚の伸び縮みも、前足首の折りたたみも完全再現。コロ走行用のタイヤもオプションで付いてくる
では、「機動合体」の、武装用パーツを換装したキットの構造論を展開していこうと思うのだが、これは文章でいろいろ書くよりは、「機動合体 イデオン」箱のサイドに描かれた、イラストによるこのキット独特の、イデオンの数々の武装の説明をまず見てもらった方が早いと思われる。
うん、ロケットパンチだよね。懐かしいよね
まずは、誰もが失笑するしかないツッコミどころが、いきなりの「イデオンパンチ」つまり、ロケットパンチの登場だろう。
これはまぁ、70年代の合金玩具全盛時代から、80年代終盤までのロボット玩具界隈を体感していないと理解できない怪現象(笑)なのであるが、少なくともこの商品が発売された80年代初頭までは、ロボット玩具といえば猫も杓子もロケットパンチ装備がディフォルトであり、それは原作アニメのロボットの設定に関係なく、合金玩具やプラモデルには、ほぼ必須といっていいレベルでついてきたオプション装備なのである。
実際にスプリングでロケットパァアアンチ!(by石丸博也)
もちろんその始祖は『マジンガーZ』(1972年)のロケットパンチと、それを玩具でスプリング発射で再現した、超合金マジンガーZの大ブレイクの恩恵ゆえなのだが、「機動合体」箱脇で書かれた説明を読んだ上での「105mの身長を誇るイデオンの拳であれば、飛んでくるイデオンパンチは拳の直径は18m前後はあるはずで、それで『5mの鉄板も打ちぬける』って、武器としては貧弱過ぎないか?」というツッコミは、ここ絶対に必要だろう。
え? それってソル・コンバーの変形ギミックでは?