『ガンプラり歩き旅』その49 ~ダメージモデル! クラッシュモデルを作ろう!(後)~

『ガンプラり歩き旅』その49 ~ダメージモデル! クラッシュモデルを作ろう!(後)~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をする大好評連載の第49回のお題は、前回に引き続き、ダメージモデルとクラッシュモデル!


ラストシューティング!

私、市川大河が、書評サイトシミルボンで連載している、 『機動戦士ガンダムを読む!』での、再現画像で使用しているガンプラを、 古い物から最新の物まで片っ端から紹介していこうというテーマのこの記事。

今回は、前回に引き続き、ガンプラブームを体験した世代であれば、誰もが技術のレベルはともかく、手を出したことがある、ダメージモデル、クラッシュモデルの作例を紹介していく特集です!

TV版での、スレッガー中尉の最期

前回は、ザクやジムなどの量産型のクラッシュモデルや、ダメージモデルの簡単製造法(?)等を紹介したが、今回は『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編』(1982年)のクライマックス、シャアとアムロの決戦を彩った、シャア専用ゲルググ、ジオング、そして、ガンダムのダメージパーツと、ラストシューティング&半壊横たわりの、2つのガンダムの固定ポーズモデル。そして、『ガンダム』のラストを飾る、半壊したコア・ファイターの作例などを、紹介していこうと思う。

これも、旧1/144 GアーマーのAパーツを、ルーターで切り刻んでクラッシュモデルにした

ここから先は、当時のロボットアニメではあまり過去には描かれなかった演出として、アムロとシャアとの決戦では、ゲルググ、ジオング、そしてガンダムが、徐々に互いの各パーツを破壊しあって失っていくビジュアルが、演出的には必須。

シャアのゲルググが、ガンダムのサーベルによって、ライフルを一刀両断されてしまうカット

なので、ライフルだけを別個に用意して、それをアニメ演出通りに二つに切る

それを、HGUC ゲルググに持たせて撮影して、フォトショップで効果を描きいれる

次に、シャア専用ゲルググのクラッシュシーンといえば、やはり外せないのが、妹・セイラの乱入により集中力が途切れたシャアが、ナギナタごと右腕を、肩からバッサリとガンダムに斬り落とされる演出。

ガンダム対グフといい、時代劇の殺陣的な演出が多彩な『ガンダム』

ここは1カットではないので、もう一つ用意したシャア専用ゲルググのHGUCキットから、必要最小限の右肩を構成するパーツを固定製作して、それをルーターでカットする。

実際のクラッシュモデルパーツ部分はこれだけ

右腕を切り落とされるゲルググのパーツ構成

ボディ側から突き出ている、右肩接続のためのピンだけは残すしかなかったが、完成した再現画像では、ほとんど気にならない程度で済んでいるのでそのままにした。

上で引用した、右肩を斬られる瞬間の再現画像

そして、印象的なもう1カット。

右肩を破壊されたゲルググを押し退けて、ガンダムの刃の前に我が身をさらすララァのエルメス!

その再現画像では、ゲルググのストロボ効果が上手く切断面を誤魔化してくれている

そして運命の最終決戦。
シャアのジオング対アムロのガンダム。
まずはジオングからだが、ジオングは、大きく分けて、左肘上、右前腕、腹部、頭部の順番に破壊されていく。
そのプロセスをアニメ画像でチェックしてみよう。

『めぐりあい宇宙編』本編より。まずは左肘上をゼロ距離射撃のビームライフルで破壊される

その後、有線サイコミュだった右前腕も撃ち抜かれる。

そして、本来はコクピットがあると誰もが思った腹部が正確に撃ち抜かれたあと……

真にコクピットがあった頭部も、右側面に直撃を受けてジオングは退場した

この、破壊への流れを、もう一つのジオングをクラッシュ状態で組み立てることで、一気に揃えてみせようというのがこのクラッシュモデルだ。

クラッシュジオング。全体

このクラッシュジオング。可動部や底面ディテールなどは、あえて作ってはいない。

ガンダムのライフルで破壊される左肘上も、それらしくジャンクパーツでデコレート

精密射撃で撃ち抜かれる右前腕も、アニメの作画を忠実になぞってダメージを入れる

この、腹部に空いたビームの穴だけは、ルーターではなくハンダゴテを突き刺して空けた。

ある意味アナログだが、こういうダメージ表現にハンダゴテは有効。丸く開いた穴の周囲のプラスチックの溶け具合が、ビームで焼かれたジオングの装甲描写に近い。

頭部右側面は、ビームで焼かれた状態を再現

ビームで焼かれた独特のダメージを再現するために、先に回転ノコギリで薄くカットしておいて、その切断面をハンダゴテの熱で荒らすという二段構え手法。

これらのパーツを、段階に分けて通常状態のジオングのパーツと交換して、徐々にダメージが深まっていく演出を狙う。

続いてガンダムだが。
こちらは破壊プロセスはいたってシンプルだ。

まず、左腕とシールドが、ビーム攻撃で吹き飛ばされる

このカットの再現でも、クラッシュシールドは有効に演出に一役買ってくれている。

「まだだ! たかがメインカメラをやられただけだ!」

アムロの名台詞と共にインパクトが大きかった「主役ロボの頭が吹っ飛ぶ」という二段階のクラッシュを経る。
『ガンダムを読む!』での、『めぐりあい宇宙編』再現画像のガンダムは、殆どHGUC 191 REVIVE版ガンダムを使用しているので、同じキットをもう一つ用意。
肩とボディで、こちらも段階的にダメージの進行がパーツ組み換えで再現できるので、上半身と左肩だけ組み立てて、後のパーツは完品状態のパーツを使うことにする。

HGUC 191 REVIVE版ガンダム。最終決戦ダメージ用パーツ

演出の都合上、首だけ外して誤魔化すということはしたくなかったので、上半身ごと差し替え

左肩のアーマー内にも、一応上腕のパーツを接着してからクラッシュさせている

首はともかく、左肩のアーマーのダメージ状態は、アニメ本編でもカットごとに破壊状態に差があるが、一応いくつかのカットを比較して、最大公約数的なダメージを施してみた。

ジオングとガンダムの最終決戦の激闘の再現は、是非シミルボン『機動戦士ガンダムを読む!』でご確認いただきたい。

さて、そこで『めぐりあい宇宙編』のラストを飾るクラッシュモデルが、ここから3つ必要になる。
一つは、今回冒頭で紹介した「ラストシューティング」ガンダムだ。
ガンプラマニアであれば、一度は作ってみたいクラッシュモデルだが、いざ実在するガンプラで、カッコよくこのポーズに固定しようと頑張ってみても、実はこのポーズ自体が二次元の嘘にまみれているために、なかなかうまくいかないのだ。

それでも、HGUC 191 REVIVE版ガンダムの解説の時に語ったように、このキットでは、新規格のポリキャップ、PC002が、まるでラストシューティングポーズを狙ったかのように「肩アーマーが上に上がる方向」へと設置されているのだ。
しかし、それでも、狙い過ぎのポリキャップの可動範囲を得ても、HGUC 191 REVIVE版ガンダムの可動スペックをフルに発揮させても、あの名シーンのポーズの完全再現には一歩及ばない。
股関節の開き角度と、スリッパの接地性。腰の捻り具合と、肩が垂直に上がって、ライフルを掲げた右腕が、正確に二等辺三角形の中心線にならなければいけないからだ。

なので、ここは一世一代の見せ場と解釈して、HGUC 191 REVIVE版ガンダムを新たにもう一つ用意して、キットの可動領域を越えて、各関節のボールジョイントの可動範囲をギリギリ越えた角度や位置で固定して、ラストシューティング固定ポーズのガンダムを用意した。

HGUC 191 REVIVE版ガンダム ラストシューティング固定ポーズ版

その上で、シャアとの決着もつき、仲間の皆を誘導したアムロが、一人取り残されて死を覚悟した時に、まだ絶望してはいけないと、半壊して横たわっていたガンダムを見つける名シーンも必須なのだが、こちらのガンダムも固定ポーズで、徹底的に再現することに。

『めぐりあい宇宙編』ラスト近く、希望を失いかけたアムロの前に、横たわる傷ついたガンダムが……

ここでのクラッシュガンダムも、往年のガンプラファンが何度もチャレンジしてきた素材である。
ここでのガンダムは、ただクラッシュしているだけではなく、腰をかがめて胎児のように横たわっている“演技”をさせなければいけない。
なので、あえてこのシーンではHGUC版を使わずに、ポーズ改造がしやすい、HGUCクラスの解像度が見えるパーツは残っていない等の理由で、旧キット1/144 Gアーマーに付属していたガンダムを素材に、演技付けとクラッシュ部分のディテール追加、全身の汚し塗装と、3つのテーマに絞ってワンオフのモデルを作って撮影に用いた。

戦いを終えた、静かに眠り横たわる機動戦士の固定ポーズモデル

そして、ラスト。
アムロは半壊したガンダムから、こちらも半壊したコア・ファイターを射出させ、カツ、レツ、キッカの誘導でア・バオア・クーを脱出し、感動のラストシーンを迎えるのだが、ここでも重要なのが「クラッシュしたコア・ファイター」なのだ。

ア・バオア・クーを脱出したコア・ファイター

3つの翼が全て半壊し、コクピットキャノピーも消失している

関連する投稿


ガンプラ45周年記念!『ガンダムウェポンズ RX-93 νガンダム編』発売

ガンプラ45周年記念!『ガンダムウェポンズ RX-93 νガンダム編』発売

株式会社ホビージャパンは、ガンプラ45周年を記念したシリーズ最新刊『ガンダムウェポンズ ガンプラ45周年記念 RX-93 νガンダム編』を2026年3月12日に発売しました。最新のPG UNLEASHEDや多彩なグレードのνガンダム作例を一挙に掲載し、ファン必携の一冊となっています。


ざわ…!『カイジ』×『ドンジャラ』の悪魔的コラボがAmazon解禁!自宅で17歩の緊張感を味わえ

ざわ…!『カイジ』×『ドンジャラ』の悪魔的コラボがAmazon解禁!自宅で17歩の緊張感を味わえ

福本伸行氏の人気漫画『カイジ』と、バンダイの国民的ゲーム『ドンジャラ』が奇跡のコラボ!「大人ドンジャラ『逆転闘牌カイジ』」が、2026年3月よりAmazonや公式ストアで販売ルートを拡大します。名シーンを再現した「役」や、特殊ルール「17歩」を搭載。圧倒的熱狂と緊張感を、自宅で手軽に楽しめる逸品です。


「黒い三連星」が10cmの可動フィギュアに!G.M.G.シリーズにガイア、オルテガ、マッシュが参戦

「黒い三連星」が10cmの可動フィギュアに!G.M.G.シリーズにガイア、オルテガ、マッシュが参戦

『機動戦士ガンダム』の人気パイロット小隊「黒い三連星」の3人が、メガハウスの可動フィギュアシリーズ「G.M.G.(ガンダムミリタリージェネレーション)」に登場!約10cmのサイズながら驚異の可動性とリアルな造形を両立。ガイア、オルテガ、マッシュがノーマルスーツ姿で、2026年7月下旬に発売予定です。


ガンダムが伝統工芸「卯三郎こけし」に変身!木の温もり溢れる3体が登場。限定セットは台座付き

ガンダムが伝統工芸「卯三郎こけし」に変身!木の温もり溢れる3体が登場。限定セットは台座付き

ガンダムの世界観を表現するアパレルショップ「STRICT-G」より、群馬県の伝統工芸「卯三郎こけし」との初コラボ商品が登場。ガンダム、シャア専用ザク、量産型ザクが、職人の手仕事による温かい木製こけしになりました。2026年1月5日から予約開始。ファン必見の「和」の逸品を詳しくご紹介します。


SDガンダム外伝の「黄金神話」のカードが、全種プリズム箔押し仕様の「スペリオルドラゴンエディション」で復活!!

SDガンダム外伝の「黄金神話」のカードが、全種プリズム箔押し仕様の「スペリオルドラゴンエディション」で復活!!

バンダイナムコグループ公式通販サイト「プレミアムバンダイ」にて、「SDガンダム外伝」シリーズより『新SDガンダム外伝 黄金神話 スペリオルドラゴンエディション』が発売されます。


最新の投稿


斉藤由貴、バースデーを祝う初フルオーケストラツアー決定!武部聡志プロデュースで9月から3都市開催

斉藤由貴、バースデーを祝う初フルオーケストラツアー決定!武部聡志プロデュースで9月から3都市開催

ビルボードジャパンは、斉藤由貴初となるフルオーケストラコンサートツアーを2026年9月より開催する。名匠・武部聡志プロデュースのもと、彼女のバースデーアニバーサリーを祝う特別なステージを展開。兵庫、東京、神奈川の3都市のプレミアムな音楽ホールを巡り、時代を超えて愛される名曲群を鮮やかに届ける。


世界が熱狂!杏里の北米ツアー最終公演レポが到着、シティポップがリアルなカルチャーとして根付いた夜

世界が熱狂!杏里の北米ツアー最終公演レポが到着、シティポップがリアルなカルチャーとして根付いた夜

アーティスト・杏里の北米ツアー「ANRI LIVE 2026 U.S.A Timely!!」の最終公演が、2026年5月21日にロスアンゼルスの名門劇場「ザ・ウィルターン」で開催された。チケットは早々にソールドアウト。海外の熱いファン2300名が詰めかけ、日本語の大合唱が巻き起こるなど、感動の一夜となった。


ハッピーターンが初のアニバーサリーブック化!宝島社からパッケージ再現ポーチ付きで全国発売

ハッピーターンが初のアニバーサリーブック化!宝島社からパッケージ再現ポーチ付きで全国発売

株式会社宝島社は、亀田製菓のロングセラースナック「ハッピーターン」を祝し、初となる公式アニバーサリーブックを全国発売します。特別付録には、おなじみのパッケージデザインをモチーフにした、チャーム付きのここでしか手に入らないユニークな限定リアルポーチが登場します。


ガリガリ君45周年×ポケモン30周年!限定パッケージの「大人なガリガリ君もぎたてぶどう」が発売へ

ガリガリ君45周年×ポケモン30周年!限定パッケージの「大人なガリガリ君もぎたてぶどう」が発売へ

赤城乳業株式会社は、ガリガリ君45周年とポケモン30周年を記念し、限定パッケージの「大人なガリガリ君もぎたてぶどう(6本入り)」を全国発売します。あわせて、抽選で合計1,000名様に「ポケモン・ガリガリ君冒険グッズ」が当たる特別なタイアップキャンペーンも同時開催いたします。


開園30周年のナンジャタウンが今夏大幅リニューアル!「お祭り」をテーマに新アトラクションが登場

開園30周年のナンジャタウンが今夏大幅リニューアル!「お祭り」をテーマに新アトラクションが登場

株式会社バンダイナムコエクスペリエンスは、屋内型テーマパーク「NAMJATOWN」が2026年7月6日に開園30周年を迎えることを記念し、今夏に大幅リニューアルを実施します。ファンへの恩返しとして「お祭り」をテーマに掲げ、複数の新アトラクションを導入します。