概要

『とんでもクライシス!』パッケージ
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この作品は映画マニアの感性で作られた作品と言われており、『めまい』『スピード』『新幹線大爆破』『タイタニック』など多くの映画のパロディとしての性質を持っています。 また、主人公が一般市民であるからこそ、破天荒な展開がジョークとして通用するのであるという意見もあります。
結局どんなゲーム?
本作は所謂ミニゲーム集です。
プレイヤーは棚祭家の面々を操り、襲い掛かる様々なアクシデントを切り抜けさせて無事に帰宅させることを目指します。全4章構成です。
ちなみに発売元の徳間書店は発売の翌年、ゲーム事業から撤退したため本作は同社が最後に送り出したゲームでもありました。
そのため、エンディングの最後に「To Be Continue」の文字があり、続編が出る予定でしたが、制作されずに終わってしまいました。
あらすじ
あの丘の向こうには何がある。
そんな野望も忘れかけた、ごく普通すぎる日常に暮らす5人と一匹の家族に、ある日、災難はうっかりと降り注いだのであります。
主人公は、父の種男、母の悦子、長女のリリカ、長男のツヨシの4人。
各キャラクターは、それぞれのいる場所から、おばあちゃんの誕生会に間に合うように自宅を目指します。
それは、息もつかせぬほどの破壊力溢るる魅惑の危機の連発。
血圧が上下するほどのスケールの大きさと、異質な濃度で繰り広げられるストーリー。
冷や汗タラリンの帰宅アクションというオール・ザット・エンターテイメントゲーム。
さあ、危機連発の非情の幕が今開く。「ただいまー」の声は、果たして…。
愉快な登場人物の紹介
※ 無駄に凝った設定が色々作られていますが、長いので少しだけご紹介
棚祭種男(CV:吹越満)
株式会社帝都開発に勤務する47歳の会社員、人生にストレスを感じ始めたのは小1の時。座右の銘は「逃げるが勝ち」「負けるが勝ち」「あきらめるが勝ち」。
種祭悦子(CV:奥平聡子)
種男の妻で40歳の主婦。「人生はまきぞえ」と彼女は語る。種男との再婚もそう。種男とはアメフト部で知り合い結婚した。
種祭リリカ(CV:矢野宴子)
種祭家の長女で女子高生。父の名前に悩む17歳、悦子の連れ子。
種祭ツヨシ(CV:よしおかあろ)
種祭家の長男。種祭家の中でもなかなかの変わり者。9歳。
棚祭ハツ、ぺス
今年で80歳になるおばあちゃん(ある意味元凶)と(たぶん)頭のいい犬。
不二峰子(CV:夏木マリ)
株式会社帝都開発に勤務するOLだが、裏の顔を持つ。暗躍する謎の美女。名前がもう、ね。
ゲーム内容

『とんでもクライシス!』パッケージ裏
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大まかな話(ゲーム)の流れ
各キャラクターに襲い掛かるミニゲーム形式の様々なアクシデントをクリアすることで進めていきます。具体的には、終業の体操でフィーバーしていたら突如大玉に襲撃されやっとこさエレベーターに逃げ込んだら急降下を始め何故か降り注いでくる金ダライをかわしつつなんとか停止させたと思ったら大爆発して…。(種男の場合)と、まぁ大体全キャラこんな感じです。
どの章も終始、勢いでギャグを繰り出すスラップスティック・コメディ漫画的なノリで進行していきます。
一部の章をプレイしただけでは理解不能な展開になっている部分もありますが、各主人公のストーリーは時間軸が平行していて互いに絡みあっているため、全員のストーリーをプレイすることで初めてストーリーの全容がわかるようになっています。オムニバス形式ですね。
ゲームシステム
所謂ライフゲージにあたる「メーター」があり、ダメージを食らうなど、それぞれのゲームにおけるミスをするとメーターを消耗してしまいます。メーターを全部消耗すると残機が減り、ゼロになるとゲームオーバー。セーブポイントからのやり直しとなります。よりメーターを消耗せずクリアしていくほど評価が高く、残機アップなどを得られます。
リザルト画面は各キャラ違っているのもミソ。高評価を得るとなぜか歓声が上がります。
とんでもミニゲーム
本作は前述したようにミニゲーム集です。内容はタイミングゲー、音ゲー、連打ゲー、クイズなど様々な種類があります。 ミニゲームのタイトルは、どれも有名映画、アニメ、漫画、ゲームのタイトルのパロディで、一つ一つパロディロゴまで作っている凝りようでした。…ジ〇リとかも混ざってるんですが色々大丈夫だったのでしょうか。
以下に一例として種男編の一部を紹介します。
「死刑台の高層エレベーター」
エレベーターが落下、なぜか連打しないと機能しない停止ボタンを連打でひたすら押して止めなければなりません。時々落ちてくる落下物(なぜかタライとか)に当たるとしばらく動けなくなるため、当然避ける必要があります。難易度はまだ低いほうです。
元ネタは1958年に公開されたフランス映画『死刑台のエレベーター』。
「めま~い」
ビルの外のポールを伝ってビルの中に入らねばならないタイミングゲーです。ボタンを少し押し続けてメーターを伸ばし、できるだけ真ん中を狙って止める必要があります。真ん中に近ければ距離を稼げますが真ん中から離れるとバランスを崩し、風速40mだか60mだかの横風にあおられるなか復帰しなければならずタイムロスになります。時間以内にゴールできなければ失敗です。風速60mとか普通に家がぶっ飛ぶレベルですが気にしてはいけません。
元ネタはアルフレッド・ヒッチコック監督の映画『めまい』。
「救命野郎Aチーム」
救急車に搬送された種男ですが、救急隊員は意識を確認しようと、何故か○×クイズを繰り出してきます。一問につき三秒以内に答えなければならず、10問正解でクリアです。7問分不正解だと手遅れと判断されて失敗になります。連続で不正解となると心肺停止しかけていると思われ、電気ショックを浴びて更にダメージを受けます。
意識レベルが低下しているのにそんな問題に即座に答えられるのかとか、寧ろ殺しに掛かっているのではないかとかツッこんだら負けです。
元ネタは海外ドラマの『特攻野郎Aチーム』。
「担架でGO!」
意識を取り戻したはいいものの、何故か担架ごと救急車から放り出され、自走する担架に乗ったままゴールを目指す運転ゲーもどきです。担架はブレーキが利かず車線変更しかできません。右に左に切り返しつつバイクや標識をひたすら避けねばならないのです。何故かどの車線も正面から車両が突っ込んでくるが気にしていたら死にます。
そもそも体重移動で機敏に方向転換出来る担架って何だとか救急車の後部ロックどうなってんだとか色々ありますが気にしてはいけません。そういう世界なのです。
元ネタは『電車でGO!』。
「いまさらタイタニック」
海に投げ出されたところを助けてもらったはいいものの、不慮の事故で浸水開始。徐々に沈んでいく舟の中、ボタン連打で排水を行い沈没を阻止せねばなりません。また、時折頭上に降りかかる落下物は傘で防御する必要があります。一定距離を進めばクリアです。
元ネタは言うまでも無く『タイタニック』。失敗すると、沈む寸前に「例のポーズ」が見られます。
しかもこのゲームは種男・リリカ・ツヨシのそれぞれのストーリーで同内容のものがあります。リリカ編ではゲーム名に「続」、ツヨシ編では「最後の」が付き、『猿の惑星』シリーズのパロディだと思われます。
その他にも豊富なミニゲームを収録
クリアしたミニゲームは各章後クリア後に単体プレイ可能です。また、ミニゲームの選択画面はレンタルビデオ屋風になっています。
ゲームの特徴
ジャンルは「イカすミニゲーム集」
取扱説明書
大体の物には大抵付いてくる、ある物事に対応した手順・方法を教えるための文書ですが、表紙を開くといきなり異国のオジサンの絶叫顔が出迎えてくれます。気にせず読み進めましょう。
目次、(前述の)あらすじときて無駄に長い人物紹介(自己紹介)を挟んでようやく操作法、画面説明とセーブ/ロードの説明が入り、世界のとんでもコントローラ、とんでもな人達の紹介、本作の効能「使用前・使用後」と来てスタッフが明記され読了。ゲームの説明が21ページ中4ページしかありませんが気にしてはいけません。
パロディ満載のミニゲーム
上述の説明でも分かるように、どれも多種多様なパロディにまみれたおバカなノリで突っ走っています。この手のノリが好きな人なら気に入れることでしょう。
ゲーム画面見たい?
評価点
無駄に豪華なBGM

『とんでもクライシス!』オリジナル・サウンドトラック
Amazon | とんでもクライシス! ― オリジナル・サウンドトラック | ゲーム・ミュージック, 東京スカパラダイスオーケストラ, 川上つよし, 沖祐市, 北原雅彦 | ゲーム | 音楽
作曲・演奏は「東京スカパラダイスオーケストラ」が担当。 サントラも発売しています。本作の魅力の一つですね。
サントラのジャケットはスカパラのメンバーの顔をデザインしたもので一見本作のサントラに見えません。しかし冊子の中を見れば本作のスクリーンショットがあるし、ジャケット裏面のスカパラの写真は本作の発売元・徳間書店が背景になっています。
テレビ番組に本作の曲が割と頻繁に使用されていた時期がありました(現在でもたまに使用されます)のでメインテーマだけは聞いたことがあるという人もいるかも。
スタッフも無駄に豪華
声の出演に俳優の吹越満氏(種男)、女優・歌手の夏木マリ女史(不二峰子)、笑福亭鶴光と微妙に豪華でした(フルボイスではありませんが)。
意外にも伏線の張られたストーリー
無関係に思える事象同士が後になって繋がったり、謎の演出の意味が後から判明したりと、バカですがストーリーの骨組みはしっかりしており、オムニバス形式のシナリオならではのカタルシスが味わえる事も。クリア後に再度プレイすると新たな発見があるかもしれません。
総評とまとめ
いつもなら問題点もまとめて書いているのですが、長くなりすぎるので今回は省きます。
東京スカパラダイスオーケストラの音楽にのせて繰り広げられる様々なミニゲームの数々。
パロディ満載の荒唐無稽なミニゲームも然ることながら、ストーリー自体もタイトルに偽りの無い怒涛の超展開の連続です。それでいて、ただ勢いとノリに任せてバカをやっているだけと思わせて徐々に伏線を回収する物語構成と、侮れない部分も多い作品でした。
ミニゲームの難易度にばらつきがあったり、中盤以降の展開の息切れ感があったりと残念な所もありますが、全体で見れば「ただの変なミニゲーム集」では終わらないスペックを秘めた作品とも言えます。
今では考えられないほど実験的かつアイデアに富んだバラエティ豊かな作品を送り出してきた初代プレイステーションですが、本作はその末期に登場した一際輝く家族のドラマを描いたバカゲーとして多くの人の心に記憶されていることでしょう。…たぶん。
本稿で記載しております情報は、ゲームカタログ@wikiから引用させていただきました。
出典元はコチラです。
とんでもクライシス! - ゲームカタログ@Wiki ~クソゲーから名作まで~ - アットウィキ