いきなりですが、PVをご覧ください。
おわかりいただけただろうか
『超兄貴』(ちょうあにき)は、1992年12月25日にメサイヤが発売したPCエンジンSUPER CD-ROM2用横スクロール型シューティングゲームです。本当に。
超概要
オリジナルサウンドトラック『超兄貴~兄貴のすべて~』
Amazon | 超兄貴~兄貴のすべて~ | 葉山宏治 | ゲーム | 音楽
『超兄貴』は1992年の末に突如登場し、様々な意味で話題となったゲームです。
1991年1月25日にメガドライブソフトとして発売された異色シューティングゲーム「ジノーグ」を前身として制作されました。
横スクロールシューティングゲームではありますが、世界観が独特…という言葉では言い表せないほどに独創的であり、バカゲーの一種であるといえます。しかし、ゲーム自体はしっかりと作りこまれており、決してクソゲーではありません。作中BGM(一部シリーズ作品を除く)を葉山宏治氏が担当しており、そのクオリティの高さと同時に、ゲームの独特の世界観を盛り上げる重要な要素の一つとなっています。
世界観のテーマは筋肉をフィーチャーした純粋な「肉体美」であり、決してそれ以上でもそれ以下でもありません。…どうもなぜかゲイ的な要素が散りばめられていると勘違いされてしまいますが。なぜだろう?
ちなみに自機が「兄貴」であり、「アドン」や「サムソン」といったサブキャラクターの名称はゲイ雑誌の名前と偶然にも同じであり、さらにゲイ雑誌「薔薇族」とは何の関係もない「薔薇」がところどころに登場しています。単なる偶然です。
超兄貴といえば筋骨隆々のキャラクター「アドンとサムソン」ですが、この2人が自機となったのはスーファミ版『超兄貴 爆烈乱闘篇(格ゲー)』を除けば第2作の『愛・超兄貴』だけであり、それ以外はあくまでオプションです。オプションとしての2人はただ弾を撃つだけでなく、敵弾から自機を守ることができます。ただし耐久値に限度があり、それを超えると「兄貴ぃ…」と切ない声を上げて戦線を離脱したり、弾を撃たなくなってしまいます。(ゲームシステム等は後ほど…)
ちなみに、PS版の『究極無敵銀河最強男』とセガサターン版の『究極…男の逆襲』はなんと「実写」が用いられています。
超ストーリー
大銀河ボディービルコンテスト10連覇を果たした、ビルダー星の帝王にも不安があった。
母星の残有プロテインが、底をつきはじめたのだ。
筋肉こそ最高の美徳とする文化がため近隣の惑星は、無差別侵攻を受けていた。
この様子を天界で見ていたイダテンとベンテンは、これをよしとせず、侵攻を受けた星を巡りビルダー軍を駆逐し、軍の築いたプロテイン採掘プラントを破壊しつつ帝星を目指した!!
(以上オープニング原文そのまんまです。)
超ゲームシステム
マッチョな筋肉で塗り固められた世界観、PCエンジン屈指のバカゲー。それが『超兄貴』
Amazon | 超兄貴 ~「聖なるプロテイン伝説」~ | ゲーム
まずは基本的なシステム
ゲームを始める前に、三段階の難易度選択と、自機を「イダテン(男)」か「ベンテン(女)」から選択し、ゲームスタート。
十字キーで自機を8方向に操作、1ボタンを押すとショット、2ボタンを押すとボムを撃ちます。
1ボタンを押しっぱなしにし、頃合がきた時にボタンを離すと、ドピュっと一撃必殺技の「メンズビーム(イダテン)」、「スプラッシュビーム(ベンテン)」を放つ事が出来ます。深い意味は無いよ。(この言い回し、本当に説明書にそう書いてあるんだもん…。)
いわゆる溜め撃ち扱いの攻撃で使用制限は無いですが、ビームを発射する間に隙が生じ、危険を伴う事になります。またメンズビームは発射の反動で若干後方に下がるのでかわしたはずの弾に当たる場合もあります。要注意。
メンズビームは一方型、スプラッシュビームは拡散型の攻撃を放ちます。すべての敵を貫通して広範囲に攻撃を当てやすいメンズビームを持つイダテンの方が扱いやすいキャラですが、攻撃力はベンテンのスプラッシュビームの方が高く、密着して全弾当てた時のダメージはメンズビームの比ではありません。
2ボタンを押すと弾数制限がある広範囲に攻撃できるボムを発動できます。
爆風に弾消し能力はありますが自機が無敵になるわけではないので敵の体当たりなどはしっかりかわす必要があります。
またレーザー、ウェーブなどのボムで消えない敵の攻撃も一部存在します。
時折敵が落とすアイテム「プロテイン」を取る事により、威勢の良いボイスと共にビルドアップします。(本作ではビルドアップは単純にパワーアップという意味で使われます。ボディビル業界では「筋肉を作り(鍛え)上げる」と言う意味です)
『愛・超兄貴』オリジナルサウンドトラック
Amazon | 愛・超兄貴 | ゲーム・ミュージック | ゲーム | 音楽
個性的すぎるオプションキャラ
ステージを進めていくと、お供キャラ(オプション)である、「アドン」と「サムソン」が現れ、自機の上下にくっつきます。そういう意味ではありません。
アドン、サムソンには自機同様に当たり判定が存在し、数発の被弾には耐えられますが一定以上のダメージを受けると「兄貴ィ~!!」の断末魔の叫びとともに撃沈してしまいます。
また、アド&サムは個別でビルドアップするので、自機だけではなく、彼らにもプロテインを与えなければ強くなりません。
2ボタンを押しながら1ボタンを押すとホーミングアタックを発動、オプションがオーラを放ち体当たり攻撃をします。
稀にアド&サムの変わりに、メサイヤの看板(?)キャラである「うみにん」がオプションに付く事も(隠しキャラ扱い)。
これとは別にレアオプションとして「天使」が存在しますが上記3人のインパクトに負け存在感がありません。しかも弾が放物線状に落下していくので使いにくいです。
イダテン、ベンテンは敵および敵弾に当たると一発でミスになり、エリアの最初に戻り復活します。ボス戦の場合はボスからやり直しとなります。オプションが無くなり、ショットが一段階パワーダウンするので、ミスする場所によっては復活が困難な場合もあります。
自機の移動速度はセレクトボタンによっていつでも自由に変更可能です。ボス戦など、勝てないと思った場合は移動速度をこまめに調整するだけで大分楽になります。
残機が0になると5カウントとともにアドン&サムソンがポージングをとりながら登場、カウント0になると「もう駄目だぁ~!」という声とともにゲームオーバーとなります。
超キャラクター紹介
『超兄貴』には愉快な仲間がいっぱい!筋肉もいっぱい!!
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イダテン(韋駄天)
天界の神であり、『超兄貴』シリーズの主人公的存在。悪の「ボ帝ビル」などに立ち向かう勇気ある漢です。アドンとサムソンのイメージのせいで誤解されやすいですが、「兄貴」とは彼のことです。「怒髪弾」を男らしく発射し、溜めに溜めた男のビーム「メンズビーム」をドピュッと放出します。
基本的にはどの作品でもノンケであり、アドン、サムソンを舎弟としか思っていませんが、二人には自分たちは兄貴(イダテン)に愛されていると勘違いされています。
ベンテン(弁天)
イダテンと同じく地上の混乱を鎮めるために天界から遣わされた、羽衣をまとった女神です。
メンズビームは発射できませんが、広範に拡がるスプラッシュビームを発射できます。PS、セガサターン版ではプロデューサーが駅でたまたま見かけてスカウトした劇団員の女性がベンテン役を務めた。という逸話があります。
アドンとサムソン
ビルダー軍によって侵略を受けた星の王子さま。イダテン達によって救出され、恩を返すために舎弟として戦いに同行してくれます。多くの作品でパッケージなどに描かれるので、彼らが主人公や「兄貴」だと勘違いされることが多いです。
手枷、足枷、貞操帯をしたスキンヘッドのボディビルダーコンビで、頭頂部には穴が開いており、ここからメンズビームを放ち、プロテインでビルドアップします。防弾限界を超えると切なげな断末魔を発し退場してしまいます。
トレーニングをこよなく愛し、彼らにとって筋肉こそが正義。
なお、日焼けしたほうがアドン、色白のほうがサムソンです。
ボ帝ビル
『超兄貴』のラスボス。「ボ帝」というのはボ星帝国の帝王という意味です。
銀河ボディビルコンテスト10連覇を誇るビルダー星の帝王で、凄まじき腹筋によりイダテンらのメンズビームが爪楊枝に見えるほど太い必殺技「ボ帝カッター」を腹から放ちます。
一定のダメージを受けると、巨大メカに搭乗します。これもマッチョ兄貴風の外見をしており、片方の手がなくなっていますが、これは先にボスキャラとして片方が分離して襲撃したためでした。
既婚者で恐妻家らしいです。
超プレイ動画
超評価点
『 超兄貴 ~「聖なるプロテイン伝説」~』
Amazon | 超兄貴 ~「聖なるプロテイン伝説」~ | ゲーム
筋肉とよく分からん世界観
何よりも筋肉押し。イタデン、アドン&サムソンはもちろん、敵キャラだって筋肉。ビーナス誕生もとい筋肉親父誕生のシェル・ジ・アニキ、逆立ちマッチョのメンズビキニなエル&トポ。こんな感じのザコやボスもとにかく筋肉まみれです。
しかし筋肉だけで終わらないのが超兄貴。筋肉以外にもシュールなキャラも山盛りでした。ちょんまげの天狗、手足の生えたサンマ、機関車トーマスもといやえもん、革ジャンリーゼントのプレスリーな潜水艦。ザコやボスがどこまでもこんな調子です。どこかイッてる空気に溢れていますね!
ちなみに女主人公のベンテンは、まぁ…ややセクシーな程度でまともなデザインだったり。
最強のBGM
「ドイツ人ジャーマン」、「ラブミープレスリー」、「あこがれのマッチョダンディー」、「仁義なき兄貴」これらはBGMの一部のタイトルです。タイトルもアレですが、中身も当然何かアレな曲がそろっています。葉山宏治氏の作曲したBGMが、本作のなんとも言えない世界観の味をさらに強化しているんですね。
…勘違いの無いように書いておくと、曲の評価は非常に高いです。一回聞いたら二度と忘れられないインパクトと中毒性を持っています。世界観に負けないほどぶっ飛んだ曲揃いということでもありますね。
ほどよい難易度と特色あるステージ、中身は意外に真っ当なシューティング
難易度は三段階用意されており、何度か練習すればクリアできるレベルです。
各ステージもそれぞれテーマがあり、キャラや障害物の配置などが一工夫されています。
全体的に単調感のない作りでした。全5面とややボリューム不足感はありますが。
超問題点
PCエンジン版 パッケージ裏
NEC PCエンジン スーパーCD-ROM2 「超兄貴」 ... - ヤフオク!
初心者はやや戸惑う面も…
このゲームはオプションであるアドン&サムソンにも耐久力やビルドアップの概念があるため、オプションへの被弾を避けたりビルドアップさせようとして自機に当たってしまうというのは初心者にありがちな罠です。
初見殺しの多さや当たり判定の分かりづらさ
ボスの攻撃にとにかく初見殺しが多いです。また見た目や大きさのインパクトがあるのは良いのですが、どこが弱点でどこまでは当たっていいのかという情報が非常に分かりづらいです。
そのくせ撃破するときは一瞬にして落ちる事もザラで、余計に攻略の不透明さが目立ってしまっています。
超総評
PCエンジン版『超兄貴』 パッケージ
PCエンジン 超兄貴 帯付き - ヤフオク!
見た目のイっちゃってる感じとは裏腹に、ゲームとしては極めてまともなシューティングであり、それが逆に怖くなるくらいすんなり入り込める内容です。
外見が毒電波満載のゲームなので「どうせ見た目倒しのクソゲーだろう」と思われがちですが、シューティングとしての出来は良作ぞろいのPCエンジン作品の中でも決して見劣りしないレベルでした。
現在はバーチャルコンソールとゲームアーカイブスの両方で配信されており、千円足らずで購入できます。色物と敬遠せずにプレイしてみれば、その独創的すぎる領域へと貴方を誘ってくれることでしょう。
超余談
・オリジナル版の発売日はなんとクリスマスでした。
・ゲームよりも本作のサントラCDの方が高売上だったという逸話がありました。葉山宏治氏は引き続き、後の超兄貴シリーズも手がける事になります。
・開発途中、タイトルが『超兄貴』から『超裸漢マッスルシューター』に一時変更されたことがあるらしいです。スタッフ曰く「上層部の意向でタイトルが変更されそうになったが、開発部のクーデターにより超兄貴に戻った」とのこと。
タイトルを変更しようとした上層部の意向もわからなくはないですが、代替タイトルが超裸漢マッスルシューターであるあたり、上層部も大分アレだったと思われます。ゲームの本質を上層部がきちんと理解していた、と解釈もできますが…。
・近年では海外のゲーム実況動画投稿者に受けており、実況動画では様々なプレイヤーが驚愕したり目を丸くしたりしている様が確認できて楽しいです。世界よ、これが日本だ!
『超兄貴』タイトル
NEC PCエンジン スーパーCD-ROM2 「超兄貴」 ... - ヤフオク!
ここまで豆知識の如くちまちま差し込んでいた「ボディビルの掛け声」ですが、これらは実際のボディビル大会で使われている実際の魂の叫びです。ネタではなく。
おそらくほとんどの人が人生で一度は「友達がボディビルの大会に出場するんだけど、一緒にいかない?」と、誘われた事があると思います。そんな時、どのように応援したらいいのか悩むかもしれません。この記事を思い出してください!そして『超兄貴』を是非プレイしてみてくださいね!
本稿で記載しております情報は、ゲームカタログ@wikiから引用させていただきました。
出典元はコチラです。
超兄貴 - ゲームカタログ@Wiki ~クソゲーから名作まで~ - アットウィキ