―ヲカエリ、ケダモノ―

『R-TYPE Δ』パッケージ
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『グラディウス』『ダライアス』と並ぶ横シューティング御三家の一つである、高難易度横スクロールシューティング『R-TYPE』シリーズ。その開発元、「アイレム」は1994年にゲーム業界から事業撤退します。『R-TYPE III』が完結編と銘打たれていた事もあり、誰もが『R』の続編を絶望視していました。 しかし1997年、アイレムソフトウェアエンジニアリングが設立され、過去作の移植『R-TYPES』に続いて完全新作『DELTA』の制作が発表されました。
『R-TYPE III THE THIRD LIGHTNING』に引き続き、『R』は再び完全家庭用オリジナルとして再臨を果たしたのです。
メインシリーズの4作目にあたりますが、ストーリーは『I』と『II』の間に起きた事件という設定です。
概要
R-TYPE Δ - Wikipedia
新たなる系譜。第4の『R』
本作『R-TYPE Δ』は1998年11月19日にアイレムソフトウェアエンジニアリングから発売された『R-TYPE』シリーズ第4作目です。
『R-TYPES』に於いて書き直された設定に基づいており、『III』までとの違いを明確化させているのが特徴の一つです。また、従来のシリーズには無かった試みがいくつも為されており、旧作のファンでなくても楽しめる作品となっております。
ストーリー
第一次バイドミッションを成功に導いたR戦闘機「R-9・アローヘッド」は、任務遂行後、無事に宇宙要塞「アイギス」に帰還する。
その後、対バイド兵器の凍結作業が進む中でも、同機は特に改修もされず放置されていた。
年が明けた3月、アイギスは少数の管理部隊を残して閉鎖される。それが新たな惨劇の原因となるとは誰も予想できなかった。
暫く後、大気圏に突入する隕石群の中に形を変えることなく落下する物体が観測された後、いくつかの都市で電子制御兵器が暴走を始める。
そして、アイギス内に搭載されていた投下型局地殲滅ユニット・モリッツGが突如として発進する事態が発生。
旧東京に降下し、破壊の限りを尽くすモリッツGの前に現地の軍・民間武装警察は壊滅。地球全土に第一級非常事態が発令され、遂にはテスト段階の新型R戦闘機までもが事態鎮圧のために駆り出されていく。
バイド
遂に、人造の生ける悪魔<BYDO>が大気圏に侵入したのだ……。
ゲームシステム
基本システム
一撃死・残機制、全7面構成の2D横スクロールシューティングです。ミス時は特定の復活ポイントから再開します。
今回は一周でエンディングへ。難易度は3段階から選択可能です。
また本作から地形に接触してもミスになりません。これは開発段階で「地形ミスは単純に難易度を上げるだけだが、セーフにしてもそこまで難易度は下がらず、むしろゲームに幅が出る」ことが結論付けられたためらしいです。
シリーズ特有のゲームシステム「フォース」「波動砲」「補助装備のビットとミサイル」の3つの要素はそのまま継承。
今回は自機の選択が可能となり、機体ごとに3つの要素に性能差が設けられています(後述)。
メインショットボタン長押しでチャージできる「波動砲」は、全機が2ループチャージ射撃可能です。(チャージするほど威力、範囲などの性能が向上します。)ビットは全機共通です。
スピードアップアイテムが廃止され、任意に自機のスピードを4段階に切り替えられるようになりました。
操作形態は「8方向レバー」と「ショット」「ショット連射」「フォースシュート」「Δウェポン」「加速」「減速」の6ボタン式です(キー配置はオプションで選択可)。
DOSEシステム
本作から、新要素として「DOSEシステム」が登場しました。フォースの接触で敵を倒したり、敵弾を吸収することでDOSEゲージがたまり、MAX状態「ドースブレイク」ではフォースの当たり判定と攻撃力が上昇します。この状態でDOSEボタンを押すとゲージを全て消費して、シリーズ初の所謂ボム『Δウェポン』を発動できます。
ドースブレイク中はフォースで敵を倒したり、敵弾を吸収すると追加点が入るのも特徴です。
ハイスコア狙いでは必然的にこの「DOSE」を意識したプレイが求められます。
貪欲なる力「Rの系譜」

バイド、地球へ…"サタニック・ラプソディ"
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R-9aII 「デルタ」
初代『R-TYPE』の自機「R-9・アローヘッド」を模した外見と性能を持つ試作機です。
対空、反射、対地の三色レーザーを発射、分離時は最大4way弾を放つ「スタンダード・フォース」と低威力ながら追尾性に優れる2連式の「追尾ミサイル」を搭載しています。
「波動砲」は貫通力に優れるものの、他機と比べるとやや劣る点が多くみられます。弾速が遅い上に攻撃範囲が狭く、チャージで放てる「拡散波動砲」も攻撃範囲こそ広いですが、他機体に威力で引けを取ります。
決め手に欠け他機体への応用が利きにくいため、残念ながら入門向けとは言えません。どちらかというと過去作品に思い入れがあるプレイヤー向けの機体です。
R-X「アルバトロス」
航空機メーカーと軍が共同開発したという設定故か、R戦闘機には珍しい大型の水平主翼が特徴的な機体です。
高い攻撃力と広い攻防範囲を兼ね備える「テンタクル・フォース」は機体の前進・後退に応じて触手状コントロールロッドが開閉するという特殊な装備です。分離時には敵機を追尾して一方向に収束弾を発射します。
レーザーはどれも癖がありますが攻撃力が高く、ロッドの開閉により広い攻撃範囲もキープできます。
「誘爆ミサイル」は『R-TYPEII』の対地ミサイルに近い性質を持っています。
「炸裂波動砲」「高圧縮波動砲」は発射した瞬間に直線上の敵に着弾、敵の内部で炸裂します。さらに当たった場所から衝撃波が発生し、周囲の敵もを巻き込むことが出来ます。直撃時の威力は全機中最強ですが、大ダメージを与えられるのは直撃した一体だけで、衝撃波は低威力です。
総合的には抜群の安定力を誇るものの、フォースは最高段階まで成長するまで性能が極端に低く、高威力のミサイルや波動砲もそれを補ってはくれないため、ミスからの復活は困難を極めます。
R-13「ケルべロス」
これまでのR戦闘機のイメージを覆す黒と赤の機体色や個性的な性能、そしてその性能ゆえに辿る運命から人気の高い機体です。
威力と貫通力に加え、追尾性能まで持ち合わせた「ライトニング波動砲」が最大の特徴です。それを一気に三本発射するチャージ波動砲「オーバーライトニング」はまさしく本作最強の波動砲と言えるでしょう。
高性能の代償に有線制御せざるを得なくなった「アンカー・フォース」は敵に打ち込むとそのまま喰らいつきダメージを与え続けます。
分離時に弾が発射されませんが、機体本体と結ばれた光学チェーンに攻撃判定があります。チェーンはショットの連射に応じて捻じ曲がり攻撃範囲が広がりますが、思うように操るのは困難です。小チャージの波動砲を連射するだけでも捻じ曲がるので併用すると強力でした。
レーザーはどれも性能が悪いですが、ターミネイト・γ(黄レーザー)の性能は侮れません。
「光子ミサイル」は直進追尾型。攻撃力もまずまずです。
特徴的なフォースに目を奪われがちですが、その実波動砲による地力が目覚ましい機体です。死亡時からの復活が容易でごり押しがしやすいものの、強みがその程度しかないので安定力には欠けます。
この他、ある条件を満たすと第4の機体が解禁されるのですが…
プレイ動画
評価点
『R-TYPE』初心者も入り込みやすい作風
難所にも「Δウェポン」という抜け道があるます。ミスをしてそれらの装備がなくなっても、波動砲の威力は健在で、一定個所にハマることは少ないです。
とはいえ最低難易度のKIDSでも詰む人は詰むくらいに相変わらず難易度は高いです。しかし運が絡む場面はほとんどなく、攻略パターン構築の面白さを存分に楽しめるのも特徴ですね。
高難易度ともなると気合い避けは通用せず、精密機器のようなパターンが要求されるシビアさもウリの一つです。それでいてパターンは一つだけではない開拓の楽しみもあります。
身も蓋もないですが、家庭用向けなだけにデバッグ無敵コマンドも用意されています。
またオプション内の「NOTE」ではやりこみ実績(1クレジットクリア等)が記録されるようになり、やりこみ甲斐が増しています。
多彩なステージを彩る秀逸な演出
恒例の宇宙と異次元の他、シリーズで初めて地球上、さらには精神世界まで舞台に。市街戦の迫力を見せ付ける1面、巨大兵器と対決する3面と序盤から3Dを存分に活かしている。動きのインパクトでは並び称される『レイストーム』や『アインハンダー』に匹敵します。
プレイヤーの意表を突くド派手な演出や、3Dをフル活用した仕掛けが多いのも特徴です。背景も非常に凝った作りになっています。
「バイドが様々な物質・兵器を乗っ取る」という要素を全面に押し出した展開が最大の特徴ですが、これまでの特色だった生体描写も負けてはいません。
精神世界が舞台の5面では『I』のセルフオマージュたる展開が待っており、生体洞の中、ムーラやブヨや輸送システム、ゴンドランにゴマンダー、グリーン・インフェルノとの対決はファンなら鳥肌(&絶望)ものです(笑)。
5~6面のバイドの恐怖や7面における生命の神秘を表現した演出の数々は、まさに『R』の世界観ならでは。ローポリゴンながらシリーズ特有の不気味さも演出できています。
BGMは音楽制作会社「USP(Unlimited Sound Project)」が担当。ステージ展開とシンクロ具合が素晴らしく、シリーズ中でも評価は高いです。7面は演出・BGMともに単なるシューティングの範疇にとどまらぬモノがあります。
同じステージ内の空中と水中とでBGMの曲調が変化し、SEに残響がかかる2面の「音の演出」も印象深いですね。

公式サウンドトラック
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難点
この時期のポリゴンシューティングの宿命ですが、慣れるまで弾が見づらく、当たり判定も判り辛いです。敵破壊時に破片や火花が飛び散るため、余計見づらい事も。
DOSEシステムによる稼ぎの関係上、スコアを意識するとショットを自粛する地味なプレイスタイルになってしまうという点もあります。
またロード時間は比較的長めです。機体選択後にOPデモを入れたり、ステージ間のスコア集計等で上手く誤魔化していますが、ステージセレクト時はそれもありません。
最後に、これはデバッグコマンド関係によるものですが、スコア表示にバグが生じています。
総評

初代『R-TYPE』の自機「R-9・アローヘッド」
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フルポリゴン化、DOSEシステム導入、地形ミス廃止、速度調節可など細かい変更が多く、『R-TYPEシリーズ』として受け入れられないという声があったのも事実ではあります。
しかし、実質赤レーザー一択を迫られていた初代『R-TYPE』や『II』、2ループチャージ偏重のゲームバランスだった『III』とは違い、豊富な攻撃手段を遺憾なく発揮できるように調整された『R-TYPE Δ』のゲームデザインはそれまでのシリーズにはない新鮮さがありました。
『R-TYPEシリーズ』の新たな可能性を見出し、その窓口を広げたこの作品は『R』の血統を受け継ぐ者としての役割を存分に果たしていたと私は考えております。
余談
NOTESに記録される内容の中に「1000時間プレー」というシャレにならないものがあります。
達成できた人は教えていただきたいです。
『R-TYPEシリーズ』といえば「エロいシューティング」として有名ですが、本作もそこは手加減していません!
本作はゲームアーカイブスでプレイできた時期もあったのですが、アイレムのゲームアーカイブス撤退に伴い、配信は2011年8月11日で終了してしまいました。中古ゲーム屋さんで発見出来たらラッキーです!是非、手に取っていただきたいですね。
本稿で記載しております情報は、ゲームカタログ@wikiから引用させていただきました。
出典元はコチラです。
R-TYPE Δ - ゲームカタログ@Wiki ~クソゲーから名作まで~ - アットウィキ