TV第1話『ガンダム、大地に立つ』でのガンダム初陣ザク撃破シーン。アムロとガンダムの戦いは、ここから始まった!
今回紹介するのは、HGUC REVUVE最新版の1/144 ガンダムと、雑誌『月刊ガンダムエース』に付録としてついてきた、1/144 ガンダム用武器セットにラインナップされていた、ビーム・ジャベリンの紹介です。
ガンダム 1/144 HGUC 191 2015年7月 1000円
ボックスアートの「TV第1話の飛翔シーンの再現」が、このキットがVer.kaでもお台場版でもなく、正しくアニメ版ガンダムのキットであることを主張している
またなのかガンダム!
なんどめだがんだむ!
テレビ版オープニング歌詞にあるように、どんだけ「甦れ」なのかガンダム!
1/144だけで、9個目(うち2個はイベント頒布品)の新規発売になるぞガンダム!
完成したHGUC 191 REVIVE版ガンダム。小顔でスマートながら、アニメの印象を損なっていない絶妙のバランス感覚
「これがプラモデルアレンジの、『機動戦士ガンダム』(1979年)に登場した、RX-78-2ガンダムです」は、1/144では少なくとも、アニメ版準拠でHGUC 021が、お台場実物大立像準拠でHG Ver.G30thが、究極系バージョンでリアルグレード(RG)が、「ガンプラ初心者のお子様向けです」ではGFT版が、それぞれ、可能な限りの住み分けで市場を形成していた……はず、なのであるが。
HGUC 191 REVIVE版ガンダムを使った名場面の再現。ランバ・ラルのグフとの一騎打ちで、斬り勝つアムロ!
先に擁護しておくと、確かにHGUC 021とHG Ver.G30thは、デザイン面では究極に差別化が図られていたが、こと可動という面では、HGUC 021はアニメデザインに、HG Ver.G30thは初心者向けキットというビジネスに、それぞれ縛られて、他のHGUCモビルスーツよりも可動範囲が狭かったのは事実。
再び宇宙へ出たホワイトベースを追撃する、コンスコン隊のリック・ドム部隊との対決!
無論、そういったアレコレを一緒くたに払拭する役割が、RGシリーズには価値があったのだが、如何せんRGは、価格帯が高いため、売り上げがHGUCほど望めないという、バンダイ的に“美味しくない状況”がある。その上で、ユーザーサイドから見ても、RGはむしろ可動とディティール、パーツの細かさ等で「やりすぎ感」があり(そういうのが好きな人にはたまらないというのが、まぁ趣味の世界のビジネスの難しさではあるが)、ライトユーザーには手を出し難い上、完成した後でも装甲パーツがポロポロ落ちるというケアレスミスも目立つという状況がかくありきであった。
無敵のガンダムのビーム・ライフルが、宇宙を切り裂く!
一方で、HGガンプラではこの時期、新素材KPSと共通ポリキャップを採用した、「共通フォーマットのローコストで、歴代主役ガンダムを次々と1/144でリメイクする」という、通称・HGオールガンダムプロジェクトが、2013年にスタートしていた。
覚醒したアムロは、思念兵器ビットさえも、サーベルで撃破してみせる!
この、オールガンダムプロジェクトでは、主に『機動戦士ガンダムF91』(1991年)のF91や、『機動戦士Vガンダム』(1993年)のヴィクトリーガンダムや、『新機動戦記ガンダムW』(1995年)のTV版ウィングガンダムゼロなど、過去に1/144ではリメイクされていないガンダム達を中心に商品化が進んだ。
ア・バオア・クーでの最終決戦に、出撃していくアムロのガンダム!
一方での、HGUCのREVIVEという「Ver.2商法」と、一方でのオールガンダムプロジェクト。その狭間で“HGUCブランド”で“オールガンダムプロジェクトの各ガンダムと並んで違和感のない”しかも“救世主のような新素材・KPSを駆使した新型”で“気軽に買える価格帯”で“手軽に作れ”て“ディティールも可動も優れ”ている、そんなRX-78-2ガンダムの決定版を、という目論見から、今回紹介するHGUC 191 ガンダムが誕生したのだ。
そのア・バオア・クーで、シャアのジオングと雌雄を決する時が来た!
とりあえず、今回のガンダムは、その2つのシリーズのうちのどっちなのだと問われれば、一応はHGUCナンバーなので、REVIVE版ということになるらしいが。
今、決戦の時! 片腕を失いつつもガンダムのライフルが、宿敵シャアのジオングを狙う!
細かいことはこの辺にして、実際のキットを見ていこう。
見た目のデザインに関しては、肩アーマーや四肢などは、HG Ver.G30thやRGなど近年の定番アレンジの流れを汲みつつ、顔やボディの流線面などに関しては、HGUC 021版の直系とも言えるアニメ版に忠実な面もあるという、悪く言えばどっちつかずではあるが、逆に考えればオールインワンを目指した「ガンダムの正解」としては、一番2010年代では多数派の領域ではないだろうか?
完成したキットのポージングの幅が広いことが、この一枚の写真からも分かっていただけると思う
もはや、安彦版VSカトキアレンジの時代も終わったのだ(それを象徴するかのように、同時期から劇場版展開も始まった、安彦良和氏漫画原作アニメ『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』(2015年)のモビルスーツデザインが、カトキハジメ氏であったりする)。
顔のUP。カメラアイと黒い隈取はシールだが、赤い部分は今回は赤で別パーツ化されている。面構えもなかなか安彦画的
さて、このHGUC 191 REVIVE版ガンダムのキットとしての解説に移るが。
さすがに、35年間の間に、様々な試行錯誤を繰り返してきたRX-78 ガンダムの現行最終版だけあって、非常にバランスの良い仕上がりになっている。
腰の捻り、膝の曲がり具合、肩のスライドなどで、こんなポーズも曲線美のようにばっちり決まる
ここで言うバランスとは「解像度の設定」「アニメ作画版への忠実度とデザインリファインの両立」「キットとしての作り易さと色分け」「可動領域とパーツ数と価格」等の要素が、過不足なく過去のどのキットよりも、平均して割り振られている印象があるという意味である。
バズーカも、肘関節の折りたたみ角度の深さに加え、グリップ部分が稼働するので、自然に構えることができる
先にこのキットの弱点を挙げてしまえば「手首のバリエーションは豊富だが、左手首・武器持ち手がないという一点のみが惜しかった(最終決戦バズーカ2丁持ちがキットのままだと再現できない)」「肩のボールジョイント接続が、他のガンダムとは違った狙いがあるので(後述)、前方へ向けての引き出し可動が出来ない」「スカートアーマーの分割は良いのだが、リアアーマーだけ固定なので、脚を後方に向けて踏ん張るポーズが取れない」ぐらいか。
シールドを背中に背負っての、ビーム・ライフル両手構えも余裕
「小顔で細身、脚長なプロポーション」はREVIVEリファインの共通特徴だが、ガンキャノンや百式などのREVIVE版は、そこを受け入れられるかどうかでかなり採点が人によって違ってくると思われる。
ビーム・サーベルは、個人的には少し長すぎるパーツを選択したなと思ったが、ハッタリは効いているので、これはこれで悪くはない
筆者は個人的には、劇場版『機動戦士ガンダム』3部作で、2作目まではテレビ版のカットの方がそれなりに多かったのに対して、3作目『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編』(1982年)では、キャラ、メカ問わず殆どのシーンで新作画が目立ち、その際安彦作画監督は、流れるような描線とシルエットでガンダムを描いていたことを踏まえ、再現画像でも一部可動範囲が必須なカットを除き、『機動戦士ガンダムⅡ 哀・戦士編』(1981年)再現までは、HGUC 021版ガンダムを用いておいて、『めぐりあい宇宙編』では、徹底的にこのHGUC 191 REVIVE版を使用することで、再現の画像の印象にギャップを持たせることにした次第である。
バンダイ製アフターパーツの「次元ビルドナックル(丸)」の、左手武器持ち手(M)を使うことで、ア・バオア・クー最終決戦のバズーカ2丁持ち仕様を再現
このキットの評価で、次に賛否が分かれたのが、成型色の白に関してである。
他の、これまでのリメイク版RX-78 ガンダムと違って、成型色の白が、ややグリーンがかっているところを指摘する声が多かった。
しかし、元々アニメのガンダムは、光が当たってる白い部分は純白で塗装されているが、特に劇場版用新作画カットなどで、影に当たる部分は、やや緑がかった色で描画されていて、なので1/144 ガンダムも、一番最初のキットなどは随分と成型色もグリーン寄りで、その上でさらにその彩度をグリーンに寄せた形で、ジムの色設定画成り立っているのだというのは、80年代からのガンダム者では当たり前の基礎知識である。
筆者は、webで酷評されているほどには成型色は気にならなかった。肘関節はいつものようにクールホワイトで塗装したが、御覧のように、さしたる違和感もない
なので、筆者的にはこの成型色も何も問題はなく、むしろ胸のブルーがさらに淡く、アニメ本編のスカイブルーに近くなってくれた事の方が嬉しかった。
もっとも、キット制作にあたっては、他のガンダムキットと統一するために、胸部青はMSライトブルーで塗装してある。
その上で、上記した肩関節の問題。
このHGUC 191 REVIVE版が、オールガンダムプロジェクトでもあるという話は前半で語ったが、オールガンダムプロジェクトでは、共通仕様のポリキャップが使用されており、それはPC002と呼ばれている。
肩ブロックを外した部分のUP。ボディ側に見えているポリキャップがPC002の2番
PC002の2番のポリキャップは、共通して各ガンダムの肩関節に使用され、主にボールジョイントで肩アーマーを受け止めながらも、ボディ側に設置されたボールジョイント自体が前方へスライドして、正面で両手を絡めやすくする効果を生むのだが、このHGUC 191 REVIVE版の場合は「あえて」そのスライド方向を、“前”へ向けてではなく“上”へ向けて設置してある。
この2番のポリキャップの取り付けが、他のガンダムとは違うので、肩アーマーを真上近くまで持ち上げることができるのだ
これは過去のガンプラでは再現が難しかった「ラストシューティングポーズ」を、無理なく再現できるようにとの配慮からの設計と思われる(余談だが、全ガンダムで、同じPC002を使用して構造成立させるオールガンダムプロジェクトだったはずが、HGUC 177 ∀ガンダムでは、いきなりそのレギュレーションが破られてしまっていた)。
逆にこのキットのセールスポイントを挙げていくのであれば。
その肩の他でも、肘と膝が二重関節でほぼ折りたためる状態まで動かせ、腰も首もダブルボールジョイントで、全身がグリグリ可動する。
肘関節の二重構造は、殆ど折りたためる状態まで、肘を曲げることが出来る
なので、バズーカを構えた状態を横から見ても、自然に肩の部分がマッチするようにポーズが決まる
足首は左右開脚への接地性が少し悪いが、逆にそこが気になるぐらいには、股関節の開脚や前後への動きも、スカートアーマーの独立可動(前部スカートアーマーは、中央で切り離すことで、左右独立で可動が可能になる)と相まって、ほぼRG準拠ぐらいには、可動範囲は広がっている。
膝の関節も二重構造で、両脚を膝までそろえても、伸ばした左脚と畳んだ右脚で、ここまで角度に差が出る
肩アーマーと肘の可動範囲の恩恵で、腕がすごく自然に、バックパックのサーベルまで手を伸ばすことが出来る
成型色分けも、カメラアイ下の赤い隈取も赤パーツになったため、トサカのメインカメラとカメラアイ周囲の黒い縁取り、そして頭部バルカンと腰ふんどし部のV字マークの黄色ぐらいが、追加塗装が必要な程度である(筆者はそこでもちろん、自分ルールで「手首は濃緑色」「武器とバックパックはミディアムブルー」「四肢の関節はクールホワイト」を追加した)。
ボディもボールジョイントを2段で内蔵しているため、微妙ながら胸を反らしたり、屈んだりが可能な構造になっている
全体のディテールや解像度も過度になっておらず、むしろそこは既出のRGや上記した『ガンダム ORIGIN』版キットとの住み分けを配慮してか、あっさりめに刻まれているだけで、これまでの『機動戦士ガンダム』版HGUCの各モビル・スーツキットと並べた時には、遜色や解像度の格差が起きないように抑えられている。
簡単に要約すると、このHGUC 191 REVIVE版は、「パーツ数と色分け、解像度やコストを抑えつつ、可動とポージングは領域をほぼ維持できた、廉価版RG ガンダム」という側面も持っている。
なによりも、ここまでの可動範囲とプロポーションと色分けが完成しているガンダムのHGUCが、税抜き1000円ジャストという価格設定に収まること、それ自体が一つの技術革新ではないだろうか?
新時代のスタンダード1/144 ガンダムのポテンシャルの高さ