そもそも「モノポリー」ってどんなボードゲーム?

実際のボードゲーム「モノポリー」
モノポリー - Wikipedia
概要・ルール
モノポリーとは、盤面周辺に配置された40マスをぐるぐる回る、世界的人気を誇る双六ゲームです。その中には28種類の物件マスがあり、それらを購入し、他のプレイヤーから「レンタル料」を徴収することでお金を稼いでいきます。
しかし、通常時のレンタル料は微々たるもので、このままでは勝利を目指すどころか、ゲームが永遠に終わりません。そこで他のプレイヤーと「交渉」をし、8色あるカラーグループに属する2~3物件や盤面各辺の真ん中に配置されている「鉄道」、止まったときのサイコロの出目でレンタル料が決まる「電力・水道」をまとめていくことになります。(当然それ相応の物件や現金を他プレイヤーに放出する必要もあります)
なお、勘違いしている人が多いので補足しておくと、購入可能な土地は「止まった人が買える」ではなく「止まった人が定価で買える権利がまず与えられ、拒否した場合は全員で競売(最高値を付けた人が購入)。」というものです。このため「自分がほしい土地に止まれないのでいくら出してもいいのに揃えられない」ということはなく、人数にもよりますが普通は数周もすればすべての土地に購入チャンスは発生します。
「交渉」によって物件をまとめると、カラーグループの場合は家を建設できるようになり、レンタル料も最初とは比べ物にならないほど跳ね上がります。「鉄道」「電力・水道」もカラーグループほどではありませんがそれなりのレンタル料に上がります。この「跳ね上がったレンタル料」で、他のプレイヤーを支払い不能、つまり「破産」に追い込むのがモノポリーの最終目的です。
なお、非常に重要なことですが「交渉」は他のプレイヤーのターン時でも可能です。また家の建設や、資金を得るために物件を抵当に入れる場合も同様です。(抵当に入れられた物件からはレンタル料は得られなくなります。借金が増えたり没収されることはありませんが抵当を解除するためには抵当価格に10%上乗せした額を支払う必要があります)
ちなみに、モノポリーの要素を取り入れたボードゲーム型のTVゲームソフトには『いただきストリート』や『カルドセプト』等が挙げられますね。どうでもいいですが、私は『いただきストリート』が好きです。
『ザ・モノポリーゲーム2』とは

スーパーファミコン用ソフト『ザ・モノポリーゲーム2』
Amazon | ザ・モノポリーゲーム2 | ゲームソフト
『ザ・モノポリーゲーム2』は1995年3月31日にトミーから発売されたスーパーファミコン用ソフトです。原作は上でも紹介した、1935年に誕生したすごろく型のボードゲーム「モノポリー」です。
日本で『モノポリー』が流行った1980年代後半について
日本では、百田郁夫氏が1988年の世界選手権で優勝したこと、コピーライターの糸井重里氏がテレビ番組でモノポリーの魅力について語ったことから一大ブームになったと言われています。
「他プレイヤーと交渉してゲームを進める」という点、その交渉の中でプレイヤー各人の好みや戦略眼が垣間見える点からその魅力に取りつかれた著名人はテレビタレント、作家、将棋や囲碁のプロ棋士、そしてゲームクリエイターなど多岐にわたります。
ただ、まともにプレイするには麻雀以上のプレイ人数をそろえなければならないという問題があり、対戦相手がいなくても楽しめるコンピューターゲーム化はファンの誰もが待ち焦がれていました。
1991年、待望のファミコン版『モノポリー』が発売
そんな中、1991年 ファミコン版『モノポリー』が発売されます。お世辞にも良好な出来とはいえませんでしたが、ファミコンのスペックで5人対戦(最大8人まで可能)を実現させており魅力を伝えるには十分でした。
その後、百田郁夫氏、糸井重里氏が監修に当たりスーパーファミコン版が2作発売されます。特に1995年発売の『ザ・モノポリーゲーム2』は多彩なCPUプレイヤーと原作愛あふれるゲーム内容から、今なお「モノポリーのコンピューターゲーム最高傑作」と位置付けられています。
実際のゲーム画面を見てみよう
特徴、評価点
「わかっている」とファンを唸らせたモノポリーのゲームソフト
このゲームは大のモノポリーファンであり、日本モノポリー協会会長を務めている糸井重里氏、モノポリーの世界大会優勝経験者の百田郁夫氏が監修に当たっており、開発もモノポリーの大会にて優勝経験の有るスタッフがいるトムキャットシステム、『MOTHER』で知られるエイプが手がけています。
そのため、ゲーム内容も実に「わかっている」とファンを唸らせる出来になっています。
「ルールの部屋」では上記でも記したモノポリーの基本的な遊び方が学べます。またゲームを進めると「攻略本」という名の下に、モノポリーをもっと戦略的に進めるためのアドバイスも追加されます。(例えば有利・不利なカラーグループなど)
総勢36人もの個性的なCPUプレイヤーがゲームを彩ります。好々爺、ギャル系、気弱なサラリーマンなどの特徴あるキャラ達に、それぞれに好きなカラーグループなどのキャラ付けがなされており、また特徴的なセリフを話すので、(例えば「しもだ」というキャラの「このクソカード!」とか…)まるで対人戦を楽しんでいるかのような錯覚に陥ります。
刑務所入所時のセリフも、物件を購入する段階の序盤ではがっかりする表情ですが、物件が売り切れてレンタル料も高額化している中~終盤ではほっと一息つく表情を見せるなど、とても芸が細かいです。
もちろん、実際の対人戦も可能です。「マルチプレイヤー5」を使用して最大5人の対戦ができます。
「歴史の部屋」に入ると、「いかにしてモノポリーは創られたか」をはじめ、モノポリーに関するマニアックなトリビアを閲覧できるようになっています。
さらにミニゲームとしてクイズやスロット、麻雀風カードゲームが収録されており、暇つぶし、息抜きにもってこいです。
ただし、スロットとカードゲームは後述のオレンジカップ決勝をクリアし、「カジノの部屋」をオープンしないとプレイできません。
いざ、モノポリー大会へ
ゲーム本編は、プレイヤーはモノポリー大会が開かれているホテルの宿泊客となり「オレンジカップ予選・決勝」「レッドカップ予選・決勝」「イエローカップ予選・決勝」「グリーンカップ予選・決勝」そして「ボードウォークカップ」を勝ち抜くことが目的です。それぞれには参加料(コイン)が必要で、高ランクカップになるにつれ高くなります。ちなみにコインはゲームスタート時、およびコインがなくなってしまった時に、フロントから3枚もらえます。
ただし各カップを順番に勝ち進む必要はなく、前述のミニゲームで参加料を稼いで、いきなりボードウォークカップに挑むこともできます。
ボードウォークカップ優勝後は、「フリープレイの部屋」がオープンします。そこでは前述の36人のCPUから好きな対戦相手を選択してゲームを楽しむことができます。
「トロフィー集め」というやり込み要素もあります。上記カップ戦に優勝することはもちろん、ミニゲームで好成績を収めるほかに、「フリープレイ○連勝」というかなり厳しい獲得条件のものもありました。
このように、「モノポリーをわかっている方々」が手がけたゲーム内容、手応えのあるやり込み要素、そしてボード版での対人戦にも通用しうるテクニックが身につけられるCPU対戦から、発売から23年が経過した今でも「モノポリーのゲームソフト最高傑作」に本作を挙げる方々は非常に多いというわけですね。

『ザ・モノポリーゲーム2』攻略本
ザ・モノポリーゲーム2完全ガイド | |本 | 通販 | Amazon
問題点
プレイ中のテンポがあまりよくない点は考えものです。CPUのセリフがスキップできない仕様になっており、ボタンを押していると若干セリフの処理は早くなりますが、「…」など、考え込む表情などでセリフが止まる部分は早くならないので総じて時間がかかります。リアルではありますが。
そのため1ゲーム終わるのに1時間以上、長期戦になると2~3時間かかってしまうことも。ここにイライラするという方もいらっしゃるかもしれません。
誰か一人が生き残るまでゲームが終わらないデスマッチ方式オンリーなのも時間がかかる原因です。モノポリーのルール上、ほぼ逆転不可能な状態から10分以上かかる場合もあります。
またその結果、モノポリーをしてもコインはロクにたまらず、カジノやクイズで稼ぐのが最適解、と言う事になってしまっています。ただ、これは「コイン不足でストーリーが進まない」と言う事がほとんどない、という風にもとれますが。
ただしアイテムコンプリートまで考えると、「テンホーのペナント」(カードゲームで、最初の手札で上がった場合に獲得)、「ちょっといいトロフィー」&「すっごいトロフィー」(コインを貯めて購入するのですが、これが凄まじく高いのです…)など、やり込み要素とは言えやや厳しい労力を払わされるアイテムも。
「モノポリーが分かっている人間」には良いソフトですが、「モノポリーを初めて触れる人間」には序盤ステージのCPUでもかなり厳しいでしょう。交渉を繰り返していくゲームの性質上、そこで何をしていいのか分からず投げてしまう事も。
初心者のためには先述された(ゲーム内の)攻略本が役に立つ筈なのですが、その攻略本はレッドカップ決勝(4ステージ目)を勝ち抜かないと手に入らないのです。かといって「CPUの戦術を見て学んでいく」ほど序盤のCPUの頭が良い訳でもありません。
逆に、モノポリーに詳しい人間にも、やや不満な点も存在します。
本来のルールでは、全資産を抵当に入れてもレンタル料を払えないプレイヤーは「仮破産」となり、交渉の機会が与えられます。この交渉を行っても足りない場合に初めて「破産」となりゲームから脱落するのです。が、このスーファミ版では即座に「破産」となり、交渉が行えません。
モノポリーでは、破産させたプレイヤーは破産したプレイヤーの持つ全ての資金と権利書を獲得できます。そのため、多くの権利書を持っているプレイヤーを破産させた者がすべての権利書を受け継いで独走態勢になってしまったり、逆に受け継いだ権利書が抵当に入っていた場合の手数料で強制的に現金不足に追いやられたり、などという事が起こり得ます。
通常のモノポリーではそれを阻止するために、他のプレイヤーが仮破産プレイヤーの権利書を買い取って生き延びさせる「救済交渉」という行動をとるのが一般的なのです。しかしこのスーファミ版ではそれが出来ないために、破産が以後のゲーム展開に、本来以上に大きな影響を与えてしまうのです。
ただし、この救済交渉は多くの権利書を交渉の俎上に乗せるため、柔軟な会話の出来ないCPUでは難しいと言う事情もあり、致し方ない所でもあるのですが…。
最後にサイコロを振ったキャラの次の手番のCPUは、「先にサイコロを振らせて下さい」と言って絶対に交渉に応じてくれません。普段はモノポリーの定石として正しいのですが、残り2人になった場合や、レンタル料が払えず今すぐにお金が欲しいと言う場合には、この仕様が不自然になる事も。
それと、モノポリークイズの中に出題ミスが存在します。地味に痛い。
総評
「卓上ゲームのコンピューターゲーム化」に伴う難点は存在するものの、「モノポリーの魅力、醍醐味」を余すところなく再現して見せた良作といえるでしょう。
発売から二十数年経過した現在でも「モノポリーのゲームソフト最高峰の傑作」とファンから支持される理由は、ひとえに製作スタッフの「モノポリーへの愛」であります。CPUの思考ルーチン、盤面の雰囲気作り、その他要素とも、「モノポリーへの愛を持っている者」でないととても作れるものではありません。そんなゲームでした。
余談
『2』なので当然第一作もあったのですが…
『2』とナンバリングがされている、ということは前作ももちろん存在しますスーファミ版第一作『モノポリー』です。
本作ほど有名ではないものの、音楽はすぎやまこういち氏が手がけています。
もちろん、すぎやま氏も「モノポリーへの愛を持っている者」の一人です。
プレイヤーが負けることを最優先した交渉、すなわち、CPU同士でその時における相場から逸脱した金額でカラーグループをまとめる交渉をしたり、明らかに自分が不利になるなるような交渉を平気でします。当然そうして取引した片方のCPUは程なくして破産し、一方的に強くなったもう片方のCPUにプレイヤーも究地に立たされます。これが初代スーファミ版『モノポリー』をつまらなくさせた最大の原因でした。
モノポリーのゲームソフト、その後の展開…
PS、PS2、GC、GBA、Windowsなど、多種のハード向けに様々なメーカーからモノポリーのゲームソフトが発売されました。
タカラから発売されたPS版は前述の百田郁夫氏が監修していまして、出来もそれなりの好評価。
トミーから発売されたPS2&GC版『めざせっ!大富豪人生』は「CPUの出来が悪い(たいしたキャラ付けがなされていない)」「『劣化いただきストリート』というべきオリジナルモード」「余計なミニゲームを導入(これで他プレイヤーの物件の強奪や、多額のレンタル料を他の誰かになすり付けることを図れる)」などが理由で駄作。という評価を受けています。
2009年3月19日にエレクトロニック・アーツ(以下EA)から発売されたWii版は、PS2&GC版の駄作要素の一部に加え、「自分のターンにしか交渉・家建設・抵当とその解除ができない」「キャラ付けされたCPUがいないどころか、一人用モードすら存在しない」「操作の多くがWiiリモコンでのポインティングであり十字キーでは操作できない」という仕様になっており、モノポリーの醍醐味もパーティゲームとしての快適さも失われてしまっています。(しかも海外では、操作以外全く同じ内容でXbox360、PS3、PS2でも発売されています)
現在はEAやユービーアイソフトがモノポリーのコンピューターゲーム化に関する権利を所有しています。
しかし、EA発売のモノポリー各作品は、モノポリーにおけるルール面の齟齬が発生し、またゲーム単体の出来も「クソゲー」と言って差し支えないほどの低クオリティでした。
権利関係がややこしいことから、EA以前の作品はバーチャルコンソールなどへの復刻配信の可能性はほぼゼロであり、日本のモノポリーファンの間でも、「コンピューターゲームではモノポリーの魅力を伝えることはできない」と考える人は多く、原作愛を持つ人たちが再結集してのリメイクも絶望的なのが現状です。寂しいものですね。
本稿で記載しております情報は、ゲームカタログ@wikiから引用させていただきました。
出典元はコチラです。
ザ・モノポリーゲーム2 - ゲームカタログ@Wiki ~クソゲーから名作まで~ - アットウィキ