世紀の決戦の裏側を描いた実録マンガ「真剣勝負!猪木VSアリ」! その衝撃の内容がスゴい!

世紀の決戦の裏側を描いた実録マンガ「真剣勝負!猪木VSアリ」! その衝撃の内容がスゴい!

1976年の6月26日伝説の「アントニオ猪木VSモハメド・アリ」の一大決戦が行われた。日本中の期待を一心に集めたこの試合!今回紹介するのは、猪木VSアリ戦の2ヶ月後に掲載された実録マンガ、「真剣勝負!猪木VSアリ」!


正に燃える闘魂!猪木がこの一戦に賭ける決意は固い!

アメリカの大物からの電話にも屈すること無く、猪木は一世一代の大勝負に臨む!
世間の冷たい目を跳ね返すため、そして自分こそが世界最強の格闘家だと証明するために!

これがルールの盲点を突いた猪木の秘策だ!

一瞬の勝機に賭ける猪木!

猪木に容赦無く浴びせられる観客の罵声・・・。

いよいよ始まった猪木VSアリ戦!
いきなりマット上で仰向けに寝そべった猪木。本作ではこの戦法に行き着くまでの経緯が描かれているため、「成る程、そうするしか無かったのか!」と正当な評価が出来るのだが、リアルタイムで試合を見ていた人々の反応は、このマンガの中の観客と同じだったのだ。

アリにも卑怯者呼ばわりされ、観客の嘲笑の的に・・・。

観客の嘲笑やヤジを受けながら、それでも猪木は絶望的に不利なルールの範囲内で最善を尽くし、一瞬のチャンスを待つのだが・・・。

猪木の予想とは裏腹に、アリの足は15ラウンド耐え続けた。
周囲の人間は気付かないが、実際に戦っている猪木には、アリの凄さが次第に恐怖に感じられていたのだった。

遂に最終ラウンド!

アリの迫力と隙の無さに、どうしても間合いに踏み込めない猪木。

最終ラウンドだ、攻めるしか無い!だが・・・。

この試合の裏側や真の凄さを、当時の観客は理解出来なかったのだ。

遂に終了、両者引き分けの結果に・・・。

遂に迎えた最終ラウンド!
もはや後がない猪木は、アリの懐に飛び込もうと試みるのだが・・・。
意外にもここで明らかになるのは、アリの隙の無さに為す術もない猪木の姿!何も出来ず立ち尽くす猪木に、無情にも試合終了を告げるゴングの音が鳴り響く。
「30万返せ!」の観客の声が実にリアルなこのページ。恐らくテレビの前の視聴者も同じ気持ちだったことだろう。
こうして世紀の対決は、両者にとって不完全燃焼な形で幕を閉じることになってしまったのだ。

全力を尽くして闘った、しかし・・・。
試合後の控室でのインタビュー、猪木の目に光る物が。

余りに弱々しい猪木の姿。

試合直後に書かれたのに、この暗いラストはスゴい!

そして迎える本作のエンディング!
このラストで語られるのは、あまりに人間臭い猪木の本音の吐露だ。
試合直後の控室。ここでの猪木のインタビューにもある通り、観客を楽しませるためのエキジビジョンマッチとして、予定調和に終わらせることを良しとしなかった、猪木の格闘家としてのプライドがここで吐露される。
自分としては、がんじがらめのルールの中での精一杯のファイトだった。それだけは観客に分かって欲しいが、今となってはすべては言い訳にしか受け取られない。実にリアルなこの猪木の発言を当時の読者に伝えただけで、本作には大きな価値と意味があると言えるだろう。

いつしか試合から41年の月日が流れ、現在では歴史がこの試合に正当な評価を下してくれている。だが、当時の状況をリアルタイムで伝えながら、世論に迎合すること無く、その真実と試合への正当な評価を伝えようとした本作の価値と資料性は極めて高い。
今となっては雑誌で見るしか無い、実録格闘技マンガの傑作!それがこの「真剣勝負!猪木VSアリ」だったのだ。

最後に

いかがでしたか?
試合直後は、本編中の観客の描写にも良く現れている様に、「世紀の凡線」との見方が多かった、この「猪木VSアリ戦」。
このマンガが見事なのは、猪木が何故あのような戦法を取らなければならなかったか?その部分をきちんと描いている点だ。
特に猪木側が、もはや後に引けない背水の陣で試合に臨んでいた様子が詳しく書かれているのは貴重!試合直後のこの段階で、正当な評価を与えようとした本作のその真摯な姿勢は、もっと評価されるべきだろう。

この世紀の対戦実現までの金銭的問題やルールについての交渉など、猪木側の粘り強い努力により奇跡の実現をみたことが、このマンガを読むと非常によく分かる。
当時のスポーツ新聞やプロレス専門誌だけでは無く、子供達が読むマンガ雑誌でも、こうした後追い情報がフォローされていたことは、我々ミドルエッジ世代にとっても実に幸運だったと言えるだろう。

あれから実に41年の歳月が流れ、モハメド・アリも昨年の6月3日、惜しくもこの世を去ってしまった。
今夜は久々に、ネットにアップされている試合映像を見返してみてはいかがだろうか?

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