ブラックニッカとはどんなお酒?
ブラックニッカとは、1956年に誕生した、ニッカウヰスキーが誇る、国民的なウイスキーです。
国産ウイスキーの黎明期から現在まで、60年以上にわたって日本人に愛され続けている、国産ウイスキーのスタンダードと言ってもいいでしょう。

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1,000円前後で購入できるという気楽さと、このクラスのウイスキーの中では、本格的なウイスキーの味わいを楽しめるとあって、長く広く、愛され続けています。
昔から変わらずに「ヒゲのブラック」のキャラクターも、親しまれていますね。
マッサンとリタ
2014年に放映された朝ドラ「マッサン」こと、竹鶴政孝氏がニッカウヰスキーの生みの親です。
ドラマではマッサンとエリーの夫婦の奮闘が描かれていましたが、実話はマッサンとリタの愛と夢の物語。名前こそ違いますが、ほぼドラマそのままのストーリーが残っています。

1918年、ウイスキーの製造方法の会得のために単身渡英。スコットランドのハイランド地方で修行をし、その地で妻となるリタと出逢います。
そして1920年にリタと共に帰国し、サントリー創業者の鳥井信治郎氏の元で、日本国産のウイスキー作りに励みます。
1929年、国産初のウイスキー「白札」(現在のサントリーホワイト)を発売。しかし、スモーキーなフレーバーの本格的な味わいのウイスキーは、当時の日本人にの口には合わず、あまり売れませんでした。
1934年、マッサンは独立し、リタと共に北海道余市に移住し、大日本果汁株式会社を設立。後に略して「ニッカ」(日果)となるウイスキー醸造会社の誕生です。

ウイスキーは何年も樽の中で寝かせて作るので、とても時間がかかります。そこで当初は主にリンゴジュースを作っていたそうで、1940年になって、ようやく第1号のニッカウイスキーが誕生します。

単身渡英から22年。「ウイスキー作りにトリックはない」と、愚直なまでに真っ直ぐに進み続けた成果です。
遠い異国の地から来たリタにとっては、戦争による人種の偏見や差別との戦いもあったでしょうが、ようやく辿り着いたスタートラインです。
ブラックニッカの歩み

特級酒として
1956年、余市モルトの芳醇な香りと旨味を引き出した、特級酒として誕生しました。
長年かけてようやく作り上げた、マッサンの自信作です。

当時の日本のウイスキーは、等級制度が取られていて、モルトの含有量によって区分けされていました。
特級:モルトの含有率が20%以上
1級:モルトの含有率が10%~20%
2級:モルトの含有率が10%未満
(1962年当時の区分)
時代と共にモルト含有率の基準の数値は変動しますが、2級酒が主流だった国産ウイスキー市場の黎明期にあって、ブラックニッカは誕生時、国産ウイスキーとしては最高級の位置にあったと言えるでしょう。

良いウイスキーをリーズナブルに
1965年、新ブラックニッカとして生まれ変わります。
それまでの高級な特級酒から1級酒に変更して発売されます。
1級酒と言っても、ウイスキーとしてもレベルを落とす事ないよう、1級酒として定められている上限ギリギリまでモルトを含有し、デリケートなカフェグレーンをブレンドした、香り豊かなブレンデッドウイスキーとして作られました。
「良いウイスキーをリーズナブルに」というマッサンの思いは市場に届きます。
顧客の立場からすると、1級酒の方が価格的にも手に取りやすく、それでいて味や風味は特級酒にも負けないという事で、爆発的なヒット作となったのです。
この新ブラックニッカから、ラベルにヒゲのおじさんのキャラクターが描かれ、現在までニッカウイスキーの象徴とも言うべき存在として親しまれています。

このヒゲのおじさんは、King of Blenders と呼ばれた、W.P.ローリー卿。
マッサンの信念である、ウイスキー造りにおける、モルトとグレーンのブレンドの重要性を現していると言えるでしょう。
1976年、大容量で更に低価格のブラックニッカデラックスが登場。
オイルショックの不景気に悩まされる庶民の強い味方として、歓迎されます。

ウイスキー低迷期を経て新時代へ
1997年、ブラックニッカ・クリアブレンドを発売。
ウイスキーを飲む人口が低迷期に入った時期で、新しいウイスキー人口を獲得しようと、口当たりの良い味を求め、ピートを焚きこまないノンピート製法で、スモーキではない、スッキリした味わいを実現。
ブラックニッカの新しい歴史のスタートとなる商品となります。
そして2013年には、芳醇なコクと、シェリー樽モルトを使用した、フルーティーな味わいが印象的な、ブラックニッカ・リッチブレンドを発売。
2015年には、樽の香りとピートの余韻をより深く楽しめる、ブラックニッカ・ディープブレンドを発売。
ブラックニッカというブランドの中でも、様々な味わいと風味を楽しめるようになっています。
2017年現在、日本国内のウイスキー販売本数が、サントリーの角を抜いて1位になり、60年もかけてトップに到達したブラックニッカ。
ハイボールを通して復興してきた、新しいウイスキー時代の担い手として、これからも庶民の舌を、クリアに、芳醇に楽しませてくれることでしょう。