ホイチョイ・プロダクション
ホイチョイ・プロダクションといえば、1981年からビッグコミックスピリッツに連載された4コマ漫画「気まぐれコンセプト」で知られるクリエイター集団です。
様々なトレンドを作品に取り入れることでバブル期に大ヒットしました。

気まぐれコンセプト
「気まぐれコンセプト」の勢いをそのままにホイチョイ・プロダクションはバブル真っただ中の1987年から1991年の間に3本の映画を発表しました。
いわゆる「ホイチョイ三部作」ですが、ホイチョイ・プロダクションの代表作というだけではなく、バブル期の日本を見事に表現した青春映画となっています。今観ると元気がでますよ~!
では、いずれも大ヒットした3本の映画を順にご紹介します。
私をスキーに連れてって
当初は漫画家だと思っていたホイチョイ・プロダクションが映画を作った!ということで大変驚きました。
1987年のことですが、内容よりもスキーをトレンドとしてとらえブームにしてしまったところが、なんともホイチョイ・プロダクションらいしいところですね。
勿論、内容的にも素晴らしく、だれが観ても楽しめる作品となっています。
![監督:馬場康夫
脚本:一色伸幸
製作:三ツ井康
出演者:原田知世、三上博史、原田貴和子、沖田浩之、高橋ひとみ
音楽:杉山卓夫
主題歌:松任谷由実「サーフ天国、スキー天国」
撮影:長谷川元吉
編集:冨田功
製作会社:フジテレビジョン、小学館[2]
配給:東宝
公開:1987年11月21日
上映時間:98分](/assets/loading-white-036a89e74d12e2370818d8c3c529c859a6fee8fc9cdb71ed2771bae412866e0b.png)
私をスキーに連れてって
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主演は原田知世と三上博史ですが、当初は原田知世の相手役はスキーヤーが予定されていたのですが直前に出演をキャンセルしたため、急遽スキーができるという理由から三上博史が抜擢されています。
もう何だか分からないけど、楽しくって仕方ないって感じの映画です。
こんな恋がしたい!こんな青春を送りたい!そう思った若者が挙ってスキーを始めるという現象が日本各地で起きました。
80年代のスキーブーム はこの映画から始まったといってよいと思いますが、同時にトレンディドラマブームの先駆けともなっています。
有名な「バーン」のシーンですが、これ見ちゃうとマネしたくなりますよね。
そして、大ヒットの要因として忘れてはならないのが音楽です。ユーミンの曲がガンガン流れます。「恋人がサンタクロース」「ロッヂで待つクリスマス」「BLIZZARD」などなどユーミンにはスキーを感じさせる曲がたくさんありますからね。まさにツボってヤツです。
彼女が水着にきがえたら
「私をスキーに連れてって」にはヒットするだけの要因が多数ありました。2作目となる1989年の「彼女が水着にきがえたら」は、そうしたことをしっかり踏襲した作品ですが、それはホイチョイ作品の特徴にもなっていますね。

彼女が水着にきがえたら
当時はとても新鮮、今見ても全く古臭く感じないイラストによるイメージポスター。前作同様ですが、まずこれがイイですね。
テーマは前回のスキーに変わって、スキューバダイビング。知ってるけどやったことがないという身近でありながらちょっと距離がある。この匙加減が絶妙です。
そして音楽はユーミンからサザンオールスターズへ。
2番煎じともいえそうですが、全くスキがありません。
主演は前作に続いて原田知世。その相手役として織田裕二が好演しています。
その織田裕二が「東京ラブストーリー」で「カンチ」として一世を風靡するのは2年後です。
波の数だけ抱きしめて
1991年の3作目となる「波の数だけ抱きしめてですが、もしかすると今観て一番面白く感じるのはこの作品かもしれません。
舞台は1982年の神奈川県・湘南。バブル前夜といった時期ですが、1991年当時は9年前の話というのは微妙な過去ということで違和感を覚えたものでした。
しかし、今観るとこれがいい!1982年、とてもいい雰囲気です。因みに時代考証として泉麻人がスタッフとして名を連ねています。

波の数だけ抱きしめて
イメージポスターの雰囲気が前2作とは変わっていますが、こりゃまたオシャレですね。
主演は中山“ミポリン”美穂です。相手役は前作に続いて織田裕二がまたまた熱演。
ですが、なんと言ってもミポリンです。登場シーンが、可愛くってたまりません。
そして、ユーミン、サザンときた音楽ですが、今作ではAORの名曲の数々が物語の要所要所で流れます。湘南のミニFM局が舞台なだけに洋楽も自然な感じです。
「あのさ、大事な話があるんだ」何度も出てくるこのセリフですが、なかなか本心を伝えることが出来ない織田裕二。
煮え切らない彼氏に、イライラするミポリン・・・・。なんとも80年代的で切ない恋心です。観ている方も思わずイライラしてしまいますが、これがいいんですよね。
実はこの映画、現在(1991年)がモノクロ、過去(1982年)がカラーになっているのですが、最後の最後に現在の主人公たちが湘南の海岸を歩いていくシーンがカラーになっていきます。その時に流れているのがユーミンの「真冬のサーファー」なのですが、なんかもう泣けてくるんですよね。徐々にセリフはなくなり、音は「真冬のサーファー」だけになるのですが言葉はいらないって感じです。いろんな思いがいっぱい詰まった素晴らしいラストシーンです。
ホイチョイ・プロダクションは、バブル崩壊後にも映画「メッセンジャー」を大ヒットさせ、2007年には「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」を発表するなど、今なお素晴らしい活動をしています。