『ガンプラり歩き旅』その22 ~みんな大好き! ジオン水泳部のエース!~

『ガンプラり歩き旅』その22 ~みんな大好き! ジオン水泳部のエース!~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をする大好評連載の第22回は、シャアも乗りこなした、ジオン水陸両用モビルスーツのアレ!


ズゴックといえばこの一枚! 連邦軍の新造量産型ジムを一撃で貫く、復活のシャアのズゴックの爪!

私、市川大河が、書評サイトシミルボンで連載している、 『機動戦士ガンダムを読む!』での、再現画像で使用しているガンプラを、 古い物から最新の物まで片っ端から紹介していこうというテーマのこの記事。

前回までは、80年代初頭のガンプラブームの(基本その後リメイクされなかった)メカのキットを中心に紹介してきたが、 今回からは、バンダイのガンプラが今現在なお進行形で新商品リリースを続けている、1/144 ガンプラのスタンダード、 HGUCシリーズの中から『機動戦士ガンダム』(1979年)に登場したモビルスーツを 中心に、お送りしていく展開となります。

その第一弾は、皆大好き、ジオン水泳部のエース・ズゴックです!

ズゴック 1/144 HGUC 006 量産型 1999年11月 700円

先行して発売された量産型ズゴックのパッケージ。モノアイがピンクであることに、まずは注目されたし!(理由は本文後半)

ズゴック 1/144 HGUC 019 シャア専用 2001年2月 700円

続いて発売されたシャア専用ズゴックのパッケージ。初期HGUCは、リファインデザインをあえてセル画っぽく描いたボックスアートが特徴的

ズゴック!

基本的に海も湖もないはずの、ジオンのスペースコロニーで開発されちゃった、水陸両用モビルスーツという設定のズゴック!
放映当時、水陸両用ロボットという設定が斬新だったのでメカマニア受けしたけれど、水中用だから、水力抵抗を逃がすために、なで肩になって首がなくなるシルエットっていう理屈はなんとなく説得力があるけれど、なんで水中用だと、ジオンのモビルスーツはみんな手が必ずカギ爪になっちゃうんだろう? 指とかなくなっちゃったら、せっかくの汎用兵器が何も使えないだろうにズゴック!
水陸両用モビルスーツで、一番デザインがかっこよかったものだから、見栄っ張りのシャアが乗り込むんだけど、やっぱりシャアだから真っ赤に塗ったくっちゃって、でも、やっぱりシャア専用だから3倍のスピードで動きまくっちゃって、連邦の量産型モビルスーツ・ジムなんか一撃で撃破するんだけど、正直今だから言えるけど、あのずんぐり図体で3倍のスピードって演出は、当時ちょっと、気持ち悪かったぞ、ズゴック!

ライトブルーの量産型と、シャアピンクとレッドのシャア専用

そんなこんなで、ジオン水陸両用モビルスーツでは一番の人気を誇るズゴックは、バンダイが1999年から展開し始めたHGUCというブランドのプラモデルを用意した。
HGUCとは、HIGH GRADE UNIVERSAL CENTURYの略であり、直訳すると「宇宙世紀のすっごい出来の良い商品」というそのまんまの冠。
ガンプラといえばやはり誰もが思いつく主力商品帯が1/144で、しかし1/144サイズでは、それまでは注ぎ込める技術やテクノロジーには限界があった。
時代、時代のガンプラ1/144は、その時々の顔として、リアルタイムのガンダム作品のプラモデルラインナップの主流を飾るのだけど、それは逆を言えば、古い時代の作品のプラモデルは、技術力も低いままに取り残されていく状態が長く続いていたということ。

ジャブローの混戦の中、ゆらり立ち上がるシャアのズゴック!

そんな中で、1990年には一度、ガンプラ20周年として、HG(HIGH GRADE)という特別ブランドで、過去の歴代ガンダム(ガンダム、ガンダムMk-Ⅱ Zガンダム ガンダムZZ)が、1/144で、最新のマテリアル技術で商品化されたアリバイがあり、その後の一部のリアルタイムガンプラでも、HGの冠がおまじないのように冠されることも幾度かあったが(1/100『機動戦士Vガンダム』(1993年)シリーズなど)、さらにその後、1/100サイズで、過去のガンダムやモビルスーツを、カトキハジメ氏によるリファインデザインと、最新の技術で模型化するマスターグレード(MASTER GRADE MG)が1995年にスタート。

成長したアムロのガンダムに片腕を失いながらも、果敢に残った腕先からミサイルランチャーを発射!

MGシリーズは順調に商品点数を増やし続けたが、サイズ的にも価格的にもコレクション性が高いとは言えないため、どうしてもメジャーなモビルスーツばかりが商品化されるケースが続き、そこで新たに、MGで増えた経験値を肥やしにして、ハイエンド、ハイクオリティのリファイン版1/144を、安価で多彩なラインナップで展開しようという動きがバンダイ内部で高まった。それが結実したのが、HGUCなのである。

シャア専用ズゴックの全身像。現代でも通用するスタンダードな立体化の姿である

余談だが、以上の話は商品カテゴリ立ち上げ時の事情や背景であり、2017年現在、MGもHGUCも、商品点数が200前後までたどり着いていて、もはや少なくとも「MGはメジャー系を、HGUCは広くマイナー系までを商品化する」という当初の住み分けロジックは雲散霧消しており、あくまで良い意味で、MGは1/100で、最新の技術を惜しみなく投入したハイエンドな究極形を、HGUCは1/144で、MGからのフィードバックで、さらなる充実したノウハウを組み込んだ安価版を、という住み分けに至っている。

初期とはいえ、色分けは優秀で、追加塗装はほとんど必要ない

余談を終えて、今一度HGUC立ち上げ理念の話に戻るのであれば。
初代HGを経て、MGシリーズ立ち上げ時に、ある意味ピークを迎えた「昔デザインされたメカを、最新のデザインセンスとデザイン理念でリファインする」手法は、さすがにある種の限界や反発をこの時期呼んでおり、そのため、1999年にシリーズが立ち上げられた時点(この時既に、先行するMGシリーズのラインナップはNo.20に達していた)でのHGUCの基本理念は「原点回帰」「原作アニメデザイン尊重主義」へと変化しており、元アニメでのデザインやディティールを最大限残して活かしつつ、可動領域確保や情報量の問題においてのみ、必要最低限のデザイン改変を行うというアナウンスで、商品開発が始まった。

旧1/144では開閉選択式だったクローも、HGUC版ではここまで可動する

というわけで、そんな素敵コンセプトのHGUCだが、ラインナップは商品化第1号にガンキャノン、第2号にギャンという、ある意味“狙いすぎ”な選出。
その後は、次が『機動戦士ガンダムZZ』(1986年)のザクⅢ改で、その次は『機動戦士Zガンダム』(1985年)の百式とキュベレイと、どれもこれも、旧キット時代に、1/144では難があったり、まだ技術力が低かったころの商品だったり、1/144では商品化されていなかったりといった“模型化で恵まれなかった名脇役”モビルスーツが意識的に選ばれて、その商品ラインナップから、エンドユーザーがHGUCのコンセプトを理解するという流れが築かれていた(なので、「1/144でのハイエンド技術の蓄積期間をあえて設ける」のロジックゆえに、『機動戦士ガンダム』主役ロボットのRX-78 ガンダムの商品化は、HGUCシリーズ開始後2年目の、No.021まで待たなければいけなかった)。

モノアイとコクピットハッチはシールで色を再現。パーツ単位の立体情報量も優れている

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