映画「幸福の黄色いハンカチ」
今から40年前の1977年。
映画「幸福の黄色いハンカチ」は公開されました。
在りし日の高倉健に倍賞千恵子、武田鉄矢、桃井かおりという錚々たるラインナップの人情映画だった本作品は非常に高く評価され、公開年に第1回日本アカデミー賞、第51回キネマ旬報賞、第32回毎日映画コンクール、第20回ブルーリボン賞や第2回報知映画賞など国内の映画賞を総なめにしました。
私は、この映画をなぜか小学生の頃の授業で視聴覚室で鑑賞しました。
ちょっと子供にはませた内容だったのかなとも感じますが、黄色いハンカチがたなびく情景に感動したものでした。

幸福の黄色いハンカチ
今思えば役者として飛躍のきっかけとなったとされる、武田鉄矢演じるナンパな男・欽也。
本作までは過激な役柄を演じることが多かった桃井かおりの新たな一面を引き出した配役だった女・朱美。
さらにすっかり仁侠映画のイメージが定着していた高倉健にとって久々の人情ドラマで、彼にとっても転換点になったとされる配役だった刑務所上がりの男・島勇作。
それぞれのキャリアに少なからず影響を与えたこの映画は「幸せ=黄色」というイメージが定着するほどに、日本国民に浸透した映画だったのではないでしょうか。
「胸いっぱいに、愛がよみがえる。」
映画のあらすじ
恋人にフラれた欽也は、失意の中で勤めていた工場を退職。
退職金で赤のファミリア(4代目FRファミリア)を購入し、失恋の傷を癒すべく北海道を目指しますす。
釧路から網走にやって来た欽也は、駅前で片っ端に女性をナンパします。

劇中で用いられた赤のファミリア
網走刑務所から、刑期を終えた男・島勇作が出所。
勇作は食堂でビールを飲みながらラーメンとカツ丼を注文します。
そのころ網走にいた欽也は、職場で失恋し東京から傷心旅行に来た女性、朱美をナンパして一緒に食事していました。

刑期を終えた男・島勇作
欽也は朱美と北海道をドライブ。
海岸にやって来た2人は、そこに立ち寄っていた勇作に写真を撮ってもらいます。
勇作はその縁で車に同情することとなり、いよいよ3人のファミリア旅が始まることに。

偶然か必然か、3人によるファミリアの旅が始まる
道中ではナンパな欽也に男の道を説き、様々なトラブルに見舞われながら勇作は徐々に自分の過去を語り始めます。
妻・光枝との出会い、結婚、幸せな新婚生活。そして妊娠と流産。
刑務所に入ることとなった経緯と、獄中から「光枝を想い」別れ話を切り出したこと…

明らかになる勇作の過去、ファミリアは光枝の暮らす夕張へ
そこには「もし、まだ1人暮らしで俺を待っててくれるなら…鯉のぼりの竿に黄色いハンカチをぶら下げておいてくれ。もしそれが下がってなかったら、俺はそのまま引き返して、2度と夕張には現れない」と書かれていたのです。
勇作の揺れる心と、それを励ます欽也と朱美

風にたなびく何十枚もの黄色いハンカチ
力強く勇作の背中を押し出す欽也と朱美。
勇作と光枝、2人の再会に言葉は要りません。
見つめあう2人は仲良く家の中に消えて行ったのです。

勇作と光枝、感動の再会
黄色いハンカチに引き寄せられるように再び結ばれる勇作と光枝、それを見つめる欽也と朱美。
どの表情も幸せに満ち溢れています。
ファミリアの車内で愛情を表現する欽也と朱美のラストシーンは、小学校の視聴覚室で観るには刺激の強い光景でした。
「幸福の黄色いハンカチ」は国内外でリメイクされることになりました。
-1981年、タイで「もしあなたがまだ私を愛しているなら」としてリメイク
-1982年、TBSで菅原文太主演で連続ドラマ化
-2008年、アメリカで「イエロー・ハンカチーフ」としてリメイク
-2011年、日本テレビ系列で放送
デジタルリマスターDVDはこちら
いつ見返しても傑作な映画です。
よかったらお手元に一本、とおススメしておきます。
こちらは2011年リメイク版
これはテレビで観ましたね。
思わず「なるほどっ」な布陣で、とても興味深かったのを憶えています。
こちらもDVDが出ています。