『ガンプラり歩き旅』その17 ~ジオン軍最強戦艦、その名もグワジン!~

『ガンプラり歩き旅』その17 ~ジオン軍最強戦艦、その名もグワジン!~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をする大好評連載の第17回は、ジオン公国の王、デギン・ザビの専用艦グレート・デギンにも用いられたジオンの旗艦・グワジンの、1/2400キットの紹介!


ア・バオア・クーを守るジオン艦隊の中に、複数のグワジンが確認できる

私、市川大河が、書評サイトシミルボンで連載している、 『機動戦士ガンダムを読む!』での、再現画像で使用しているガンプラを、 古い物から最新の物まで片っ端から紹介していこうというテーマのこの記事。
今回は、ジオン軍最大の戦艦、グワジンの1/2400キットの紹介です!


グワジン 1/2400 1983年3月 300円

パッケージアートも、他のグワジンやザンジバルと共に、ア・バオア・クー護りの配置に着いたグワジンを描いている

『機動戦士ガンダム』(1979年)を、70年代全盛期の典型的勧善懲悪ロボットアニメになぞらえるのであれば、「悪の組織のアジト本拠地」が、サイド3、ズムシティであり、戦いの最前線におけるボスキャラが、このジオン軍大型戦闘艦・グワジンの中でも、ザビ家の頂点、デギン・ザビ公王が鎮座した、グレート・デギン艦であったといえるだろう(それだけに、息子・ギレンが放ったソーラ・レイによって、連邦の軍の長、レビル将軍の乗った艦と共に焼き尽くすシークエンスが、子ども向けロボットアニメの展開としては前人未到過ぎると共に、ギレンの本性を明確に描く名シーンになるのだが)。

連邦軍のレビル将軍との和平交渉に赴いたグレート・デギン。この交渉さえまとまれば、戦争終結はすぐであったが……

ここへきて、とうとう、というか、ついに、というか、盛り上がってまいりましたガンダム戦艦シリーズ。
ムサイやホワイトベースが、初動で1/1200スケールで展開してしまったものだから、戦艦としては大サイズでも、バリューとしてはその2艦よりは劣る、ザンジバルやグワジンは、キット化は二の足を踏まされていたわけだが、先に1981年4月に、主人公メカとも呼べるホワイトベースが、1/2400コレクションサイズのスケールで発売されておいてくれたおかげで、追従する「敵側戦艦」も、そのホワイトベースとスケールを合わせるというアリバイができていたとも言えて、この時期ザンジバルとグワジンが、1/2400スケールモデルで日の目を見ることになったのである。

ア・バオア・クーの護りにつく、ゲルググやザクを率いるグワジン

結果、ジオンサイドの戦艦群は、量産型ムサイ、シャア専用ムサイ、ガウ攻撃空母と、主に初期に登場する艦が1/1200で、ザンジバル、グワジンといった後期登場組は1/2400スケールで商品が発売されたため、全戦艦を並べようとしてもスケールがバラバラでシリーズが構築されることになった。
ちなみに、地球連邦軍側の戦艦は、ホワイトベースこそ1/1200と1/2400の2種があるが、残るサラミスもマゼランも1/1200で発売されたので、1/1200で3種全ての戦艦が揃うというバリューはある。

リアビューが良く分かる角度の写真。ソロモン陥落を見守るマ・クベのグワジン

デザイン的には、大河さんはメカの好みに関しては、実用的、機能的であるべき戦闘用兵器が、動物の形や顔を模している子ども向けデザインが昔から嫌いで、『科学忍者隊ガッチャマン』(1972年)の初代ゴッドフェニックス号は大好きなんだけど、その後の「いかにも鳥です」っていう後継作品のデザインはあまり好きじゃなかったり、『太陽戦隊サンバルカン』(1981年)のジャガーバルカン辺りまで振り切っていればまぁいいんだけど、戦隊メカでもその後の『超獣戦隊ライブマン』(1988年)とか『鳥人戦隊ジェットマン』(1991年)とか、アニメでも『百獣王ゴライオン』(1981年)とか『未来ロボ ダルタニアス』(1979年)とか、あの辺りの合体メカの動物感は、受け付けなかったりするのだよね。

ジオンの旗艦、グレート・デギンの圧倒的な迫力!

何が言いたいかというと、さすがにガンダムでは、動物型メカなんていう無粋なデザインは、このリアルさを売りにした戦争メカ物では基本、登場しないのだけれども、さすがに立体化されなかった“釣り目が二つ付いてる水中戦艦”マッドアングラー以外では、一部のモビルアーマーを除くと、このグワジンの艦首の(まるで後の『機動戦士Vガンダム』(1993年)の、ザンスカール帝国のモビルスーツの「猫の目か、狐目なんかぁーっ!」的な)「いかにもな目」と、ガンダムサポートメカGアーマーの先端が、鳥の嘴に似せてデザインされている辺りが、うーん、微妙、と思ってしまうのである。

巨大な鮫か、猛禽類を思わせるそのフォルムと面構え

グワジンは、ジオン軍最上級戦艦だけあって、ザビ家は個々に自分専用のグワジンを保有していたが(ドズルとガルマは不明)、その他でも、マ・クベ乗艦の物の他、ア・バオア・クーでの最終決戦では、ザビ家保有の艦以外でも数隻が確認できて。それなりの数が生産配備されていたことが作品から伺える(テレビ版と劇場版では、確認できる数が異なる上に、ガンダム世界では後付けの設定改変が数多いので、ここでは正確な艦数には言及しない)。
ちなみに、ジオン公国の王、デギン・ザビ専用グワジンのグレート・デギンは、艦首の部分にジオンの紋章が描かれていて、他のグワジンと区別されていた。

背部の巨大バーニアと燃料タンク。グワジンは太陽系内惑星間飛行も可能な設定である

さて、このグワジンのキットの方は、1/2400サイズながら、翼系パーツの薄さなど、今どきの「バンダイエッジ」などとは無関係で、まさにスケールモデルの薄さと危険さと脆さを兼ねた、正統派プラモデルクオリティを誇る。
曲面と鋭角さを両立させたシルエットのとらえ方も正確で、その優雅なデザインが、小サイズの模型にきっちり落とし込まれていて、手のひらサイズで巨大戦艦の趣を伝えてくれる逸品に仕上がっている。
優雅なフォルムとディテールを兼ね備えたデザインを正確に再現した上で、価格も300円と、後期ガンプラの中でもかなりハイクオリティで安価な傑作として、お勧めの出来である。

底面左右舷10基ある二連装砲座もしっかり再現されている

なんか安っぽい通販番組の宣伝文句みたいになってしまったが(笑)
アニメ用にデザインされた宇宙戦艦だけに、スケールモデルほどには緻密なパーツはないが、それでも1/2400という小サイズで、艦底左右舷10基ある二連装砲座や、左右上下8個あるプロペラントタンクの作成には骨が折れたものだ。

塗装は、メインカラーのオレンジは成型色そのまま。
艦底や両目(笑)周りのあずき色は艦底色で、窓の黄色はイエロー、各砲座やメイン主砲はUG15 MSファントムグレー、プロペラントタンクはUG10 MSシャアピンクでそれぞれ塗装し、アニメ準拠の塗装を施した。
最後に悩んだ末、HGUC ザクⅡ改に付属していたジオン紋章シールを貼って、デギン公王の旗艦、グレートデギン仕様にしておいた。

艦首にジオン紋章があるのはグレート・デギンである

完成して思うのは、やはりこの頃のバンダイの、SFアニメ艦船プラモデルの設計能力は業界随一であり、これら艦船キットの多くは、一部リファインモデルや、バリエーションモデルを除いて、この頃のキットが現役で最も優秀なキットとして、今もトップなのだと、思い知らされる次第である。

市川大河公式サイト

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