人は誰でも恋におちる
「恋はするものではなく、落ちるものだ」という名言がありますが、まさにそのような内容の映画がありますね。その名もズバリ「恋におちて」です。原題も「Falling In Love」ですからそのまんまですね。
この映画、極上のラブストーリーではあるのですが、問題がひとつあります。主人公の男女は実は互いに結婚しているんです。つまりは不倫というわけです。

恋におちて
近頃なにかとヤリ玉に挙げられることの多い不倫ですが、確かに褒められたことではないとはいえ、人は誰でも恋におちるのです。たとえ結婚していようと、していまいとです。なので、ここはひとつ大人のファンタジーということで大目に見て頂けると幸いです。
で、映画「恋におちて」ですが、主演を演じたロバート・デ・ニーロとメリル・ストリープがじっくりと大人の男女の微妙な心理を表現してみせてくれます。
ところで、この映画が公開された翌年の1985年に、日本では「恋におちて」にインスパイアされたテレビ・ドラマ「金曜日の妻たちへ-恋におちて」が放映され大ブームを巻き起こします。
2人が出会う書店のシーンなど、同じような場面が出てきて面白いので機会があれば是非見比べてみてください。
因みに、「恋におちて」もイギリスの不倫をテーマにした映画「逢びき」を下敷きにしたとされています。
それでは映画「恋におちて」のスタッフからご紹介していきましょう。
スタッフ
監督は「ディープエンド・オブ・オーシャン」、「ジョージア」、「告白」、「ストレート・タイム」などで知られるウール・グロスバードが担当しています。手堅い演出といった感じですかね。

ウール・グロスバード
主役の人妻を演じるのは「クレイマー、クレイマー」、「ソフィーの選択」、「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」と3度もアカデミー賞に輝いているメリル・ストリープです。

メリル・ストリープ
メリル・ストリープ、とても美しいです。ピッタリの役ですね。
そして相手役の家庭持ちの男フランク・ラフティスを演じたのがロバート・デ・ニーロです。ロバート・デ・ニーロといえば、「ゴッドファーザー PART II」、「タクシードライバー」、「ディア・ハンター」など多くの作品に出演していて、今更説明の必要はない名優ですね。

ロバート・デ・ニーロ
それまではアクの強い役が多かったロバート・デ・ニーロですが、ここでは実に普通、いえ、むしろ優柔不断な男を見事に演じています。優しくはあるけれども、どこか頼りなげでもある。もっと強引にいけばいいのにと思わず叫んでしまいそうになる役どころで、これが実に80年代のナイーブな男像になっているのです。「恋におちて」には、この性格だからこそのラストシーンが用意されています。
ところで、メリル・ストリープは1976年の映画「タクシードライバー」のロバート・デ・ニーロの演技に感銘を受けて映画の道に進むことを決めたのだそうです。
そして、そのメリル・ストリープが出演していた1977年の舞台「桜の園」での彼女の演技に魅かれたロバート・デ・ニーロは映画「ディア・ハンター」での相手役としてメリル・ストリープを推挙したのだそうですよ。
二人の息が合うはずですよね
あらすじ
ネタバレを含みますことをご了承ください。

恋におちて
恋におちて | 映画-Movie Walker

フランクとモリー

フランクとモリー
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フランクとモリー

フランクとアン
それから1年、またクリスマスの季節がやってきた。運命に操られるかのように、2人は、あのリゾート書店で再会するのだった。
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フランクとモリー
物語はここで終わります。
再会した二人がどうなるのかは、気になるところではありますが、何も語られません。このまま一緒になったのか?それとも別れてしまったのか?現在の映画であれば白黒はっきりとつけるように思いますが、曖昧にして余韻を残す終わり方が80年代的ですかね。
それでは、その余韻を残すラストシーンをフランクとモリーの再会のシーンからご覧ください。
ゲス不倫がどうしたこうしたと話題になる今の日本では生まれることのない映画です。生まれないし、生まれたところで誰も共感しないでしょう。不倫ものですからねぇ。
「不倫は許さない!しかし、この映画のように二人は別れたのだから付き合っても問題はない」と声高らかに叫ぶ人には永遠に分からないのが「恋」というもののような気がします。
恋に落ちたことがある人に贈る大人の映画です。