「大人は判ってくれない」とは?

1992年に「世にも奇妙な物語」が、現在のような特番ドラマではなく、1時間で3話放送する連続ドラマだった頃、「世にも~」の充電期間に放送されていてフジテレビ系の連続ドラマ。
当初のタイトル予定は、「大人は判ってくれない」ではなく、「ライオンは寝ている」だった。あまりにもインパクトがないため、「大人は~」に変わったという説が有力。
「世にも奇妙な物語」と「大人は判ってくれない」の比較
ここでは、より分かりやすく「大人は判ってくれない」の特徴をお知らせするために、姉妹番組である「世にも奇妙な物語」と比較しながら見ていきましょう。
放送開始
「世にも奇妙な物語」=1990年4月19日~。連ドラとしては1990年4月~9月(第一シーズン)、1991年1月~12月(第二シーズン)、1992年4月~9月(第三シーズン)。その後も、特番ドラマとして放送されており、現在も春と秋の改編時期に特番ドラマとして放送中。
「大人は判ってくれない」=1992年1月~3月。「世にも~」と同様のオムニバスドラマで、ストーリーテラーが存在する形式で、レギュラー化を目指したが、あまり人気が出ず1クールで放送終了。
ストーリーの性質
「世にも奇妙な物語」=基本はミステリードラマ。中にはコメディタッチのものもあり。連ドラでは、だいたい1話15分程度で、1時間で3話構成のオムニバスドラマ。
「大人は判ってくれない」=ミステリーやホラー、コメディなどの要素はなく、基本はハートウォーミングの感動ストーリーもの。「世にも~」と比べて、よりじっくりと観てもらいたいと、1時間で2話(1話約30分)と長めのオムニバスドラマとなっている。
ストーリーテラー
「世にも奇妙な物語」=タモリ
「大人は判ってくれない」=伊武雅刀


若手脚本家の登竜門となる
視聴率的には残念な結果で終わってしまった「大人は判ってくれない」だが、トライアル的なドラマという事もあり、その後一流脚本家へと成長を遂げ、日本のドラマ界を支えている名脚本家が多く担当しています。
北川悦吏子
第3回「花束」原案担当
出演者:岸本加世子、石丸謙二郎、上田耕一、金久美子、日野由利加
【主な作品】
・あすなろ白書(1993年フジテレビ)
・ロングバケーション(1996年フジテレビ)
・ビューティフルライフ(2000年TBS)
・空から降る一億の星(2002年フジテレビ)
・オレンジデイズ(2004年TBS)
・半分、青い。(2018年放送予定NHK朝ドラ)

このドラマは、平均視聴率 29.6%の大ヒットドラマでしたね。
両沢和幸
第3回「ゴーストライター」脚本担当
出演:益岡徹、佐藤慶、野田実香
第8回「ダブル・イーグル」脚本担当
出演:神田正輝、余貴美子、丹波義隆
【主な作品】
・お金がない(1994年フジテレビ)
・味いちもんめ(1995年テレビ朝日)
・ナースのお仕事(1996年フジテレビ)※プロデュース担当
・黒革の手帖(2004年テレビ朝日)

観月ありさが主演で、新人のナースから一人前に成長するドラマでしたね。
吉田紀子
第4回「神様の前でついた嘘」脚本担当
出演:松雪泰子、斉藤隆治、大森嘉之、小栗香織、三野輪有紀
【主な作品】
・悪魔のKISS(1993年フジテレビ)
・じんべえ(1998年フジテレビ)
・Drコトー診療所(2000年フジテレビ)
・恋を何年休んでますか(2001年TBS)
・涙そうそう(2006年映画)

コトー先生と呼ばれる外科医が島の人たちとの信頼関係を気づいていく姿には感動的でしたね。
君塚良一
第6回「きっとひとりで歩いていける」脚本担当
出演:山崎裕太、長谷川初範、水木薫、可愛かずみ、大島蓉子
【主な作品】
・ずっとあなたが好きだった(1992年TBS)
・ナニワ金融道(1996年フジテレビ)
・コーチ(1996年フジテレビ)
・踊る大捜査線(1997年フジテレビ)
・TEAM(1999年フジテレビ)

青島刑事が言った「事件は会議室で起きてるんじゃない 現場で起きてるんだ」の言葉は有名になりましたね。
中園美保
第6回「素晴らしき日曜日」脚本担当
出演:宮下直紀、篠原涼子、鼓太郎、日埜洋人(現・日野陽仁)、熊谷俊哉、西村知道(ナレーター)
【主な作品】
・For you(1995年フジテレビ)
・Age,35 恋しくて(1996年フジテレビ)
・やまとなでしこ(2000年フジテレビ)
・南くんの恋人(2004年テレビ朝日)
・doctorX(2012年テレビ朝日)
・花子とアン(2014年NHK朝ドラ)
・西郷どん(2018年放送予定NHK大河)

本当に人を好きになるということはどういうことかを教えてくれるドラマでしたね。
坂元裕二
第7回「1992年のバタフライ」脚本担当
出演:稲垣吾郎、つみきみほ、山本太郎
【主な作品】
・東京ラブストーリー(1991年フジテレビ)
・二十歳の約束(1992年フジテレビ)
・mother(2010年フジテレビ)
・それでも、生きてゆく(2011年フジテレビ)
・woman(2013年フジテレビ)
・問題あるレストラン(2015年フジテレビ)
・カルテット(2017年TBS)

このドラマは衝撃的でしたね。芦田愛菜ちゃんがとっても可愛かったですね。
江頭美智留
第8回「ランナー」脚本担当
出演:長塚京三、米山善吉、小沢一義、中真千子
【主な作品】
・ナースのお仕事(1996年フジテレビ)
・ごくせん(2002年日本テレビ)
・1リットルの涙(2005年フジテレビ)
・花咲舞が黙ってない(2014年日本テレビ)

先生と生徒がどのように信頼関係を築いていくのか、ヤンクミ先生の生徒を想う熱い気持ちに感動していました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?成績的にも記憶的にも名ドラマとは言えなかったかもしれませんが、ここから成長した脚本家たちのラインナップを見ると、90年代、00年代のフジテレビドラマ全盛期を支えており、「大人は判ってくれない」がもたらせた成果は少なくなかったように思えます。
現在、苦戦が続いているフジテレビですが、当時のように若手の登竜門となるようなチャレンジスピリッツを忘れないで欲しいですね。