『ガンプラり歩き旅』その11 ~こんな脇役サポートメカのプラモまで、君は覚えているか!?~

『ガンプラり歩き旅』その11 ~こんな脇役サポートメカのプラモまで、君は覚えているか!?~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をする新企画連載の第11回は、、ジオンのマイナーメカを2つ紹介!


グフを乗せて3機編隊で空を行くドダイYS!

私、市川大河が、書評サイトシミルボンで連載している、 『機動戦士ガンダムを読む!』での、再現画像で使用しているガンプラを、 古い物から最新の物まで片っ端から紹介していこうというテーマのこの記事。
今回は、ジオン屈指のマイナーメカを2つご紹介!


ドダイYS 1/144 1981年10月 500円

バンダイも後ろめたいのか、そこはかとなく商品のドダイより、背景のグフの方が目立つようなボックスアート!

ドダイ! 土台だからドダイ!
ドダイ! モビルスーツを乗せる土台だからドダイ!
ドダイ! ドダイYSの“YS”ってなんの略だよ。気分とフィーリングで付け足しただろドダイ!

完成したドダイYS単体。スタンドもついてるけど、単体だとなんのバリューもない……

というわけで、イマドキのガンダムのメカ設定的専門用語でいうのなら、フライトサポートユニットとでも言うんでしょうか。
『機動戦士ガンダム』(1979年)中盤(テレビ版では第23話『マチルダ救出作戦』から)突然グフを乗っけて登場して、テレビの前の視聴者の度肝を抜くどころか、ふっと冷静に考えると「地上では格闘戦主体のモビルスーツを、わざわざ乗せて飛ばすなら、この飛行メカにグフと同じだけの武装を積み込めばいいだけであって……。っていうか、グフって基本的に白兵戦向けのモビルスーツなのに、それを空中で飛ばして、何をしたかったんだジオン……」と、ツッコミどころしかないドダイYS!

公式名称の「要撃爆撃機」の意味が、今一歩理解できないが、この座布団のような赤い物体はなんだ……

いや、まぁ、確かに、白兵戦主体のモビルスーツを、迅速かつ速やかに戦場へ送り込むポーターとしての需要というのはあるかもしれないんだけど、まぁ要するにガンダムにおいてはそれまでガンペリーが担ってた役割なんだけど、グフを乗っけたまま空中戦とか始めちゃうもんだから、ほーらガンダムの方も調子に乗って、GファイターとかGスカイの上に乗っかって対抗してきちゃったよ、これもう、どこをどう解釈しても「リアルロボットアニメ」じゃないよ、どうすんの? という混沌を生み出した謎メカ。

グフを乗せてみただけで輝くドダイYS。グフは当然最新のHGUC版

その戦犯罪状は大きく、映画版では存在を殆ど(Gメカごと)消され、あのトンチキな空中戦はなかったことにされたのだけれども、どっこい当時は、『ガンダム』のメインストリームはまだまだテレビ版であり、劇場用映画版はあくまで「お祭りとファンサービスと、決定版的ブラッシュアップ」のための代物だったので、バンダイだって、ガンプラのシリーズがここまで展開しまくってしまうと、このトンチキメカも出さざるを得ない。

ドダイYSフロントビューコクピットは広そうでいいねぇ

無論、先に発売されていた1/144グフは、後々こんな「飛ぶ土台」までもがキット化されることなど見越していないので、そのままではドダイYSキットに乗せることすらできない。
でも、バンダイさん、既に後に退くに退けなくなっていて、出しちゃいましたよ、ドダイYS!
それもまぁ、シリーズピーク時の最高のクオリティで!

発売時期的に「これも“ある意味”でモビルアーマーと言えなくもないよね? “ある意味”で!」とかってエクスキューズが社内でプレゼンされたのかと思うと感涙を禁じ得ないわけですが、このデザイン、良く見てみると、まずそもそも論的に、機体本体がでかすぎて、小さな主翼と尾翼4枚じゃ空力抵抗を維持できそうにないのに、さらにそこにグフを乗せるばかりか、乗っかったグフがドダイを土台にして暴れまわるという、まぁ「子ども向けロボットまんがだしねぇ」としかフォローを入れられないデザインが、グフがない状態で単体でキット化されているという地獄絵図商品!

なぜ底面にエメラルドグリーンのドームパーツがあるのかが果てしなく謎である……

キットの出来は、こんだけシンプルなシルエットと構造とディテールで、なんぞ間違いなんかが起こり得る話もあるわけなく、完璧に劇中に忠実なハイクオリティガンプラ。
ただし、これはあくまで、グフにおけるジェットスクランダーみたいな存在なんで、これ単独で遊べたり飾ったりするものではなく(まぁ、そういう趣味の人がいてもいいとは思うけどね)、グフを乗せなければ意味などない!

しかし、先ほども書いたけど、先行して発売されていた1/144グフは、ドダイに乗せられる仕様には出来ていない!(具体的には、1/144グフの股関節の開き方が固定なので、そのままの開き角度では、ドダイの上に乗せた時に、既定の位置にグフの足がこないのだ。まぁ当たり前だけど)

爆撃機だけあって、機体の前面の穴から、ミサイルだかを連射して攻撃するドダイYS!

なので、このドダイYSキットには、付属のスペシャルプライスゴージャスオマケパーツとして「分割して、自在に股関節の角度を変えられる、グフ専用の股関節軸」が付属しているのだ!
当時のガンプラユーザーの中には、この「分割されてるグフの股関節パーツ」だけ欲しくて、この1/144ドダイYSのキットを買った猛者さえいると伝えられている!(いや……さすがにそれはどうよ。せっかく買ったんだから、メインのキットも作ってやれよ)

地球連邦軍のミデア輸送機を急襲するドダイとグフ! 『ガンダム』2クール目の名シーン!

しかし、2017年の今に軸を移して考えてみよう。
今現在、元のアニメデザインに忠実な「ドダイYSの1/144キット」はリファインされていない。
それがガンプラファンとしてどうなのよという意見は抹殺しても、「グフを乗せたドダイYS」を再現しようと思えば、このキットの再販を購入して組み立てるしかない(そういう意味では、基本ガンプラに絶版品を作らないバンダイは、そこはすごいと素直に称えられよう)。
けど、いざドダイYSが完成したとしても、それに乗せるグフは、イマドキはHGUC版の1/144が選び放題なのだ。

サイドストーリーマニアの人は、グフカスタムなんかを選んでもいいし、HGUC版のテレビ版1stガンダムの1/144グフだって、2000年のN0.009もあれば、2016年にはNo.196 REVIVEとして、最高水準のグフがガンプラ化されていて、当然それらはどれもこれも股関節は自在に動く仕様なので、キット素組のままでもドダイYSに乗せることが出来る。

やはりこのメカは、グフを乗せてナンボというべき、ワンセットだよなぁ

そうなると……。第一次ガンプラブームで、コアなマニア層に、商品自体を無視して有難がられたグフ用股関節パーツは、37年経って、完全に「不要パーツ」へと価値観が逆転してしまったのだ。
いや、まぁ、「旧キットには旧キットを」という拘りのある方で、このドダイYSには旧キットのグフを乗せるべきだと信じてやまない原理主義者の人もいていいと思うし、そういう人にとっては今なお有効なパーツでもあるのだけれども、37年間のガンプラの歴史の中で、ここまで存在価値が逆転した例も(しかも「商品が」ではなく「パーツが」で)他に類を見ないという意味合いで、今回は記してみた。

キットの方は、上でも書いたが素組でテレビ版そのままの仕上がりになるので、今回もまた部分塗装のみ。
機体下面の謎の半球ドーム群とコクピットを、ガイアカラーNo.018 エメラルドグリーンで、その他足場部分などをMrカラー72 ミディアムブルーで、機体前面の、ミサイル発射口をMrカラー109 キャラクターイエローとMrカラー33 つや消しブラックで、それぞれ塗装して完成!

ガウ攻撃空母 1/1200 1982年3月 300円

シャア専用ザク、量産型ザクはともかく、ドップ戦闘機と、ガルマ専用ドップまで描かれている(キットには同スケールで付いてくる)が描かれてる辺りはポイントが高いボックスアート!

ジオンの大気圏内飛行空母・ガウといえば、誰もが思い出すのは、テレビ版『機動戦士ガンダム』(1979年)第10話『ガルマ散る』でのガルマ・ザビの特攻シーンであり、後はジャブロー戦でのモブ登場であるので、劇場用映画『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編』(1982年)公開タイミングのこの時点でのガウ発売は、完全に時季外れになってしまった感は否めないが、むしろ、ガウまで発売されてしまうガンプラ快進撃の印象の方が、当時は強かった。

完成したキットは満点の出来。独特のフォルムを忠実に再現

まぁ、あまりにもタイミングを逸し過ぎたために、筆者などは今回作るまで、一度も買わずにガンプラ人生を過ごしてしまったわけだが(笑)

キット背面のディテールも正確。前面インテークも後面スラスターノズルも別パーツで再現してある傑作キット

この時期は、もう完全に「新商品を出せば売れるのだが、もう出せる弾丸がない」状態に行き詰っており、だからガウまで商品化したわけだが、一方で、各種模型雑誌で大流行したガンプラミリタリーモデル風カスタムを、気分だけでも真似た商品展開を安価でやってしまおうという、今では誰も見向きもしない、成型色変更とリアルデカールだけが付属した「リアルタイプシリーズ」が、主に1/100で展開してみちゃったのもこの時期。

ジャブローを襲う、ガウ編隊の大群! 今始まるジオンと連邦の攻防!

このガウ攻撃空母プラモデル。出来上ってみれば、キットの完成状態自体は、戦艦キットと同等かそれ以上に設定画に近い完璧さを誇るのに、ガンプラメカプラモデル史上初の「飾る以外一切のギミックがないプラモデル」となってしまった(ホワイトベースは玩具的ギミックは幾つか仕込まれているし、ムサイはコムサイの脱着ギミックがある)ために、「誰よりもガルマ好き」「ガンダムのプラモデルは全部買わないと気が済まない派」「ジオン驚異のメカニズムマニア」「ガルマの特攻や、ジャブロー攻略戦をジオラマで作りたい人」以外には、一切得をもたらさないという、腹を括った商品になった。

ガウから次々に、ジャブローに降下するジオンモビルスーツ群!

今回も、キットの成型色を活かして部分塗装のみで制作。
しかもガウの場合、追加の塗装が、フロント部分の赤いムカデみたいなディティールと、垂直尾翼の二つの赤い部分と、後はバーニア等のミディアムブルー部分だけというのもあり、追加で、せっかくパーツ分割されているので、主翼のインテーク内部を艶消し黒で塗っておいたりしてみても、全部で二時間で完成してしまった次第。

映画版ではカットされた名シーン。ガルマの仇を討つために、出撃したイセリナのガウの、両翼の上に乗るガンダムとガンキャノン!

『ガンダム』屈指の名シーン。ガルマ「ジオン公国に栄光あれぇえええ!」

市川大河公式サイト

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