理由もなく一人また一人とレザーフェイスによって殺されていくのです。しかも白昼に堂々とです。これが夜であれば映画的な効果ということもあり恐怖映画として納得できるのですが、昼間に行われる殺人ということで異常さが際立ちます。
もう怖いというよりも狂気、狂っているとしか言いようがありません。見事な演出です!
しかし、逃げ回っているうちに夜になります。友達は全員殺され1人だけになったヒロインのサリーは必死で走り、ガソリンスタンドへ逃げ込み助けを求めます。
やっと一息つけたと観客がホッとする瞬間ですね。ところが、このガソリンスタンドの店主がおかしいのです。何かヘンなのです。もう、何か異常を感じる笑い方をするのですね。そうです。この店主は殺人一家の長男です。
つかまったサリーは、殺人一家の家に連れ去られてしまいます。そして悪夢としか言いようのない食事会が始まるのです。目の前には、ガソリンスタンドの店主以外にレザーフェイスもヒッチハイカーも居ます。更にはミイラのようになっている彼らの親まで。
トラウマになってしまいそうな食事のシーンですが、それだけ演出が素晴らしいのです。ヒロインの恐怖を表現する目玉の極端なアップ。それに不協和音というか、雑音といってもよいような効果音がこれまた極端に大きく飛び出してきます。
隙を見てサリーは脱出し、半狂乱になりながらも偶然通りかかったトラックに乗せてもらい間一髪のところ助かります。
夕日をバックにチェーンソーを振り回しながらダンスを踊るレザーフェイス。何も解決することなく、何も示されないまま映画はパッと終わります。
通常映画撮影は35mmフィルムで行われていましたが、「悪魔のいけにえ」は予算がなかったため16mmフィルムで撮影し、スクリーンサイズに拡大してありました。このため画質が荒れていたのですが、最近のソフトはデジタル・リマスターされており画質が格段に良くなっています。
しかし、画質が悪かったこともこの映画の効果を高めていた要因のひとつだったのではないかと思えてまりません。