カリーナEDってどんな車?

初代カリーナED
日本を代表するファミリーカーのカリーナから派生した、新しいタイプの4ドアサルーンです。それまでの家庭的で実用的な4ドアのファミリーカーとは一線を画し、2ドアハードトップのような、スポーティーでスタイリッシュなデザインを持ち、あっという間に幅広い層から、絶大な支持を得ることになりました。

2代目カリーナED
当時もてはやされたハイソカーよりもリーズナブルで、ラグジュアリーな雰囲気を楽しめるという、大衆の心を見事に掴んだ、ミニ・マークⅡとかミニ・ソアラといった印象の、お洒落を楽しむファミリーカーでした。

3代目カリーナED
カリーナEDのヒットは自動車業界に大きなムーヴメントを巻き起こし、トヨタは後に姉妹車としてコロナEXiVを、マツダ・ペルソナ、日産プレセア、三菱エメロードなど、各社が次々に、手頃な価格帯のスタイリッシュな4ドアハードトップを投入することとなります。

コロナEXiV

日産プレセア

三菱エメロード

マツダ ペルソナ
初代カリーナED(T16型)
初代カリーナEDは、バブル景気前夜の1985年に発売になりました。
セリカと共通のプラットフォームを使用し、トヨタとしては初の4ドアピラーレスハードトップとしてデビューしました。

カリーナといえばトヨタの誇るファミリーカーの代表格ですが、カリーナEDのフォルムは、より伸びやかで、流れるようなスタイリッシュな印象で、ファミリーカーの中にもラグジュアリーな雰囲気を追求した作りになっています。

スタイリング重視の設計で車高は低く、居住性よりも美的なデザインを優先するという、これまでのファミリーカーにはない価値観を提案し、記録的な大ヒット作となりました。
姉妹車にはセリカとコロナクーペがあります。ユーザーの認識としては、カリーナの一種というよりは、セリカの4ドアバージョン、といった感じだったのではないでしょうか。
初代カリーナEDのスペック
Gリミッテッド:1,978,000円
型式:E-ST162
全長×全幅×全高:4,475×1,690×1,310mm
エンジン型式:3S-GELU
最高出力:160ps/6,400rpm
最大トルク:19.0kg・m/4,800rpm
種類:直列4気筒DOHC16バルブ
総排気量:1,998cc
車両重量:1,130kg
燃費:10モード/10・15モード:12.0km/L
1985年11月カタログより

2代目カリーナED(T18型)
バブル景気真っ只中の1989年に、2代目カリーナEDは発売されました。大ヒットした先代のコンセプトをそのまま受け継ぎながら、装備や機能は時代を反映した形で豪華になっています。
当時世界初のデュアル4WSモードを搭載したグレードを設定。回転半径が5.2mから4.7mに向上し、小回りのきく足回りを実現させています。

2代目カリーナED
この2代目カリーナEDの時に、姉妹車としてコロナクーペに替わってコロナEXiVが登場。トヨタのスタイリッシュでラグジュアリーなファミリーカーのそろい踏みですね。
2代目カリーナEDのスペック
Gリミッテッド:1,978,000円
型式:E-ST182
全長×全幅×全高:4,485×1,690×1,315mm
エンジン型式:3S-GE
最高出力:165ps/6,800rpm
最大トルク:19.5kg・m/4,800rpm
種類:直列4気筒DOHC
総排気量:1,998cc
車両重量:1,230kg
燃費:10モード/10・15モード:11.6km/L
1989年9月カタログより

3代目カリーナED(T20型)
3代目カリーナは、バブルが崩壊した直後の1993年に発売になりました。エンジンの型式は先代と一緒ですが、ボディサイズが一回り大きくなり、3ナンバー仕様車となり、剛性強化のためにセンターピラー付きのハードトップになっています。

3代目カリーナED
時代の移り変わりを反映して、コストカットのために、内装や装備が見直され、オートエアコンがマニュアルタイプに変更されるなど、若干淋しい感じになってきてます。
セリカGT-four由来の4WD仕様車も登場しますが、売れ行きは芳しくなく、1998年、カリーナEDは13年間の歴史に幕を下ろしました。
3代目カリーナEDのスペック
Gリミッテッドエキサイティングバージョン:2,288,000円
型式:E-ST202
全長×全幅×全高:4,500×1,740×1,325mm
エンジン型式:3S-GE
最高出力:180ps/7,000rpm
最大トルク:19.5kg・m/4,800rpm
種類:水冷直列4気筒DOHC16バルブ
総排気量:1,998cc
車両重量:1,119kg
燃費:10モード/10・15モード:12.0km/L
1993年10月カタログより

車の価値観の移り変わり
バブルの到来とともに生まれ、バブルの崩壊とともに終了してしまったカリーナEDは、ファミリーカーなのに、機能性よりもデザイン性を追求した車でした。

時代の流れにつれて、人々が車に求めるものは変わってきます。現代のドライバーの多くは、安全性、操作性、低燃費などの、機能的で実用的なものを車に求めるでしょう。当時のドライバー達は、機能性の他に、ファッション性や個性、ステイタスを求めました。

今後の世界や日本に、どうのような時代が到来するかはわかりませんし、人間にとって車がどのような存在になっていくのかはわかりませんが、車に機能性だけではなく、美しさや楽しさ、お洒落などを楽しむ、そんな余裕が生まれる時代になって欲しいものです。
