【ついに引退】昼も夜も働きまくり【583系】4月に引退

【ついに引退】昼も夜も働きまくり【583系】4月に引退

1968年に登場し、東北から九州まで、昼間は特急、夜は寝台電車として、日本の経済成長とともに働きまくった国鉄【583系】がついに2017年4月に引退します。その偉大な功績を讃えたいと思います。


583系のラストランがJR東日本から公式に発表されました。

「583系」(JR東日本秋田支社ニュースリリースより)

~引退発表~ 特急形寝台電車「583系」最終運行 【特急形寝台電車583系の概要】 583系電車は、日本国有鉄道が設計製造した交直両用特急形寝台電車です。運行列車の減少により廃車が進み、秋田車両センター所属6両編成(国鉄色)が団体臨時列車用として活躍を続けてきました。 東北地方では1968年から、夜行列車として「はくつる」上野~青森間(東北経由)、「ゆうづる」上野~青森間(常磐経由)、昼行列車では「はつかり」上野~青森間(東北経由)、「みちのく」上野~青森間(常磐経由)等で運用していました。 秋田支社管内では臨時特急「あけぼの 81・82 号」上野~青森間(奥羽経由)、急行「津軽」上野~青森間(奥羽・仙山・東北経由)、団体臨時列車「わくわくドリーム号」、さらには高校野球の「甲子園応援列車」や各種まつり等に使用してきました。 これまで多くのお客さまに愛された「583系」は、この度4月8日(土)秋田~弘前間の運行をもって引退することになりました。 JR秋田支社に所属する、特急形寝台電車「583系」が4月8日の秋田駅~弘前駅間の運転を最後に引退します。 国鉄時代から走り続けた「583系」が有終を飾る姿を、多くの皆さんにご覧いただけるよう、団 体専用列車として最終運行を企画しました。時代の移り変わりを、お客さまや社員と走り抜け、多くの人の思い出に残っている「583系」。最終運行の乗り心地を存分にお楽しみください。 長年ご愛顧いただき、ありがとうございました。

https://www.jreast.co.jp/akita/press/pdf/20170217-2.pdf

https://www.jreast.co.jp/akita/press/pdf/20170217-2.pdf

ツイッターでも583系は盛り上がってます

「廃止か?」「いやまだまだ」と憶測が流れていた。

「引退はしない!」派

ある方のブログから。(2017年1月7日)

引退するのでは、と予想していた人もいた。

583系は昼も夜も働き続けた。

現在は航空網の発達により、遠距離への移動は航空機が主流となっていますが、583系が設計されていた1968年頃は、ジャンボジェットもない時代で、飛行機での移動は高嶺の花でした。
東海道新幹線も東京から新大阪までしかなく、山陽新幹線(1975年)、東北新幹線、上越新幹線(1982年)、ましてや北陸新幹線はつい2年前の2015年に開業しました。
ですので、1968年頃は、多くの寝台列車が運行され、遠距離へは一晩かけて行くのが当たり前の時代でした。

こうした時代背景ですので、昼間に運行される、座席だけの車両と、寝台列車として運行される車両(電車ではなく、機関車にけん引されて走る「客車」と呼ばれる車両。20系が有名です。)の両方を用意しておく必要がありました。

そうなると、昼間は、寝台列車としての客車は車庫で休んでいて、夜間は、座席だけの特急電車は車庫で休んでいるという、非効率な状況となりました。
経済成長にともない、移動する人が多くなり需要が増え、この非効率な状況を解決する必要が出てきました。

当時の昼間の特急の代表「181系」Wikipediaより

寝台列車の代表「20系客車」Wikipediaより

そこで、「昼間は客車として利用して、夜は寝台電車として利用できる、つまり昼も夜も動ける電車があれば、効率がいいのでは」というアイデアが生まれました。
しかし、ひとつ問題がありました。
「電車」と「客車」の違いです。

「電車」VS「客車」 その違い

一般の方には、電車だろうが客車だろうが、鉄道には違いないだろうと思われていると思いますが、この2つにはそれぞれ利点と欠点があります。

台車

機関車がないと動けません・・・。
でも静かで揺れも少ない。

客車

今では廃止されましたが、「ボンネット型」の特急列車です。
騒音源になる機器を前面に組み込んでお客さんに静かに乗ってもらうために、このような形になっています。
しかし583系ではこの問題を克服しました。

電車

「電車」とは、正確には、上に人の座る座席があって、下に動力を出すモーターがついている車両をいいます。それに対して、自分だけでは動力を持たず、座席や寝台ベッドが上にあり、下は台車だけで、機関車がないと動けないものを「客車」と区別しています。

では、この2つの利点、欠点を見てみましょう。
「電車」は、何といっても機関車が不要で、自分で動くことができることが利点です。「動力分散式」といって、それぞれの車両にモーターがついているので、身軽で、特に動き出す時の加速がよいのが利点です。(すべての車両にモーターがついているとは限らず、例えば10両編成の中にモーターがついているのが5両で、残りの5両は他の車両のモーターの力を借りて動く、というようなスタイルのものも多いです。モーターのある車両を「動力車」、モーターがなく他の、モーターがある車両にくっついて動く車両を、「付随車」と呼びます。)

しかし、モーターのついている車両は、「騒音」と「振動」が大きいという問題がつきまといます。昼間は起きている人が乗るので、「静か」さより、「速さ」が求められていることが多いので、加速性に優れている電車のほうが適していますが、夜は、「寝る」ための空間が必要で、それには、「静かなこと」「揺れないこと」が求められ、モーターのある車両は寝台車には向いていないということになります。

それに対して、「客車」は、モーターを一切持たないので、騒音・振動源がなく、「静かさ」と「揺れない」という、乗っている人にはうれしい「快適さ」が何よりも自慢です。
しかしながら、客車は、モーターを持っていないので、自分だけでは一切動くことができません。
動く時には常に機関車が必要となります。
さらに、「加速性が劣る」という問題があります。先頭(もしくは最後尾)につけられた機関車の力だけで、何両もある客車を動かさなければならないので、客車の最後尾にまで動力エネルギーが伝わるまでに、タイムラグが生じ、加速のスピードが出ません。

583系は「静かな電車」

そのため、寝台「列車」ではなく、モーターを持った寝台「電車」として設計される583系は、静かさというものの追求が必要になってきます。

海外では、一見「電車」に見えても、実は先頭と最後尾に大きなモーター(もしくはディーゼルエンジン)だけを積んで、お客は乗せない、というスタイルが今でも主流です。フランスの新幹線「TGV」などは先頭と最後尾にモーターを積んで、モーターのない客車を間にはさんで動くスタイルです。先頭で「引っ張り(Pull)」、最後尾で「押す(Push)」、間に挟まれた客車は動かないということで、「プッシュプル方式」と呼ばれる方式が主流です。静かで、揺れも少ないですが、やはり加速性は電車方式にはかないません。

TGV | ヨーロッパ鉄道旅行ガイド(レイルヨーロッパ【公式】)

じゃあ、日本でもプッシュプル方式にすればよいのでは、と思われる方も多いと思います。
しかし、プッシュプル方式の車両はどうしても先頭車(最後尾車)に集中して動力源を積載するため、その車両に大きな重量がかかります。
フランスなどヨーロッパは、大陸なので地盤が良く安定しており、大きな重量が集中して加わっても問題がないのですが、日本は地盤の弱い地点が点在しており、重い車両が通ると線路や地盤に影響を与える可能性があり、安全性上、ヨーロッパとは違う問題を抱えています。
ですので、重量が分散している「電車」のほうが日本には適しているというわけです。

たくさん人を運ぶためにという理由と、モーターからベッドをできる限り遠ざけるという理由もあったと思いますが、583系は「背が高い」電車です。電車ですから、電気を架線から取らなければならないので、電線より高くは電車は作れません。その限界を、「車両限界」と呼ぶのですが、その基準一杯まで背を高く設計しました。

正直、583系以外の電車特急では、うるさくて、眠れたものではありません。
やはり、モーター音がうなりをあげています。
今ではVVVFが主流ですが、昔は抵抗器制御の電車でしたので、特に国鉄が造っていた当時の電車ではその欠点が顕著です。

盛り上がり過ぎ?のラストラン

583系、おつかれさまでした

新幹線網ができるまでの、日本の高度成長を支えた、世界初の寝台電車583系。いよいよラストランとなります。
またひとつ、昭和が終わります。
日本の高度成長を支えたモーレツサラリーマンのごとく、昼も夜も働いた583系に、「ありがとう」をお伝えしたいと思います。

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