今回紹介する作品は、にっかつロマンポルノ作品群の中でも異色中の異色である、「スーパーヒーロー物」!
しかも笠太郎による当時の人気劇画コミックを実写化した本作は、同じ漫画原作の映画化、恥ずかしすぎるコスチュームに身を包んだヒーローが、この世の悪を成敗!そしてニセモノと対決するという展開など、正にあの「変態仮面」のルーツだと言っても過言では無い。
公開当時の劇場版ポスター。
その奇跡の映画こそ、あの元祖アメコミ映画「スーパーマン」日本公開と同じ1979年に製作公開された、にっかつロマンポルノのカルト的迷作、「Mr.ジレンマン・色情狂い」だ!
こちらはDVDパッケージ裏の解説。
しかも主演が、今や演技派の名脇役にして、若手俳優の柄本佑・柄本時生の父親でもある柄本明!更に共演が、あの「平成の無責任男」こと高田純次、「あぶない刑事」でお馴染みのベンガルなど、当時の人気コメディ劇団「東京乾電池」のメンバーが大挙出演という、今となっては豪華過ぎるキャストなのだ!
本編のOPタイトルより。
今やアメコミ映画が完全に定着した日本。その歴史的第一歩と言える映画「スーパーマン」への、日本映画界からの挑戦状!とも言えるこの迷作を、今回は是非紹介したいと思う。
『Mr.ジレンマン』 ストーリー
柄本明が演じるサラリーマンの岩田。
建設会社の万年課長・岩田(柄本明)。SEXでも仕事でも、うだつがあがらない彼に対する周囲の風当たりは冷たい。
満員電車の中で、なんと尼僧の口に柄本明のアレが・・・。
ある日、満員の通勤電車の中で、激しく車両が揺れた拍子に岩田の一物がチャックから飛び出し、目の前の女性の口に入ってしまうという事件が発生!
柄本明の上司である専務を演じたのが、なんとあの高田純次!
平身低頭の岩田に専務(高田純次)は激怒。
家庭は既に崩壊。
家でも家族の態度は冷ややかで、一人侘しく冷や飯をすすりながら岩田は心に誓う。
日頃の恨みをはらすべく、大変身することを!
「ジレンマン」が誕生
こうして、この世の正義と処女を守るスーパーヒーロー「ジレンマン」が誕生する。
ジレンマンの出動シーン!
今までの鬱憤を晴らすかの様に、社内はおろか町中でも悪を成敗するジレンマン!
「ジレンマン対策本部」!
急遽、岩田の勤める建設会社内にも「ジレンマン対策本部」が結成され、かくしてここに一大SEXバトルが繰り広げられることに・・・。
ニセ者のジレンマン!
ついにはニセ者のジレンマンまで出現し、岩田の家族が人質に!果たしてその決着は?
ジレンマン公開の1979年、それはコメディ大流行の年だった!
本作が公開された1979年、それは正に「コメディ映画」大流行の年だったと言える。
「ケンタッキー・フライド・ムービー」
「ミスター・ブー」日本版VHSビデオのジャケット。
実は、その前年の1978年11月3日に公開された、オムニバスのコメディ映画「ケンタッキー・フライドムービー」が話題となった辺りから、既に時代のニーズははコメディ映画へとシフトしていたのだが、何と言ってもこの流行に与えた影響が大きかったのは、この年の2月3日に公開されて若者を中心に予想外の大ヒットを記録した香港映画、「ミスター・ブー」だろう。
赤塚不二夫のギャグ・ポルノ 気分を出してもう一度
現に日本でも「ミスター・ブー」公開直後の3月31日に、「赤塚不二夫のギャグ・ポルノ 気分を出してもう一度」が、にっかつロマンポルノとして公開されているくらいだ。
ちなみに本作は、「ジレンマン」と同じく柄本明・ベンガル・小川亜佐美出演であり、実は柄本明とベンガルの映画デビュー作品でもある。
「下落合焼とりムービー」!
その後、6月23日には東映で伝説のコメディ映画、「下落合焼とりムービー」が製作公開!更には同じく東映で「ドランクモンキー酔拳」も公開され、日本でのコメディ映画需要は頂点に!
DVDソフトに封入されている、ライナーノーツより。
こうして、絶好のタイミングである1979年10月6日に公開されたのが、本作「Mrジレンマン 色情狂い」だったというわけだ。
本作が香港映画「ミスター・ブー」に、大きく影響を受けている証拠がこれだ。
社長役の綾田俊樹
もちろん、本作にも「ミスターブー」からの影響が随所に見られ、ジレンマンの武器がヌンチャクだったり、社長役の綾田俊樹の「出っ歯」姿などは、その象徴だと言える。
綾田俊樹によるカースタントシーン
しかし、本作最大の見所は、この綾田俊樹がスタントマン無しで挑んだカースタントシーンだ!
実際に公道で車を何台も走らせて、一歩間違うと大怪我を追いかねないこのシーン。果たして許可を取って撮影したのか?
当時の映画製作の自由度と熱気を感じる名シーンだと言える。
映画「スーパーマン」公開の年に生まれたヒーロー、それがジレンマン!
コメディ映画全盛だった1979年のもう一つの話題。それは、現在のアメコミ映画流行の元祖とも言える、リチャード・ドナー監督の「スーパーマン」が公開された年だということ。
「スーパーマン」の巨大垂れ幕
テーブルクロスをマント代わり
事実、本編中にも写真の様に、柄本明が「スーパーマン」の看板を見たり、スーパーマンの真似をするシーンが登場したりする。
謎のお面!
駅前で撮影されたこのシーン。
ジレンマンのコスチュームもスーパーマンっぽいのだが、肝心のマスクは専務のオフィスの壁に掛かっていた物だし、なんと足には「変態仮面」と同じく黒の網タイツが!
ジレンマンのコスチュームを発見したベンガル!
ニセ者のジレンマンとの対決