幼い頃に読み聞かされたり、小学校の図書としても親しみ育ってきた五味太郎(ごみ たろう)の絵本。
柔らかな絵のタッチに隠されたユーモアがとても痛快でした。
愛情溢れる五味の作品を、いくつか年代を追ってご紹介します。
時代を経ても楽しめる五味の世界をご堪能ください!
1977年、『みんなうんち』
1977年7月1日に発売された『みんなうんち』。
本書で五味は”動物はみんなうんちをするものだ”と伝えています。排泄物という一見扱い辛いテーマを五味独特のユーモアで描いています。
ミッフィーを日本に紹介し、福音館書店の編集者としていわさきちひろなどを発掘した松居直は、本書を「知識の枠を超えた科学の絵本」と評し、「意外性と語りのユーモア」が「心に残る絵本体験」を生みだしたとしています。

『みんなうんち』
みんなうんちとは - goo Wikipedia (ウィキペディア)
1978年、『たべたの だあれ』
第25回サンケイ児童出版文化賞した絵本『たべたの だあれ』。1977年に文化出版局より発売されました。
「どうぶつあれあれえほん」シリーズでは他に『かくしたの だあれ』があります。
同書はページをめくる度に登場する動物が増えていき、数も覚えることができる仕掛けがあります。
当時はまったく気が付きませんでしたっ!

『たべたの だあれ』
1986年、『ことわざ絵本』
1986年に岩崎書店より発売された『ことわざ絵本』。
一つのことわざを1見開きで構成。右が従来通りの絵と解説、左が五味の創作した面白ことわざになっています。発売後にロングセラーとなり、五味の代表作の一つと言えるのではないでしょうか。

『ことわざ絵本』

「帯に短したすきに長し」のページ
1990年、『らくがき絵本 50%』
1990年にブロンズ社より発売された『らくがき絵本 50%』。
「らくがきこそが絵のはじまり」と五味太郎が、らくがきの楽しさを伝えるかきこみ式絵本です。
大ボリュームのページに塗り絵やことば遊び、めいろなどが散りばめられた楽し過ぎる一冊。
以降、「らくがき絵本」はシリーズ化され、人気の絵本となっています。
アメリカ、イギリス、スペイン、フランスなど海外でも翻訳され、発売されています。
フランス版が現地で人気となり、各国で翻訳されるきっかけとなったそうです。

『らくがき絵本 50%』

「雪がふってきましたよ」「ふくにもようをかきましょう」
五味太郎 プロフィール
1945年8月20日生まれ。東京都調布市生まれ。
桐朋高等学校、桑沢デザイン研究所ID科を卒業しました。
同校卒業後は工業デザイン、エディトリアルデザインなどのデザイナーを経て、1973年に『みち』(福音館書店)で絵本作家としてデビューしました。
これまでに400冊以上の絵本を手掛けています。絵本以外にもエッセイスト、作詞家として主に子供向けの楽曲を書いています。
ちなみに阪神タイガースファンだそうです。

若い頃の五味太郎
【受賞歴】
・1978年に『たべたの だあれ』(文化出版局)で第25回サンケイ児童出版文化賞
・1981年に『仔牛の春』(偕成社)でボローニャ国際絵本原画展賞
・2000年に『ときどきの少年』(新潮社)で第22回路傍の石文学賞
など、他にも受賞多数。

近年の五味太郎
≪五味太郎の”絵本”に対する考え方≫
五味太郎さん「何を描いてるの?って聞かないで」:朝日新聞デジタル

こちらも名作『きんぎょが にげた』
70年代から活躍し、未だに絵本の世界で上質な作品を作り続けている五味太郎。
五味による読み手を巻き込んだ絵本作りは、時代を超えたエンターテイメントとなっています。
また、作品によって異なる絵の雰囲気で、飽きずに楽しむことができるのも特長だと思います。
子供の感覚や感性を大事にして育てたいなと思っているお父さん、お母さんには、五味の絵本をオススメします。ご自身も絵本を懐かしみつつ、楽しんで子育てができるのではないでしょうか。
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