ユーノスロードスター

ユーノスロードスターは1989年に発売された2シーターのオープンタイプのスポーツクーペです。
コンパクトで軽量なボディに、スポーティーにチューンナップしたエンジンを搭載した、ライトウェイト・スポーツカーですが、それまでのスポーツカーにありがちの、いかつさや獰猛さが微塵もない外見で、コアな愛好家の他にも幅広い層からの支持を得ることができ、注文から納車まで数ヶ月を要するほどの大ヒット作となりました。

海外でもライトウェイト・スポーツの新しいムーヴメントを引き起こし、ユーノスロードスターのヒットをきっかけに、フィアットのバルケッタ、BMWのZ3、メルセデスベンツのSLKなどが生まれたと言われています。

1996年にユーノスそのものが消滅した後も、マツダアンフィニ店でそのまま販売が継続され、1998年にはマツダロードスターとして2代目が、2005年に3代目、2015年に4代目と、代を重ねながら現在でも根強い人気の車種として販売されています。
ユーノスロードスターのスペック
Vスペシャル 2,162,000円
型式 E-NA6CE
全長×全幅×全高 3,970×1,675×1,235mm
エンジン型式 B6-ZE
最高出力 110ps/6,000rpm
最大トルク 14.0kg・m/4,500rpm
種類 水冷直列4気筒DOHC
総排気量 1,597cc
車両重量 980kg
10モード/10・15モード燃費 10.2km/L
1990年8月カタログより

ユーノスプレッソ
ユーノスプレッソは1991年に発売になった3ドアのハッチバック・クーペです。
マツダ・オートザムから販売されていたAZ-3とは姉妹車になります。
小型車ながらV6エンジンを搭載し、フットワークの良いキビキビとした走りと、V6ならではのスムースな加速を実現。発売当初は世界最小のV6エンジン搭載車という触れ込みでした。

ちなみに当初は、ユーノスプレッソがV6、マツダオードザムAZ-3が直4という風に、エンジン仕様は分けられていましたが、1993年のマイナーチェンジで、いずれの車種にも同等のエンジンがラインナップされる事になります。
ハッチバックのリアウィンドウは、艶かしいほど美しい、ゆるやかな曲線の1枚ガラスと贅沢な造り。サイドに窓がないことで、一見すると2シーターの様に見えますが、意外に天井が高いので、後部座席の居住性も確保されています。

ヨーロッパではMazda MX-3の名前で販売され、結構人気になったようです。
1996年にマツダの経営が悪化し、ユーノスという販売網そのものが廃止になりましたが、プレッソはそのままマツダアンフィニ店で販売を継続することになります。
しかし1998年、ファミリアがモデルチェンジする際に販売終了となりました。
ユーノスプレッソのスペック
Fi-XSV 2,138,000円
型式 E-EC8SE
全長×全幅×全高 4,215×1,695×1,310mm
エンジン型式 K8
最高出力 140ps/7,000rpm
最大トルク 16.0kg・m/5,500rpm
種類 水冷V6DOHC24バルブ
総排気量 1,844cc
車両重量 1,160kg
10モード/10・15モード燃費 9.0km/L
1991年5月カタログより

ユーノスカーゴ
1990年発売のユーノスカーゴは、マツダ・ボンゴのユーノスバージョンです。
ワゴンタイプとトラックタイプが販売されました。
ボンゴとの違いは、エンブレムとカラーバリエーション程度で、ボンゴとの住み分けがあまり上手くいったとはいえず、1993年に販売終了となり、以降はボンゴに統一されました。

ユーノスカーゴのスペック
2WD 1,793,000円
型式 E-SSE8WE
全長×全幅×全高 4,330×1,645×1,930mm
エンジン型式 FE
最高出力 82ps/5,000rpm
最大トルク 15.5kg・m/2,500rpm
種類 水冷直列4気筒OHC
総排気量 1,998cc
車両重量 1,410kg
10モード/10・15モード燃費 7.8km/L
1990年2月カタログより

ユーノスコスモ
ユーノスコスモは1990年に発売されたロータリーターボエンジン搭載のスペシャリティ・クーペです。日本車の歴史を語る上では欠かせない名車、コスモスポーツから数えると4代目のコスモということになります。

ワイドボディでロングノーズ、流れるような優雅な曲線を持つボディは、たいへん滑らかで美しく、人間工学に基づいて設計されたシートは深くて心地よく、バスタブに浸かりながらドライブしているようにリラックスでき、長時間の運転でも全く疲れを感じないほどでした。
エンジンはRX-7と同じ2ローターの13Bと唯一無二の3ローターの20Bの2種類。
2ローターでも230馬力と相当なハイパワーですが、3ローターは当初300馬力を余裕で超えていたところ、当時の運輸省による規制のために280馬力に抑えて販売された、その優雅でしなやかな外観の内側には物凄いパワーを秘めた、日本一のマッスルカーでした。

しかしどうしても燃費が悪く、3ローターに至っては街中でリッター3kmほどの場合もあり、なかなか思うような結果を残すことができず、1996年ユーノスの終了とともに姿を消すことになります。
ユーノスコスモのスペック
20BタイプE CCS 5,325,000円
型式 E-JCES
全長×全幅×全高 4,815×1,795×1,305mm
エンジン型式 20B-REW
最高出力 280ps/6,500rpm
最大トルク 41.0kg・m/3,000rpm
種類 水冷直列3ローターICツインターボ
総排気量 1,962cc
車両重量 1,640kg
10モード/10・15モード燃費 6.4km/L
1994年3月カタログより

ユーノスが見た夢の跡
たった7年間で姿を消してしまったユーノスですが、それぞれの車種はデザインもコンセプトも性能も、他のメーカーとは一線を画した唯一無二のものが多いブランドでした。

世界的なヒットになり、車のジャンルを掘り起こしたともいえるロードスターを輩出しただけでも、ユーノスが存在した意義は大きいと思いますが、コスモやプレッソ、ユーノス300や500に見られる、他にはないものに臨む姿勢、車に最大限の美を求める心を、今後のマツダの歩みに活かしてほしいと、元ユーノス乗りの筆者としては切に願うばかりです。

みなさんも、もしユーノスに車に触れる機会があったら、ぜひ乗ってみてください。
未だに色褪せない、ユーノスのゆとりあるカーライフを感じることができるかもしれません。
