1987年に実写映画化された『湘南爆走族』

湘南爆走族
神奈川県茅ケ崎市の波打際高校の、バイクを走らせたら関東一という5人の仲間たち『湘南暴走族』を描いた青春コメディー映画。脚本はこの作品で監督デビューを果たした山田大樹と和泉聖治の共同執筆によります。撮影は佐々木原保志が担当しました。
この映画には当時、新人俳優だった江口洋介が「江口洋助役」として、織田裕二が「石川晃役」で出演しており、現在ではなかなか実現できそうにない共演を果たしています。

江口洋介と織田裕二の共演
映画の特徴は、不良だが基本的には悪人ではなく、友情に厚く、正義感もあるという人間味あふれる点。
作品の冒頭では湘南爆走族メンバーのバイト風景から始まり、バイクで走りに行くのにも金がないとボヤく場面が印象的です。少数精鋭のため、メンバーはわずか5人。普段、ヤンチャはしているが、学校をサボる以外は他人に迷惑をかけることもなく善良な人。しかし、ケンカを売られた場合は受けて立ち、しかもめっぽう強い。その上、女性には奥手で硬派という、当時の不良の理想像が詰め込まれています。

90年代以降、人気俳優になっていくキャストも
湘南爆走族『江口洋助』役 - 江口洋介

江口洋介

アニメ版との比較
1968年1月1日生まれ、東京都北区出身の江口洋介。1987年、すでにHNKの単発ドラマ「翼をください」で主演デビューしていたものの、同年の映画『湘南爆走族』で主人公・江口洋助役に抜擢されたことで、一気に有名となったという経緯があります。
また、江口洋介という芸名は本名であり、原作の漫画に登場する主人公の名前も「江口洋助」であることから奇跡的な偶然と言えます。(最後の漢字が”介”か”助”の違いだけです)
湘南爆走族『石川晃』役 - 織田裕二

織田裕二

アニメ版との比較
1967年12月13日に神奈川県川崎しで生まれた織田裕二。1987年に、この映画「湘南爆走族」の出演者オーディションに応募し、数万人の参加者の中から、自ら望んでいたとされる石川晃役に抜擢され芸能界デビューしました。
当時は二輪免許を持っておらず、映画撮影のために取得したという逸話も残っています。

湘南爆走族 挿入歌
俳優デビューと同時に、映画『湘南爆走族』の挿入歌のシングルレコード「BOOM BOOM BOOM」にて歌手デビューしている織田裕二。高校時代はDepsという名のバンドを組み、ギターを担当していたので、いきなりの歌手デビューも本人にはごく自然な流れだったのかもしれません。
後に、1991年に発売された『スズキ・セルボ』のCMソングとなった「歌えなかったラヴ・ソング」が最高位2位、57.5万枚を記録するなど、俳優活動と並行して行うこととなる歌手活動の原点となりました。
湘南爆走族『丸川角児』役 - 村沢寿彦

村澤寿彦

アニメ版との比較
湘南爆走族『原沢良美』役 - 我王銀次

我王銀次

アニメ版との比較
湘南爆走族『桜井信二』役 - 佐藤健

佐藤健

アニメ版との比較
波打際高校手芸部 『津山よし子』役 - 清水美砂

清水美砂
1970年9月25日生まれの清水美沙は、『湘南爆走族』 のヒロインオーディションで選ばれたことがきっかけで、芸能界入りしました。映画が公開された1987年は16歳か17歳の、まさに高校生だったころになります。
その2年後の1989年度上半期には、NHK朝ドラ『青春家族』のヒロインを務め、一気にお茶の間の顔に。それからは、主に映画を中心に活動し数々の映画賞を受賞する女優となりました。
波打際高校手芸部 『三好民子』役 - 杉浦幸

杉浦幸
横浜御伽(おとぎ)のリーダー城崎挺士 - 竹内力

竹内力
1964年1月4日生まれの竹内力は、元銀行員の経歴を持ち、後に俳優として1986年、映画『キャバレー』と『彼のオートバイ、彼女の島』で2作同時映画デビューを果たします。翌年「湘南爆走族」にて江口らと対立する暴走族グループのリーダー役で出演しました。
当時は現在と異なり、二枚目俳優として数々の映画やドラマに出演していました。
原作は『吉田聡』(よしだ さとし)による暴走族漫画

映画『湘南爆走族』(しょうなんばくそうぞく)の原作は、吉田聡(よしださとし)による漫画で、1982年、『少年KING』(少年画報社刊)にて読み切りとして掲載され、同年より1988年まで連載されました。
湘南を舞台とし、暴走族『湘南爆走族』の2代目リーダーとなった江口洋助と彼を取り巻くメンバーと他の暴走族グループとの抗争や喧嘩、バイクバトルなど、シリアスな場面も見られますが、ギャグや恋愛の要素も多分に含まれた青春グラフティ的な作品とも言える作品です。
原作者「吉田聡」とは
吉田聡は1960年12月8日に福岡県で生まれ、神奈川県藤沢市辻堂で育った漫画家で、『週刊少年キング増刊号』掲載の『天上界STORY』でデビューしました。
代表作は『湘南爆走族』になるかと思われますが、他にも『ちょっとヨロシク!』(1985年 - 1987年)、スローニン(1987年 - 1988年)、純ブライド(1987年 - 1988年)、バードマン・ラリー 鳥人伝説(1988年)、DADA!(1989年 - 1991年)、荒くれKNIGHT(1995年 - 2005年)など、主に1980年代から2000年代はじめにかけて多くの連載作品を残しています。
まとめ

いかがでしたでしょうか。ストーリーの良さもさることながら、現在でも主役級で活躍される俳優たちの若かりし姿も見られる映画「湘南爆走族」。当時、青春時代を過ごされた方などは、あらためて観てみると懐かしい思い出が一緒に蘇ってくるかもしれませんね。