「3年B組金八先生」――。
1979年に第1シリーズが放送され、以降断続的に第8シリーズまで放送、そして2011年に感動のファイナルを迎えた学園ドラマの金字塔、である。
と、そんな堅苦しい説明はともかく、ミドルエッジ読者の中にも「自分と同世代の金八先生シリーズに熱中した」という人は多いだろう。そしてドラマを見ているうちに、気がつけば自分も3Bの生徒の1人のような気分になり、悪ガキ男子の振る舞いに苛ついたり学級委員の女子にちょっと胸をときめかせたり。そして最後は金八先生の贈る言葉に涙する、のである。
そんな忘れじの金八先生が幕を閉じてから早5年。果たしてあの頃のボクらのヒロインたちは今何をしているのだろう……。
ということで、会いに行ってきました。
1995〜1996年に放送された第4シリーズの学級委員長・伊丸岡ルミ役の松下恵さんと蓑田紀美役の藤田瞳子さん。あの頃の思い出、撮影のエピソード、そしてルミと紀美は今どうしているのか……などなど、全3回に渡って金八先生第4シリーズの“マドンナ”が語り尽くします!

伊丸岡ルミを演じた松下恵さん
生年月日 1981年1月16日 出身 東京都 身長 153cm 趣味・特技 ピアノ、書道、日本舞踊、声楽、英会話、ドイツ語検定3級 資格 普通自動車免許
http://toei-management.com/megumi_matsushita.html東映マネージメント|所属俳優の公式プロフィールや最新情報など: 松下 恵

蓑田紀美を演じた藤田瞳子さん
1回目は当時の撮影の思い出から振り返って頂きましょう!
松下さん
ふたりでよく会うようになったのはここ数年ですね。藤田さん
そうですね。武田(鉄矢)さんのお誕生日会とかで一緒になってから仲良くなって。ルミの家にも遊びに行ったり……。松下さん
紀美はおいしいお店をたくさん知ってるから、教えてもらって一緒に食べに行ったりね。 ドラマをやっていた当時はあまり絡みがなかったから、ホントに最近だよね。藤田さん
教室のシーンとかだったらいつも一緒なんだけど、直接絡むようなことはなかった。 金八先生って、普通の学校と同じようにやっぱり席が近い子同士で仲良くなりやすいんですよ。松下さん
紀美とは席が離れていたし、それに最初は教室に居なかったからね。 ずっと注1歩とふたりでしょ(笑)未だに役名で呼び合っている??
藤田さん
収録中は役名で呼び合うルールなんです。で、それを半年間濃密にやっていれば、もう抜けないですよ。松下さん
瞳子ちゃんとか絶対呼べないよね(笑)。どうしたって「つぐみ」って。藤田さん
私たちだけじゃなくてみんなそうですよ。だから本名と役名が一致しないこともあって(笑)。ほら、女子だったら結婚して名字が変わることがあるじゃないですか。 だけど役名だったらずっと変わらないので安心して呼べるんですよ(笑)
――:なるほど。お二人とも女優として活躍されているところ申し訳ないんですが、 第4シリーズを夢中になって見ていたボクらからしても松下さんはどうしても伊丸岡ルミだし、 藤田さんは蓑田紀美になっちゃうんですよね……。そういうのは嫌じゃないですか?
藤田さん
いやいや、ありがたいことです。松下さん
やっぱりいいドラマに出られたということですし、 放送から20年経ってもこうやってお話する機会があるというのはなかなかないことですから。伊丸岡さんと呼ばれても、嫌な気はしないです。紀美も注2北海道出身のスターだもんね(笑)
藤田さん
スターじゃないって(笑)。だけど金八先生というのは誰でも知っている番組だし、 それに出られたというのはすごく大きな財産ですよね。
昔を思い出す紀美(藤田瞳子さん)
第4シリーズについてを聞いてみました。
さて、お話の続きですが、第4シリーズでは紀美は最初登校拒否という……。
藤田さん(紀美)
そうなんです。金八先生の前の担任の先生に体罰を受けたんですよね。確か、美香に対して先生がひどいことを言って、それに抗議したら殴られたという。で、クラスのみんなも見て見ぬふりをしたんです。 それで先生への不信感とクラスメイトにももやもやしたものがあって、学校に行かなくなった。
松下さん(ルミ)
私にとっては紀美ちゃんがとってもミステリアスな存在だったの。北海道から出てきたばかりで、3Bの中でも注3最年長の大人だったし。それにずっと教室にいないから。寂しくなかった?
藤田さん(紀美)
私たちの楽屋って広かったでしょ。30人が全員同じ楽屋だったから。だけど、私の時はひとりだけとか歩とふたりとか。歩もドラマとは違ってやんちゃだったからね……。
松下さん(ルミ)
そうだねー。歩は全然ドラマとは違う。喧嘩した?藤田さん(紀美)
喧嘩っていうか、歩がわーっといろいろ言ってくるから。それでね(笑)松下さん(ルミ)
仲良さそう(笑)。ふたりともあまりしゃべらないで静かな役だったでしょ。 それに紀美はひとりのシーンも多いし、すごいなあって、素直に思っていた。大人だなって。 楽屋とかでもあまり騒ぐようなこともないしね。私はとにかく自分が子供に思えて。藤田さん(紀美)
私は金八先生がデビュー作だったし、北海道から上京してきてすぐの作品だったから。 お芝居もしたことがなかったからホントに何もできなくてよく怒られたし……。 だけどひとりのシーンとか歩とふたりのシーンとかだから、誰かに相談することもできないのね。 もちろん東京には友達もいないし。だから不安の中で余裕もなにもないなかでやっていたって感じかな。松下さん(ルミ)
紀美は背負っているものが違うんですよ。ひとりで上京してきて頑張ってるし。 私たちはもっと呑気(笑)。紀美ちゃんのキャラクターも自分の世界を持っている子だったでしょ。 それに注4クラスには途中から入ってくる。藤田さん(紀美)
それも大変だったんですよ。教室のシーンはアドリブ的なのが多かったじゃない? 他のみんなはそれに馴染んできて要領を得ているんだけど、私は後からだから……。松下さん(ルミ)
それぞれの役柄の個性に応じて自分で考えてリアクションしないといけないんですよ。 おとなしい子は静かにしていればいいけど、やんちゃな悪ガキの男の子は大変だったんじゃないかな。藤田さん(紀美)
みんなのお芝居がすごくうまく見えた(笑)。だから私にすればルミの方がかなり落ち着いてすごいなって思ってた。松下さん(ルミ)
ほんと? ありがとう(笑)藤田さん(紀美)
いろんなところに目を配れる子で。 表立って何かをやるわけじゃないけど、誰かが落ち込んでいそうだったらそっと声をかけてあげるようなね。優しい子だった。
それぞれの印象を想い出して頂きました。

昔を懐かしむ伊丸岡ルミ役の松下恵さん
藤田さん(紀美)
人によって、ですね。30人のクラスの中で8割くらいが本人と似たような性格の役で、残りは違う。だよね?松下さん(ルミ)
そうね。歩なんて全然違うからね。だけど役と似ていると引っ張られることがあるんですよ。 みんな中学生とかで人格形成の途中じゃないですか。私も撮影では学級委員でしっかりしていないといけないし、そうなると本当の学校でもしっかりしなきゃ、勉強しなきゃ、みたいな。 それでキャパシティを超えてしまう。
藤田さん(紀美)
ホントにスケジュールが大変だったしね……。高校受験をする子もいたし。私は当時の記憶があまりない(笑)。作品の中身はよく覚えているんですけど、自分がそこでどうしていたのかが抜け落ちているというか。 パート4のメンバーで集まったりした時に、他の子から聞いて「ああ、こうだった」と思い出すくらい。
松下さん(ルミ)
みんな必死だったよね。前の日がどんなに遅くなっても次の日は朝から自分の学校に行って、 3時限目とかで早退して緑山スタジオに行って、と。卒業式の収録も、午前中に自分の卒業式をした後でしたからね。 思春期だし、みんなそれぞれ悩みとかを抱えている中で、揺れ動いている子たちが演じていたんだろうなと思います。
1回目はここまで!
思春期の子供たちが思春期の子供たちを演じる難しさ……。その濃密な時間をともにしたからこそ、今笑って振り返ることができるのでしょう。
2回目はルミと紀美とあの頃の3Bのいろいろな事件について語ってもらいます!
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