阪本順治監督の映画 「傷だらけの天使」

映画 「傷だらけの天使」
1997年公開。通称は「傷天」。
東北・青森が舞台ということもあって、みちのくプロレスのザ・グレート・サスケも出演している。
豊川がプロレスラーとしてリングに立つシーンは見ものだった。
あらすじの前に、ショーケン版ドラマ「傷だらけの天使」の概要
1974年10月から1975年3月にかけて日本テレビ系で放送されたテレビドラマ「傷だらけの天使」。
ショーケンこと萩原健一、水谷豊が探偵事務所「綾部情報社」の調査員を演じた。
また、恩地日出夫、深作欣二、神代辰巳、工藤栄一らの監督陣が参加し、メインライターは当時新進気鋭の市川森一が担当した。市川は「13人の脚本家と監督による壮大な実験劇」と表している。

井上堯之バンド/太陽にほえろ! 傷だらけの天使
当初の視聴率は1桁台と低迷。その後「暴力や裸のシーンを抑え、人情味溢れる展開にする」という軌道修正が図られると2桁の大台に視聴率を乗せた。最終回の視聴率は19.9%だった。
一方、作品中に過激なシーンが多く登場し、問題視された。放送当時は「有害番組」のレッテルを貼られ、「あまりにふざけている」「下品である」「ストーリーがわからない」「テーマがない」などの批判を受けた。

オープニング映像は、寝起きから朝食まで長回しでの撮影。とにかくショーケンがカッコよかった!
トヨエツ版の映画「傷だらけの天使」 あらすじ
木田満(豊川悦司)と石井久(真木蔵人)は、行き当たりばったりの生活を送る探偵コンビ。
相棒の久に愛想を尽かされ、とうとう事務所をたたむことになった満。
足立(宇崎竜童)から最後の仕事を受け、シャブ絡みの調査のためにある雑居ビルへと向かう。
雑居ビルにはヤクザと思われる男達ばかり。
満は隙を伺い、事務所内へと潜入する

石井久(左、真木蔵人)と木田満(右、豊川悦司)
ところが、事務所にはヤクザに襲われて、瀕死の状態の倉井(三浦友和)という男がいた。
手錠を掛けられ、椅子でぐったりしていた倉井。死の間際、満に頼みごとをする。
それは彼の幼い息子の蛍(類家大地)を別れた妻(余貴美子)の元に届けて欲しいというもの。
お人好しの満は、依頼の直後に亡くなった倉井の手錠を外す。
団地に蛍を迎えに行き、一路岩手県宮古へと向かう。

サングラスをいくつも持っている満。旅にも必須!
ストレスからかすぐにお腹を下す蛍に悪戦苦闘しながら辿り着いた岩手だったが、母親は青森に引っ越してしまった後だった。
道中、満(都会人を気取っていたが、実は東北出身だった)の旧友である保(ザ・グレート・サスケ)率いるプロレス団体に出会い、行動を共にするなど、目まぐるしい日々を過ごす。
満は欠員の出たプロレスの興行で、なぜかレスラーとしてリングに立ち、アクロバットな技を決める。
しかたなく、二人は途中で、嫌々ながらも合流した久とともに青森へ向かった。だが、ようやく会えた満の母・和江は、別の男(杉本哲太)との結婚を控えていて、蛍を引き取ることはできないと言う。

身よりのない蛍
いたたまれなくなった満と久。
その後、蛍を父方の祖父(菅原文太)が住む七戸へ連れていき、引き取ってもらうことにした。
祖父は昔気質の頑固な人間だという。最初は突然の訪問に無愛想な祖父だったが、満たちのある種の純朴さに心を許していく。
蛍と乗馬するなど「おじいちゃん」の顔を見せる。そして、蛍が大人になり、七戸を出ていく日まで育てることを決めた。
ひと仕事を終え、満と久は東京に戻ろうとするが、満は自分が一緒にいては迷惑がかかると、自ら久と別れることを決意する。
その後、満は青森で知り合った東京の化粧品講習の美人インストラクターの立花英子(原田知世)と再会した。

満と久

蛍との別れ際、お気に入りのサングラスをプレゼントする満

美人インストラクターの立花英子(原田知世)
仕事にプライドを持っているキャリアウーマンの英子は、当初何者かも分からない満に不信感を抱いていたが、接していく内に打ち解けていた。
徐々に英子へと惹かれていく満。その一方で恋愛に傷つき、いつまでもそれを引きずっている自分を変えようとしている彼女の気持ちを知り、また東京で会うことを約束して別れる。

打ち解けた満と英子。自転車で宿まで送ってもらう満。
久はなんだかんだと満と離れられず、またしても彼を追いかける。
満は久と合流し、東京へ戻ることにしたが、その途中、満は倉井を襲ったヤクザの殺し屋に襲われてしまう。血だらけの満がヤクザに足を持たれ、雪道を引きずられていく・・・。
作品データ
監督 阪本順治
脚本 丸山昇一
俳優 豊川悦司、真木蔵人、菅原文太、原田知世等
公開 1997年(平成9年)
配給 松竹=松竹富士
時間 118分
赤井英和主演の『どついたるねん』や『顔』で知られる阪本順治監督らしい人間味のある作品。
ハードボイルド風の描写もあるが、随所に小ネタも散りばめられたヒューマン物語となっている。
本作で描かれるトヨエツ・豊川悦司と真木蔵人のような関係は素敵だなと思える名作だった。

蛍を可愛がる二人。つるんだり離れたり(笑)
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