アル・ヤンコビックとは
日本では「アル・ヤンコビック」と略してますが、海外では“Weird Al” Yankovic(ウィアード・アル・ヤンコビック)と呼ばれている、替え歌やコミック・ソングを得意とするパロディの帝王。
ただのふざけたヤツかと思ったら大間違い!実は優れたポルカ・アコーディオン奏者でもあり、これまでリリースしてきた作品は、さまざまな輝かしい実績・記録を打ち立てている、れっきとしたアーティストなのです!
2014年にリリースしたアルバム『Mandatory Fun』は、全米ビルボード・アルバム・チャートで1位を記録し、同チャート史上初めてパロディ・アルバムが1位を獲得するという偉業を成し遂げてます。さらに、80年代から現在に至るまで、各年代においてトップ40ヒットを放っている数少ないアーティストの一人でもあります。これは、マイケル・ジャクソンとマドンナに次ぐ、3人目の快挙なのです!
アル・ヤンコビック、パロディーアルバムでビルボード1位獲得 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
英語が分からないとアメリカのパロディは楽しめないと思われがちですが、そんなことはありません!アル・ヤンコビックは言葉の壁を越えた高いクオリティの笑いを提供してくれますので(笑)、存分に楽しみましょう!以下、代表的なPVをまとめてみましたので、元ネタとなった曲のPVを観た上で鑑賞すると、抱腹絶倒間違い無し!!
【1】My Bologna
この曲の元ネタは・・・ザ・ナックの「My Sharona」(笑)!
1979年、アルが大学在学中に発表した、記念すべき最初のパロディ・ソング!お得意のアコーディオンを使っての弾き語りですが、なかなかの歌いっぷりじゃないですか?とにかくボローニャが旨すぎて、食べるのをやめられないぜ!という替え歌になってます(笑)。この頃はパロディPVを作っていないので、まだまだではありますが、これでも十分面白い!
【2】Ricky
この曲の元ネタは・・・トニー・バジルの「Mickey」(笑)!
1983年リリースのシングルですが、遂に初PVが作られたのでした!これこそが、MTVで最初に放送されたパロディ・ビデオだと言われています。
楽曲はトニー・バジルのパロディですが、映像は50年代~60年代にアメリカで大人気だったTVコメディ『I Love Lucy』のパロディだそうです。しかしながら、最後にチア・リーダーが出てくるあたりは、明らかにトニー・バジルのPVのパロディですね!いよいよ次からアルのパロディ魂が全開となります(笑)!!
【3】I Love Rocky Road
この曲の元ネタは・・・ジョーン・ジェットの「I Love Rock'n' Roll」(笑)!
「Ricky」に続く、1983年リリースのシングルですが、いよいよここから、アルのパロディ魂は歌だけでなく映像(PV)の領域にも本格的に拡大されていくのです!ジョーン・ジェットが身に着けていた黒い革ジャンや赤いスカーフを真似ながら、舞台はバーではなくアイスクリーム・ショップに変更(笑)!
ロックンロールを愛するのではなく、ロッキー・ロード(アイスクリームの種類)を愛するという替え歌で、映像含めてアルはやりたい放題!!遂にパロディ帝王の本領発揮ですね~
【4】Eat It(今夜もイート・イット)
この曲の元ネタは・・・マイケル・ジャクソンの「Beat It(今夜はビートイット)」(笑)!
1984年リリースのこの曲で遂に大ブレイクを果たし、ここ日本でも知られる存在に!パロディ・ソングながら、全米チャート12位にランクイン、さらにオーストラリアでは1位を獲得してしまう事態に!ちなみに、本家マイケルの楽曲はオーストラリアで最高3位だったのに・・・
このPVでは、マイケルの「Beat It」で実際に使用したセットや、出演していた役者などを大胆にも起用するなど、通常ではありえないレベルで真似ちゃうシーンが満載!それだけに爆笑させられたわけですね~。最後のシーンは、マイケルの「スリラー」をパロったものだったりして、ホント細かい笑いをあちこちに散りばめてます(笑)。いまだに笑える、まさにパロディのマスターピース。

スリだー
今夜もEAT IT / アル・ヤンコビック|A DAY IN THE LIFE WITH MUSIC
【5】Like A Surgeon
この曲の元ネタは・・・マドンナの「Like A Virgin」(笑)!
マイケルの次は、マドンナをパロってしまいました(笑)!ハチャメチャな外科手術の替え歌にしてしまったわけですが、これまたいたるところに細かい笑いが・・・。手術の助手の中に、マドンナそっくりな女性がいたり、病院の廊下でアルが踊る振り付けがマドンナのPVそのものだったり・・・。そして最後のシーンは、マドンナの「Lucky Star」じゃないですか!?
【6】Living With A Hernia
この曲の元ネタは・・・ジェームス・ブラウンの「Living In America」(笑)!
映画『ロッキーⅣ』で使われたJBのヒット曲を、ヘルニアの苦しみを歌う替え歌に!JBがアメリカの都市名を連呼するのに対し、アルはヘルニアの種類を連呼してます(笑)。
このPVは、映画『ロッキーⅣ』でも実際に使われたセットで撮影したそうで、そんなところにも拘りを感じさせてくれますが、ダンスが得意ではないアルが必死でJBのダンスを真似ているのも、微笑ましかったりしますね。
【7】Money For Nothing / Beverly Hillbillies
この曲の元ネタは・・・ダイアー・ストレイツの「Money For Nothing」(笑)!
ダイアー・ストレイツの大ヒット曲「Money For Nothing」と、60年代にアメリカで放送されていたコメディ番組『Beverly Hillbillies』を組み合わせたパロディ。
PVは、ダイアー・ストレイツのオリジナルで有名なアニメーションを模したもので、ここまでやるか!?というほどの完成度の高さに驚かされます。
さらに、ギターはダイアー・ストレイツのマック・ノップラー本人が演奏してるとのことで、そうなるともはやパロディの域を超えちゃってますよね(笑)!
【8】Fat
この曲の元ネタは・・・これまたマイケル・ジャクソンの、「Bad」(笑)!
またしてもマイケル・ジャクソンのパロディ!しかも、マイケルが撮影したのと同じセットを使う許可を、マイケルから得たというのだから、これまたさすがなのです!マイケルは、アル・ヤンコビックのパロディを気に入っていたようで(笑)、マイケル公認という強みもあったんですね。
それにしても、この太った姿・・・。アルのパロディは、他にも「大食い」をアイデアにしたものが多いのですが、アメリカではそれがウケる鉄板ネタなのでしょうか。ちなみにアルはライヴでも、ステージ上でこの太ったスーツを着てパフォーマンスするそうです。
【9】Smells Like Nirvana
この曲の元ネタは・・・ニルヴァーナの「Smells Like Teen Spirit」(笑)!
映像作品『UHF』の失敗により、経済的にも大打撃を受けてしまったアルですが、このニルヴァーナのパロディで、見事に復活を果たすのです!カート・コバーン公認ということで、ディテールにこだわったPVでは、やはりニルヴァーナのオリジナルと同じセットで撮影、同じ役者を使ってます(笑)
全米ビルボード・チャートで最高35位にランクインするヒット、さらにMTVビデオ・ミュージック・アワードではベスト男性ビデオ部門で受賞するなど、ここからまた勢いを取り戻していきました!

Off the Deep End
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【10】Perform This Way
この曲の元ネタは・・・レディー・ガガの「Born This Way」(笑)!
デビュー当時からセンセーションを巻き起こしていたレディー・ガガも、アルにとってはパロディしたい格好の素材だったようです(笑)。最初にオファーした際には、ガガのマネジャーから断られたそうですが、後にガガ本人が許可したことにより、晴れて陽の目をみることとなりました!
この替え歌は、ガガ本人の視点から、自身のパフォーマンスについて語るような内容となっており、その奇抜すぎる衣装や演出などは、分かっていてあえて演じているだけなのだ歌っています。
ここまでくると、アルにパロディしてもらうのは光栄なことというか、一流アーティストとして認められた、ということなのかもしれませんね。
以上、爆笑必至の10曲をご紹介しましたが、いかがでしたか?
中にはネガティヴなマイナス・イメージとなりそうなパロディもあると思うのですが、それでも笑って許せるのは、アル・ヤンコビックというアーティストの人間性、本気度、オリジナルをリスペクトする姿勢があるからなのでしょう。
他にもまだまだアルの爆笑ネタはありますので、ご興味ある方は、いろいろ探してみてください!