Soft Cell

ソフト・セル
さて、困りました。
ソフト・セルは80年代イギリスのニュー・ウェーヴを代表するユニットです。と言ったところで、果たしてどれほどの人が覚えているでしょうか?
マーク・アーモンド(ヴォーカル)とデイヴ・ボール(シンセサイザー)の二人組といってもほとんどの人は分からないのではないかと思います。
大ヒット曲を持っており、当時は日本でもよく耳にしていました。が、聴けば聞き覚えがある人は多いかとは思いますが、当時でさえ一般にソフト・セルというユニット名を認識している人は少なかったと思います。
ですが、ソフト・セルはとてもユニークで、歴史の中に埋もれてしまうのは余りにも勿体ない素晴らしい音楽を残しています。
ということで、余り知られていないソフト・セルの足跡を辿ってみます。
Some Bizzare
ソフト・セルの2人は、スロッビング・グリッスルやキャバレー・ヴォルテールなどの影響を受けていたそうです。
いくら当時の最先端のアンダーグラウンド音楽とはいえ、、スロッビング・グリッスルやキャバレー・ヴォルテールというのが一般に馴染みがないバンドですよね。
なんともアンダーグラウンド志向が強かったというのはよく分かります。
1981年に「Some Bizzare Album」といインディーズからアマチュアばかりのコンピレーション・アルバムが発売され、ソフト・セルは2トラックの簡単なレコーダーで自宅録音した「The Girl With A Patent Leather Face」が収録されています。
このアルバムは当時のインディーズとしてはヒットし、レーベル会社Some Bizzare Recordsが立ち上がります。
ソフト・セルはこのレーベルからシングル「A Man Can Get Lost (7インチ)」と「Memorabilia (12インチ)」を発売しロンドンのクラブ・シーンで徐々に注目されていきます。

Some Bizzare Album
Non-Stop Erotic Cabaret
あまりマニアックなものは一般的に受け入れられにくいものですが、カバー曲というのが良かったのでしょう、1964年にグロリア・ジョーンズが歌った「汚れなき愛」を発売したところ恐らく大方の予想に反し全英1位、全米でも8位という大ヒットとなりました。

Tainted Love
オリジナルは全くヒットしなかったようですが、よい曲ですね。アレンジが時代に合ったということでもあるのでしょう。
ところで、「ウォーーー」という印象的なコーラスは、ヤードバーズの「ハートせつなく」から引用したそうです。
なるほど、確かに同じですね。
それはともかく、ソフト・セルは「汚れなき愛」が成功したことで1981年にファースト・アルバムが発売されることになりました。

エロティック・キャバレー
Non-Stop Ecstatic Dancing
日本では発売されなかった企画盤。とはいえ「Memorabilia」はボーカルも再録され、「A Man Could Get Lost」は「、A Man Can Get Lost」のインストバージョンだったり、よりダンサブルにリミックスされています。ファンには見逃せない好企画です。
シングル・カットされた「What!」は、全英3位となっています。

Non-Stop Ecstatic Dancing
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「What!」も「汚れなき愛」と同じ作曲者のFour PrepsのメンバーだったEdd Cobのカバーです。
また、リミックスされた「Sex Dwarf」は過激な内容のため放送コードにひっかかってしまい、この年に発売された「Soft Cell's Non-Stop Exotic Video Show」というビデオ・クリップ集からもプロモーション・ビデオが制作されていたにも関わらず外されてしまっています。
The Art Of Falling Apart
1983年発売のセカンド・アルバム「滅びの美学」です。
ちょうどこの頃早くも解散の噂があったのですが、それとは別に退廃的イメージを強調し、まさに滅びの美学を表した内容となっています。

滅びの美学
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This Last Night In Sodom
1984年に発売されたサード・アルバムにしてラスト・アルバムとなった「ソドムの夜」です。本作をソフト・セルの最高傑作とするファンは多く、なるほど完成度は高く、異常なほどの緊張感を伴った作品となっています。
背徳文学の世界をパンクの退廃感を織り交ぜて作り上げられた世界は他の追随を許しません。

ソドムの夜
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この後ソフト・セルは解散してしまい(2001年に再結成)、マーク・アーモンドはマーク・アンド・ザ・マンバス~ソロ活動を行い、デイヴ・ボールはソロ活動~テクノユニット「ザ・グリッド」を結成し現在でも活動をおこなっています。