ウルトラマンが生まれるまで・ウルトラシリーズの初期設定

ウルトラマンが生まれるまで・ウルトラシリーズの初期設定

ウルトラマン、ウルトラセブンなどが生まれるまでの設定の紆余曲折やデザインイメージの変遷などをおさらいしてみましょう。


ウルトラマンの初期設定:『科学特捜隊ベムラー』『科学特捜隊レッドマン』

『科学特捜隊ベムラー』という企画書が作成された。この企画書では、「常識を越えた事件を専門に扱う科学特捜隊」と彼らに協力する正体不明の宇宙人ベムラーが設定されている。

ベムラーの容姿は日本の伝説上の生物・烏天狗を思わせるもので、関係者から「敵怪獣との区別がつきにくい」や「ヒーローとしてのキャラクター性が弱い」との指摘があった。

ウルトラマンの企画当初の名前は「ベムラー」。そして「レッドマン」へ。

このウルトラマンじゃ嫌ですよね。

『科学特捜隊ベムラー』の宇宙人ベムラー(渡辺明氏デザイン版)

成田亨版ベムラー初稿(青森県立美術館蔵)

「ベムラー」の名は第1話の登場怪獣の名前として残された。

ベムラー

そこで『ベムラー』企画は再検討され、新たに『科学特捜隊レッドマン』が企画されることとなった。この企画書では、正義の怪獣ではなく「甲冑を思わせるような赤いコスチューム」をまとった謎の男として設定されている。

身長は2メートルから40メートルまで伸縮自在と設定されている。また、変身時間の制限も導入された。主人公とヒーローの関係についても「飛行機事故でサコミズを死なせた宇宙人レッドマンが責任を取ってサコミズの身体を借りる」と明記され、後の完成作品であるウルトラマンの設定の基本的な部分は完成していた。

その一方で、レッドマンは故郷が他の惑星の侵略で滅亡していること、サコミズ本人は既に死亡してその心はレッドマンであること、サコミズには人気歌手の恋人がいることなど、完成作品との相違部分もある。

レッドマン(初期ウルトラマンのデザイン)

ウルトラマン初期デザイン案の頭部

これらのウルトラマン初期デザインでの放送イメージはこうなる・・・

レッドマンのデザイン案

レッドマンのデザインは幾分ヒーロー的になったものの、拵井はもっとシンプルでインパクトのあるデザインを要求。また、前述のように本作はアメリカへのセールスを前提としており、アメリカの事情に詳しいTBSの大谷乙彦らが「今の形では外国人に受け入れられない。もっと無表情な鉄仮面のようなもののほうが謎があっていい」と提案。こうして試行錯誤した結果、ウルトラマンのデザインが完成した。

成田亨氏の「ウルトラマンの初期設定」

成田亨氏のウルトラマンの初期設定(青森県立美術館蔵)

成田亨氏の「ウルトラマン」

彫刻家の佐々木明氏が雛形(ひながた=マケット)と呼ばれる一尺(約30センチ)模型を制作する。

雛形に基づいた初期のウルトラマンのスーツ

ウルトラマンのカラータイマーは、元々成田氏の考えたものではなく、番組の編成上、スタッフが後付けしたもの。

成田亨氏の「ウルトラマン」

ウルトラマンのマスク

ウルトラセブン初期デザイン案

企画タイトルが「ウルトラ警備隊」の頃の、レッドマンの最初期案らしい。

ロボットタイプのウルトラセブン初期デザイン案

デザインは『ウルトラマン』に引き続いて成田亨によって行われた。成田亨によるデザインでは当初、体色は青かったが、商品展開を行う玩具会社の意向とブルーバック合成の都合により赤い色に変更された。

ウルトラセブン初期デザイン案

企画時の番組タイトルは『ウルトラアイ』でスタートし、主役ヒーローの名は「レッドマン」とされた。その後、タイトルは『レッドマン』に変更されるが、『レッドマン』撮影開始後に、当時別進行で企画されていた『快獣ブースカ』の後継作品で7人の原始人が活躍するコメディ作品『ウルトラ・セブン』のタイトルが新ヒーローに譲られる形で『ウルトラセブン』が誕生した。

ウルトラセブン初期デザイン案

ウルトラセブン 決定稿B案デザイン

本名:レッドマン(恒点観測員340号)
歴代主役ウルトラヒーローの中で「ウルトラマン」の名を冠さないヒーローは、ウルトラセブンが唯一である。

ウルトラセブン頭部デザイン

マルサン商店のウルトラセブンシリーズ

『ウルトラマンA』は、当初の名前は「ウルトラA(エース)」だった。「ウルトラA」から「ウルトラZ」までの25個が、どこかに商標登録されていた

『ウルトラマンA』は、当初の名前は「ウルトラA(エース)」だったが、商標の問題等により放送開始直前に現名称に変更となっている。

このヒーロー命名にまつわるトラブルにより、主役ウルトラヒーローの名前は「ウルトラマン○○○」というパターンで命名されることになった。後年の『ウルトラマンマックス』も、当初「ウルトラゼノン」という名称だったが変更されている。

そのため、歴代主役ウルトラヒーローの中で「ウルトラマン」の名を冠さないヒーローは、ウルトラセブンが唯一である。

(「小三」72年4月号。)

当初のタイトルは『ウルトラA』と予定されていたが、玩具メーカーのマルサンから『怪傑透明ウルトラエース』という商品が既に発売されていた。また、商標の問題を考慮して『ウルトラマンA』に改題された。

本作以降、ウルトラヒーローは「ウルトラマン〜」というネーミングが主体となってイメージが定着した。このため、『ウルトラセブン』の名称が誤って「ウルトラマンセブン」と呼ばれる事態にも繋がっている。

『ウルトラマンA』は、当初の名前は「ウルトラA(エース)」だった

いよいよはじまる「ウルトラA」・・・

まだ「ウルトラA(エース)」・・・

ウルトラマンレオの初期デザイン

ウルトラマンレオの初期デザイン

タロウの次はレオが地球に来る(小学館)

「タロウ」最終回に登場したバルキー星人は「ウルトラマンレオのNGデザイン」を悪者仕立てにしたもの

ウルトラマンレオのスーツデザイン

子供の夢を壊してしまうウルトラマン画像

撮影の合間にウルトラマンのマスクを脱いで素顔を見せる古谷敏氏の貴重なスナップ

撮影の合間にウルトラマンのマスクを脱いで素顔を見せる古谷敏氏

撮影の合間の帰ってきたウルトラマン

撮影の合間にくつろぐウルトラマンとウルトラセブン

1960年代の出版物では「ゾフィー」は「宇宙人ゾーフィ」と誤情報が独り歩きしていた

ビデオが普及していない時代なので、本編撮影時に講談社・円谷プロともにスチールを撮り逃していると、正確な描写が難しくなる。

また撮影前の設定情報を基に出版した場合も実際の放送内容と異なることも起こる。

『ぼくら』は、かつて講談社から発行されていた月刊漫画雑誌である。1954年12月創刊(1955年1月号)、1969年10月号で休刊。

放送前、出版社や報道各社に配布された資料にはゼットンとゾフィーの写真と、ゼットンは宇宙人に操られているということしか書かれてなかったそうです。

そのため、誤った推理からゼットンを操る宇宙人=ゾフィーになってしまった。

身長が2メートルあるのに体重が50キロというのもガリガリに痩せすぎですよね。

(講談社の雑誌「ぼくら」と「少年マガジン」に掲載されたウルトラマンの記事をまとめた「ウルトラマン画報」より)

宇宙人ゾーフィはウルトラマンの敵の怪獣で、ゼットンをあやつる。

当時は家庭用ビデオ等の普及が十分じゃなかったので、放送を見た記憶や他の人からの見聞きだけで雑誌が作られていました。

そのため現代では信じられないような誤情報が流されてしまっていたのです。

60年代から70年代はメディアの情報の精度が低く、こういうこともデマが広がりやすかった原因でしょう。

宇宙人ゾーフィは力はないが頭は良い。ゼットンをあやつって大暴れする。

1968年に秋田書店から刊行された「怪獣ウルトラ図鑑」

宇宙恐竜ゼットンは、宇宙人ゾーフィに操られている・・・という誤情報が掲載されている。

アルファベットの最後「Z」と50音の最後「ん」を合成した「Zん」=ゼットンが名前の由来。

初期の円谷作品を支えたデザイナーの成田亨氏の「ゼットン」のデザイン決定稿

60年代から70年代前半頃はビデオ映像はおろか、写真資料もロクにない時代。
記憶に基づいてイラストが書かれると、こうなってしまうのは、しかたがない。

ゾフィーの解説は徐々に訂正されていくが、イラストはあいかわらず適当・・・

帰ってきたウルトラマンが放送を開始した1971年。
小学2年生8月号に、(発売は7月)、ウルトラマンの兄ゾフィーが誌面で紹介されます。
体のラインと、胸のブレスター(当時の呼称)の位置が異なります。
情報不足、ビデオが無い時代なので、憶測のイラストでした。

小学2年生8月号に、(発売は7月)、ウルトラマンの兄ゾフィーが誌面で紹介されます。憶測のイラストなので間違いが多い。

小学2年生9月号付録 ウルトラ怪獣じてん
ゾフィーって誰?という幼年層の読者の問いの答えです。
「ゼットンに負けたウルトラマンを迎えにきたウルトラマンの兄」でした。
まだこのイラストではブレスターの位置が違います。

ゾフィーは「ゼットンに負けたウルトラマンを迎えにきたウルトラマンの兄」。ゾフィーが走って助けに来る・・・

(上)ゼットンに光線技で倒されたウルトラマンのカラータイマーは、外見上は無傷。

(下)ところが赤い玉の中では、カラータイマーは物理的に割れている。

これは倒れたウルトラマンのカラータイマーをゼットンが叩き割る場面が、残酷すぎるとカットされたため。

カラータイマがゼットンに叩き割られるシーンは残酷すぎるとしてカットされた

実物と絵がぜんぜん違うウルトラ怪獣(当時本編写真がなくイラスト対応)

宇宙人というより、漫画版タイガーマスクに出てきそうな覆面レスラーみたい・・・

凶悪宇宙人ザラブ星人

本物の「凶悪宇宙人ザラブ星人」

ジェロニモンは本編撮影時に講談社・円谷プロともにスチールを撮り逃しています。
アトラク仕様に改修後の写真がごく一部で使用された例はありますが、当時の紙媒体のほとんどがジェロニモンの写真を掲載できていない状態でした。小学館も例に漏れず、1971年度初期まではイラストで対応しています。

ジェロニモン

1972年ごろ、写真のない怪獣にはフィルムのコマ焼きで対応する手法が確立されてくる。

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