ダスティ・ローデスの魅せるプロレスを大検証!熱狂のエルボードロップ!

ダスティ・ローデスの魅せるプロレスを大検証!熱狂のエルボードロップ!

プロレスに生涯を捧げた、アメリカンドリーム・ダスティ・ローデス。なぜ観客をあれほどまでに大熱狂させたのか。ダスティ・ローデスのアメリカと日本の試合を振り返りながら「魅せるプロレス」を検証する。


ダスティ・ローデスは、新日本プロレスのリングで、外国人同士のドリームカードを何試合も実現させた。
アンドレ・ザ・ジャイアントやハルク・ホーガン、ボブ・バックランドなどとシングルマッチやタッグマッチで激突。
会場を大いに盛り上げた。
その中でも不沈艦・スタン・ハンセンとの抗争が一番激しかった。
70年代のスーパースターを引きずり下ろそうと、世代交代を狙う80年代のスーパースター・スタン・ハンセン。
アメリカではヒールのスタン・ハンセンだが、日本のマットではトップクラスの人気者だった。

因縁の対決の発端は、タッグマッチ。
藤波辰巳、ボブ・バックランドVSスタン・ハンセン、ダスティ・ローデスという夢のゴールデンカードが実現。
藤波とバックランドのスピードに翻弄される大型レスラーの二人。
ローデスのエルボースタンプがハンセンに誤爆!
ハンセンは「何やってんだ!」という感じで怒ってローデスをどつくと、ローデスがハンセンの脳天にエルボースタンプ! そして殴り合いの仲間割れ。
サイドストーリーはバッチリだ。
もともとスタン・ハンセンは真剣勝負のファイトスタイルだけに、試合中にダンスを踊るローデスとは合わなかった。
1980年5月16日、刈谷市体育館でダスティ・ローデスVSスタン・ハンセンの夢の対決のゴングが鳴った。

ダスティ・ローデスはどんなタイプのレスラーと対戦しても面白い試合になる。これぞプロフェッショナルだ。
スタン・ハンセンに対してローデス得意の左ジャブ、右ジャブのパンチ連打。大歓声。両腕をクルクル回してのストレートパンチ!
場外乱闘。ローデスはハンセンの頭を思いきり放送席! リングに上がるローデスを怒りのハンセンがすぐに追いかけるが、ローデスは腰振りダンスで挑発。
エキサイトしたハンセンが反撃。フライングメイヤーから脳天にエルボー! スリーパー、背中にニーパット、キックのブルファイト。
しかしローデスも一本背負いで巨体のハンセンをぶん投げ、アームブリーカー、腕にエルボー!
ハンセンもボディスラムからのニードロップ! さらにエルボードロップはローデスがよける。
互いにエルボーの使い手の両雄。
再び場外乱闘。ハンセンがローデスの脳天にイス攻撃! ローデスもイスを奪って殴打! ハンセンはローデスの肩を鉄柱!
両者リングアウトだけは見たくないファンの気持ちに応え、リング上へ。ハンセンはパンチ、キック連打。ローデスも脳天に強烈なエルボースタンプ!
会場は湧きっ放しだ。三度の場外乱闘。リング下でスタン・ハンセンの必殺ウエスタン・ラリアットが炸裂!
ローデスがダウンし、ハンセンはリングに上がる。ローデスもエプロンサイドに上がるが、もう一度ウエスタン・ラリアット!
場外に転落はせず、エプロンでダウンするローデス。そのまま10カウントでKO負け。
ローデスがエプロンも場外と同じ20カウントと勘違いしたのかと山本小鉄名解説がフォロー。
因縁の対決はスタン・ハンセンに軍配が上がったが、両雄の抗争はまだまだ続く。

これまた、よくぞ実現したという夢のゴールデンカード。
ダスティ・ローデス、ボブ・バックランドVSスタン・ハンセン、ハルク・ホーガン。
1981年5月29日、高松文化市民センター。第4回MSGシリーズで組まれた超豪華なタッグマッチ。

ブレーキを失った重戦車・スタン・ハンセンと超人・ハルク・ホーガンの猛攻を食い止め、ボブ・バックランドがハルク・ホーガンにアトミックドロップ、パイルドライバーと大技を炸裂させる。
ダスティ・ローデスも踊るようなフットワークでパンチ連打。
タッグマッチで重要なのは、パートナーの見せ場をつくること。自分だけが目立ってもいけない。その点ローデスは、バックランドと組んでも、マードックと組んでも、パートナーの見せ場が多い。
とにかくダスティ・ローデスは、会場を盛り上げることを重要視する。

最後は両軍リングアウト。見応え十分の試合内容なら両者リングアウトの決着でもファンは満足し納得する。
プロレスはやはりプロセスが命なのだ。
プロレスを観始めの頃、誰もが一度は疑問に思うことがある。なぜレスラーはロープに飛ばされたら、おとなしく返って来てドロップキックなど技を食らうのか?
なぜ相手の大技をよけないで受けるのか?
アメリカでは観客をオーバーヒートさせるレスラーが超一流という位置づけ。高い入場料を払って会場に足を運ぶファンに「来て本当に良かった」「また来たい」と心から思えるような興奮と感動を与えるのがプロレスラーの仕事だ。
レスラーのリングと俳優の舞台は似ている。
ダスティ・ローデスがアメリカでスーパースターになり、新日本プロレスでも成功したのは、そこにこだわるレスラーだったからだと思う。

夢のカードが止まらない。
1981年6月。アントニオ猪木、ダスティ・ローデスVSスタン・ハンセン、ハルク・ホーガン。
さすがは毎週のテレビ中継で20%の視聴率を弾き出したプロレス黄金期。
この試合ではローデスが大暴れ。ハンセンを腰振りダンスで挑発し、ホーガンに必殺技ジャンピングエルボードロップを炸裂させる。
最後はインドの猛虎・タイガー・ジェット・シンが乱入して無効試合。

熱狂のエルボードロップ

やはり一番感動的な試合は、ダスティ・ローデスが初めてNWA世界ヘビー級チャンピオンになったタイトルマッチだ。
この日のハーリー・レイスは本当に強く、パンチ攻撃のラフファイトに、執拗なニードロップとヘッドバットでローデスを追い込む。
しかしローデスのエルボーバットはあまりにも強烈で、一発で試合の流れを変えた。
フィニッシュが得意技のジャンピングエルボードロップだからこそ、余計に感動的で、観客も大熱狂。
アメリカンドリーム・ダスティ・ローデスは記憶に残る名レスラーだ。

まだまだ語り足らないが、晩年まで話すとキリがないのでこの辺で。
ダスティ・ローデスは2007年に引退した後も、2015年6月11日、69歳で旅立つまで、プロレスに貢献し続けた偉大なプロレスラーである。
ダスティ・ローデスの熱狂のエルボードロップは忘れられない。

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